ハイノキの育て方・特徴)

ハイノキの育て方と特徴

地面から、ざらざらとした灰色の複数の幹がなめらかな曲線を描くように立ち、春に梅のような白い花を枝先にたくさん咲かせるハイノキ。
繊細な葉と美しい樹形で、多くのガーデニング愛好家に愛される樹木でシンボルツリーとして人気があり、鉢植えでも育てやすいおすすめの庭木です。

生長がゆっくりで手入れが少なく済むため、初めて庭木を育てる方にもぴったり。
常緑樹なので、四季を通じて緑を楽しむことができ、庭や玄関先、ベランダに彩りを与えてくれます。
自然な風合いで和風・洋風どちらの庭にもよく合い、おしゃれなシンボルツリーとして庭を美しく演出してくれるでしょう。

また鉢植えでは玄関やリビングの前に置けば、ナチュラルな雰囲気を演出しつつ、リラックスできる空間づくりに一役買ってくれます。

今回はハイノキの魅力や育て方、置き場所のポイント、鉢植えでの育て方のコツなど、詳しく紹介します。
ハイノキを初めて育ててみたいと思っている方、庭にナチュラルなアクセントを加えたい方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。

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基本データ

分類
庭木-常緑
学名
Symplocos myrtacea
科・属名
ハイノキ科・ハイノキ属
別名
イノコシバ、イノコシバ、イノコシバ、イノコシバ
草丈・樹高
3m以上
栽培可能地域
関東以南
花色
開花期
4月〜5月
結実期
8月〜10月
耐暑性 / 耐寒性
普通/やや弱い

ハイノキとは

ハイノキとは、ハイノキ科ハイノキ属の常緑樹で、繊細な葉と控えめな白い花が特徴的な庭木です。
日本では主に本州の西部から九州にかけて自生しており、暖かい地域の山や林の中で育ちます。
アジアやアメリカ大陸など、世界に300種類が存在し、多くの種は湿潤な熱帯地域で生育しているといわれています
比較的半日陰を好むため、日向でも西日が直接当たらない場所で育てると元気です。

ハイノキのギザギザとした葉っぱは小さくて硬く、風に揺れる様子が涼しげです。
枝は細く、しなやかに伸びるので、自然樹形を楽しむことができます。
また、シマトネリコやソヨゴと比較しても、剪定の手間が少なく、生長スピードがとても遅いのが特徴です。
高さは2〜2.5mほどに育つことが多いですが、剪定によってコンパクトに保つこともできます。

春になると、4月から5月にかけて白い小さな梅に似た花を咲かせ、甘い香りが漂います。
ハイノキの花は観賞価値が高く、庭全体を華やかにし、秋には黒い実がなり、季節感を感じられる庭を演出できるでしょう。

また常緑樹なので冬でも葉を落とさず、庭のアクセントとして一年中楽しめるのが魅力です。

ハイノキ・クロバイ・クロキ・サワフタギの違い

遠目に見ると葉・花の形や色が似ているため、しばしば混同されることが多い「ハイノキ」「クロバイ」「クロキ」「サワフタギ」。
それぞれ同じハイノキ科ハイノキ属の樹木なので同じ仲間ですが、実際には下の表にまとめたように、樹形・樹高や開花期間、花の色、花・実の付く位置、実の付き方、葉の縁の特徴がわずかに違います。

項目 ハイノキ クロバイ クロキ サワフタギ
特性 常緑性 常緑性 常緑性 落葉性
樹形 細い枝がしなやかに伸び、自然樹形が美しい 枝がやや直立し、コンパクトな樹形 枝が密に成長し、やや横に広がる 枝が斜めに伸びる
開花期間 4〜5月 4〜5月 4〜5月 5〜6月
花の色 白い小さな花 白い花 白い花 白い小さな花
実の付き方 黒い実が少数付き、秋に熟す 黒い実が少数付き、秋に熟す 黒い実が密集して付き、秋に熟す 青い実が多数付き、秋に熟して黒くなる
葉の特徴 小さな楕円形、明るい緑色で光沢がある 葉がやや厚く、緑色で光沢がある やや厚みがあり、黒っぽい緑色で光沢が強い 丸みのある葉で、やわらかい印象
生息環境 暖かい地域の半日陰が適する 温暖な地域でやや湿潤な場所 南西諸島や南九州の暖かい地域 山地や丘陵地の湿った林
樹高 3〜5m 3〜5m 3〜7m 2〜3m
特徴 繊細な樹形で、シンボルツリーとして人気 葉に光沢があり、樹形が整いやすい クロキという名前通り、黒い樹皮が特徴的 実が青色で観賞価値が高く、秋に黒く熟す

細い枝と繊細な葉を持つハイノキ

ハイノキは繊細な雰囲気を楽しめ、育てやすい一面も持ち合わせている庭木です。
株立ちは特に美しく野性味があるので、シンボルツリーとしても大変人気があります。

特徴は細やかな枝と葉です。
細い枝はしなやかに伸び、美しい自然樹形が楽しめます。
小ぶりな葉は明るい緑色なので爽やか。風でそよそよと揺れる様子はとても涼しげで風情があります。

生長が遅い庭木

生長スピードは庭木を選ぶうえで重要なポイントとなります。
生長が早い庭木の場合は、高さを抑えるための剪定が必須となり、手入れに苦労することが難点です。
また、家や庭木とのバランスが合わなくなり、当初の植栽計画との相違が出てくるケースもあります。

その一方で、ハイノキは1年に20cmほどしか生長せず、生長スピードがとても遅いことで知られています。
剪定や手入れが簡単に済むのもメリットですね。ハイノキを選ぶ時は生長が遅いことを踏まえて、高さのあるものを選ぶといいでしょう。
庭に木を植えることで、広く感じさせたり、奥行きを出したりする効果も得られます。

他にも人気の生長が遅い木について、こちらの記事でご紹介しています!
シンボルツリーとして人気のヤマボウシとは?育て方や特徴を徹底分析
シンボルツリーとして人気のアオダモとは?育て方や特徴を徹底分析

暖かい地域の山で自生

ハイノキは近畿地方より西の地域や、関東より南の地域の山で自生しています。
木漏れ日が差し込むような環境が適しているため、植え付けるなら半日陰がおすすめです。

寒さにはあまり強くないため、寒風を避けられる場所を選ぶのもポイント。
常緑樹ですが、寒さが厳しい地域では葉を落として落葉樹のようになることもあります。

西日と乾燥に弱いので注意

半日陰向きの庭木なので、西日が当たる場所は避けてください。
7月〜9月の直射日光はハイノキに強すぎるため、葉焼けを起こすことがあります。
葉焼けが起きた場合、葉が茶色くなって枯れ落ちてしまうので、植えてから1年目のハイノキは、特に西日に注意してあげましょう。

また、ハイノキの根は浅く張る特徴を持ちます。
そのため、乾燥にも弱い傾向があります。
基本的には降雨だけで問題ありませんが、植え付けてから約半年〜1年の間は、定期的に水やりをするなど、注意して育ててください。

樹形

比較的自然に樹形が整いやすいハイノキは、手を加えなくても美しい姿を保つのが特徴です。
特に地面から複数の幹が立ち上がる「株立ち樹形」のスタイルが人気。
自然の中にいるような雰囲気をつくれ、全体的に奥行きや広がりが生まれ、景観をやわらかく演出してくれます。

ハイノキは枝が細く、葉が小さいので全体的に軽やかで繊細な印象を与えます。
枝は上へ向かってしなやかに伸びるため、樹高が高くなっても重たさを感じさせません。
風が吹くと、葉っぱがそよそよと揺れる様子は、庭に涼しさをもたらしてくれます。

また、剪定の頻度が少なく済むことも、ハイノキの樹形の魅力。
自然な形を楽しみながら育てられるため、初心者でも手軽に管理できる庭木です。
シンボルツリーとしても活躍する、バランスの取れた樹形が特徴です。

価格

ハイノキの価格は、木の大きさや形によって異なりますが、一般的に販売されている苗木は、2m前後のもので5,000円〜15,000円程度が相場です。
樹高が高くなるほど価格も上がり、2.5m以上のものや特に樹形の美しい株立ちのハイノキは、20,000円を超えるものもあります。
植木市場や庭木専門店、オンラインショップなどで手に入れることができます。

また、植木の価格だけでなく、植え付けや運搬にかかる費用も考慮しておくことが大切です。
自分で植える場合には費用を抑えられますが、庭師や業者に依頼する場合は、作業費が別途かかります。
植え付け場所や環境に合わせて、適切なサイズのハイノキを選ぶことがポイントです。

シンボルツリーとしても人気のあるハイノキは、ほかの常緑樹と比べても値段がリーズナブル。
生長が遅く、管理が楽なため、長期的なコストパフォーマンスが良いのも魅力です。

サイズ

ハイノキのサイズは、選ぶときの重要なポイント。
一般的な庭木として植えられるハイノキは、樹高が2mから2.5mほどのものが多く販売されています。
生長が遅い樹木なので、植えた後も急激に大きくならず、庭に合わせた管理がしやすいのが特徴です。

最終的には樹高が3mから5mほどの高さに育つことが多いですが、自然樹形を楽しむため、剪定を最小限に抑えた管理でもバランスの取れた美しい姿を保てます。
また、株立ち樹形のハイノキは、幹が複数本立ち上がることで横幅が広がり、庭に奥行きやボリューム感を加えることができます。
植え付けるスペースに余裕がある場合は、株立ちを選ぶとより存在感が増すのでおすすめです。

狭い庭や玄関前などに植える場合は、コンパクトな苗木を選ぶといいでしょう。
鉢植えで育てることもできるため、スペースに応じたサイズのハイノキを選んでみてくださいね!

繊細な葉が人気のハイノキ

ハイノキの魅力

名前の由来

昔はハイノキを燃やして灰にし、染色の媒染剤(発色を繊維に定着させるもの)として活用していました。ここから「灰の木」と呼ばれるようになったのが名前の由来と言われています。
また、別名の「イノコシバ」は、九州でイノシシを縛るための枝として使用していたため、このような名前が付いたそうです。

ハイノキが庭木で重宝される理由とは?

ハイノキは徐々に人気や需要が高まっており、戸建て住宅で植栽される機会も増えてきました。
やはり、和風と洋風のどちらにも合う樹形と、生長の遅さやお手入れのしやすさが人気の理由でしょう。

他に、シマトリネコやソヨゴも植栽されることの多い庭木です。ただ、シマトリネコは生育旺盛なため、定期的に剪定をしなければ大きく育ち過ぎてしまいます。
常緑樹のソヨゴは生長が緩やかな木ですが、枝や葉から少し堅い印象を受けるので、素朴さや自然な雰囲気を求めるなら、ハイノキがおすすめです。

⇩ハイノキやシマトネリコなどシンボルツリーについてはこちらを読もう!
庭のプロおすすめのシンボルツリー15選!テイストや環境に合わせてご紹介します

4月〜5月は花と香りが楽しめる時期

ハイノキは4月〜5月に小さな白い花を咲かせます。
5枚の花弁が可愛らしく、スッと伸び広がった雄しべが花を際立たせます。

花は数輪がまとまって咲くので、小さいながらも観賞価値があり、可憐で美しいです。
また、花は甘い香りがするので、開花時期はぜひ香りも楽しんでみましょう。

こちら⇩の記事では
季節ごとに白い花の咲く木をご紹介しています。

黒い実は庭に鳥を呼び込む

花が咲き終わると、8月〜10月には黒い実が結実します。
この実を食べに野鳥が訪れることもあるので、自然豊かな情景が楽しめます。
庭に鳥や蝶、昆虫など、さまざまな生き物が訪れる庭づくりも面白みがありますね。

ハイノキのメリット

庭木として育てやすく、初心者にも人気のハイノキ。
シンボルツリーとしても使えるほど美しい樹形を持ち、和風・洋風どちらの庭にもマッチします。

ここでは、ハイノキのメリットを下記2つ紹介します。

  1. 育てやすい
  2. 剪定の手間が少ない

樹形が自然に整いやすく、美しい姿を保つので、シンボルツリーとしても人気があるハイノキは、四季を通じて葉が落ちにくい常緑樹なので、冬でも緑が楽しめ、庭のアクセントとして一年中活躍してくれるのもポイントです。

育てやすい

ハイノキは、庭木としての育てやすさが大きな魅力です。
特に庭を手入れする時間があまり取れない方や初心者にもおすすめです。

ハイノキは土質を選ばず、一般的なガーデニング用の土で十分に育つことができます。
排水性と通気性の良い土を好みますが、特別な土づくりは不要です。
日当たりに関しても半日陰を好むため、直射日光が強く当たらない場所があれば、それだけで十分育ちます。

また、ハイノキは暑さにも強く、夏の高温にも耐えられることがポイント。
ただし、乾燥にはやや弱いため、夏の間はしっかりと水やりをする必要があります。
逆に冬は、寒さで葉が少し落ちることがありますが、耐寒性もそれなりにあるため、関東以南の地域であれば問題なく育てられます。

さらに、害虫にも強い点もメリットです。
カイガラムシやアブラムシがつくことはありますが、発生することは珍しくで、害虫の被害に悩むことも少ないです。

自然樹形が美しく整うハイノキは、庭のプロでなくても管理がしやすい庭木です。
鉢植えでも地植えでも育てられるので、庭のスペースに合わせた楽しみ方ができ、特に手間をかけずに美しい庭木を楽しみたい方にぴったりです。

剪定の手間が少ない

ハイノキは、庭木の中でも剪定の手間が少ないことも大きなメリットの1つです。
生長が遅いため、剪定を頻繁に行わなくても、自然な美しい樹形を保ち続けます。
特に株立ち樹形のハイノキは、枝がしなやかに広がりながら伸びるので剪定なしでも風通しがよく、バランスの取れた姿になります。
庭木としては管理がとても楽で、時間や手間をかけずに育てたい方におすすめです。

また、ハイノキは強剪定が必要な木ではありません。
生育が旺盛過ぎないため枝が乱れにくく、少し枝葉が伸び過ぎたと感じたときに軽く切り戻す程度で十分です。

剪定のタイミングとしては、3月から4月の春先がベスト。
枯れた枝や込み入った部分を切り整えると、さらにすっきりとした樹形を楽しむことができます。

また、剪定後も再生力があるので、多少大胆に切っても問題なく育ちます。
風通しが良い状態を保つことで、病害虫のリスクも軽減されるため、病気に強く健康的な木を維持できます。
常緑樹であるため、冬でも葉が残り、剪定の頻度を抑えつつ、四季を通じて美しい庭を演出することができるのがハイノキの魅力です。

ハイノキのデメリット

その美しい樹形や育てやすさから庭木に人気のハイノキですが、デメリットもいくつかあります。
生長が遅いため、早く大きくしたい方には物足りない場合があります。
また、害虫の被害が少ないとはいえ、カイガラムシやアブラムシがつくことがあり、対策が必要です。
樹高が高くなり過ぎると、剪定の手間が増えることも。
さらに、シンボルツリーとして選んだものの思った以上に管理が難しく、後悔するケースもあります。

ここでは、ハイノキのデメリットを下記4つ紹介します。

  1. 生長が遅い
  2. 害虫
  3. 樹高が高い
  4. シンボルツリーとして後悔する

生長が遅い

ハイノキの生長スピードが遅いことは、庭木としてのデメリットのひとつです。
1年に伸びる高さは約20cm程度で、ほかの庭木と比べても生長スピードがゆっくり。
このため、早く大きな木にしたいと考えている場合には思ったように育たず、期待に反することもあります。
特にシンボルツリーとして植えた場合、庭の全体バランスを考えて「もっと早く生長してほしい」と感じることがあるかもしれません。

また、生長スピードが遅いことで、目隠しや日除けを目的にハイノキを植えた場合、機能を果たすまでに時間がかかる点も注意です。
早い段階で効果を得たい場合には、別の樹木やグリーンカーテンとの組み合わせを検討しましょう。

例えば、シマトネリコは生長スピードが早く、目隠しや日陰づくりには向いていますが、剪定が頻繁に必要になります。

しかし、生長スピードが遅いことは、逆に手入れが少なくて済むメリットにもつながります。
剪定の回数が少ないことで、忙しい方でも気軽に庭を維持できる利点もあり、大きく育つのを待つ時間を楽しむ、という考え方もありますね!

害虫

ハイノキは、比較的病害虫に強い庭木ですが、完全に害虫がつかないわけではありません。
とくにカイガラムシやアブラムシがつくことがあるため、定期的な観察と対策が必要です。

カイガラムシは枝や葉にくっつき、養分を吸い取る害虫で、放置すると木全体の健康を損なう原因になります。
カイガラムシがついてしまった場合は、薬剤での対策が有効ですが、成虫は硬い殻を持っているため、手やブラシで直接こそぎ落とす方法がおすすめです。
風通しの良い環境を保つために、定期的に剪定もしましょう。

またアブラムシも同様に、養分を吸い取って木を弱らせる害虫です。
春から秋にかけて発生しやすく、増えるとすす病などの二次的な被害を招くことも。
早めに薬剤を使って駆除するか、数が少ない場合は手で取り除くなどの対策を行いましょう。
特に新芽や若い葉にアブラムシがつきやすいので、こまめなチェックが大切です。

樹高が高い

樹高が高くなることは、庭木としてのデメリットのひとつです。
生長スピードが遅いハイノキですが、最終的には3〜5mほどに達することもあり、庭全体のバランスを考えると「大きくなり過ぎた」と感じる場合もあります。
特に狭いスペースや住宅街の庭では、あまりにも樹高が高くなると圧迫感を与えることがあるため、植える場所には注意が必要です。

基本的にハイノキをシンボルツリーとして植える場合、剪定を行って樹形を整えることで、樹高をある程度コントロールすることができます。
しかし、放置していると知らないうちに高さが出てしまい、剪定のタイミングを逃すと大きくなりすぎることも。

また、高く生長することで風通しが悪くなり、株の上部に陽が当たらなくなることもあります。
特に玄関先やリビングの窓の近くに植えた場合、日当たりや見通しが悪くなってしまうこともあるので、庭のスペースや周囲とのバランスを考えて、計画的にハイノキを選びましょう。

シンボルツリーとして後悔する

ハイノキをシンボルツリーとして植えた場合、後悔することがあるかもしれません。
美しい樹形と育てやすさで人気な庭木ですが、思った以上に樹高が高くなってしまったり、生長スピードが遅いために期待通りに育たないこともあります。
特に、庭全体のバランスを考えずに植えてしまうと、時間が経つにつれて「もっとコンパクトな木にすればよかった」と感じることも少なくありません。

また、生長が遅いことが裏目に出るケースもあります。
シンボルツリーとして、すぐに庭のアクセントになってほしいと思っている場合、ハイノキのゆっくりした生長スピードに対して不満を感じてしまうこともあるでしょう。
庭の目隠しや日除けを期待していると、その効果が得られるまでに長い時間がかかるため、別の木にしておけばよかった後悔することもあるかもしれません。

さらに、シンボルツリーとしての存在感があるハイノキは、下草や低木など、ほかの植物や庭のデザインとの調和が難しくなることも。
特に、植栽計画をしっかりと立てずに植えてしまうと、後から手入れや管理が大変になり、思わぬ負担になることも考えられます。
ハイノキをシンボルツリーとして選ぶときには、これらの点をしっかりと考慮しましょう。

ハイノキの置き場所

ハイノキは庭木として魅力的ですが、鉢植えで育てる場合は、適切な置き場所を選ぶことが大切です。
半日陰を好むため、日当たりが強すぎない場所に置きます。
特に西日の当たる場所は避け、風通しの良い場所にすると、健康に育ちやすくなります。
玄関先や庭の隅に植えると、樹形の美しさが引き立ち、空間全体にバランスの良いアクセントを作り出すことができます。

また、鉢植えで育てることも可能なので、スペースに応じて場所を選べるのもハイノキのメリットです。
シンボルツリーや玄関の近くに植える場合も、周りとの調和を考えた配置が大切です。

玄関

玄関は家の顔ともいえる場所です。
そこにハイノキを置くことで、自然な彩りを加え、清潔感や涼しさを演出してくれます。

特に庭のスペースが限られている場合や手軽に季節感を楽しみたい方は、玄関先にハイノキを鉢植えで育てるのがおすすめです。
生長スピードが遅いため、鉢植えでも長期間にわたって美しい姿を維持することができます。

ハイノキを玄関で育てるときには、鉢のサイズと置き場所がしっかりと確認しましょう。
鉢は根がしっかり張れる大きさのものを選び、通気性や排水性の良い土を使います。

比較的、玄関は半日陰になることが多いため、ハイノキにとって適した環境です。
ただし、西日が強く当たる場合は、葉焼けを防ぐために日陰になるように工夫をします。

また鉢植えにすることで、季節ごとに置き場所を変えられるのも鉢植えのメリット。
夏の暑い時期には風通しの良い場所に移動させたり、冬の寒さが厳しい場合は、玄関の内側・室内に入れて保護することも可能です。
温度を一定に保てられ、株が枯れることもあまりなく、すくすくと生長してくれます。

ハイノキの美しい葉と自然な樹形は、玄関に置くことで縁起を担ぎ、おもてなしの雰囲気を作り出す。

シンボルツリー

シンボルツリーとしても人気があるハイノキは、自然な樹形が美しく、剪定をあまり必要としないため、手間がかからない点が魅力的です。
特に株立ちのハイノキは、幹が複数立ち上がることでボリューム感があり、シンボルツリーとして庭全体にバランスを取る役割を果たしてくれます。
冬でも葉を一斉に落とさない常緑樹であるため、季節を問わず美しい緑を楽しめるのもポイント。

また、ハイノキはシンボルツリーとしての存在感が控えめで、周囲の植物や家との調和が取りやすいというメリットもあります。
落葉樹のように季節ごとに枝葉が大きく変わることがないため、安定感のある景観を作りやすいです。
庭にシンプルで自然なアクセントを加えたい方には、シンボルツリーとしておすすめです。

ハイノキの育て方・管理方法

植え付け・植え替え

ハイノキを植え付けるなら4月〜5月が適期です。
水はけがよく、有機質に富んだ土壌に植え付けましょう。

赤玉土と腐葉土、堆肥を混ぜ合わせて用土を作ると効果的です。
土と根の間に隙間ができないよう、水を入れたり木を動かしたりして、しっかり土を入れていきます。

ハイノキの乾燥対策を兼ねて、水鉢を作ることも大切です。
植えた穴の周りに土を盛って土手を作り、水鉢を作りましょう。

水やりの際には水鉢に水がたっぷりと溜まるように与えてください。
また、根が浅いため強風で倒れないように、支柱を立てて紐で結び、しっかりと固定しましょう。
植え替えの必要はありませんが、植え付けた場所の環境が適さない場合は、植え替えが必要となります。

肥料

肥料は与えなくても育ちます。
しかし、与えた方が生育がよくなります。

追肥をするなら、1月〜2月の時期に与えましょう。
この時期に与える肥料は寒肥と言い、木が休眠している時に与える肥料になります。
速効性のある肥料は避けて、緩効性肥料を与えてください。

有機肥料なら骨粉や油かすがおすすめです。
微生物がゆっくりと分解してくれるため、春から始まる生育に効果的です。
寒肥を与える時は、根に直接触れないようハイノキの枝先がある位置の地面に穴を掘り、肥料を埋めて与えましょう。

剪定

ハイノキは自然な樹形を楽しむ庭木なので、あまり剪定を必要としません。
生長スピードも遅いので、剪定をする場合は枝が伸びすぎたり、バランスが気になったりする時におこないます。

3月〜4月は剪定に適しているので、この時期に枯れ枝や混みいった枝を剪定するといいでしょう。
11月〜12月も剪定ができるので、必要な方は不要枝をカットしてください。

詳しくはこちら⇩を確認しよう!
ハイノキ(灰の木)の管理方法

病害虫

病気や害虫の被害にあうことは少ないハイノキですが、アブラムシ、カイガラムシなどがつくケースもあります。
アブラムシは養分を吸汁し、排泄物はすす病やウイルスなどの病気を引き起こすこともあるため、大量発生には注意しましょう。

春と秋に多く発生するので、数が少ないうちに害虫用の薬剤やテープを使って取り除きます。
カイガラムシは枝に寄生する害虫です。幼虫の時は薬剤でも駆除できますが、成虫になると固い殻のようなものを被るため、薬剤の効き目が悪くなってしまいます。

この場合は、手袋やブラシを使ってこそぎ落とすか、不要な枝なら剪定する方法が有効です。
風通しが悪い環境で多く発生することがあるため、剪定時期に風通しをよくするためのすかし剪定をしておくといいでしょう。

植物の害虫や病気で困っている時!に見る|【害虫まとめ】も見てみよう。

日当たり

西日はハイノキの育て方で、特に注意して欲しいポイントです。
雑木林のような環境を好むため、夏の直射日光は特に苦手とします。

強い日差しで葉焼けを起こすと、葉が落ちてしまうリスクも少なくありません。
ハイノキは午前中に日が当たり、午後には日陰になるような場所が生育にもっとも適しています。

このような西日が嫌いな庭木や植物は、あらかじめ東側に植栽すると、適した環境で上手に育てられるでしょう。
また、ハイノキは日陰でも育てられますが、健康的に育てるには半日陰で育ててください。

水やり

植え付けてから約半年の間は、地中に根が張っていないため、株元に水やりをしましょう。
植え付けた時に作った水鉢へ、水が溜まるようにしっかりと与えます。

夏の間は朝か夕方の涼しい時間帯に水やりをしましょう。
ときどきホースを使ってハイノキ全体に水をかけてあげると、温度が下がり葉がいきいきとします。

根付いてしまえば降雨だけで問題なく育ちますが、夏に雨が降らない日が続く場合には、乾燥を防ぐためにも水やりをするといいでしょう。

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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 くずうまま

ハンギングバスケットマスターの資格を保持。日々ガーデニングや寄せ植え、ハンギング作りなどにいそしむ。草花を愛でるのが至福のひととき。

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