サンザシの育て方・特徴

サンザシの育て方と特徴

中国原産の「サンザシ(山査子)」は、5月に咲く白い花と、秋になる真っ赤な果実が特徴の落葉低木です。果実は古くから生薬・漢方に利用され、今では栄養素の豊富な果実としても注目を集めています。



基本データ

分類
庭木-低木・下草
学名
Crataegus cuneata
科・属名
バラ科・サンザシ属
別名
メイフラワー、メイブロッサム
草丈・樹高
2m
栽培可能地域
北海道以南
花色
白色
開花期
5月〜6月
結実期
9月〜10月
耐暑性 / 耐寒性
強い/強い

白花と真っ赤な果実が美しい、落葉低木のサンザシ

サンザシとは?

サンザシ
サンザシとは、中国が原産地の落葉低木であり、世界では約200種類ものサンザシが分布しています。日本には江戸時代に渡来し、当時は薬用植物として栽培されていました。
名前の由来は、中国での漢名「山査子」を音読みしたものをそのまま和名としており、別名の「メイフラワー」「メイブロッサム」は5月に花が咲くことにちなんでこう呼ばれているんだとか。
また、サンザシは暑さ、寒さに強い性質を持つため、育て方が簡単でガーデニング初心者にもおすすめ。
庭木としてはもちろんのこと、花木や生垣、盆栽にも人気があり、果実は生薬、ドライフルーツなど、幅広い用途で活用できます。

サンザシの特徴

サンザシ
バラ科のサンザシは樹高が2mほどの低木で、枝にはトゲがあるのが特徴です。
春に切れ込みのある新緑が芽吹き、4月〜5月には開花期を迎え、5枚の花弁を持つ小さな白花が咲きます。花からは甘い香りも楽しめるでしょう。
花後は次第に実が赤く熟していき、秋の9月ごろには赤い果実でいっぱいになります。この時期には紅葉も見られ、冬までには全ての葉が落葉していくでしょう。

サンザシの花言葉は「希望」「慎重」

サンザシ
サンザシの花言葉である「希望」は、5月に開花を迎えることにちなんでつけられたと言われています。
5月は1年の中で、もっとも爽やかで気温が穏やか、そしてさまざまな花が咲き乱れる輝かしい季節です。そんな時に花開くサンザシの木。「希望」という花言葉もしっくりと馴染みますね。
また、サンザシにはトゲがあることが由来となり、「慎重」の花言葉がつけられたそうです。

セイヨウサンザシとの違い

サンザシ(セイヨウサンザシ)
サンザシの種類の中でもよく知られているセイヨウサンザシ。ヨーロッパ原産の落葉樹で、現地では街路樹や生垣など、さまざまな場所で植えられているとてもポピュラーな樹木です。
サンザシとの違いは、果実の大きさがセイヨウサンザシの方が小さく、成長スピードも遅め。また、セイヨウサンザシの品種によっては、薄紅色の花が咲くタイプも存在します。

栄養素が豊富なサンザシの木。さまざまな楽しみ方があるのも魅力

サンザシの果実はお菓子や美容フルーツに

サンザシ
サンザシの果実は古くから生薬・漢方に用いられ、血圧や消化器などの症状に利用されてきました。しかし、サンザシの果実にはさらにたくさんの栄養素が含まれていることが判明し、今では甘酸っぱくて美味しい美容フルーツとしても注目されているのです。
そんなサンザシの果実。中国では「山査子餅」と呼ばれるお菓子も親しまれ、健康食品としても人気があります。
山査子餅のお菓子は日本でも購入できるので、興味のある人はぜひ中華街やネットショップなどをチェックしてみましょう。

サンザシの栄養素と効果・効能

サンザシ
サンザシの栄養素には、食物繊維をはじめ、カルシウム、マグネシウム、ビタミン、ミネラル、カテキンなど、豊富な栄養素がバランスよく含まれています。
これらの栄養素には女性に嬉しい効能があり、コレステロールを抑え、脂肪燃焼、便秘解消、アンチエイジング、更年期障害の緩和など、さまざまな効果が期待できるそう。
また、厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』のHPによると、副作用については、今のところ重篤な問題は報告されていないとのことですが、セイヨウサンザシは一部の心疾患薬と相互作用を引き起こすリスクに加え、めまい、吐き気、消化器症状などの副作用が出る可能性もあるとのこと。
万一を考え、薬を飲んでいる人や心疾患がある人はサンザシを食べるのは避けた方がいいでしょう。

サンザシのおすすめの食べ方&活用方法

サンザシ
サンザシは生食よりも、ドライフルーツにしたり加工したりして食べる方が美味しく食べられます。
生の果実を使うなら、ジャムやジュース、果実酒にアレンジするのがおすすめです。
ドライフルーツはそのまま食べるのもよし、お茶にするのもよし。いろいろな食べ方・活用方法で、サンザシの果実を美味しく味わってみてくださいね。

果実だけじゃない!サンザシの魅力と楽しみ方

サンザシ
1年を通してさまざまな変化を見せるサンザシは、果実以外にも新緑、花、紅葉、冬の落葉中の姿といった具合に、季節によって違った一面を鑑賞できるのが魅力です。
盆栽でも人気が高く、また野鳥を庭に呼び込んだり、家の窓から季節の移り変わりを鑑賞したりと、サンザシの木は楽しみ方もさまざま。ぜひ庭木として迎え入れてみてはいかがでしょうか?

サンザシの育て方・管理方法

植え付け・植え替え

サンザシの植え付け・植え替えに適した時期は、落葉中の10月〜3月の間です。しかし、厳寒期の植え付け・植え替えは苗木に負担をかけてしまうこともあるため、12月〜2月の時期は避けた方がいいでしょう。
庭植えする場合は、堆肥、腐葉土などをすき込んでから植え付けてください。
鉢植えの場合は市販の培養土で問題なく育ちます。
植え替えは鉢植え栽培で必要になるので、1〜2年に1度は一回り大きな鉢に植え替えると、根詰まりを予防でき、生育も良くなるでしょう。

肥料

肥料は2月〜3月の時期を目安に寒肥を与えます。
寒肥に用いる肥料は、油かす、骨粉などの有機質肥料、または緩効性化成肥料を与えてください。

剪定

間引き剪定や徒長枝の剪定はいつでもできますが、樹形を整えたい場合は花が咲き終わった直後の6月がおすすめです。
この時期を逃すとせっかくついた花芽を切り落とすことになるので、なるべく6月中に剪定を済ませるか、軽い剪定にとどめておくといいでしょう。
ただ、サンザシは生育するスピードが緩やかなので、こまめに剪定をする必要はありません。

病害虫

サンザシのかかりやすい病気には、うどんこ病、斑点病などがあります。異変が見られた葉はすぐに取り除き、薬剤を散布して対処しましょう。
害虫はアブラムシ、カイガラムシ、テッポウムシなどの被害に合うケースがあります。アブラムシやカイガラムシは見つけ次第駆除しますが、テッポウムシについては幹の中に侵入してしまうため、発見が遅くなりがちです。幹に穴があったり、株元に木くずが落ちたりしている場合はテッポウムシが疑われるので、専用の殺虫剤を使って駆除し、穴はしっかり塞いでください。

日当たり

サンザシは日当たりがいい場所を好みます。しかし、夏の強い日差しによって葉焼けすることもあるので、夏の日差しを避けられる場所がベストです。
鉢植え栽培なら基本的には日当たりのいい場所で育て、夏場は半日陰に移動するなど、気温や天候に合わせて置き場所を変えるといいでしょう。

水やり

苗木を植え付けたばかりの時期は、土の表面が乾いたら水やりを行います。しっかりと根付けば水やりは降雨だけで問題ありませんが、夏場は乾燥しやすいので、朝か夕方の涼しい時間帯に水やりをしましょう。
鉢植え栽培は土の表面が乾いたタイミングで水やりをします。



氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 くずうまま

ハンギングバスケットマスターの資格を保持。日々ガーデニングや寄せ植え、ハンギング作りなどにいそしむ。草花を愛でるのが至福のひととき。

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