すももは、ご家庭の庭でも育てることのできる種類です。うまく育てれば、定期的においしい実を収穫して楽しむことができます。しかし、すももを庭で維持するためには、多くの場合剪定作業が必要です。庭で育てるすももの剪定作業のやり方やポイントについてご紹介します。

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目次

すももを剪定する目的とメリット

皿の上に置かれたすももの実

 基本的に、木の剪定は何かしらの目的をもって行います。樹形を美しく整えたり、大きさを抑えたり、枝の風通しを良くしたりといった目的が庭木では比較的多いです。
 すももを剪定する場合は、収穫量を増やす樹形づくりのためだったり、花芽をつける枝葉に光を当てるためだったりと、より多く収穫する目的で剪定されることが多いです。適切に剪定を行うことで、よりたくさんのすももを収穫することができます。

剪定が必要な理由

 すももをよりたくさん収穫することを目的とする場合、剪定は必要不可欠です。花芽をつける枝がたくさん出て、それがよく成長することで、収穫できる量が増えるためです。
 また、樹形を低く維持することで、収穫や剪定などの作業がやりやすくなるという利点もあります。樹形を美しく保つ、あるいは木を健康に保つ剪定のやり方とは少し考え方が異なるので注意しておきましょう。

剪定による収穫量の向上と樹形の整え方

 剪定により収穫量を向上させるためには、樹形を整えることが大切です。作業性を良くするために樹形を低く保ちながら、メインとなる枝をいくつか決め、それらに花芽のつく短い枝がたくさんつくように育てていきます。
 勢いよく上に伸びる徒長枝には基本的に花芽がつかず、樹高を高くしてしまう原因となるので、基本的に切るようにしましょう。
 そのようにして樹形をつくったら、花芽をつける短枝のつく枝を短く切り詰めることにより、たくさん収穫することができます。

すももの剪定の適切な時期

すももの花

 すももの剪定には、適切な時期があります。また、その時期も、目的によって異なります。
 適切な時期に適切な方法の剪定を行うことで、より良い効果を得ることができるというわけです。剪定方法ごとの適切な時期をご紹介します。

なぜ時期が重要なのか

 剪定の時期が重要な理由は、それぞれの剪定方法によって異なります。たとえば、すももを夏に剪定する場合は、それにより内側の枝に光が当たり、風が通るようになります。これを冬に行っても、すももの枝には内側も外側も葉がついていないので、あまり意味がありません。
 冬に枝を切り詰めると、花芽をつける短い枝がより成長して、よりたくさん収穫できるようになります。また、葉っぱが落ちているため切るべき枝が見えやすく、すもも自身が休眠期のため枝を多少切りつめても負担が比較的大きくありません。翌年の花芽もついていない初夏ごろに同じような剪定をしても、たいした効果は得られないでしょう。
 そのような感じで、より高い効果を得るためには剪定の目的や方法ごとに適切な時期を選ぶ必要があるということです。

最適な剪定時期

冬の木

 基本的には、すももの剪定は12月~2月ごろの、葉っぱが落ちてから春に花が咲く前までに行います。すももの休眠期であり、葉っぱが落ちていて枝が見やすく、花を咲かせる前のこの時期に剪定を行うのが最も大事です。この時期にメインの枝を短く切り詰めることが、よりたくさん収穫することに繋がります。
 また、夏に剪定を行う場合、7~8月ごろに行われることが多いです。この時期は、上に伸びる徒長枝を切って、樹高を低く維持するとともに、内側の花芽をつける短い枝に光を当て、風通しを良くします。勢いよく伸びる徒長枝には、基本的に花芽がつきません。そのため、花芽をつける短い枝にたくさん光を当てて、たくさん光合成してもらう必要があるのです。
 また、徒長枝を無くすために、4~5月に上に向かって伸びる新芽を手でちぎる作業を行うのもおすすめです。

すももの剪定の具体的な方法

すももの木

 すももの剪定を行うにあたり、どんなやり方で剪定すれば良いのかご紹介します。一般的な剪定のやり方は色々なところで紹介されていますが、すももの剪定を具体的にどうやれば良いのかはあまり紹介されておらず、不安ですよね。どのように剪定を行えば良いのか、チェックしておきましょう。

剪定の基本ルール

 剪定を行うにあたり、「なんのために行う剪定なのか」というのはハッキリさせておきましょう。樹形を整えるためなのか、大きさを調整するためなのか、風通しをよくするためなのかなど、目的によって剪定のやり方は変わってきます。
 また、剪定は木の光合成に使う枝葉を切り落とす以上、多かれ少なかれ木にダメージを与えるものです。人間が髪や爪を切ってサッパリするのとは少し感覚が異なります。少し剪定したくらいで木が弱ったり枯れたりするようなことは少ないですが、剪定は基本的に必要最小限にしなければいけません。
 剪定を行う際には、枝を枝分かれの付け根付近または枝の側面についている芽のすぐ上で切るようにしましょう。枝を付け根から少し残して切ると、そこが枯れ枝として残っていつまでも傷が塞がらず、病害虫の侵入口となってしまうためです。
 逆に幹と一緒に切ってしまうと、枝だけでなく幹も傷付けてしまい、病害虫が入りやすくなります。
 ただし、これらの考え方は樹形を美しく保ち、木を健康に育てるための剪定方法です。すももの収穫量を増やすためには、木への負担は考慮しつつも、バッサリと枝を切るようなことも大事です。

剪定して良い枝の見分け方

 冬に行う剪定の場合、基本的にメインとなる枝を短く切り詰めます。それらの枝についている短い枝に花が咲きます。また、切り詰めたメインとなる枝がその後衰退しないよう、それらの枝と競合しうる枝は切ってしまいます。
 夏に選定を行う場合は、基本的に春から夏に芽吹いて勢いよく上に伸びる徒長枝を切りましょう。これらの枝を切ることで、花芽のつく短い枝に光や風があたり、よく育ちます。
 また、強剪定をしすぎたり、窒素肥料を与えすぎたりすると、こうした徒長枝がよく出るようになります。
 すももの品種によっても枝の出方は若干異なるので、様子を見ながら適宜調整していくようにしましょう。

初心者でもわかる剪定手順

初心者

 剪定を行う際には、ある程度決まった手順があります。実際にすももの剪定を行うにあたって、どのような手順で剪定すれば良いのかご紹介します。
 まだ剪定に慣れないという場合は、この手順に則って剪定を行うのが良いでしょう。

1. 必要な道具を準備する

 まずは必要な道具を準備します。必要なものは、剪定バサミまたは木バサミ、軍手、高いところの枝を切るなら脚立や高枝切りバサミなどです。
 片付けのための熊手や手箕などもあると良いでしょう。必要に応じて、切口保護剤なども用意しておきます。

2. 剪定する枝を選ぶ

 道具が準備できたら、剪定したい枝を選んで切ります。まずは全体を見て、どのような形にするか考えます。その後、メインとなる枝いくつかを切り詰めます。
 その際に、外向きに芽がついている箇所のすぐ上で切ることで、外向きに枝が伸びて樹形が整いやすいです。
 その後、メインとなる枝と競合しそうな枝を選んで切ります。夏に剪定する場合は、基本的に上に勢いよく伸びる徒長枝を選んで切るようにしましょう。

3. 剪定後のケア(切り口保護剤など)

 剪定後は、切口に保護剤などを塗ります。殺菌剤の入っているものがおすすめです。これにより、病害虫の侵入から木を守ることができるだけでなく、製品によっては傷口を塞ぐことを促進する効果も期待できます。
 ただし、大人の腕くらいの太い枝を切る場合、切口保護剤の病害虫の侵入を防ぐ効果はほとんど期待できません。また、そうした太い枝を切ると木の健康にある程度影響するのは覚悟する必要があります。
 気休め程度に切口保護剤を塗っても良いですが、そもそも太い枝はなるべく切らないようにするのが良いでしょう。
 とはいえ、すももをたくさん収穫するためには強めの剪定が必要なので、多少病原菌が入るのは覚悟しなければいけません。
 幹は腐ってボロボロになるかもしれませんが、見た目が悪くても木自体は健康であることも多いです。木が元気で、引き続き収穫ができるのであれば良しと考えるのがおすすめです。

剪定に必要な道具とその使い方

剪定ばさみ

 剪定を行うには、いくつかの道具が必要になります。それらの道具はホームセンターなどで手に入るものばかりですが、様々なものが売られており、値段や性能もピンキリです。剪定に使う道具とその使い方のポイントをご紹介します。

おすすめの剪定ばさみとその他の道具

 剪定ばさみは、手に馴染むものを選ぶのが一番ですが、すももの剪定の場合、刃がまっすぐで短いものではなく、カーブしている刃のものを選ぶのがおすすめです。カーブしている刃のタイプの方が、太い枝を切りやすいためです。少なくともすももの剪定の場合は、木ばさみと呼ばれるタイプよりは、一般的な剪定ばさみを選んだ方が良いでしょう。
 すももの剪定ではある程度の太さの枝を切り詰める必要があるので、少ない力でより太い枝を切ることができるものがおすすめです。
 その他の道具としては軍手、切った枝を集める熊手や手箕、必要に応じて脚立や高枝切りばさみなどがあります。これらの道具はあまり安いものを選ばず、丈夫で扱いやすいものを選ぶようにしましょう。

安全に作業するためのポイント

 剪定に使う剪定ばさみは、切ろうと思えば人の指など簡単に切れてしまう危険な道具です。そのため、安全には最大限配慮する必要があります。面倒でも軍手は必ずつけましょう。誤って刃が手に当たった際などに守ることができます。
 また、太めの枝を切る際に、枝を曲げながら切るとよく切れますが、その際に、切った後枝が跳ね返って顔などに当たらないように気を付けましょう。作業箇所からは顔を離して作業した方が良いです。
 短く枝を切る場合も、切った枝が思わぬ方向に飛んでいく可能性があるので、周りに人やものが無いか注意しておきましょう。
 また、もし脚立や高枝切りばさみを使って作業する場合、可能であれば二人で作業するのがおすすめです。特に脚立は死亡事故も多い意外と危険な道具です。一人で作業を行う場合も、最上段には立たないなど最大限安全には配慮して行いましょう。

剪定を失敗しないための注意点

朽ちた木

 剪定を行うにあたって、なるべく失敗はしないようにしたいですよね。剪定は、失敗すると木が枯れてしまったり、弱ってしまったりする可能性があります。剪定を失敗しないための方法についてご紹介します。

よくある失敗例とその対策

 よくある失敗例としては、枝を切りすぎて弱らせてしまったり、花芽まですべて落としてしまったりするパターンです。切ることに夢中になって、たくさん枝を切ってしまうことによって起こります。
 対策としては、剪定を行う前にまず全体を見て、どの枝をどこまで切るのか最初に決めておくのが重要です。そうすることにより、切りすぎにブレーキをかけられます。
 また、ある程度剪定に慣れていれば、なんのために剪定するのかしっかり把握しておくことも対策の一つとなります。どのように剪定するのか把握しているのが前提にはなりますが、目的がはっきりしていれば「この枝はここまで切る必要は無いな」といったように、切りすぎる前に気づくことができます。

剪定後に枯らさないためのケア方法

 剪定後に、すももを弱らせたり枯らしたりしないための方法としては、いくつかの方法があります。
 考え方としては、木にこれ以上の負担をかけないということが第一です。
強すぎる光が当たっている場合は寒冷紗などで光を弱めることや、肥料の量を少なくするか与えないなどの方法が取れます。
 しかし、変に気を回してあれこれやるとかえって負担になる可能性があるので、基本的にはむやみに手をかけないことです。
 そもそも、剪定後に何かするよりはなるべく負担のかからない方法で剪定を行うのが一番です。基本的に枯れる心配のあるような剪定をしないということが大事で、剪定後にできることはあまりありません。
 切口に保護剤を塗るという方法もありますが、大きい切口には塗ってもあまり効果がないことと、その後の傷の塞がりを促進するというものなので、剪定によって弱った木を回復させるようなものではありません。

プロに剪定を依頼する場合のポイント

作業する植木職人

 すももの剪定を正しく行う自信がないという場合などは、プロの剪定業者に依頼するのも一つの手です。しかし、剪定作業の質はピンキリで、良くない業者を選んでしまうと、高いお金を払った結果すももが弱ったり樹形が崩れたりといったことになりかねません。
 また、どれくらい料金がかかるのかも抑えておきたいポイントですよね。すももの剪定を業者に依頼する場合のポイントや注意点などについてご紹介します。

業者選びの基準とチェックポイント

 剪定を行う業者を選ぶためには、いくつかチェックすべきポイントがあります。
 まずは実績があるかどうか。具体的な事例などの写真が会社のホームページに示してあると少し安心です。
 もう一つは、料金が安すぎないかどうか。後述する相場より著しく料金が安い場合や、速さ、安さばかり前面に押し出す業者は、作業の質が伴っていない可能性があります。
 もちろん、安くて質の良い作業を行う業者もいますが、そうした業者は個人で小規模にやっているような場合も多く、なかなか見つかりません。
 検索ですぐに出てくるようなところは、全てではないですがあまり良くない業者が紛れている可能性もあるので、しっかり精査するのが良いでしょう。
 また、本来最も良いのは信頼できる知り合いに紹介してもらうというものです。地域に根付いて仕事をしている、経験豊富で質も良いがあまり知る機会のない業者を紹介してもらえる可能性があります。

剪定費用の相場と料金プラン

 剪定費用は、業者や依頼内容により、「木一本いくら」もしくは「職人さん一人一日いくら」という料金体系になっていることが多いです。
 「木一本いくら」の料金体系の場合、大きさや難易度によって剪定費用は異なります。低木と呼べる小さいサイズなら一本1500~6000円程度、5mにも届くような少し大きい木であれば一本1~2万円になる場合もあります。
 すももの場合それ以上大きくなっているものは少ないかと思いますが、さらに大きい木だともっと高額です。
 また、「職人さん一人一日いくら」という料金体系の場合は、一人一日2~3万円くらいであることが多いです。作業量が少ないと、半日で計算してくれることもあります。
 これらの料金に、枝葉の処分費、高木ならクレーン車や高所作業者などの料金がプラスされ、それらの10~20%程度が諸経費としてプラスされた金額が最終的な料金となることが多いです。

どんな場合にプロの手を借りるべきか

 剪定業者に依頼する場合には、いくつかのパターンがあります。
 たとえば、剪定を正しく行う自信がないという場合。剪定を失敗したら木が弱ったり花が咲かなくなったりする可能性があります。それが怖いので、経験のあるプロの業者にお願いしてやってもらうというパターンです。
 もう一つが、時間がないなどの理由で剪定が行えない場合。剪定作業には、意外と多くの時間がかかります。大きな庭だったり木がたくさん植えてあったりすると尚更です。仕事や家事が忙しいと剪定作業をする時間すら取れない場合があります。
 また、脚立を使うなど作業に危険が伴うという理由で剪定ができない場合もあります。そうした理由で剪定作業自体が行えない場合も、プロにお願いしてしまうのが良いでしょう。
 一度プロの剪定作業を見ておきたいというパターンもあります。変に自己流で剪定して木を枯らしたり花芽を落としたりするよりは、まず一度プロのやり方を見せてもらって要領を掴むというものです。簡単な質問や相談なら、作業前後に答えてもらえる可能性もあります。
 他にも様々なパターンが考えられますが、金額に見合う価値を感じられるならお願いしてみるのが良いでしょう。

まとめ:すももの剪定で健康な樹木とおいしい実を育てよう

葉つきすもも

 すももの実をたくさん収穫したい場合、適切な時期に適切な方法で剪定を行うことが大事です。適切な剪定を行うことにより、よりたくさんの実を育てることができます。もし上手に剪定する自信が無い、もしくは剪定する時間が無いなどの場合は、プロの剪定業者に依頼してみるのもおすすめです。ぜひお気軽に相談してみてください。

草刈り・外構・木の手入れも、お庭のことなら何でも頼める庭師の全国チェーン「smileガーデン」を知っていますか?
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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 瀬尾一樹

樹木医です。木も草も大好きで、将来は自分だけの森を持ちたいと思っています。木の美しさや育てる楽しさだけでなく、生きものとしての生態的な面白さも伝えていきたいです!好きな木はケヤキです。

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