秋の代表的な果物のナシ。広い地域で栽培されている落葉高木の果樹であり、水々しくて甘酸っぱい果実が大人気。ただ、病害虫の被害にあいやすいことから、育て方が難しく上級者向けの果樹と言える。結実するためには2品種以上の苗木が必要。
基本データ
- 分類
- 果樹
- 学名
- Pyrus pyrifolia var. culta
- 科・属名
- バラ科・ナシ属
- 別名
- アリノキ、アリノミ
- 草丈・樹高
- 2m以上
- 栽培可能地域
- 北海道以南
- 花色
- 白
- 開花期
- 4月〜5月
- 結実期
- 8月〜10月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 強い/強い
甘酸っぱくて水々しい果実がなるナシ(梨)の木

ナシ(梨)とは
ナシは主に洋ナシ、中国ナシ、和ナシ(日本ナシ)の3つに分類されており、日本で言う「ナシ(梨)」は一般的に“和ナシ”を指します。
和ナシは中国原産の果樹で、野生種ヤマナシの改良種。
弥生時代にはすでに食用にされていたようで、古くから多くの人々に愛されてきました。
さらに、和ナシは果実の皮が黄褐色のものを「赤ナシ」、皮の色が緑色のものを「青ナシ」と2種類に分けられており、赤ナシで有名なのは「豊水」や「幸水」、青ナシは「二十世紀」が代表的です。
ナシの木の特徴
ナシは落葉高木で、大きいものは10〜15mにも成長します。
春の季節を迎えると葉と花が同時に展開して、サクラにも似た白く可愛らしい花がたくさん咲き、美しい姿を鑑賞できるでしょう。
花後には実がなり、秋には食べごろを迎えて美味しい果実が収穫できます。
また、ナシは1本では結実しにくい自家不和合性であることから、収穫を楽しむには2品種以上の苗木を用意しなければなりません。
それぞれ相性の良し悪しもあるので、相性のいい品種をあらかじめ調べたうえで、苗木を購入するといいでしょう。
花言葉は「愛情」「癒し」「慰め」
ナシは「愛情」や「癒し」などの素敵な花言葉を持ちます。
花言葉の由来は、ナシの花が咲いたあと、大きな果実をたくさんつけて枝がしなっている様子から、ナシが「愛情」に応えて感謝しているように見えたことにちなんでいるのだそう。
また「癒し」「慰め」の花言葉は、ナシの原産地である中国で、古くから梨が人々から愛され、心を癒していたことにちなむとされています。
ナシの美味しい季節は秋。水々しい果実を収穫しよう

ナシのシーズンは8月〜10月。花は春に見頃を迎える
ナシは夏の終わりが近づく8月ごろに旬を迎え、10月ごろまで美味しい果実を楽しめます。
人気品種の「幸水」なら、早いもので7月には流通がスタート。
次いで人気の「豊水」は、9月中旬から10月に旬を迎えるなど、品種によって収穫時期に多少のばらつきがあります。
さらに、バラ科に属するナシは、花の美しさも楽しめるのが魅力。
ぜひ庭木に迎えて、花の美しさや果実の収穫、味を楽しんでみてくださいね。
美味しい果実がなるためのコツ
ナシを育てて実がなるまでには、約3〜4年もの年月がかかります。
とはいえ、ただ年月が経過するのを待つだけでは、美味しい果実はできません。
次に、ナシの果実が実るためのコツをまとめたので、参考にしてください。
- 2品種以上の相性のいい苗木を育てる。
- 確実に結実するように、花が咲いたら人工授粉を行う。
- 5月〜6月初旬までに摘果をする。
- 果実が大きくなり始めた6月ごろ、袋をかけて病害虫などから守る。
- 冬に剪定をして日光が行き渡るようにする。
美味しい果実の見分け方・収穫方法
ナシは軸が太く、果実に張りがあり、皮の色合いが均一なものが美味しいと言われています。
ナシの果実を購入する際は、この3つのポイントを参考に見分けるといいでしょう。
また、収穫時期を迎えたナシは、赤ナシなら皮が黄褐色、青ナシなら緑色に皮が色づきます。
さらに、果実を持ち上げると簡単に軸が外れるため、これらを合図に収穫を行なってください。
ナシ(梨)の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
植え付け・植え替えに適した時期は、11月から12月中旬頃。
ビャクシン類の樹木を避けて、苗木を植え付けるようにします。
用土は水はけがよく、保水力もある土を好むので、庭植えでは赤玉土や腐葉土をすき込むと同時に、堆肥も入れて深く耕しましょう。
鉢植え栽培では、市販の果樹用培養土を使用するか、赤玉土7:腐葉土3の割合でブレンドします。
植え替えは鉢植え栽培で必要です。
少なくとも2〜3年に1度は一回り大きい鉢へと植え替えを行ってください。
肥料
肥料は2月、6月、10月の時期に与えます。
2月の寒肥では、油かすや骨粉、堆肥などの有機質肥料を。
6月と10月の時期には、速効性の化成肥料を施してください。
また、7月以降に肥料を与えてしまうと、果実の質や味に影響が出てしまう恐れがあり、美味しさが低下する原因となるので注意しましょう。
10月に与える肥料はお礼肥なので、果実の収穫が終えてから肥料を与えます。
剪定
ナシの剪定は、12月から2月の時期が適期です。
庭植え栽培で広くスペースが取れるようなら、枝を横に広げて栽培する棚仕立てがおすすめ。
主枝2本を残し、枝を横に広げて両方の先端が高くなるよう支柱に誘引して、短果枝をたくさん育てます。
鉢植え栽培や庭が手狭な家庭、手軽に育てたい人などは、立ち木仕立て栽培するのがおすすめです。
立ち木仕立てでは、全体に日光が行き渡るように、徒長枝や混み合った箇所の枝を付け根から剪定します。
長く伸び過ぎた枝は半分ほど切り戻すと、短果枝が発生しやすくなるでしょう。
病害虫
ナシは、黒斑病、黒星病、赤星病などの病気が発症しやすいです。
黒斑病は「二十世紀」や「南水」の種類に多く、葉や果実に黒い斑点のような症状が見られ、つぎつぎと伝染していきます。
黒星病は、葉や果実、りん片などに黒いスス状のものが現れ、果実が落ちたり割れたりなどの被害が生じてしまう病気です。
黄色の斑点ができる赤星病は、近くにビャクシン類の樹木がある場合に発生しやすくなることから、ビャクシン類の近くに植えたり置いたりしないことが重要なポイントとなります。
黒星病や赤星病などは、薬剤を使った防除が効果的なので、定期的に散布しおくといいでしょう。
さらに、ナシはアブラムシやカイガラムシなど、害虫の被害にあうケースも少なくありません。
見つけ次第すぐに駆除することが大切ですが、あらかじめ薬剤を散布しておくのも効果的。
3月上旬には薬剤を散布しておくことをおすすめします。
また、果実が大きくなる6月ごろには、袋をかけて害虫による食害を防ぐことも大切です。
日当たり
ナシは日当たりがよく風通しのいい場所を好みます。
植え付け場所、鉢植えを置く場所は、これらの条件を満たした環境で育てるといいでしょう。
水やり
庭植えでは、基本的に水やりの必要はありません。
ただし、降雨がない日が続き、乾燥が気になるようであれば、株周りに水をたっぷり与えましょう。
鉢植え栽培では、土の表面が白く乾いたタイミングで水やりをします。
このとき、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えることがポイントです。
収穫期を迎えるころには水やりを控えめにして、果実の甘みを高めましょう。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。





