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桜サクラ
2022.06.08

サクラの育て方や特徴

日本を代表する花木。ただの観賞用だけではなく、日本の文化にも強く根付いている。
日本に自生する野生種の数も多いが、古くから改良されてきた園芸品種が数えきれないほどあり、バリエーションは非常に豊富。

基本データ

  • 分類庭木-落葉
  • 学名Cerasus spp.
  • 科・属名バラ科サクラ属

日本で古くから親しまれている、伝統的な花

サクラについて

 
サクラはバラ科サクラ属に属す植物の総称です。
日本に元々自生するものから海外に分布するもの、さらにそれらをもとにつくられた園芸品種がたくさんあります。
 
地域にもよりますが、日本で植えられているものの多くがエドヒガンとオオシマザクラを掛け合わせた「ソメイヨシノ」という品種。
開花時期は四月ごろで、毎年開花予想が行われ、それらに線を引いたものが桜前線なんて呼ばれています。
 
サクラ自体、ソメイヨシノ誕生以前の古くから親しまれてきた木で、紅葉と並んで日本文化に根付いた木と言えるでしょう。
花言葉は「純潔」「精神美」など。

 

膨大な品種がある

 
日本にもともと自生するサクラにも多くの種類がありますが、それらを元に作出された園芸品種が無数にあり、300種を優に超えるとされています。
その中でもソメイヨシノはじめ多く植えられる種とそうでない種がありますが、身近によく見られるものをピックアップしてご紹介します。

 

・ソメイヨシノ

 
日本を代表する品種で、エドヒガンとオオシマザクラの交配によってできたと考えられています。
桜並木や学校に植えてあるものの多くがこれで、桜の開花予想に用いられるのもソメイヨシノです(北海道や沖縄など一部地域を除く)。
 
雑種のため種で増やすことができず、多くが接ぎ木によってつくられます。
そのため全てのソメイヨシノは同じ遺伝子を持ったクローンで、南から順に一斉に咲き始めるのが美しく、人気に拍車をかけています。

 

・オオシマザクラ

 
オオシマザクラは園芸品種ではなく、元々房総半島、三浦半島、伊豆半島に自生する桜です。
ソメイヨシノやカワヅザクラをはじめ様々な園芸品種の誕生に関わっています。
 
ソメイヨシノと同じかやや早い時期に咲き、白く大きな花をたくさん咲かせるのが美しく、それ単体で植えられることも少なくありません。
ただ、ソメイヨシノなどと違って種で増えるため、各地で野生化して問題が起こっている場合もあります。

 

・カワヅザクラ

 
静岡県の河津町という場所で生まれた桜です。
カンヒザクラとオオシマザクラが交配してできたと考えられていて、野生状態の苗を見つけた方がそれを育てたことで発見されました。
 
カンヒザクラの特徴を受け継ぐ濃いピンク色と、開花時期が2月~3月ごろと早いのが大きな特徴です。
河津町ではたくさん植えられ、町を代表する桜となっています。

 

・カンヒザクラ

 
台湾などを原産とする桜で、沖縄など暖かい地域で主に育てられます。
赤に近い濃いピンク色の花と、1月ごろに咲くこと、花が散るときに花びら一枚ずつではなく花ごと落ちるというのが大きな特徴で、日本生まれの桜には無い特徴を持っています。
 
これらの特徴から、早咲き品種や濃いピンク色の花が咲く品種の誕生に関わっていることがあります。

 

・ベニシダレ

 
ソメイヨシノの片親にもなったエドヒガンの枝が垂れる品種で、中でも花の赤みが強い系統のものです。
ほかにも枝垂れ品種はいくつかあり、「○○シダレ」というような名前をつけられているものが多いです。

 

・カンザン(関山)

 
八重桜の中でもよく植えられる品種で、公園などで見かけることが多いです。
八重咲で花びらが濃いピンク色の大きな花がたくさん咲くのが特徴で、非常に美しいです。
八重咲の桜は他にも多くの品種があり、その多くがソメイヨシノよりも少し遅れて咲き始め、長い間咲いています。

 

・ウコン(鬱金)

 
ウコンで染めたような黄緑色の花が特徴で、白やピンクなど、一般的な桜の花のイメージからはかけ離れた雰囲気を持っています。
こうした花色の品種は少ないですが、他にも花びらに緑色の筋が入るギョイコウ(御衣黄)などがあります。

 

・ジュウガツザクラ(十月桜)

 
エドヒガンとマメザクラの交配によって生まれたとされる品種で、二季咲きの桜です。
名前の通り10月ごろから咲き始め、そのまま真冬のうちも咲き続け、4月ごろまで咲いています。
真冬にも楽しめるというだけではなく、半八重咲の桜で花びらの枚数が多いのも特徴的で、美しいです。

 

様々な形で利用されている

 
桜は街路樹や公園樹として活用される以外にも、様々な方法で活用されています。
観賞用としては、各地に名所や名木があり、場所によっては冬に雪の積もった桜をライトアップするような場所もあります。
 
満開の桜が一面にある様子はそのままでも写真の題材になるし、画像の背景として活用しても良いです。
また、庭や公園に植える以外にも盆栽としての利用がされています。
観賞用以外では、桜の花を塩漬けにして食べたり、樹皮を工芸品にしたり、チップ化したものを燻製の香りづけに使ったりと様々です。
 
文化的な利用としては、桜を題材にした歌はたくさんありますし、近代的ですが桜をモチーフにしたスイーツやネイルもあります。
他にも、桜大根や桜文鳥など、桜の名前を冠したものがたくさんあるのも桜ならではでしょう。

バリエーションの豊かさを楽しむ

春を告げる花

 
品種によって違いはありますが、桜の花は春に咲くものがほとんどです。
そのため、庭に桜が植えてあると季節を感じることができます。
 
ソメイヨシノを植えれば新生活が始まるワクワク感を味わえるし、3月ごろから咲く品種を植えれば一足早く春の気分になることができます。
 
真冬に咲く品種を植えて、寒い冬にどこか暖かい気持ちになってみても良いでしょう。
バリエーションはたくさんあるので、自分の好みに合わせたものを選んでみてください。

 

品種ごとの違いを楽しむ

 
たくさんの桜を植えてみて、品種ごとの違いを楽しんでみるのも良いです。
 
秋から冬をまたいで晩春まで、ちょっとずつ時期をずらして咲く品種を植えて長い期間桜の花を楽しんでみたり、よく似た品種を植えて、自分にしかわからないような微妙な違いを見て楽しんだり、様々な楽しみ方ができます。
 
それだけたくさん植えていたら、庭で実をつけた桜の種が芽生えたとき、どの品種ともつかないオリジナル個体が生まれるかもしれません。

 

葉っぱや冬芽の違いなど、どんどんマニアックに

 
桜はよく交雑種をつくることもあり、木の中でも見分けが難しいグループの一つです。
園芸品種ならなおさらで、ある品種が何と何の交配かなど、普通にしていたらまずわかりません。
 
しかし、どの種類にも花や葉っぱ、冬芽などそれぞれの部分に特徴があり、そこからつくられた交配種は両親の特徴を少しずつ備えているなど、観察していけば色々なことが見えるようになってきます。
まだ桜はわからないことが多く、最近もクマノザクラという新種の桜が見つかりました。
知れば知るほど奥が深いので、色々調べてみるのも面白いかもしれません。

育て方・管理方法

≪ 詳細情報 ≫

 
草丈・樹高
 
10~20mくらい。
品種によって小さいものもある。

 
栽培可能地域
 
全国

 
花色
 
白やピンクが多い。
品種によって黄色や緑がかったものもある。

 
開花期
 
3~5月ごろのものが多い。

 
結実期
 
5~6月ごろのものが多い。

 
耐暑性/耐寒性
 
種類によって様々だが、耐寒性は強いものが多い

 

≪ 育て方 ≫

 
植え付け・植え替え
 
作業は厳冬期を除く11~3月の落葉期に行うのが望ましいです。
水はけの良い肥沃な土に植えるようにしましょう。 
また、日当たりが悪いと成長や花付きが悪くなることがあるので、日陰にならない場所を選んで植えるのがおすすめです。

 
肥料
 
木が大きくなったら基本的には必要ありませんが、やせ地に若い苗木を植え付けるときなどは、冬に鶏糞など有機質の肥料を与えるようにしましょう。

 
剪定
 
剪定作業は11月~3月の葉っぱが落ちている時期に行います。
基本的にウメのようなたくさん切る剪定をする必要はなく、樹形を崩す枝を切るくらいで問題ありません。
 
サクラの仲間はのびのび育てると低い位置の枝が太く長く伸びていく場合が多く、太くなってから邪魔な枝を切るとダメージが大きかったり、切口が病害虫の侵入口になってしまう場合があります。
 
そのため、枝がそのまま太く長くなっていくことを想像し、今後邪魔になりそうな枝はなるべく細いうちに切ってしまうようにしましょう。
また、てんぐ巣病が発生している枝は優先的に切って焼却処分してしまうのがおすすめです。
切った枝は、挿し木にすると低確率ですが発根する場合があるので、剪定のついでに試してみても良いかもしれません。

 
病害虫
 
どちらも非常に多いです。
 
病害としては、葉に小さな穴を空ける程度で済む穿孔褐斑病から、木を枯らしてしまう危険のあるならたけ病まで、発病生態や病原性の強さは様々です。
ただ、それぞれ木を直接枯らすようなものは少ないので、警戒する病気をならたけ病、べっこうたけ病など強めの病気に絞ると良いでしょう。
ならたけ病は、根っこに菌糸が侵入して木を弱らせてしまう病害で、極度の過湿や乾燥のストレスがある場所で発病しやすいです。
 
感染してからの治療は難しいですが、感染を防ぐために土壌環境を改善したり、地面の中に枯れ枝や木材片などナラタケの生存できるものを残さないようにするのが大切です。
また、やや病原性の弱いならたけもどき病にはかかりやすいので、庭のまわりの公園などで秋に根元から茶色いキノコが生えている木が無いか確認し、発生状況に気をつけましょう。
 
べっこうたけ病は、木の根元部分がキノコにより腐る病気で、木が弱るだけでなく倒れて別の被害が出る可能性があります。
こちらもかかると治療は難しいので、胞子が侵入できる傷をなるべくつくらないようにすることや、専門家と相談して適宜支柱などで支えることが重要です。
 
また、一か所からたくさんの枝が密生するてんぐ巣病は樹勢にはそれほど影響しませんが、密生した枝には花芽がつかないので早めの防除が重要です。
症状の出ている枝を切除し、焼却処分しましょう。
てんぐ巣病はソメイヨシノが特にかかりやすいと言われています。
 

害虫はモンクロシャチホコやアメリカシロヒトリといった毛虫類など、葉っぱを食べるものや、コスカシバのように幹に穿孔するものに大別されます。
 
葉っぱを食べる害虫はよっぽど大発生しない限り、それ単体で木を枯らすようなことはありません。
ただ、見た目が悪かったり、イラガなど人に被害が出る場合もあるので、その場合は薬剤などを使って防除しましょう。
 
幹に穿孔する害虫のコスカシバは、幼虫が樹皮の内側の層を食べる害虫で、大発生すると木を弱らせる可能性があります。
フンの混じった琥珀のような樹脂が幹から出るのが特徴なので、発生数が多い場合は専用の薬剤などを使って防除しましょう。
そして、単体で木を枯らす可能性があるものとして、近年侵入してきた外来種のクビアカツヤカミキリがあります。
 
幹を幼虫が食べ、たくさん食べられると水を通せなくなって枯れる場合があるというものです。
まだ全国的に広がっているわけではなく、侵入している地域では自治体が注意喚起をしていることが多いので、近隣地域に侵入が無いかをチェックしておきましょう。

 
日当たり
 
日当たりの良い場所を好みます。
日当たりが悪いと成長が遅くなったり花付きが悪くなったりするため、種類や品種を問わず基本的には日当たりの良い場所に植えるのがおすすめです。

 
水やり
 
庭に地植えする場合、植え付けてからしばらくは乾いたら水をあげるようにします。
枝葉が旺盛に成長してきたあとは特に気にしなくても大丈夫です。

 

出典(引用元)

日本樹木医会
「樹木医必携」
日本植木協会
「桜 ぱっと見ガイド」
山と渓谷社
「樹に咲く花 離弁花1」
村越匡芳監修
「庭に植えたい樹木図鑑」

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