コナラの育て方・特徴

コナラの育て方と特徴

コナラは、クヌギと共に雑木林を代表する落葉樹の一つ。
北海道の1部と沖縄を除く日本各地に自生しており、古くから薪や家具材など様々な用途で利用されてきた。
現在は雑木ガーデンにマッチする庭木として一般家庭でもその姿が見られる。



基本データ

分類
庭木-落葉
学名
Quercus serrata
科・属名
ブナ科 コナラ属
別名
イシナラ、ナラ、シダミ、ホウソ、ハハソ、イシナラ、ナラ、シダミ、ホウソ、ハハソ、イシナラ、ナラ、シダミ、ホウソ、ハハソ、イシナラ、ナラ、シダミ、ホウソ、ハハソ
草丈・樹高
10~20m
栽培可能地域
全国
花色
黄緑
開花期
6月から7月にかけて
結実期
8月から9月にかけて
耐暑性 / 耐寒性
耐暑性:高い 耐寒性:高い

コナラの品種

  • シダレコナラ
  • テリハコナラ
  • アオナラ
  • ハゴロモアオナラ
  • タレハハゴロモアオナラ

などの種類があります。また、ミズナラとの雑種「ミズコナラ」のように他の種との雑種もいくつか存在しています。
なかでも「テリハコナラ」は葉に光沢があり、紅葉の時期には明るい赤味がかった黄葉となり、葉が茶色に変化する通常のコナラと比較すると、大変美しい紅葉を見せてくれます。

コナラとは

コナラは雑木林を代表する樹木

コナラには幹を根元から切っても、そこから芽が出て幹を伸ばしていく性質があります。
この新しい芽を「萌芽」と呼び、この性質を利用して15~30年の周期で伐採し、萌芽を育て木を若返らせていくことを「萌芽更新」と呼びます。
伐採した幹と枝は薪や炭の原料となり、昔から日本人の生活に多く利用されてきました。

つまり、人の手を介してコナラの雑木林は定期的に再生されてきたのです。
これが長い間繰り返され、人里の周辺にはコナラの雑木林が形成されていきました。
こうして萌芽能力の強いコナラは、雑木林を代表する樹木となったのです。

日本に馴染みのある落葉樹

コナラは、北海道の北部と沖縄を除いた日本全国に自生する落葉樹です。
どんぐりが実る木として知られており、クヌギとあわせて雑木林に多く採用されています。
日本ではシイタケのホダ木や薪、家具材など様々な用途での利用価値があり、生活に馴染み深い樹木となっています。

生長が早く、大きくなる

自然での樹高は10~20m程度と高く、庭に植える場合でも10mを超えることがあります。
また、環境によっては1年間に1mも生長するほど生長スピードが早く、伐採して切り株だけになっても再生する生命力が特徴的です。
コナラが薪として利用されていたのは、この生命力の高さや火力の強さ、火持ちの良さが関係しています。
燃料が石油に代わり、薪を使用することが減ったため、一度は数が減りました。
しかし雑木ガーデンが流行したことで、その美しい姿が評価され、現在は観賞用の庭木として一般家庭の庭でも見られるようになっています。

コナラの花は株で異なる

コナラ 花
コナラは、雌雄異花と呼ばれる特徴を持つ樹木です。
雌雄異花は1つの株に対して、雄花と雌花が別々に咲く植物を指します。雄花は紐状の長く連なった房のような花、雌花は新枝の丈夫に咲く小さな花です。

昆虫が集まる木

クワガタやカブトムシが好んで集まる木として知られているコナラ。
もちろん昆虫たちのお目当ては樹液です。
コナラの樹液は甘酸っぱい独特の香りがあり、それに惹かれて虫が集まってきます。

そもそも樹液とは、木が虫に食われて穴ができたり傷ついた時それを修復するための液体です。
人間に例えるなら血小板のようなものですね。
樹液を得るために昆虫は木をかじって傷をつけているわけですが、コナラは樹皮が薄く樹液が溢れやすい特徴を持っています。
昼は様々な蝶の仲間、カナブン、カミキリムシ、夜はクワガタやカブトムシ、ガなど様々な昆虫が集まってきます。

木材(薪や木炭)としてのコナラ

コナラは火持ちが良く燃焼性も高いため、薪や炭の原料として今も人気の広葉樹です。
同じ熱量を得るためにスギの薪を使うとコナラの2倍近くの量が必要となるそうです。
一度火がつけば長く燃え続け火力も衰えません。

また、煙も少なく室内での利用にも適している上、燃え尽きる最後は炭火のようになり部屋を暖め続け、料理の調理にも使えるというわけです。
火持ちの良さは薪の消費量にも繋がりストックが少なくて良いという利点もあります。
炭にしても、火付きがよく安価で扱いやすく、昔から重宝されていました。
コナラの木炭の中で割れ目が放射状にきれいに入ると、その割れ目が菊の花のように見えることから「菊炭」と呼ばれています。
煙も少なく火持ちするため、お茶会などにもよく使用される最高級の炭と言われています。

コナラとミズナラ・クヌギとの見分け方

ミズナラとクヌギは、コナラ同様どんぐりが実る樹木です。
混同されることが多くありますが、ここではそれぞれの見分け方を解説します。

ミズナラとの見分け方

ミズナラ
ミズナラはコナラよりも葉が大きく、葉のギザギザがよりはっきりしています。
また、葉柄が短いのが特徴です。葉が大きいことから、ミズナラは別名オオナラ(大楢)とも呼ばれます。
コナラを漢字で書くと、小楢と書かれるのも納得です。
ドングリで見分ける場合は、帽子(殻斗)の部分に注目してみましょう。
ミズナラの帽子は深く、沢山の突起が付いていますが、コナラの帽子はすぐに取れそうなほど浅く突起もありません。

クヌギとの見分け方

クヌギ
クヌギの場合は、葉の大きさが明らかに異なります。
コナラの葉の2倍ほどの大きさが、クヌギです。
ドングリはコナラのものよりも丸いだるま型で、帽子(殻斗)はもじゃもじゃとした毛のような突起が反り返っています。

コナラの楽しみ方

コナラといえばどんぐり。
子どもたちにとって楽しいオモチャにもなり、工作にも使えるアイテムです。
他にもクリスマスリースの飾りや、インテリア小物としても使えますが「どんぐりの木」だけではない、コナラの様々な楽しみ方をご紹介しましょう。

雑木ガーデンやシンボルツリーとして

コナラは、雑木ガーデンやシンボルツリーにおすすめできる庭木です。大きく生長するため場所を選ぶ点はデメリットですが、その存在感は他の樹木では中々味わうことはできません。
どんぐりや紅葉など、1年間の中で様々な表情を見せてくれますし、コナラには野鳥や虫がよく集まります。育てているうちに沢山の生き物の姿を見ることができるのもコナラの魅力です。
庭木の代表種まとめ!どれにしようか迷っている方必見です

カブトムシが集まるコナラ

コナラは、カブトムシやクワガタが好む木の1つです。
樹皮に傷がつくと、コナラは樹液を出すようになります。
この樹液は木や時期によって成分が異なりますが、カブトムシやクワガタはコナラやクヌギの樹液を好んで集まります。
周辺の環境にもよりますが、自宅の庭にカブトムシが訪れることもあるかもしれません。

コナラは盆栽にもなる

コナラは盆栽としても楽しむことができる樹木です。
小さな盆栽にする場合は難しいですが、大きく育てれば盆栽でもどんぐりが実ることがあります。
既にシンボルツリーとしてコナラを植えている場合は、どんぐりから盆栽として育てるのも面白いかもしれません。
時間はかかりますが、鉢にどんぐりを植えておくと来春に発芽します。

剪定・落ち葉の処理に注意が必要

コナラは生長スピードが早いため、剪定には非常に手間がかかります。
樹高が低い間は特に問題ありませんが、4mを超えるほどに生長すると脚立が届かなくなってしまうため、個人での剪定が難しくなってしまいます。
剪定をせずに放置してしまうと、コナラはどんどん大きく生長し、完全に個人で管理できない高さになるため注意しましょう。
また、コナラは落葉樹です。剪定ほどではありませんが、落ち葉の処理にも気を使う必要があります。
庭木におすすめの落葉樹をまとめてご紹介!

コナラのよくある質問

コナラの木の特徴は?

これまでにご紹介してきたように、コナラは里山の雑木林の代表格の木として日本人に馴染み深い落葉高木です。
どんぐりの実が成り、樹皮から樹液があふれ多くの昆虫がやってくる木として知られています。
では木材としてのコナラの木はどうでしょうか。

コナラは硬くて重い木材で、その重厚感をいかして家具などに用いられることがあります。
コナラは製材すると虎の縞模様のような「虎斑(とらふ)」が現れます。
見る角度によってキラキラと波打つように銀色に見えることから「銀杢(ぎんもく)」とも呼ばれることもあります。
ただ、木材としては反りやすくあまり建材としては利用されてきませんでした。
やはり最大の特徴はその成長の速さと萌芽能力の高さで、薪や炭に使うために切り落としても新たに若返っていくので、再生エネルギーとして多く利用されてきたのです。

コナラの葉の特徴は?

葉の長さは5~15cm、幅 4~65cm、細長い卵型でふちに大きなギザギザとした鋸歯があります。
新芽は薄い緑色で徐々に濃い緑色へと変化します。
秋には、青々としたどんぐりの実も茶色へと変わり、葉も同様に茶色になり落葉します。

コナラはどこに生育しますか?

コナラは北海道の一部と沖縄を除いて全国に自生しています。
標高1000メートルまでの低山に多く見られます。

コナラを育てるデメリットは?

コナラをお庭で育てる上での最大のデメリットはその成長速度です。
もともとコナラは自然の状態では15~20メートルに育つ高木で、年に1メートル近く育つ場合もあり、剪定が大変です。
また、落葉樹ですから、落ち葉の片づけも必要となってきます。

コナラを植える場所はどこがいいですか?

日当たりの良い、水はけの良い場所に植えます。
また、すぐに樹高が高くなるため、剪定しやすい場所に植えることをお勧めします。
お隣に葉が落ちてしまうことなども考えると、隣家との境界線近くなどは避けましょう。

コナラの育て方・管理方法

植え付け・植え替え

植え付けは11月から3月の落葉期が適しています。地植えにする場合は保水力と水はけの良さを兼ね備えた土壌が良く、日当たりの良い場所が最適です。
ただしコナラは10mを超える高さに生長するため、予めスペースに余裕があるかを必ず確認しておきましょう。
植え付けの際は根鉢より2回りほど大きい穴を掘り、腐葉土と元肥を混ぜ込んでから植え付けます。
植え替えを行う場合は、2月から3月が適期です。
コナラは根詰まりを起こすことが多いため、鉢植えの場合は1年に1度植え替えを行うのが良いでしょう。長く太い根がある場合は、ある程度の長さに切り戻してから同じサイズ台の鉢に植えます。

肥料

コナラは2月頃に油粕のような有機肥料、もしくは緩行化成肥料を寒肥として与えます。
根の先端から吸収できるよう、幹からは少し離して施肥するようにしましょう。

剪定

剪定を行う時期は、葉が落ちてから2月までが適しています。
枝が伸びすぎている部分や、枝が混み合って風通しが悪くなっている場所を中心に剪定を行いましょう。風通しが悪いと病害虫が発生する原因になります。
樹高が高い場合は作業に危険が伴うため、高所での剪定に慣れていない方は業者に依頼するのがおすすめです。

詳しくは、コナラ(小楢)の木の管理方法を確認しましょう!

病害虫

コナラはナラ枯れと呼ばれるカビが原因の病気になることがあります。症状が酷いと枯れてしまうので注意が必要です。
カビを媒介するのは、カシノナガキクイムシという害虫です。十分に害虫対策を行いましょう。この害虫は幹から入り込んで食害を起こすこともあります。薬剤を定期的に散布しておくことをおすすめします。

植物の害虫や病気で困っている時!に見る|【害虫まとめ】も見てみましょう。

ナラ枯れ


前述のようにナラ枯れとは害虫を介して菌が運ばれるナラ類やシイ・カシ類などの伝染病で、集団で枯れる被害が全国的に発生しています。
カシノナガキクイムシは体長4.5~5mm程度の小さな虫で、メスの背中には菌を貯蔵しながら運ぶ器官があり、6月上旬頃からナラ類の幹に入り込んで樹幹内で卵を産みます。
この時点で菌の胞子が木の中に運び込まれ、7月~8月頃に急に葉がしおれて茶色に変色し枯れてしまいます。
これは感染した部分から目詰まりをおこし、通水障害が起きてしまうからです。
この枯れた木の中で成長し翌年の6月に飛び立つ際に、菌も一緒に新しい健康な木へと持ち出されてしまいます。

日当たり

根付くまでは、1日2回程度水やりを行いましょう。
冬場であれば土が乾燥しづらくなるため、必ず2回与える必要はありません。
根付いてしまえば、基本的に降雨のみで育ちます。

水やり

根付くまでは、1日2回程度水やりを行いましょう。
冬場であれば土が乾燥しづらくなるため、必ず2回与える必要はありません。
根付いてしまえば、基本的に降雨のみで育ちます。



氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 Matsuri.

熊本県の海と山に囲まれた田舎で育ち、幼少期からガーデニング好きの祖母を手伝う。高校時代には、音楽を中心に様々な芸術分野に興味を持つようになり、同時に自然の持つ面白さや奥深さに気づく。現在はライターとして活動し、多趣味を活かして幅広いジャンルで執筆。他にもカメラやデザインについて勉強中。自然に囲まれて暮らすのが1つの目標。

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