春になると壺のような白い花を咲かせ、秋には真っ赤に紅葉して庭を彩るドウダンツツジ。四季を通じて楽しめる人気の低木ですが、毎年花が咲かずに悩む方も少なくありません。

せっかく育てても花がつかない原因には、剪定や日当たり、肥料のタイミングなどが関係しています。

今回は、ドウダンツツジの花が咲かない原因とその対処法、花を咲かせるための育て方や剪定のコツについて詳しく紹介します。


自己流の剪定木が枯れるかも

目次

ドウダンツツジとは?特徴・基礎知識

Enkianthus perulatus

育てているドウダンツツジは、庭や植木鉢に植え付けてからどのぐらいの年月が経ちましたか?若木によっては、まだ花が咲かないこともあります。

まずは、ドウダンツツジとはどのような花木なのか、特徴や基礎知識を知っておきましょう。

生長サイクルと開花時期

Enkianthus perulatus

ドウダンツツジは、春に新芽が出てから初夏にかけて白い花を咲かせる低木です。
開花は例年4〜5月ごろが見ごろで、芽吹きから花が咲くまでのスピードが早いのも特徴です。

夏には葉がしっかりと茂り、秋には鮮やかな紅葉を楽しめ、冬に葉を落とす落葉樹なので、休眠期と生長期の切り替えもはっきりしています。
開花時期に合わせて栄養や環境を整えることで、毎年きれいな花姿を楽しむことができます。

若木の育て方と花が咲くまでの年数

Enkianthus perulatus

若木のドウダンツツジは、植え付けから数年かけてゆっくりと株を育てることが大切です。
根がしっかり張るまでは、日当たりと水管理に気を配りながら、過度な剪定は控えましょう。

花が安定して咲くまでには、早くても植え付けから3〜5年ほどかかるので、土の乾燥や肥料切れに注意しながら、株を丈夫に育てることがポイントです。

ドウダンツツジの花が咲かない原因と対処法

Enkianthus perulatus

ドウダンツツジの花が咲かない原因は複数あります。
ここでは花が咲かない大きな原因とその対処法について解説します。

1. 日照不足

Enkianthus perulatus

ドウダンツツジの花が咲かない原因のひとつに、日照不足があげられます。
特に家の北側や背の高い木の陰など、日光が長時間当たらない場所では、花芽が育ちにくくなってしまいます。
春先に十分な光を浴びられないと、花を咲かせるエネルギーが足りなくなり、葉ばかりが茂ってしまうこともあります。
日当たりの条件が悪いと、枝先のつぼみが膨らまず、開花が見られないまま終わってしまうことがあります。

対処法:日当たりの確保する

花つきを良くするためには、できるだけ日が当たる場所でドウダンツツジを育てることが大切です。
庭木や塀の陰になっている場合は、枝の整理や移植も視野に入れましょう。

鉢植えで育てている場合は、春から初夏にかけて、日当たりの良い場所へ移動させるのがベスト。
朝から昼過ぎまで光が当たる場所なら、花芽の形成にも良い影響を与えます。

2. 剪定のタイミング・方法の誤り

pruning

花芽ができる前に剪定を行うと、ドウダンツツジのつぼみを枝ごと切り落としてしまうこともあります。
特に夏以降に枝を整えると、翌春の開花が見られなくなることも。
さらに、ドウダンツツジは枝葉が密になりやすいため、剪定をせずに放置すると風通しが悪くなり、日光が株全体に行き渡らなくなります。
刈り込みすぎや同じ場所ばかりを切る剪定も、花芽の形成を妨げる原因になります。

対処法:花後すぐに剪定し、強い切り込みを避ける

花が終わったあとのタイミングで剪定を行うと、翌年の花芽を守りながら枝の整理ができます。
ドウダンツツジは花後すぐに軽く枝を整える程度にとどめ、太い枝や株元まで切り戻すような強い刈り込みは避けましょう。
剪定バサミの切れ味にも注意して、枝をつぶさずにスパッと切ることが、美しい花つきにつながります。

3. 肥料不足・タイミングのズレ

ドウダンツツジは、花芽をつくる時期に必要な栄養が不足していると、うまく花がつかないことがあります。
特に春先に養分が足りていないと、つぼみが形成されにくくなります。
また、肥料を与えるタイミングがずれてしまうと、葉や枝ばかりが茂り、花の準備が後回しになることも。
元気に見えても、実は土の中の養分が足りていないケースもあるため、見た目だけで判断せず、肥料の量や時期を見直すことが大切です。

対処法:適量の肥料を春と花後に与える

春先の芽吹き前と、花が終わったあとのタイミングで肥料を与えると、健やかな株の生長と花芽の形成を促進できます。
ドウダンツツジには、即効性のある化成肥料や、ゆっくりと効く有機肥料をバランスよく取り入れるのがおすすめです。
一度にたくさん与えず、株元から少し離した位置にまくと、根の負担も少なくなります。

4. 水やり不足・夏場の乾燥

真夏の暑さが続く時期に土の乾きが早くなると、ドウダンツツジは水分不足に陥りやすくなります。
特に鉢植えや、風通しの良い場所に植えられている株は、気づかないうちに根が乾燥してダメージを受けてしまうことも。
花芽をつくる前の時期に乾燥が続くと、つぼみの形成がうまく進まず、そのまま翌春に花が咲かないこともあります。
地植えであっても、強い日差しや雨の少ない日が続いたときには注意が必要です。

対処法:土の乾燥に注意し、夏は朝晩しっかり水を与える

夏の暑い時期は朝と夕方の涼しい時間帯に水を与えると、土の乾きすぎを防ぐことができます。
ドウダンツツジは浅く根を張るため、表面だけの水やりではすぐに乾燥してしまいます。
株元の土を指で軽く触って、乾いているようならたっぷりと水を与えましょう。

鉢植えの場合は、風通しが良すぎる場所を避けて半日陰に移動させるのもいいです。
保水性のあるマルチング材を使うと、水分の蒸発も抑えられて管理がしやすくなりますよ。

5. 病害虫の発生

Enkianthus perulatus

ドウダンツツジに害虫が発生すると、栄養の吸収が妨げられ、花芽の形成がうまくいかないことがあります。
特にカイガラムシやイラガの幼虫が葉に付くと、葉が枯れたり、生長が止まったりすることもあります。
これらの害虫は見落としやすいですが、枝や葉の裏に隠れていることが多いため、定期的に確認することが重要です。
また、病気が原因で葉が落ちたり、枝が弱くなったりすると、花をつける力も減少してしまいます。

対処法:定期的に点検し、早めに駆除・薬剤散布を行う

葉の色や表面に異変がないかをこまめに確認することで、害虫や病気の早期発見につながります。
ドウダンツツジは葉の裏や枝の分かれ目にカイガラムシやイラガが潜んでいることがあるため、見落としのないよう丁寧に観察しましょう。
害虫が少ないうちに歯ブラシやピンセットで取り除くと被害も最小限で済みます。
発生が多い場合は、市販の殺虫剤や殺菌剤を春と夏に分けて散布しましょう。

ドウダンツツジの花を咲かせるための育て方のコツ

Enkianthus perulatus

ここでは、ドウダンツツジの花を咲かせるための育て方のコツを紹介します。

①土壌のpHを適度に保つ

pH

ドウダンツツジは弱酸性から中性の土を好む植物です。
土壌のpHが合っていないと、根が養分をうまく吸収できず、元気がなくなったり花つきが悪くなったりすることもあります。

市販の簡易キットなどで土のpHを測定し、酸性に傾きすぎている場合は苦土石灰を混ぜて調整しましょう。
鉢植えの場合は、市販の培養土を使うと手軽に管理できますよ。

②温度管理に気を配る

ドウダンツツジは寒さに強い落葉低木ですが、つぼみが育つ時期に急な寒波や遅霜にあたると、花芽が傷んでしまうことがあります。
鉢植えで育てている場合は、冷え込みが強くなる前に軒下や風の当たりにくい場所へ移動させましょう。

地植えの場合も、冷たい風を避けられる場所に植えると、つぼみの保護につながります。
気温が安定するまでは、株元にマルチング材を敷いて保温するのもおすすめです。

③風通しを確保する

Enkianthus perulatus

枝葉が密集しやすいドウダンツツジは、風通しが悪くなると湿気がこもりやすくなります。
湿度が高い状態が続くと、病気や害虫の原因にもつながり、株の元気がなくなることがあります。

花芽の形成にも悪影響を与えるため、枝の間引きや剪定で空気の流れを作ってあげることが大切です。
特に梅雨時期や夏の前には、風が抜けるように軽く整えておくと安心です。

④植え替え・鉢替えで根詰まりを防ぐ

鉢植えで育てているドウダンツツジは、数年たつと根が鉢の中でいっぱいになり、水や養分をうまく吸えなくなってしまいます。
根詰まりの状態が続くと、葉の色が悪くなったり花芽がつきにくくなったりすることも。

ひとまわり大きな鉢へ植え替えることで、根がのびのびと育ち、株全体も元気を取り戻します。
古い土を落としながら根を整理すると、新しい環境でもスムーズに育ちます。

⑤落ち葉や堆肥を活用したマルチング

株元に落ち葉や堆肥を敷き詰めるマルチングは、土の乾燥を防ぎながら、急な気温の変化から根を守る効果があります。
特に冬場は防寒対策として、夏場は保湿・雑草予防として役立ちます。

堆肥を使うと、ゆっくりと土に栄養が加わり、花芽を育てる力にもつながります。
敷くときは株元にぴったり重ねず、少し隙間をあけて風通しを確保すると病気予防にもなります。

ドウダンツツジの花を咲かせる剪定のコツ

Enkianthus perulatus

適切な剪定ができていないと、ドウダンツツジは花を咲かせないこともあります。
適切な剪定時期と方法を知って、作業を行ってみてください。

Point1. 花後すぐに剪定を行う

ドウダンツツジの剪定は、花が咲き終わった直後に行いましょう。
花芽は夏ごろから少しずつ準備を始めるため、それ以降に枝を切ってしまうと、次の年の花が咲かなくなることも。
花が終わったタイミングで剪定しておけば、花芽を残しつつ樹形も整えられて一石二鳥です。

Point2. 徒長枝を切る

勢いよくまっすぐ伸びた徒長枝は、ドウダンツツジの花つきを妨げる原因になることもあります。
光や栄養が限られた枝に偏ってしまい、ほかの枝の花芽が育ちにくくなってしまうので、徒長枝を見つけたら枝元から切り戻して、株全体に光が届くように整えましょう。

Point3. 重なり合った枝や交差枝を整理する

枝同士が重なったり交差している部分は、風通しや光の入り方を妨げてしまいます。
そのままにしておくと、蒸れやすくなって病気が発生しやすくなるだけでなく、ドウダンツツジの生長にも影響します。
枝と枝の間にすき間をつくるように、内側に向かって伸びている枝や、こすれ合っている細い枝を早めに整理しましょう。

Point4. 枯れ枝・弱った枝を優先して除去する

枝先が折れていたり、葉がつかずに茶色くなっている枝は、早めに取り除くのがポイント。
ドウダンツツジは元気な枝に栄養が集まるため、枯れ枝や弱った枝をそのままにしておくと、株全体の調子が落ちてしまうこともあります。
まず不要な枝を見極めてから、元気な枝が伸びやすいように整理しましょう。

Point5. 花芽を意識した切り方をする

ドウダンツツジの花芽は夏以降に枝の先端につくられるため、むやみに切り戻すと翌春の花が減ってしまうことがあります。
剪定ばさみを入れる位置は、葉芽との違いを見極めながら慎重に決めましょう。
花芽は丸みを帯びたふくらみが特徴です。

ドウダンツツジの花を咲かせるために必要な条件

ここでは、ドウダンツツジの花を咲かせるために必要な条件を紹介します。

①十分な日照環境を確保する

Enkianthus perulatus

ドウダンツツジは、春から初夏にかけてしっかりと日が当たる場所に植え付けます。

日陰が長く続く場所ではつぼみの生長が鈍くなり、花が咲かない原因にもつながることも。
建物の陰や背の高い木のそばを避けて、午前中に日差しが差し込む場所を選びましょう。

鉢植えの場合は、季節に合わせて置き場所を変えてあげるのも効果的です。

②適切な土壌環境と水管理

Enkianthus perulatus

ドウダンツツジは、ジメジメした土では根腐れが起きやすく、逆に乾燥しすぎるとつぼみが育ちにくくなります。

植え付けの際は赤玉土や腐葉土を混ぜて通気性を高め、乾き具合を見ながら水を与えましょう。
鉢植えは特に過湿に注意し、受け皿に溜まった水はこまめに捨てます。

③栄養を補うための肥料とタイミング

ドウダンツツジに花を咲かせるには、花芽が育つ前にしっかりと栄養を補っておくことが大切です。
寒さがゆるむ3月ごろに緩効性の肥料を与えると、春からの生長がスムーズになります。
さらに花後にもお礼肥として軽く施すことで、株の回復を助け、次の花芽づくりにつながります。

ドウダンツツジを育てる上での注意点・リスク

Enkianthus perulatus

四季がある日本では、気温や湿度が天候によって左右されるだけでなく、住んでいる場所によっては育てる環境も異なります。
時期や環境に応じて、育て方を変えていくことも大切です。

ここでは、ドウダンツツジを育てる上での注意点・リスクを解説します。

夏場の乾燥・水切れ防止

watering

真夏の強い日差しや高温が続くと、ドウダンツツジの根元が乾きやすくなり、水分不足に陥ることもあります。
乾燥が続くと葉がちぢれたり、花芽の形成にも影響が出る場合も。

土の表面が乾いていたら、朝か夕方の涼しい時間にたっぷりと水を与えましょう。
敷きワラやウッドチップを使ったマルチングもすると、水分が蒸発しにくく、水切れも起こしにくいです。

冬場の防寒対策と管理

Enkianthus perulatus

寒さにある程度強いものの、霜や冷たい風が続くと枝先が傷んでしまうこともあるドウダンツツジ。
鉢植えや若木は寒さの影響を受けやすいため、冬場は株元にバークチップや腐葉土などを敷き、防寒対策をして、根を冷えから守りましょう。

落葉後も枝や幹を傷めないよう、こまめに様子を見ながら管理することが春の芽吹きにつながります。

鉢植えや室内栽培時の注意

watering

風通しが悪くなると湿気がこもりやすく、根腐れや病気の原因につながることがあります。日当たりの良い窓辺や、明るい屋外に出せる日は、ドウダンツツジを外に出して風に当てましょう。

鉢の中の土が乾きすぎたり、逆に湿りすぎたりしないよう、指で土の状態を確認してから水を与えることが大切です。

ドウダンツツジの花が咲かないことに関するよくある質問

Enkianthus perulatus

最後に、ドウダンツツジの花が咲かないことに関するよくある質問をまとめました。

ほったらかしでも大丈夫?

ドウダンツツジは丈夫な性質をもっていて、ある程度は手をかけなくても育ちますが、完全な放置では花が咲かなくなることがあります。
剪定や水やり、日当たりの管理を怠ると、花芽がつかずに葉ばかりが茂ってしまうことも。

年に一度の剪定や、乾燥・肥料のタイミングを見てあげるだけでも、花つきが大きく変わります。

鉢植え・室内で育てる場合の注意点は?

鉢植えや室内でドウダンツツジを育てるときは、日当たりと風通しに気を配ることがポイントです。

暗い場所に長く置いておくと、つぼみがつかなくなったり、枝がひょろひょろと間延びしてしまうこともあります。
日中はできるだけ明るい場所で管理し、風のない日はときどき屋外で日に当てるのがおすすめです。

挿し木や花が咲くまでの年数は?

ドウダンツツジを挿し木で増やした場合、花が咲くまでには少し時間がかかります。
根がしっかり張って株が安定するまでに2〜3年、その後に花芽がつき始めるまでにさらに1〜2年ほどかかることもあります。

育てる環境によって差はありますが、5年ほどで安定して花が咲くようになることが多いです。

ドウダンツツジの花を咲かせる剪定はsmileガーデンへ

剪定の時期や切り方を少し間違えるだけで、翌年の花が咲かなくなってしまうこともあるドウダンツツジ。
そんな繊細な剪定こそ、経験豊富なプロに任せるのが安心です。

smileガーデンなら、土日も対応してくれて、電話一本で依頼ができる手軽さも魅力のひとつ。
花を咲かせるための確かな剪定技術をもつスタッフが対応してくれるので、初めての方にもおすすめです。

ぜひ剪定を業者に依頼するなら、smileガーデンへご相談ください!


自己流の剪定木が枯れるかも

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 柴﨑光一

リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。

おうちの近くのお庭の専門家を探そう!お庭の窓口ガーデン業者サーチ