古くから料理や香料などに利用されてきた、シソ科の常緑低木。香りの強さが特徴で、花色や葉色は様々。耐暑性・耐寒性ともに高く、乾燥に強いため初心者でも育てやすい植物。しかし、移植を嫌うため植え替えには注意が必要。
基本データ
- 分類
- 庭木-低木・下草
- 学名
- Rosmarinus officinalis
- 科・属名
- シソ科 マンネンロウ属(ロスマリヌス属)
- 別名
- メイテツコウ、マンネンロウ
ローズマリーは長い歴史を持つハーブ
香りの強い常緑低木
ローズマリーは、香りの強さが特徴的なシソ科の常緑低木です。地中海沿岸の地域が原産で、古くから料理や香料などに幅広く利用されてきました。その歴史は古代エジプト時代まで遡り、ファラオのお墓から枝が発見されたと言われています。痩せた土地でも育つ強さを持ち、風で倒れる心配も少ないため、初心者でも育てやすい植物です。
薬用としての利用
ローズマリーというと料理で利用されるイメージが強いかもしれませんが、実は薬用としても利用されてきました。記憶力や集中力を向上させる効果があるとされ、強壮剤や刺激剤として定評があります。また、ロスマリン酸という強い抗酸化成分が含まれており、「若返りのハーブ」と呼ばれることもあるようです。
花色や葉色は様々
ローズマリーは花色や葉色に様々なバリエーションがあり、大きく分けて3つの種類があります。
■立性
こちらは木のように上方向に伸びていくタイプの品種です。3種類の中でも草丈が高く、2m程度まで大きくなります。成長速度が早く、扇状に広がっていきます。
■半匍匐性
半匍匐性は、後述で紹介する匍匐性と立性どちらの特徴も兼ね備えた品種です。始めは横方向に伸びていきますが、次第に上方向に伸び、盛り上がりのある樹形になります。匍匐性の品種よりも大きく育ち、横方向・上方向ともに1~2mほどのサイズになります。
■匍匐性
匍匐(ほふく)性のローズマリーは、その名の通り地面を這うように枝を伸ばしていきます。高さは20~40cm程度と低く、グランドカバーに適した品種です。また、枝が垂れる性質を活用し、ハンキングバスケットに植えたり、花壇から垂らすように植える育て方に向きます。
また、ローズマリーに良く似た植物に、ウエストリンギア(別名オーストラリアン・ローズマリー)という種がありますが、ローズマリーとは少し違った仲間になります。
ローズマリーの品種
マジョルカピンク
立性のローズマリーであるマジョルカピンクは、ピンク色の可愛らしい花が印象的な品種です。枝分かれが少なく葉も大きくないため、リースづくりなどへの利用に適しています。草丈は1m程度でガーデニング低木にもおすすめですが、半耐寒性(マイナス5℃まで)なので注意しましょう。
ディープブルー
ディープブルーは半匍匐性のローズマリーで、青紫色の花を咲かせます。葉は濃い緑色をしており、肉厚で小さく短いのが特徴です。草丈は30~60cmほどになります。耐寒性が高く、育てやすい品種です。
プロストラータス
こちらは匍匐性のローズマリーです。花色は淡い青色で、1年中花を咲かせます。耐寒性はマイナス5℃までとなっているため、あまり冷え込む場所での栽培は適しません。「プロストラータス」は、ラテン語で「地を這う」という意味を持ちます。
料理から入浴剤まで様々な楽しみ方
料理に使う
ローズマリーは香りが強く、くさみ消しや風味づけに最適なハーブです。クセの強い肉や魚のソテーなどが良いでしょう。また、オリーブオイルやビネガーに漬け込んで香りを移したり、ハーブティーにして楽しむなど、料理での活用方法は無数にあります。
消臭剤を作る
ローズマリーの香りを活かして、消臭剤を作ることも可能です。乾燥させたローズマリーの葉と重曹を混ぜて瓶に詰めるだけなので、非常に簡単に作れます。瓶を倒してしまいそうな場所に置く場合は、レースのような通気性の良い布で蓋をしておきましょう。
ローズマリーは入浴剤にも
お風呂で香りを楽しむのも良い方法です。せっかくならと摘んだばかりのローズマリーを入れるたくなりますが、灰汁が強く浴槽のお手入れが大変になってしまうため、十分乾燥させたものを使うのをおすすめします。
挿し木で増やす
ローズマリーは挿し木で増やすことができますが、いくつか注意点があります。常緑なのでいつでも出来るように感じますが、挿し木は5~6月、9~10月が適期です。
また、肥料の入っている土は雑菌や微生物を引き寄せるため、根が成長しづらくなるので注意しましょう。
加えて、日差しが強いとローズマリーが傷んでしまうため、挿し木にした場合は明るい日陰で管理します。
ローズマリーの育て方と特徴の詳細情報
- 草丈・樹高
- 30~200cm(品種によって異なる)
- 栽培可能地域
- 全国
- 花色
- 青、ピンク、紫、白
- 開花期
- 11月から5月にかけて(品種によっては夏にも開花)
- 結実期
- 品種によって異なる
- 耐暑性 / 耐寒性
- 耐暑性:高い 耐寒性:高い(品種によっては普通)
ローズマリーの育て方と特徴の育て方・管理方法
- 植え付け・植え替え
- 植え付けは真夏や厳寒期を避け、4~5月、9~10月頃に行いましょう。ローズマリーは移植を嫌うため、場所は慎重に決める必要があります。水はけが良く、日の当たり風が通る場所が最適です。横に広がりやすい匍匐性の品種はスペースにも注意しましょう。植え付ける場所には、根が深く張るよう腐葉土などを混ぜ込みます。
鉢植えの場合は根詰まりを起こしやすいため、1~2年に1度を目安に植え替えを行います。時期は3~5月、10~11月が適期です。ただ、先程触れたように移植を嫌うため、傷つけないよう注意して植え替えましょう。植え替え直後の鉢は半日陰に置き、少しずつ日なたに慣らすようにします。
庭植えは古株になると移植が難しくなるため、4~5年ごとに挿し木などで株を更新しておくと良いでしょう。 - 肥料
- 植え付けの際は腐葉土、堆肥、元肥を施しましょう。ローズマリーは痩せた土地に自生しているため、それ以降の肥料はほとんど必要ありません。花つきを良くしたり、耐寒性を高めたい場合は、秋頃に化成肥料や草木灰を施肥しましょう。化成肥料はリン酸とカリ分が多いものが適しています。
- 剪定
- 枝が伸びてくると樹形が乱れやすくなります。春から秋にかけての生育期間に、剪定を行いましょう。伸びすぎた枝や混み合った枝、枯れ枝、細い枝などを切り除きます。
強剪定は梅雨前の時期に行うことができますが、葉のついた枝が残すようにしましょう。葉のついていない枝だけ残ってしまうと、葉が出ないまま枯れてしまう可能性があります。 - 病害虫
- 病気としては新芽に発生するうどんこ病、害虫としてはカイガラムシやテッポウムシ、アブラムシなどに注意が必要です。
- 日当たり
- 鉢植えしている場合は、土の表面が乾いて2~3日経った後にしっかり水を与えましょう。葉がしおれにくいため、水切れを発見しにくいため十分観察しておきます。冬場は乾かし気味にすると良いでしょう。
庭植えの場合、根付いてしまえば水やりはほぼ必要ありません。 - 水やり
- 鉢植えしている場合は、土の表面が乾いて2~3日経った後にしっかり水を与えましょう。葉がしおれにくいため、水切れを発見しにくいため十分観察しておきます。冬場は乾かし気味にすると良いでしょう。
庭植えの場合、根付いてしまえば水やりはほぼ必要ありません。
熊本県の海と山に囲まれた田舎で育ち、幼少期からガーデニング好きの祖母を手伝う。高校時代には、音楽を中心に様々な芸術分野に興味を持つようになり、同時に自然の持つ面白さや奥深さに気づく。現在はライターとして活動し、多趣味を活かして幅広いジャンルで執筆。他にもカメラやデザインについて勉強中。自然に囲まれて暮らすのが1つの目標。