カナダ・アメリカ原産の落葉樹。サクラと同じバラ科で、春に花を咲かせ、食用になる実をつける。アメリカザイフリボクという名前もあるが、6月に実が熟すことからつけられたジューンベリーの名前の方が通りが良い。
基本データ
- 分類
- 庭木-落葉
- 学名
- Amelanchier canadensis (L.) Medik
- 科・属名
- バラ科ザイフリボク属
- 別名
- アメリカザイフリボク
見て楽しい、食べておいしい、花木であり果樹でもある素敵な木
ジューンベリーとは
ジューンベリーはカナダ~アメリカを原産地とするのバラ科の落葉樹です。サクラが咲き終わるころ、芽吹きの前か同時に白い花を咲かせ、6月頃実をつけます。日本にもザイフリボクという同じ仲間の木が自生しますが、そちらに比べて花びらが広く、花の咲くタイミングや実の熟す時期などが違うことで見分けられます。育て方がそう難しくないためか、公園樹や庭木などでよく植えられ、園芸品種も多いです。
おいしい実やきれいな花がつく
ジューンベリーの魅力はやはり食べられる実です。甘酸っぱい実がとてもおいしく、ジャムとして使ったり、ケーキやタルトに入れて使ったりします。実が熟すのは花が終わってすぐの6月頃で、ジューンベリーの名前もそこからきているといわれています。
また、サクラと同じバラ科なこともあって花がきれいなのも魅力的です。葉っぱが芽吹く頃に花を咲かせるので、木全体が白く染まります。
品種がたくさん
花木であり果樹でもあるので、たくさんの品種が作り出されています。代表的なのは実が他のものと比べて1.5~2倍くらいの大きさになる「バレリーナ」、花の色がピンクになる「ロビンヒル」などがあります。
春から夏を彩る楽しみ方いっぱいの木
花や実を楽しむ
ジューンベリーを植えたら、シンプルに花や実を楽しむことができます。花はサクラが終わった晩春頃に咲くので、サクラと一緒に植えておけば春の間中ずっと花を楽しむことができます。ちょっとサクラより花びらが細い感じで、独特な爽やかさというか雰囲気があり美しいです。実もかわいらしく、熟していく様子は見ているだけでウキウキしてきます。
実を料理に使う
植えた者だけの特権として、実を存分に料理に使ってみるのが良いでしょう。甘酸っぱい実なので、基本的にはデザートに使うのがおすすめです。品種がたくさんあるので、大きな実がなる「バレリーナ」を中心に、いろいろ植えて食べ比べてみるのも楽しいです。なんにせよ、ほとんどスーパーなどには出回らないので自分達だけが楽しめる実というのがたまりませんね。
他のバラ科の木と一緒に植える
ジューンベリー以外にも、バラ科で花や実を楽しむための庭木がたくさんあります。どれも多くが春ごろに白、ピンク、赤などの花を咲かせるので、統一感を持たせつつ春に花でいっぱいになる素敵な庭になることでしょう。代表的なものとしてはサクラ、ウメ、モモ、ボケ、カリンなどがあります。ジューンベリー自体にもいろいろな品種があるので、植え比べてみても楽しいですね。ただその場合、病気が発生するとそれぞれの木にも移る可能性があるので、そこだけ気を配るようにしましょう。
ジューンベリーの育て方と特徴の詳細情報
- 草丈・樹高
- 6~10m
- 栽培可能地域
- 全国
- 花色
- 白
- 開花期
- 4~5月
- 結実期
- 6月
- 耐暑性 / 耐寒性
- どちらも普通
ジューンベリーの育て方と特徴の育て方・管理方法
- 植え付け・植え替え
- 水はけがよく水もちが良い、西日の当たらない場所に植えましょう。元肥として堆肥などの肥料を与えるとよいです。植え付け・植え替え作業は11月~3月の落葉期がおすすめ。
- 肥料
- 植え付け時に堆肥などの有機質肥料を与えるほか、11月~2月頃の落葉期に緩効性の化成肥料を与えるのがおすすめです。
- 剪定
- 剪定作業は11月~2月頃の落葉期か、花や実が終わった6~7月頃に行います。樹高があまり高くなる木ではありませんが、実を収穫するなら管理しやすいように樹高は低めに抑えましょう。樹形をきれいに整え、なおかつ実つきをよくするためには、枝を間引いて風通しを良くし、徒長枝を切って伸びすぎないようにするのが良いです。
- 病害虫
- 病気として目立つものはそこまでありませんが、「ごま色斑点病」には注意が必要です。バラ科樹木がかかる病気で、葉っぱに赤黒い斑点ができます。木を枯らすほどのものではありませんが、たくさん発生すると流石に少し樹勢が弱くなるのと、見た目の問題が発生します。発生した場合、斑点の出ている葉っぱを取って焼却処分し、必要であれば発生を抑えるための薬剤を散布します。生垣にカナメモチがよく使われる地域などでは大発生していることがあるので、周囲の庭木を注意してみるようにしましょう。
害虫は、「モンクロシャチホコ」という毛虫の被害が多いです。こちらも木を枯らすほどのものではありませんが、葉っぱをたくさん食べてしまいます。また、毒はありませんが見た目的に完全に毛虫なので、不快に思う人も多いでしょう。直接取って駆除するか、薬剤で対処すると良いです。 - 日当たり
- 植え付け後以外は特に気を使う必要はありませんが、湿った土を好む木です。夏などに土があまりに乾燥する場合は水やりをすると良いでしょう。
- 水やり
- 植え付け後以外は特に気を使う必要はありませんが、湿った土を好む木です。夏などに土があまりに乾燥する場合は水やりをすると良いでしょう。
出典(引用元)
「樹木医必携」
村越邦弘監修
「庭に植えたい樹木図鑑」
佐藤勇武監修
「庭木・花木の手入れと剪定」
ブティック社
「増補改訂版 実用庭木図鑑」
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。