オリーブの木に実がならない原因と育て方のポイント

オリーブの木に実がならない理由

　オリーブの木に実がならないのは、様々な原因が考えられます。手入れの仕方を改善すれば良くなるものや、そもそもの環境を変えなくてはいけないもの、ある程度の時間が経たないと解決しないものなど様々です。もちろん、ここで紹介した原因以外である可能性もあります。

　どんな原因が当てはまりそうか、チェックしてみましょう。

手入れの仕方の問題

　オリーブの木の手入れを、念入りにしすぎているかもしれません。剪定などの手入れは、一度始めるとついついあれこれやってしまいたくなるのですが、やりすぎは禁物です。

　オリーブの木に実がならなくなるのはもちろん、樹形が崩れたり弱ったりしてしまう可能性もあります。また、手入れしなさすぎるのも良くない場合もあります。ちょうど良い手入れができているかどうか、よくチェックしておきましょう。

剪定のやり方

　剪定のやり方に問題があるかもしれません。オリーブの木は、春から初夏ごろにかけて、葉の脇に花序（花の集まり）をつけます。剪定によってその花芽をすっかり落としてしまうと、花は咲かなくなります。多くの枝を強く切り詰めているような場合は、それが原因で実がならないのかもしれません。

　また、剪定によって枝葉が少なくなると、その分光合成できる量も減ってきます。剪定量が多すぎると、オリーブの木が充分に光合成できず、実をつけられないという可能性もあります。

肥料のあげ方

　肥料のあげ方があまり良くなくて、実がならないのかもしれません。元の土が良ければ肥料を与えなくてもよく育つ場合もありますが、果実を毎年収穫する場合は肥料はしっかり与えたほうが良いでしょう。

　また、あげ方やあげる量が適切でないと、あまりオリーブの木が実をつけるのに効果的でなかったり、あげ方によってはかえって弱らせてしまう可能性も考えられます。適切な量の肥料を適切なあげ方で与える必要があります。

生育環境の問題

　オリーブの木の生育環境に問題があるかもしれません。環境が良くないと、当然オリーブの木もうまく育たず、いつまで経っても成長できず、花や実をつける余裕ができません。

　オリーブの木に実がならないどころか、ろくに育たなかったり徐々に弱っていたりする場合は、生育環境があまり良くない可能性があります。オリーブの木にとって良い生育環境をつくれているかどうか、しっかりチェックしておきましょう。

日当たりが良くない

　オリーブの木は、日当たりの良い場所を好みます。他の木の枝葉で日陰になっていたり、室内で育てたりしていると、日光が足りずにうまく育たないかもしれません。

　日当たりが悪く光合成ができないと、光合成でつくる栄養より自分の体を維持するコストの方が上回ってしまい、オリーブの木は徐々に弱って枯れてしまいます。

　オリーブの木が新しい枝葉を伸ばさず、ずっと変化がない場合や、少しずつ落葉するなどして弱っている場合は、日当たりを見直してみても良いかもしれません。

ジメジメしすぎ

　ジメジメした環境でも、オリーブの木はうまく育ちません。オリーブの木がもともと自生する原産地は、ヨーロッパの地中海沿岸の地方です。比較的乾燥しており、乾季に葉っぱが落葉する「硬葉樹」が育つような環境です（オリーブも硬葉樹です）。

　オリーブの木はそうした環境で育つため、風通しが悪くジメジメした環境や、常に土が湿っているような環境をあまり好みません。そのため、他の木と密に隣り合って植えていたり、毎日頻繁に水をあげて常に土が湿っていたりする場合は、環境があまり良くないのかもしれません。

同じ品種一株しかいない

　花が咲いているのに実がならないという場合は、うまく受粉できていない可能性があります。オリーブの木は、自分の花粉をめしべにつけても（自家受粉）実がなりません。

　そのため、実をつけるためには二株以上を近くに植える必要があります。また、オリーブの木には園芸品種の名前がついた札がよくついていますが、この園芸品種が同じものはどの株も同じような遺伝子を持っているので、同じ園芸品種を近くに植えても実がならないことが多いです。

　実をつけるためには、異なる品種２株以上を近くに植えるようにしましょう。

二株植えても受粉できていない

　別々の園芸品種を２株以上植えていても、ちゃんと花粉が受け渡されていないと実はなりません。片方の花が咲いている時期にもう片方が咲いていなかったり、株同士の距離があまりに離れていたり、温室などで育てていて花粉を運ぶ虫が入れなかったりすると、受粉ができずに実がならない可能性があります。

病気や害虫が出ている

　病気や害虫が多数発生している場合も、オリーブの木に実がならない原因になりえます。病気や害虫によって葉っぱが食べられたり枝が枯れたりすると、オリーブの木の成長量の減少につながり、花や実をつけるほどの余裕がなくなってしまうためです。また、せっかくついた実に発生する病気もあります。

　多少葉っぱが食べられるくらいなら問題ない場合も多いですが、病気や害虫が大量に発生すると、あまり良くない場合が多いです。

オリーブの木に出る病気

　オリーブの木には、実などがつぶれて腐ったようになる「炭疽病」や、枝先が少しずつ枯れていく「梢枯病」、枝や幹にこぶができる「オリーブがんしゅ病」などが発生します。また、オリーブの幹や枝が急速に枯れてしまう「立枯病」と呼ばれる病気も見つかっているようです。

　それぞれ、病気が発生した部位はこまめに切除し、焼却処分するか土中深く１ｍ以上に埋めるなどして対処します。そのまま放置しておくと、そこからさらに感染してしまう可能性があるのであまりおすすめできません。

　炭疽病などは、病気にかかりづらい品種もあるので、被害が大きい場合は導入を検討してみても良いかもしれません。

　また、枝や幹に発生した病気の場合、病気の発生した箇所を切除したときに、ハサミに菌がついてしまい、そのまま別の枝を切ったときに感染してしまう可能性があります。病気の枝を切除するときは、消毒をこまめにするようにしましょう。

オリーブの木につく害虫

　オリーブの木には、「オリーブアナアキゾウムシ」というゾウムシの仲間がよく発生します。オリーブアナアキゾウムシはオリーブをはじめとするモクセイ科の樹木を食べる虫で、成虫は葉っぱや枝の表皮などを食べ、幼虫は幹に穴をあけて食べてしまいます。

　オリーブの場合、ある程度木が大きくなってから発生することが多いようです。オリーブの木の幹からおがくずのようなものが出ていたら、オリーブアナアキゾウムシが発生しているかもしれません。

　対策としては、見つけ次第捕殺する、樹皮がボコボコしていて幼虫がいると思われる場所をほじって捕殺するなどの方法や、適用のある薬剤を散布するなどの方法があります。

　また、オリーブアナアキゾウムシがオリーブの木に近づきにくくしたり、オリーブアナアキゾウムシを見つけやすくしたりするために、オリーブの木の周りの草を刈っておくという方法も有効です。

苗を植えてから時間が経っていない

　いくらオリーブの木を上手に手入れして、良い生育環境を用意できても、オリーブの木の苗を植えてから一定以上育たないと、実はなりません。子どもが大人になるのと同じように、大きい苗ならすぐに花が咲いて実がなることも考えられますが、小さい苗なら何年かオリーブの木が育つのを待つ必要があります。

　そのため、まだオリーブの木があまり大きくなっていなければ、実はそもそもならないものと思って育てておくのが良いでしょう。

オリーブの木に実がなりやすい育て方

　オリーブの木に実をつけるためには、どのような方法を取るのが良いでしょうか。オリーブの木に実がならない原因が推測できたら、その問題を解決するように対処する必要があります。

　推測した原因が間違っている可能性もありますが、その場合は別の原因を考えてみて、それに対処する、ということを繰り返すのがおすすめです。オリーブの木に実がならない原因に対して、どんな方法で対処できるのかチェックしてみましょう。

実がなりやすい手入れの仕方

　オリーブの木に実がなりやすい手入れを目指すようにしましょう。手入れの仕方によっては、かえって実がならなくなってしまうこともあります。手入れの仕方を見直せば、あっさり実がなる可能性もあります。どんな手入れの仕方が良いか、チェックしてみてください。

剪定のやり方

　オリーブの木の剪定は、寒さが和らいできた3〜4月ごろに行うのがおすすめです。小さくしたい場合は枝先を切り戻し、枝葉が混み合っているところをすくようにして風通しをよくします。他の枝と反対方向に伸びているような樹形を崩す枝も、このときに切ってしまいましょう。

　オリーブの木は湿気に弱いので、風通しが良くなるように剪定を行います。ただし、枝を切り始めるとついどんどん切ってしまいたくなりますが、あまりたくさん切ってしまうとオリーブの木の花芽を落としてしまうばかりでなく、オリーブの木の成長量にも影響するので注意が必要です。

肥料のあげ方

　オリーブの木に肥料を与える場合、数回に分けて与えるのがおすすめです。冬の間に寒肥として肥料を与え、6月ごろにたい肥などの有機質肥料を与え、果実を収穫した秋ごろに、お礼肥えとしてまた肥料を与えます。

　与える肥料は、窒素やリン、カリがよく含まれているもので、窒素分ばかりが多めにならないようにします。また、実をつけてほしいばかりに肥料を一度に大量に与えると、かえって弱ったり枯れたりする原因になる(肥料焼け)ので、肥料のパッケージなどに書いてある適量を、様子を見ながら与えるようにしましょう。

オリーブの木に実がなりやすい生育環境

　オリーブの木に実をたくさんつけるためには、庭をオリーブの木がよく育つ環境に整えてあげなければいけません。オリーブの木が元々生えている原産地の様子を意識しながら環境づくりを行うのがおすすめです。オリーブの木がよく育ち、実をつける環境はどんなものか、しっかりチェックしておきましょう。

オリーブの木がよく育つ環境

　本来オリーブの木は、地中海沿岸の乾燥する環境に生育します。日本は雨の多い気候で、あまり原産地の気候とは近くないのですが、なるべく近づけてあげるとよく育ちやすいです。日当たりが良く、風通しの良い環境を目指しましょう。

　また、土は水はけの良いものにすると良いです。他の大きな木の枝や建物などで太陽の光が遮られていたり、他の木の枝葉が周りに茂っていてジメジメしていたり、水はけが悪く雨の後に水たまりができるような環境はあまり好みません。

　水はけの悪さは土壌改良により改善できることもありますが、その土地の問題であることも多いので、どうしてもよくならない場合は鉢植えにしてしまうのも一つの手です。あまりに乾燥しすぎると枯れてしまうので、植え付け直後や鉢植えで育てている場合は、土が乾燥したら適宜水を与えましょう。

　また、植え付けて時間が経つまでは風によって倒れやすいので、倒れないよう支柱など立てておくのがおすすめです。

複数品種を植える

　受粉を確実にするために、オリーブの木の園芸品種を複数植えるようにしましょう。近くにある別の庭からたまたまオリーブの木の花粉が運ばれる可能性もありますが、かなり運に依存するので、ちゃんと実をつけたいのであれば複数の園芸品種を自分の庭に植えることがおすすめです。

　植える場合は、同じ庭の中でもあまり離さずに（といっても百メートルも離れないくらいのイメージ）植えて、花粉の受け渡しが確実にできるようにしましょう。また、それでもうまく受粉できていないようであれば、開花期に綿棒などを使って人工的に受粉させるのも良いかもしれません。

オリーブの木の病害虫対策

　オリーブの病害虫対策の方法は、どの病気や害虫に対処するかによっても変わりますが、放置しないということが第一に挙げられるかと思います。「少ししか発生していないから良いか」と放置していると、対処しきれなくなるくらい広がってしまう場合があります。

　特に侵入初期の病害虫の場合、見つけ次第なるべく早めに対処するのがおすすめです。また、オリーブアナアキゾウムシの場合は根元の草を刈って見通しをよくすることも対策になります。

　病気によっては、かかりにくい品種もあるので、あまりに発生が多い場合はそうしたものを導入してみるのも一つの手です。

オリーブの木に実がなるまで

　オリーブの木は、ある程度まで成長しないと花や実をつけません。庭に植えてから何年で実をつけるかは、苗の大きさや生育条件などによっても異なります。大きい苗だと1〜2年で実をつけるようになる場合もありますが、小さい苗だと4〜5年以上かかる可能性も考えておいたほうが良いでしょう。

　また、元々の苗の大きさが同じでも、うまく育っている場合とうまく育っていない場合では実をつけるまでの年数が異なる場合があります。うまく育っていない場合では実をつけるまでの期間は長くなる可能性が高いです。

　実がなるまでの年数はあくまで目安と考えて、オリーブの木が健康に成長できることを重視するのがおすすめです。

まとめ

　オリーブの木に実がなるためには、庭にオリーブの木が好む条件を用意してあげて、実がなりやすくなる、あるいは実をつけるのを邪魔しないやり方で手入れをしてあげることが重要です。オリーブの木が健康にすくすく育っていて、花を咲かせて受粉するための環境が整っていれば、いずれ実をつけるようになるでしょう。

　また、どうしてもやり方がわからない、うまくやる自信がない、プロの意見を聞きたい、といった場合には、smileガーデンのような業者にお願いしてみるのもおすすめです。ぜひお気軽にお声がけください。