クチナシがある程度成長してきた場合、定期的な剪定が必要になります。
とはいえ、剪定方法を間違えてしまうと花数が少なくなったり枯れたりするリスクも。
では、クチナシを正しく剪定するにはどうすればいいのでしょうか。
こちらの記事では、クチナシの剪定方法を徹底解説。
各種剪定方法である強剪定や弱剪定、切り返し剪定などのやり方も詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
⇩自分でクチナシの剪定をするのが不安なときは⇩
目次
クチナシを上手に剪定するコツ
クチナシの剪定は、長く楽しむ上で欠かせない作業の1つです。
コツさえ掴めば初心者でも失敗なく、簡単に剪定することが可能になります。
そこで大切になってくるのが、剪定時期の見極め方、目的に合う剪定方法、花芽の見極め方です。
まずはじめに、これらクチナシを上手に剪定するための3つのコツからそれぞれ詳しく解説していきます。
剪定に適した時期を見極める
木々には、それぞれの成長サイクルに応じて剪定に適した時期があります。
冬は活動を休める休眠期。
春になると新しい葉が芽吹き始め、初夏には成長期を迎えます。
剪定は基本的に樹木へダメージやストレスを与える行為なので、適した時期に行わなければそのまま枯れてしまうこともあります。
クチナシを上手に剪定するためには、まず剪定に適した時期を見極めることが大切です。
クチナシなどの常緑樹は初夏の成長期に庭木の剪定を行うことで剪定後の回復が早くなり、木へのダメージが少なく済みます。
クチナシは1年の中で、5月〜8月がもっとも成長する時期。
剪定するならこの時期に行うのが適切です。
クチナシは6月〜7月に花が咲くことから、花が咲き終わった直後の7月に剪定するのがもっとも適しています。
全体の花が咲き終わったころを見計らって、剪定を始めるといいでしょう。
また8月以降は翌年の花芽が付くので、8月以降の剪定は避けてください。
苗木の成長具合にもよりますが、植え付けて1年目のクチナシは剪定によるストレスを受けやすいので、過度な剪定は行いません。
2〜3年目以降は、枝の密生具合やバランスを見ながら適宜剪定をしていきましょう。
剪定の目的を決めておく
クチナシを剪定する方法には、「切り返し(切り戻し)剪定」と「間引き剪定」の2つがあります。
切り返し剪定は、伸びた枝を途中で切ることから切り戻し剪定とも言われる剪定方法の1つです。
切り返した箇所から多数の新梢を発生させるため、枝葉が充実し木の成長を助ける役割があります。
たとえば、上に向かって勢いよく伸びていく徒長枝が生えると無駄に養分を消費してしまいます。
そこで、徒長枝を途中もしくは付け根まで切り戻してあげると、ほかの枝へと養分を行き渡らせることができるのです。
また、古い枝を切り返すと新しい枝が発生するため、健康的な枝へ更新することが可能になります。
枝の先端部分を切り返せば長く伸びるのをストップさせ、太く充実した枝を作ることもできるでしょう。
一方間引き剪定は、不要枝などを付け根から切り取ったり密生を解消したりする剪定方法です。
枝が混み合っているところを間引けば、日当たりや風通しを改善させることができます。
病気の予防や害虫の発生を防ぐメリットもあるため、枝が密生している箇所は積極的に間引き剪定を行うことが大切です。
また、美しい景観を作るためにも、うっそうとした箇所を間引く剪定は重要な作業であるとも言えますね。
このようにクチナシの剪定方法には、木の成長を助けることと密生を解消するといった2つの目的がありました。
しかし、木の成長を助けたいのに見た目重視の剪定をしていては、思ったような効果が得られませんよね。
また、目的を意識して剪定しなければ、どの枝を切り落とせばいいのかわからなくなってしまう人もいるはず。
剪定方法の目的が分かったとはいえ、上手に剪定するためには目的に合う剪定方法を選ぶ力も必要になります。
まずはどんな目的を持ってクチナシを剪定するのかを意識し、そのうえで適切な剪定方法を選んでから、作業に取り掛かるといいでしょう。
花の鑑賞目的で育てているなら花芽に注意した剪定を
クチナシのような花木はそれぞれ花芽が作られる時期があり、その時期を避けて剪定をすることで翌シーズンも多くの花を鑑賞できるようになります。
クチナシの花芽ができる時期は、花が咲き終わってすぐの8月〜10月。
花芽は花が咲き終わったあとに伸びた枝の先端へ付き、翌年の6月〜7月に開花します。
せっかくの花芽を切り落としてしまうことから、花芽が付く8月以降は避けて剪定を行うようにしましょう。
また、枝の先端に付いた花芽を落とさないように、その年に伸びた枝の先端を避けて花芽を残すように剪定をすることも重要なポイントです。
クチナシの剪定方法
ここからは、クチナシの剪定方法を紹介していきます。
切り返し剪定と間引き剪定、花芽を残した剪定の具体的な方法を解説するので、こちらもぜひ参考にしてください。
切り返し剪定
切り返し剪定は、枝を切る程度に応じて「強剪定」または「弱剪定」があります。
まずはそれぞれのやり方を知っていきましょう。
強剪定の場合
強剪定は名前からも分かる通り、太い枝などを強く切り詰める剪定方法を指します。
「庭木が大きく育ち過ぎてしまった」「コンパクトに仕立てたい」といった場合に有効で、剪定前と剪定後では大きく見た目が変化するのが特徴です。
クチナシは大きく成長する樹木ではないものの、生垣として育てている場合やコンパクトに仕立てたい場合には数年に1度、強剪定が必要になります。
しかし、強剪定をすると樹木に大きな負担がかかるため、翌年の花は期待できない点を念頭に置いたうえで剪定をしてください。
では実際にどのような手順で強剪定をしていくのか解説していきます。
強剪定は、以下の流れで進めていきます。
このとき、以下の図のように枝の付け根や分岐点でばっさりとカットするのがポイント。
また、わき芽を残して切り詰めると失敗しにくくなります。
弱剪定の場合
弱剪定は樹形を崩さずに、軽く剪定することを言います。
枝先を剪定したり、混み合った箇所の枝を切り取ったりする際に有効な剪定方法です。
強剪定と比べると剪定前と剪定後ではさほど見た目が変わらず、クチナシへのストレスは最小限で済むのも弱剪定のメリット。
そのため、基本的には弱剪定をメインに剪定を行いましょう。
弱剪定のやり方は、図のように落としたい枝の枝先を付け根もしくは分岐点までカットします。
わき芽を残して剪定するとそこから新梢が発生するため、枝が充実したり花数が増えたりなどの嬉しい効果が期待できるでしょう。
また、植え付けて1年目のクチナシにも弱剪定は可能です。
花をたくさん咲かせたい人は、花が咲き終わったあとに枝先を剪定し新梢の発生を促してください。
間引き剪定
間引き剪定は、混み合っている枝を間引き不要枝を付け根から切り取ることで日当たりや風通しを改善させる効果のある剪定方法です。
クチナシの全体の樹形が整っていても、枝が密生しているところは間引き剪定をして適度に枝数を減らしていきましょう。
間引き剪定は、以下の手順で行ってください。
間引き剪定は、弱剪定のように枝先をカットするのみの剪定だと内部の密生は解消できません。
必ず枝葉をかき分けて、付け根から切り取るように心がけてください。
花の鑑賞目的で育てている人は剪定時期を守り、花芽の付く場所を切り落とさないようにして剪定しましょう。
また、枯れ枝やひこばえなど、明らかに不要だと分かる枝はしっかりと剪定する必要があります。
不要枝には次のようなものがあります。
ほかにも、病害虫の被害にあった枝や将来的に樹形を乱すような枝、密生の原因になる枝なども付け根からしっかり切り取ってください。
根元から剪定しなければ枯れ枝としてそのまま残ってしまい、見た目が悪くなるだけでなく病気が入り込んでしまう可能性もあるのでしっかり切り取っていきましょう。
花芽を残した剪定方法
クチナシのような花木は、花芽を残して剪定するテクニックが必要です。
クチナシの花芽は、6月〜7月の花が咲き終わると早々に枝の先端部へ花芽が付きます。
作られた花芽は翌シーズンに開花するため、この花芽を残すようにして剪定することが重要です。
そのため、クチナシの花芽を残すためには花が咲き終わったあとすぐに剪定をするようにしましょう。
もしも花芽が作られたあとに剪定が必要となった場合には、開花期に伸びた枝の先端を避けて剪定をしてください。
しばらくすると花芽がふっくらと膨らみ、目で見てもすぐに判別できるようになります。
花芽がしっかり確認できた場合には、そこを残して剪定するように心がけましょう。
また、種ができないように咲き終わった花柄を摘み取っておくと、翌年の花数がアップします。
⇩クチナシの剪定を自分でやるのは難しいときは⇩
剪定は害虫・病気防止にもなる
枝葉が密生しているところでは風通しや日当たりが悪くなり、病気や害虫が発生しやすくなります。
見えにくいこともあり、発見が遅れて気づかないうちに被害が拡大していることも少なくないでしょう。
そのような事態を防ぐためにも、定期的な剪定は必要不可欠です。間引き剪定で風通しや日当たりを改善し、病気の予防や害虫が発生するのを未然に防いでください。
クチナシがなりやすい病気
ここからは、クチナシがかかりやすい病気について解説していきます。症状や対策方法を知り、適切に対処していきましょう。
褐色円星病(かっしょくまるぼしびょう)
褐色円星病に感染すると、クチナシの葉に淡褐色〜褐色の小さな斑点が現れます。
高温多湿の環境で発症しやすく、最悪の場合、枯死することもあるので、7月〜9月ごろの時期は注意が必要です。
症状が現れた葉はすぐに摘み取り、落葉した葉も必ず取り除きます。
薬剤を散布しておくと、褐色円星病の防除に効果的です。
さび病
さび病は、5月〜7月の時期に発症しやすいカビの一種です。
主な症状は、クチナシの葉に小さい褐色の斑点が現れ、葉の裏側には黄色の粉状のものが付着します。
景観を著しく損ねるのに加え被害が拡大すると光合成や蒸散の妨げとなり、生育が悪くなるなどのリスクも。
クチナシが弱っているときに感染しやすいので、肥料切れを防ぎ健康的な状態を保つことが大切です。
黒星病(黒点病)
黒星病(黒点病)は、5月〜7月と9月〜11月に発症しやすい病気です。
初めのうちは葉に黒い斑点が現れ、やがて葉が黄色く変色していき枯れ落ちてしまいます。
感染力が非常に強く、次々とほかの葉も落葉してしまうため、場合によっては枯死するケースも。
定期的に殺菌剤を散布しておくと、病気の予防に効果的です。
すす病
アブラムシやカイガラムシなどの排泄物が原因となり、カビが付着してすす病を発症することがあります。
かかりやすい時期は、春から夏にかけて。
発症した場合には黒っぽいすすのようなもので葉が覆われていき、感染範囲が広くなるに連れて成長も悪くなってしまいます。
根本的な原因となる害虫の駆除に努めると、被害を抑えることができるでしょう。
クチナシに被害を与える害虫
次は、クチナシに被害を与える害虫について解説していきます。
オオスカシバ
オオスカシバは蛾の幼虫で、クチナシの葉を好んで食べてしまう面倒な害虫です。
そのまま放置しておくと葉を食べ尽くしてしまうこともあるので、見つけたらすぐに捕殺するようにしましょう。
また、オオスカシバは6月〜9月ごろに発生しやすいので、葉が食べられているのを見つけたら周りをよく観察し早期に害虫を発見するように努めてください。
カイガラムシ
クチナシは、カイガラムシの被害にあうケースもあります。
イセリアカイガラムシ(ワタフキカイガラムシ)やツノロウムシなどの比較的大型のカイガラムシがつきやすいので、吸汁被害を避けるためにも早いうちに対処しましょう。
幼虫のうちは殺虫剤が効きますが、成虫になると薬剤の効果が薄れてしまうのでブラシなどでこそぎ落として駆除します。
アブラムシ
春から夏にかけて多く発生するアブラムシ。大量に発生するとクチナシの生育が衰えてしまうので注意が必要です。
もっとも手軽な対処方法は、殺虫剤を散布すること。薬剤がない場合は、牛乳を薄めて吹き付ける方法も有効です。
アブラムシの排泄物によって、すす病などの病気を引き起こすこともあるので、早いうちに対処しましょう。
オンシツコナジラミ
オンシツコナジラミは、クチナシの葉裏に付く小さな害虫です。
養分を吸汁して、葉色が変色する・生育が悪くなる・排泄物からすす病を発症するなどの被害が出ます。
春から秋にかけて発生しやすいので、こまめに葉裏をチェックして早期発見を心がけてください。
発生初期に薬剤を散布することで防除できますが、オンシツコナジラミなどは黄色の色に集まる傾向があるため粘着式の虫取りリボンなども効果的です。
そもそもクチナシってどんな植物?
ここまで、クチナシの剪定方法を詳しく解説してきましたが、クチナシを育てるうえで知っておいたほうがいいことはほかにもたくさんあります。
実際にクチナシがどんな木なのかを知っておくとクチナシの管理がしやすくなりますので、元気なクチナシを育てるためにもまずはしっかりとクチナシについて知っておきましょう。
クチナシの基本情報
分類 | 庭木-低木・下草 |
学名 | Gardenia jasminoides |
科・属名 | アカネ科 クチナシ属 |
草丈・樹高 | 1〜2m |
栽培可能地域 | 関東以西 |
花色 | 白 |
開花期 | 6月〜7月 |
結実期 | 10月〜11月 |
耐暑性/耐寒性 | 強い/やや弱い |
クチナシは常緑低木で、純白の美しい花に甘く豊かな香りが楽しめる人気の高い庭木です。
育て方や特徴についてもっと知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
クチナシを枯れることなく上手に剪定するには、「剪定時期を守る」「目的に合う剪定方法を選ぶ」「花芽を残して剪定する」という3つが重要なポイントになります。
コツさえ抑えれば、初めて剪定をする人も失敗することなく美しい樹形を保つことができるはずです。
とはいえ、「花芽の見極め方がイマイチわからない」「剪定作業に自信がない」など、剪定に不安を感じる人は一度プロに作業を依頼してみるのもおすすめです。
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愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。