オーストラリア一帯を原産地とするユーカリは、ナチュラルな雰囲気の植物です。
今回は、ユーカリの剪定方法や剪定時期を紹介します。
あわせて、上手な育て方のポイントも解説していくので、もう一度おさらいしてみましょう。
目次
丸みのある葉や爽やかな香りなど、種類も豊富なユーカリ。
そのため、お庭のシンボルツリーとして植えている方も多いでしょう。
ところが、いざ植えてみたものの、ユーカリの成長スピードに驚かされているのではないでしょうか。
「いつの間にか、樹高が屋根にまで達していた!」
「ヒョロヒョロしていて、どこを剪定すればいいのかわからない」
思い描いていた理想のシンボルツリー像からかけ離れ、手に負えない存在になっていませんか?
ユーカリの剪定のコツを一度つかめば、理想の樹形に仕上がるはずですよ。
ぜひ、今回の記事を参考にしながら、無理のない範囲でユーカリーの剪定に挑戦してみてくださいね!
ユーカリの剪定方法と剪定時期
まずは、ユーカリの剪定方法と剪定時期からおさえましょう。基本をマスターすれば、毎年の剪定もスムーズに行えます。
ユーカリの剪定方法
生育旺盛なユーカリは、剪定しないままでいると、樹形が乱れて手に負えなくなってしまいます。そのため、成長をコントロールする意味でも剪定は欠かせません。
ユーカリの剪定方法はおもに2つあります。ひとつずつ、特徴を紹介しましょう。
①摘心 ②透かし剪定(間引き剪定) |
【①摘心】
摘心は、先端部分の新芽を剪定する方法です。ユーカリは、上に向かって勢いよく成長していくため、定期的に摘心を行い、樹高を調整しましょう。
枝の頂点を剪定されたユーカリは、やがて上に伸びることをストップします。その後、わき目を成長させることを優先し始めるのです。
縦ではなく、横にボリュームをもたせたいときに、摘心は最適な剪定方法です。摘心は葉の数を減らすことにもなるので、ユーカリ全体に養分が循環しやすくなります。養分をしっかりと吸収した葉は、大きく健康的な美しい葉になるメリットもあります。
摘心のメリット:ユーカリの樹高をコンパクトにできる
【②透かし剪定(間引き剪定)】
透かし剪定は間引き剪定ともいいます。成長して重なり合った枝と枝の間に、すき間を作るように切り落としていきます。透かし剪定を行うことで、風通しや日当たりが確保されるでしょう。
透かし剪定のメリットは、密集しあっていた枝を取り除き、ユーカリの内側部分にまで日光と風を届けられるところ。混み入った枝で蒸れたままの悪環境では、病害虫が発生しやすくなります。大切に育てているユーカリが枯れてしまわないように透かし剪定を行い、環境を整えてあげましょう。
なお、透かし剪定は、ユーカリの樹形を理想的な形にする剪定方法としてもおすすめです。どのような形にするのか先にイメージを決めて、剪定を行いましょう。
透かし剪定(間引き剪定)のメリット:ユーカリの樹形を整えられる
ユーカリの剪定ポイント
ユーカリの剪定のポイントは、目的に合わせて剪定方法を選ぶことです。ユーカリは丈夫で育てやすく、成長スピードが早い植物。あっという間に数メートルの樹高になってしまいます。
そのため、剪定時には切る場所に迷ってしまうもの。剪定前に目的を決めておくことで、切り方や切る場所が明確になります。
ここからは、おすすめの剪定方法と剪定箇所のポイントを目的別にまとめたので、ぜひチェックしてみましょう!
ユーカリの樹高を低くしたいなら「摘心」
「これ以上ユーカリを高くしたくない!」方におすすめなのが摘心です。成長点である先端部分の新芽を剪定し、成長を抑制する方法です。
ざっくりと先端部分といわれても、イメージがつかないかもしれませんね。枝の先端で双葉になっている、新緑の葉を切り落としましょう。
なお、ユーカリは深く根を張らない特徴があります。そのため、定期的に摘心を行わないまま放置していると、樹高が高くなりすぎてしまうでしょう。強風にあおられて、折れてしまうデメリットもあります。剪定でユーカリの樹高を調整しながら、手ごろな高さで育てるのがポイントです。
ユーカリの樹形を整えたいなら「透かし剪定(間引き剪定)」
「ユーカリの樹形を整えたい! 病害虫の発生を防ぎたい!」方におすすめなのが透かし剪定です。透かし剪定は、混雑した枝を間引きながら、風通しのよさと日光が当たる部分を作っていく方法です。
透かし剪定を行うときのポイントは、間引いてもいい枝を見きわめること。そして、葉や枝のつけ根から剪定することです。下記に、おもに剪定する枝の種類をリストアップしたので参考にしてみましょう。
枝の種類 | 特徴 | 剪定する理由 |
---|---|---|
徒長枝 | ひょろひょろと伸びてしまった枝 | 養分を無駄に消費するため |
枯れ枝 | 葉が落ちて枯れている枝 | 景観が悪く、病害虫の侵入口になりやすいため |
平行枝 | 隣接して平行に伸びている枝 | 樹形をすっきりさせるため |
交差枝 | 他の枝と交差している枝 | 枝同士が成長を妨げ、傷ついてしまうため |
逆さ枝 | 下方に向かって伸びている枝 | 樹形を乱すため |
上記で紹介した枝のほか、混みあっている枝や樹形バランスを崩している枝がある場合は、思い切って剪定してみましょう。
ユーカリの剪定時期
ユーカリの剪定時期は、春と秋の年2回です。春の剪定は、樹形を整えるために行い、秋の剪定は、夏までに伸びた枝や密集した枝を間引くように行いましょう。
なお、ユーカリの剪定を真夏と真冬に行うのは要注意です。気温が高すぎたり、低すぎたりする季節の剪定は、ユーカリのストレスとなるからです。大切に育てているユーカリが、枯れてしまうこともあるので避けましょう。
【ユーカリの剪定適期】
春(3~5月)摘心をしながら樹形を整える
秋(9~10月)夏に成長した枝や葉を切り落とし、風通しや日当たりをよくする
ユーカリの基本的な育て方とコツ
ユーカリは、オーストラリアなどの南半球が原産地。そのため、日本とは大きく環境が異なります。特徴的な美しい葉を楽しむために、育て方のコツを確認しておきましょう。
- 栽培環境
- 水やり
- 土
- 肥料
- 植えつけ・植え替え
栽培環境
ユーカリは、日当たりと風通しのよい場所で育てましょう。乾燥に強く、多湿に弱いため、半日以上は日光が当たる場所を好みます。植えつけ場所の日照時間は、必ずチェックしてくださいね。
また、地植えにするときには、強風が当たりにくい場所を選びましょう。ユーカリは根を深く張れない性質のため、急な突風で倒れてしまうこともあるからです。
また、地植えにした場合、生育旺盛なユーカリの成長はさらに加速していくでしょう。とくに、上に向かって伸びるため、成長後のイメージをして植えつけてください。外壁に近すぎる場所は、剪定時に苦労します。
スペースを確保できない人は、鉢植えにして管理してもよいかもしれませんね。
水やり
ユーカリの原産地は乾燥地帯のため、過湿が苦手な植物です。地植えにしたユーカリへの水やりは、自然のサイクル(雨)だけで充分です。ただし、真夏日や乾燥した日が続く場合、葉に元気がないときには水やりを行いましょう。
なんといっても、ユーカリの魅力は葉色。美しい葉が黄色に変色しているときには、水分が不足しているサインかもしれません。過湿にならないよう、適度に水やりをしながら様子を見守ってあげてくださいね。
鉢で管理している人は、表面の土が乾いていたら、たっぷりと水をあげましょう。鉢底から水分が染み出るくらいを目安に行います。鉢底の受け皿にたまった水分は、必ず捨てるように注意してくださいね。そのまま放置すると、蒸れて根腐れの原因になります。
水やりのタイミングと量は、季節によって変えるのがベスト。下記を目安にしてみてくださいね。
季節 | 水やりのタイミング | 水の量 |
---|---|---|
暑い季節 | 気温の高い日中の水やりは避け、早朝や夕方に行う | 多め(土が湿ったままにならない程度) |
寒い季節 | 日差しの暖かい日中に行う | 少なめ |
土
ユーカリは高温多湿を嫌います。そのため、水はけのよい土を選ぶことがポイント。排水性を高める赤玉土・小粒の軽石などを混ぜるのがおすすめです。
市販の草花用培養土を使用する際は、水はけのよいタイプを選んでくださいね。
肥料
丈夫で生育旺盛なユーカリは、あまり肥料をあたえなくてもよいでしょう。植えつけのときや成長が活発化する春先に、有機肥料または固形の緩効性肥料を施します。
間延びしてヒョロヒョロとした樹形になっているときは、養分が行きわたっていない可能性があります。摘心と追肥をしながら様子を見守りましょう。
植えつけ・植え替え
ユーカリの植えつけ・植え替えは、春または秋に行うのがおすすめです。極端に暑かったり、寒かったりする季節は、ユーカリに負担をかけてしまうからです。
鉢植えで管理する場合、根詰まりを起こしやすいので、1~2年に一度は植え替えを行います。一回り大きめの鉢へ植え替えてあげるとよいでしょう。
ユーカリが枯れた よくある失敗例とは
丈夫で育てやすいユーカリですが、お手入れ方法や剪定方法を間違えると失敗します。ユーカリを枯らしてしまう原因やありがちな失敗例は、下記を参考にしてみてください。
・細菌やウイルスが侵入した ・間延びして成長した ・折れてしまった |
細菌やウイルスが侵入した
ウイルスや細菌が侵入すると、ユーカリは枯れてしまいます。とくに気をつけたいのが、剪定時の道具。剪定バサミや枝切りバサミは、必ずアルコール消毒を行いましょう。消毒液がない場合は、炎であぶる手段も有効です。清潔な道具で剪定することを心がけてくださいね。
また、道具以外からの感染も考えられます。強剪定後に切り口がむき出しの状態では、その場所が侵入経路となってしまうことも。癒合剤をしっかりと塗って、病害虫からユーカリを守りましょう。癒合剤を塗っておくことで、ユーカリの養分が流失するのを防げます。
ユーカリの葉色が黄色く変色している場合は、病気の可能性もあるので早めの対策を施しましょう。
間延びして成長した
剪定しなかったり、剪定時期や方法を間違えたりすると、ユーカリはヒョロヒョロの樹形に成長します。不要な枝を剪定しないまま放置すると、養分を必要としている枝まで届きません。結果的に、細長く間延びした樹形になってしまいます。強風で枝が折れてしまわないように、支柱を立ててあげましょう。
ヒョロヒョロの樹形を防ぐには、剪定適期に摘心を行うことです。上に向かって成長する新芽を取り除き、わき目を育てることで、横のボリュームも増してバランスよくなるでしょう。さらに、追肥をして養分を蓄えさせると、元気に成長してくれます。
折れてしまった
ユーカリは根を深く張らない植物です。そのため、樹高を高くすると強風にあおられて枝が折れやすくなります。また、剪定を行わないままでいると、枝や葉が密集して重みも増していく一方です。
枝が折れるリスクのほか、根が切れたり、浮いたりする原因になるので、定期的な剪定は欠かさず行ってくださいね。
ユーカリの剪定費用相場
ユーカリが大きくなりすぎてお困りの方は、専門業者に依頼することを検討してみましょう。とくに、樹高が高くなりすぎた場合、自分で剪定するのは難しいかもしれません。
専門業者に剪定を依頼する場合、ユーカリの樹高が高いほど費用もアップします。高さによって剪定の難易度も上がり、専門業者の技術と安全対策が必要になるからです。費用相場は下記を参考にしてみてくださいね。
木の高さ | 費用 |
---|---|
1~3m前後 | 5,000円程度 |
3~5m前後 | 8,000~10,000程度 |
ユーカリの剪定業者の選び方
専門業者に初めて剪定を依頼するときには、どこを選べばよいのか迷いますよね。ここからは、専門業者を選ぶときのコツを紹介します。
信頼できる業者を選ぶ
剪定を依頼する前に、信頼できる業者か必ずチェックしましょう。信頼できる業者の特徴は「資格保有・実績・保険加入」などからわかります。
また、剪定に関する専門知識や、安全な作業のための装備が整っている業者も安心感があります。公式ホームページ・電話・メールなどからしっかりと確認し、ユーカリの剪定を安心してお任せできる業者を探してくださいね。
見積もり依頼時に注意する
見積もりを依頼する際に大切なのは、剪定の範囲や具体的な作業内容を詳しく伝えることです。曖昧なまま進めてしまうと、終了後に思わぬ追加料金が発生することも。
作業前に、費用だけでなく剪定後の仕上がりや処理方法についても確認しておくと、後々のトラブルを防げるでしょう。
口コミやレビューをチェックする
実際に業者を利用した方の口コミやレビューは信頼度が高く、とても参考になります。同じ地域内で、剪定依頼した方の口コミを探してみましょう。悪い口コミが目立つ場合は、他の業者を検討した方がよいかもしれませんね。
ユーカリの剪定費用を抑えるコツ
「専門業者に依頼したいけれど、費用を抑えたい!」と考えている方は、以下の2つのポイントをチェックしておきましょう。
剪定してもらう範囲を決めておく
どの部分を剪定して欲しいのか、依頼前に決めておきましょう。曖昧に伝えてしまうと、必要のない部分まで剪定されてしまうかもしれません。費用がかさんでしまうほか、樹形バランスもイメージからかけ離れてしまいます。
無駄な費用を抑えたい方は、手の届く範囲の小さな枝は自分で手入れしておくとよいでしょう。
複数の業者から見積もりをとる
複数の業者から見積もりをとると、適正な価格かどうか判断しやすくなります。剪定は、業者によって料金が異なるため、比較してみることも大切。いざ、見積もりをとってみると、同じ作業内容でも大幅に価格帯が違うことに気づけるはずです。
見積もりを取る際は、具体的な作業内容や追加料金の有無を確認しておきましょう。
まとめ
ユーカリを植えたあと、想像以上の成長スピードに驚かされているかもしれません。勢いのあるユーカリの樹形を理想に近づけるコツは、定期的な剪定が必須となります。目的に合わせて「摘心」「透かし剪定」の方法を使いわけることも大切。適切な時期にベストの剪定を行えば、ユーカリの樹形はイメージ通りになるでしょう。さらに、生育環境が改善することで病害虫も予防できます。
しかしながら、樹高が高く枝が密集したユーカリの剪定は、思いのほか難易度が上がるものです。高所での剪定作業は、慣れていない方にとってはひと苦労。思わぬアクシデントや、ケガにつながるかもしれません。
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愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。
植物・自然Webライター・kindle作家 「自然を感じる暮らしがしたい!」からスタートした庭づくり。気づけば小さな森のような庭になっていた。「自然の豊かさ=心の豊かさ」を体感し、シンプルで大切な気づきをkindle本で出版する日々。自然から得られる視点や生きる勇気を届けたいと思っている。