庭をもっとカジュアルに愉しむ。smileスタイル
沈丁花、ジンチョウゲ
2021.08.31

ジンチョウゲ(沈丁花)

ジンチョウゲ(沈丁花)は、中国から伝わった常緑低木です。
初春に咲く花からふわりと漂う甘い香りで人々を魅了してきました。
寒さや移植に弱く、うまく育てるのにはややコツがいる庭木。
剪定しなくても樹形がまとまりやすいのが特徴です。

基本データ

  • 分類庭木-常緑
  • 学名Daphne odora
  • 科・属名ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属
  • 別名チンチョウゲ、瑞香、輪丁花

「三大香木」のひとつで甘い芳香の花を咲かせる常緑低木

ジンチョウゲ(沈丁花)とは

 
ジンチョウゲは、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木です。
原産地は中国南部で、室町時代にはすでに日本に渡来していたと考えられています。
 
手まりのようにこんもりと咲くピンク~白の花には、素晴らしい芳香があるのが特徴で、原産地の中国では「瑞香」と呼ばれます。
 

半日陰でも育てやすく、剪定しなくても樹形が乱れにくいことから、生垣やサブツリーとしても人気があります。
 

ジンチョウゲの花を干して煎じた液は、歯痛や口内炎、のどの痛みを緩和する民間薬としても使われてきました。
 

素晴らしい香りが名前の由来

 
和名は、香木の「沈香(じんこう)」と「丁字(ちょうじ・クローブ)」に由来し、両者の字をかけ合わせて「沈丁花」と呼ばれるようになりました。
両者の香りを併せ持っているからとする説や、香りが沈香に似ていて、花の形が丁字に似ているからとする説があります。
 

ジンチョウゲの花の香りは素晴らしく、クチナシ・キンモクセイと共に「三大香木」や「三大芳香花」と称されます。
この3種類の中でもジンチョウゲの香りは特に強く、最も遠くまで香りが届くとも言われています。
 

花のように見える部分はガク

 

沈丁花の写真

ジンチョウゲの花は、花びらを持ちません。
花びらのように見える部分は肉厚なガクです。
ガクは、外側がピンク色で内側が白いため、つぼみのときはピンクに見え、開くと白が目立つようになります。
表裏共に白い品種も存在します。
 

多くがオス株なので実を付けることはまれ

 
ジンチョウゲは、株ごとにメスとオスが分かれている「雌雄異株」です。
日本に存在するジンチョウゲのほとんどがオスの株なので、果実を付けることはほとんどありません。
 

まれに赤く丸い実を付けることがありますが、ジンチョウゲの実には毒があります。
間違って食べないように気を付けてください。

白花種や斑入り葉の品種もある

寒さにやや弱く暖地での栽培に向いている

 
中国南部や台湾中北部の暖かい地方が原産のジンチョウゲは、寒さにはあまり強くありません。
-5℃を下回ると枯れてしまう恐れがあります。
 

日本で育てる場合、地植えできるのは東北地方南部の平地より南以降です。
寒い地方で栽培するなら、鉢植えにして冬場は軒下や室内に移動するか、マルチングで凍結を予防してください。
 

剪定しなくても樹形が整いやすい

 

沈丁花の写真

こまめに剪定しなくても、自然に樹形が丸く整うのがジンチョウゲの特徴です。
庭の手入れが苦手な人や忙しい人にぴったりと言えます。
 

ただし、枝葉が密集して内部の風通しが悪くなると、カイガラムシやアブラムシなどの病害虫が発生しやすくなります。
病害虫には比較的強い樹木ですが、あまりにも枝葉が混み合っている場合、適宜間引くように枝を減らしてください。

 
強く刈り込みすぎると枯れたり弱ったりする恐れがあります。
邪魔な枝を切る程度の軽い剪定にとどめましょう。
 

清楚な雰囲気が楽しめるシロバナジンチョウゲ

 

沈丁花の写真

ジンチョウゲは、大きく赤花種と白花種に分けられます。
シロバナジンチョウゲは、花びらのように見えるガクの表も裏も白いタイプです。
 

最も一般的な赤花種は、「ウスイロジンチョウゲ」と呼ばれ区別されます。
 

斑入り葉のフクリンジンチョウゲ

 

沈丁花の写真

「フクリンジンチョウゲ」と呼ばれる斑入り葉の品種も存在します。
葉を縁どるように黄色の斑が入っています。
 

葉が緑色をした普通のジンチョウゲよりも刈り込みに弱いデリケートなタイプです。

育て方・管理方法

詳細情報

 
草丈・樹高
1m~1.5m
 
栽培可能地域
東北南部以南
 
花色
白・ピンク
 
開花期
3月~4月
 
結実期
5月~6月(日本のジンチョウゲが実を付けることはまれ)
 
耐暑性/耐寒性
耐暑性・耐寒性共に普通です。
東北地方南部より北での地植えは難しいでしょう。
移植を嫌うため、寒い地方で育てるなら鉢ごと移動できる鉢植えでの栽培がおすすめです。
 

育て方

 
植え付け・植え替え
植え付け・植え替えの適期は、開花後の3月下旬~4月下旬、暑さが和らいだ9月下旬~10月下旬です。
柔らかくて太いジンチョウゲの根はデリケートです。
移植時に傷めてしまうことも多く、頻繁な植え替えはおすすめできません。
大株になればなるほど根のダメージから枯れてしまう可能性が高く、できる限り移植や植え替えは避けましょう。
どうしても植え替える必要があるときは、根を切らないように細心の注意を払ってください。
 
有機質が豊富な弱酸性の土を好みます。
土質が合わないと枯れてしまうことも珍しくないため、植え付け場所は慎重に選んでください。
 

肥料
施肥は年3回行うのがベターです。
1回目は花が咲き終わった4月中~下旬に、2回目は株が大きく生長する9月ごろに緩効性肥料を与えてください。
3回目は寒肥として1月~2月に油かすなどの有機質肥料を施しましょう。
 

剪定
丸くこんもりとした樹形に自然にまとまる性質があります。
普通に育てているなら基本的に剪定はしなくて良いです。
むしろ、強く刈り込むと株が弱って枯れることもあります。
剪定する場合は、不要な枝をカットして形を整える程度で十分です。
剪定に適した時期は、花後すぐの3月~4月頃です。
 

病害虫
病害虫には強い種類ですが、風通しが悪いとアブラムシ・カイガラムシ・ハマキムシなどが発生するケースもあります。
枝を間引くように軽く剪定するか、ジンチョウゲを植栽している周辺環境の風通しを改善し、予防してください。
 

日当たり
直射日光や西日が当たらない半日陰が向いています。
日陰では花の数が減ることがあります。
 

水やり
他の樹木と比較して乾燥が苦手です。
これは、根の張りが浅く、水を吸収するための細い根が少ないためです。
 
鉢植えは1年を通して水切れに注意し、地植えの場合も新芽が成長する春~夏の高温期には土を乾燥させないようにします。
しっかりと根付いているようであれば、夏以外の水やりは必要ありません。

出典(引用元)

平野隆久『よくわかる樹木大図鑑』永岡書店
小幡和夫ほか『樹木博士入門』全国農村教育協会

TOPへ