庭木の三大名木のモチノキは、常緑性で耐陰性も強いため、日陰の植栽に活躍する。
日本に自生する樹木であることから、育てやすいことも特徴。
葉はマテ茶の原料になり、種類が豊富で似た木がいくつもある。
秋から冬にかけてなる赤い果実は、雌木しかならない。
基本データ
- 分類
- 庭木-常緑
- 学名
- Ilex integra
- 科・属名
- モチノキ科・モチノキ属
- 別名
- モチ、トリモチ、トリモチノキ
モチノキは庭木の三大名木!主な特徴や名前の由来を解説
日陰の植栽に最適な人気の常緑樹
モチノキはモッコク、モクセイと並び、庭木の三大名木と称され、古くから日本庭園や神社、お寺など、さまざまな場所で植栽されている人気の庭木です。(植栽とは?こちら⇒植栽の種類大図鑑)
モチノキは日本に自生する常緑樹で耐陰性があることから、日陰の植栽としても重宝されています。
秋ごろからなる赤い果実は、小鳥を庭に誘い込んで、心地のいいさえずりを聞くことができそう。
自然に囲まれて暮らしたい人におすすめの庭木です。
モチノキの性質
モチノキは暑さや大気汚染、塩害などに強い丈夫な性質を持つため、都市住宅や道路脇、海岸沿いの植栽に最適です。
成長が遅いモチノキは、樹形が乱れにくく手がかからないので、初めて庭木を育てる人にもおすすめ。
ただし、寒さにはやや弱い傾向にあるので、寒冷地での栽培は難しいでしょう。
モチノキの花と果実
モチノキは4月〜5月ごろに黄緑色の花を咲かせます。
花は1cm未満でとても小さいため、あまり目立たず観賞価値は少ないです。
一方、秋ごろになる果実は、色鮮やかな赤い色で見応えが抜群。
ただし、モチノキは雌雄異株のため、果実は雌木にしかならず、選ぶときは注意が必要です。
モチノキの種類
モチノキ属は種類が多く、クロガネモチ、ソヨゴ、ヒイラギモチ、タラヨウなどさまざまな樹木があります。
世界では400種類もの樹木があるそう。
中でも、クロガネモチやソヨゴはモチノキ同様、多くの庭で活用されている人気の種類です。
オウゴンモチノキは黄色の明るい葉が魅力的で、カラーリーフとしても活躍。
洋風の庭にもよくマッチします。
モチノキの名前の由来
モチノキは樹皮から鳥もちの原料となるゴム状の粘着性物質が取れるため、このような名前がつけられたとのこと。
昔はモチノキなどの樹皮を使い、鳥もちを手作りして鳥や虫といった獲物を捕獲していたそうです。
モチノキの樹皮を使って、子供と一緒に鳥もち作りにチャレンジしてみるのも面白いかもしれませんね。
モチノキの魅力は?似た木との違いやおすすめの楽しみ方を紹介
モチノキの魅力
モチノキは光沢のある艶やかな葉を一年中つけています。
庭が寂しくなる冬の季節には、緑の葉と赤い果実のコントラストが美しく、冬の庭や暗くなりがちな日陰を色鮮やかに演出してくれることが大きな魅力です。
また、性質が丈夫で成長が遅い特徴も持つことから、メンテナンスフリーで楽しめることも魅力的なポイントでしょう。
似た木がいっぱい!クロガネモチとの違いは?
上記でも触れたように、数多くの種類があるモチノキは似た木もたくさんあります。
特に間違えられやすいクロガネモチは、赤い果実や光沢のある葉など、共通点が多いので見分けられない人も多いはず。
実は、クロガネモチとモチノキは、よく観察すると花色や葉の形に違いがあります。
クロガネモチは、花色が少し紫色で、葉の形が細長く先が尖っているのが特徴。
一方で、モチノキは花色が黄緑色で、葉の先は丸みがあることが違いに挙げられます。
モチノキに似た木があったら、ぜひ細かいところまで観察して見分けてみてくださいね。
葉はマテ茶の原料に
南米では、紅茶やコヒーなどと並び、マテ茶が一般家庭で広く親しまれている人気の飲料です。
そんなマテ茶にはモチノキの葉が原料として使われており、世界三大飲料の一つとして注目されています。
葉を焙煎していないグリーンマテは緑茶のような味わいで、焙煎したローストマテは香ばしい風味で後味スッキリ。
カフェインが少ないマテ茶は、日常的に飲む飲料にもおすすめです。
クリスマスの飾りや正月飾りにおすすめ
冬の庭を緑と赤のカラーで彩るモチノキは、クリスマスの装飾にぴったりの樹木です。
ちなみに、クリスマスホーリーとも呼ばれるセイヨウヒイラギも同じモチノキ属に分類されます。
また、モチノキは「家を持つ」「お金を持つ」「子を持つ」など、縁起がいいことから正月飾りにもおすすめできます。
目隠しにも活用できる
モチノキは葉が密につく常緑樹ため、小窓などの目隠しに役立ちます。
成長が遅いこともメリットで、目隠し効果が長続きしすることも嬉しいポイントですね。
家の中からは緑の葉を年中眺められるので、緑のある暮らしや癒しの空間作りにも役立つでしょう。
モチノキの育て方と特徴の詳細情報
- 草丈・樹高
- 5~15m
- 栽培可能地域
- 東北南部以南
- 花色
- 黄緑色
- 開花期
- 4月~5月
- 結実期
- 10月~12月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 強い/普通
モチノキの育て方と特徴の育て方・管理方法
- 植え付け・植え替え
- 植え付け時期は、4月〜5月と9月〜10月が適期です。厳暑期や厳寒期を避けて植え付けるようにしましょう。
用土は水はけがよく肥沃な土壌を好むので、腐葉土や堆肥をよくすき込んでから植え付けてください。
植え替えの必要はありません。しかし、栽培環境が合わないなど、必要があれば植え替えも可能です。 - 肥料
- 春の芽吹きをサポートするため、2月〜3月の時期に寒肥を与えましょう。寒肥には緩効性肥料や油粕、骨粉などを適量施します。
寒肥以外では追肥の必要はありませんが、葉の色艶を見て肥料切れが気になる場合は、緩効性化成肥料を与えてください。ただし、夏の追肥は肥料焼けを引き起こすケースがあるので、夏の時期を避けて追肥を与えることがポイントです。 - 剪定
- 剪定時期は花が咲き終わった後から7月までが適しています。
自然樹形を楽しみたい人は、バランスを整えたり、伸びすぎた枝をカットしたりする程度の剪定でOKです。枝が密集している箇所は剪定をして、風通しをよくしておくと病害虫の予防につながります。
強剪定をする場合は3月ごろがおすすめです。強剪定はモチノキに大きな負担がかかるため、剪定時期を間違えないように注意しましょう。 - 病害虫
- 風通しが悪いとカイガラムシなどの被害に合いやすくなります。大量発生すると駆除が大変なので、害虫は見つけ次第、早期に駆除しましょう。
また、カイガラムシの排泄物からすす病などの病気を発症するケースもあります。
葉がすすをかぶったような状態になり、景観も悪くなってしまうので、カイガラムシ対策をしっかりと行うことが重要です。 - 日当たり
- 植え付けたばかりの時期は、根が十分に張っていないので、土の表面が乾いていたら水やりをしてください。
特に夏場はすぐに水分が蒸発してしまうため、たっぷりと水を与えましょう。2年目以降は降雨だけで十分に育ちます。 - 水やり
- 植え付けたばかりの時期は、根が十分に張っていないので、土の表面が乾いていたら水やりをしてください。
特に夏場はすぐに水分が蒸発してしまうため、たっぷりと水を与えましょう。2年目以降は降雨だけで十分に育ちます。