夏の庭を彩る代表的な花木、サルスベリ。
すべすべとした幹肌と、鮮やかな花が長く咲き続ける姿が魅力です。
しかし、毎年楽しみにしていた花が咲かずに終わってしまうことも。
花が咲かない原因は、剪定時期のずれや管理不足によるものがほとんどです。
今回は、サルスベリの花が咲かない理由とその対処法、花をたくさん咲かせる育て方のコツを詳しく紹介します。
目次
サルスベリとはどんな花木?基本知識
まずはサルスベリとはどんな花木なのか、基本的な知識を知っておきましょう。
サルスベリの特長
サルスベリは、夏から秋にかけて長く花を楽しめる落葉樹ですが、花を咲かせるには毎年の剪定が欠かせません。
新しく伸びた枝にしか花芽がつかない性質があり、剪定のタイミングや方法によって花つきが変わるのが特徴です。
また、日当たりや風通しの悪い場所では、つぼみがつかず咲かないことも。
毎年の管理が花数に直結するため、育てるうえでは手入れのしやすさや植える場所も意識しておくことが大切です。
花の後にできる実はそのままでOK?
花が終わったあとにできるサルスベリの黒っぽい実は、そのままにしておいても木の健康には影響ありません。
自然に落ちるまで放置しても大丈夫ですが、見た目が気になる場合は、剪定のタイミングで一緒に取り除きましょう。
サルスベリの寿命と開花の関係
サルスベリは寿命が長く、環境が合えば数十年にわたって花を咲かせ続ける丈夫な花木です。
ただし、古くなるにつれて枝が込み合い、花芽がつきにくくなることも。
樹齢が高くなるほど剪定や管理の影響が出やすくなるため、毎年の手入れが花つきに関わることもあります。
サルスベリの花が咲かない原因と対処法
サルスベリの花が咲かない原因とは何か。
ここでは、対処法と一緒に原因を探ってみましょう。
1. 日照不足
サルスベリの花が咲かないとき、まず見直したいのが日当たりの悪さです。
日光が大好きな木なので日の当たる時間が短いと、蕾(つぼみ)がうまく育たず、花が咲かなくなることもあります。
建物の陰や木の下など、日陰になりやすい場所にも注意が必要です。
対処法:日当たりの良い環境か見直す
鉢植えのサルスベリなら、朝から夕方までしっかり陽が当たる場所へ移動させましょう。
建物の陰や木陰になっている場所は避け、風通しも良い場所を選びます。
地植えの場合は、広いスペースに植え替えることで日当たりが改善されることもあります。
近くにある背の高い木や茂りすぎた植物が影を作っているようであれば、株の内側まで光が入るように剪定しましょう。
2. 肥料不足
長年同じ場所でサルスベリを育てていると、土の栄養分が足りなくなってしまうこともあります。
特に花を咲かせるためにはエネルギーが必要なので、肥料分が不足していると、蕾がつきにくくなったり、咲かずに終わってしまうことも。
葉ばかりが茂っているのに花が見られない場合は、土の状態や養分バランスが崩れているサインかもしれません。
対処法:寒肥とお礼肥を施す
毎年欠かさずにサルスベリに、寒肥とお礼肥を忘れずに施しましょう。
寒肥は冬の間にじっくりと効き始め、春の芽吹きや生育を助けます。
花が咲き終わったあとのお礼肥は、消耗したエネルギーを補い、次の花つきをよくするために必要です。
有機肥料や緩効性化成肥料を選び、根の周りにまんべんなくまいて、軽く土と混ぜ合わせておきましょう。
3. 水不足(土の乾燥)
強い日差しのもとで土が乾きやすい場所にサルスベリが植えられていると、花芽をつける前に水分が足りなくなってしまうことがあります。
特に真夏の高温期は、地面の水分が一気に蒸発するため、気づかないうちに土の中までカラカラに乾いていることも。
鉢植えだけでなく地植えでも同じで、乾燥が続くと花の生育に必要な水が行き届かず、花つきが悪くなる原因になります。
対処法:乾燥時に適切な水やりをする
サルスベリの花芽をしっかりと育てるためには、土の乾き具合を見ながら、タイミングよく水を与えることが大切です。
特に真夏の晴れ続きのときは、朝や夕方の涼しい時間帯にたっぷりと水をしみ込ませましょう。
鉢植えはもちろん、地植えでも土の表面だけでなく深さ5cmほどの部分まで確認するのがポイント。
葉の様子だけでは判断しにくいため、土の状態をこまめにチェックし、乾燥していたら早めの水やりを心がけましょう。
4. 剪定の失敗
前年に伸びた枝の先に花芽をつけるサルスベリは、剪定のやり方を間違えると花が咲かなくなってしまうことがあります。
春先や初夏など、花芽ができる前の時期に切りすぎてしまうと、枝を伸ばすだけで終わってしまい、花が見られない原因になります。
強剪定のタイミングや切る位置を誤ると、せっかくの花芽がすべてなくなってしまうこともあるため、毎年の剪定には注意が必要です。
対処法:時期を守って正しく剪定する
花を咲かせるには、剪定の時期と切る場所をしっかり見極めることが大切です。
落葉して枝の様子がわかりやすくなる冬〜早春の時期に、前年に伸びた枝の先端を残しながら、不要な枝や絡み合った枝を整理します。
枝元から深く切りすぎないように注意し、全体のバランスを見ながら形を整えましょう。
勢いのある枝は途中で軽く切り戻すことで、花芽がつきやすくなります。
5. 病害虫の被害
枝葉に黒いススのような汚れがついていたり、葉がベタついていたりする場合は、病害虫の影響を受けている可能性があります。
カイガラムシやアブラムシが発生すると、排せつ物をエサにすす病が広がり、光合成がうまくできなくなってしまうことも。さらに、葉やつぼみに虫が入り込んで吸汁することで、花芽の形成が妨げられるケースもあります。
対処法:薬剤散布で予防・駆除する
枝葉の様子に違和感があるときは、早めに殺虫剤や殺菌剤を散布して対処するのが効果的です。
特にカイガラムシやアブラムシは繁殖力が強いため、発見した段階でしっかりと駆除しましょう。
発生しやすい時期は春から夏にかけてなので、3〜4月と6〜7月の年2回を目安に予防散布をします。
症状がひどい場合は、枝葉を切り戻して風通しを良くしながら、こまめな観察と薬剤の併用で被害を抑えます。
サルスベリの花をたくさん咲かせる育て方のコツ
ここでは、サルスベリの花を咲かせるための育て方のコツを紹介します。
①腐葉土や堆肥を混ぜた土壌改良を行う
根がしっかりと張れる環境を整えるためには、植え付け前に腐葉土や堆肥を混ぜて、ふかふかの土にしておくことが大切です。
水はけと通気性の良さを確保することで、根の伸びが良くなり、健康な枝葉と花芽が育ちやすくなります。
土が硬かったり粘土質だったりする場合は、赤玉土や川砂を加えて、さらっとした質感に仕上げましょう。
②根元にマルチングを施す
強い日差しや乾燥から根を守るために、株元にバークチップや腐葉土を敷くのがおすすめです。
マルチングをしておくと土の温度が安定し、保湿効果も高まります。
雑草の抑制にもつながるので、見た目もすっきりした印象に。
厚さは3〜5cmほどを目安に、根元をふんわり覆うように敷き詰めてください。
雨のあとに土が跳ね返るのも防げるので、病気の予防にも効果的です。
③植え付け時の深さを適切にする
植え付けるときは、根鉢の上部がうっすら地表に出るくらいの深さで掘り、地上部に山ができるように土を被せましょう。
深く植えすぎてしまうと、水はけが悪くなり、根腐れや生育不良の原因になることも。
特に粘土質の土では注意が必要です。植え付け後は、周りの土を軽く踏み固めて、ぐらつかないように安定させましょう。
④適切な株間を保つ
苗を植え付けるときは、周りの木や建物との距離をしっかり確保することが大切です。
株と株の間が狭すぎると風通しが悪くなり、湿気がこもって病害虫の原因になることもあります。
枝葉が重なり合うと日当たりも悪くなり、花芽の育ちにも影響が出ます。
目安としては、1本につき1.5〜2メートルほど間隔を空けるのがおすすめです。
ゆったりとしたスペースを確保することで、元気に育ち、美しい花をたくさん楽しめます。
⑤冬場の寒風や霜に注意する
冬の冷たい風や霜にさらされると、枝先が傷んで春の芽吹きが遅れることがあります。
特につぼみをつける大切な枝先がダメージを受けると、花が咲かなくなる原因にもつながります。
寒さの厳しい地域では、株元に腐葉土やバークチップを敷いたり、不織布をかけて保温したりしましょう。
風当たりの強い場所では、風よけを設置するのもひとつの方法です。
サルスベリの花を咲かせる剪定のコツ
ここでは、サルスベリの花を咲かせるための剪定のコツを紹介します。
Point1. 11~3月に剪定する
サルスベリの剪定は、葉が落ちたあとの11〜3月ごろがベスト。
枝の様子がよく見えるので、不要な枝の整理がしやすく、切る位置の判断もしやすくなります。
花芽は新しく伸びた枝の先につくため、芽吹き前に剪定しておくことで、春からの枝の伸びを促し、花つきも良くなります。
寒さの厳しい地域では、1〜2月を避けて早めか遅めの時期に行うのが安心です。
Point2. 徒長枝(勢いよく伸びすぎた枝)を切る
枝の中でも特に勢いよく真っすぐに伸びている徒長枝は、花芽がつきにくく、そのままにしておくとサルスベリの木全体のバランスも乱れてしまいます。
栄養が偏ってしまう原因にもなるため、根元から切り取っておくのが安心です。
枝の分かれ目で切ることで、脇芽の発生を促す効果もあります。
風通しや日当たりも改善されるので、健康な枝にしっかりと花芽がつきやすくなります。
Point3. 混み合った枝や内向きに伸びた枝を切る
枝葉が込み合っている部分や内側に向かって伸びている枝は、早めに剪定して風通しを良くしておきましょう。
そのままにしておくと湿気がこもりやすくなり、サルスベリに病害虫が発生する原因にもなります。
光も入りにくくなるため、花芽の育ちにも影響が出てしまいます。
枝同士がぶつかって傷がつくのを防ぐためにも、枝の流れを見ながら整理するのがポイントです。
外に向かってスッと伸びた枝を残すことで、見た目も美しく整います。
Point4. 枯れ枝・弱った枝を切り落とす
サルスベリの冬剪定では、葉が落ちて枝ぶりがよく見えるタイミングを活かして、枯れた枝や元気のない枝を見極めて切り落としましょう。
枯れ枝を残しておくと風通しが悪くなるだけでなく、病害虫が集まりやすくなる原因にも。
細くて勢いのない枝も、花芽がつきにくいため早めに整理するのがポイントです。
元気な枝に栄養が行きわたることで、春以降の枝の伸びがよくなり、花つきのよい状態を保ちやすくなります。
Point5. 7〜8月にも剪定(花後の二度切り)を行う
一番花が咲き終わった7〜8月ごろに、花がらと一緒に枝先を軽く切り戻す「二度切り」を行うと、秋にもう一度サルスベリの花を楽しむことができます。
枝の途中で切ることで新しい芽が伸び、二番花が咲きやすくなるのが特徴です。
切る位置は、下から2〜3節ほど残すのが目安。
切りすぎると花芽がつかないこともあるため、控えめな剪定を心がけましょう。
鉢植えでサルスベリを育てる方法
サルスベリを鉢植えで育てている方もいると思います。鉢植えでも花が咲かないときは、ここで紹介することを改めて実践してみてください。
鉢植えに適した土の選び方
鉢植えで育てるときは、水はけと通気性の良い土を使うことがポイント。
赤玉土(中粒)と腐葉土を7:3の割合で混ぜた配合がおすすめで、根腐れを防ぎながら栄養もしっかり保てます。
市販の草花用培養土を使う場合は、軽石やパーライトを加えて空気の通り道を作ると安心です。
水もちがよすぎる黒土や粘土質の土は避けて、ふかふかとした感触のある土を選びましょう。
植え替えのタイミングと頻度
鉢植えでサルスベリを元気に育てるためには、水はけの良い土を選ぶことが大切です。
赤玉土(中粒)に腐葉土やバーク堆肥を混ぜた配合にすると、保水性と通気性のバランスがとれた土になります。
市販の鉢花用培養土でも育てられますが、重たい印象のある黒土や粘り気のある土は避けましょう。
根が呼吸しやすい環境を整えることで、花芽のつき方も安定してきます。
ふっくらとした土づくりが、花を咲かせるための土台になります。
鉢植えでの育て方と注意点
鉢植えでサルスベリを育てる場合は、日当たりの良い場所に置き、風通しにも気を配ることが大切です。
特に夏場は乾きやすいため、水切れに注意して土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。
また、根詰まりを防ぐためにも、定期的な植え替えが欠かせません。
鉢は底穴のあるタイプを選び、受け皿に水がたまらないようにするのがポイント。
季節に応じて置き場所を調整しながら、元気に育てていくことが長く花を楽しむコツです。
サルスベリが開花するまでの期間
サルスベリは、春に芽吹いてからおよそ2〜3カ月ほどで花芽をつけ、7月ごろから順に開花が始まります。
植え付けたばかりの苗木は、環境に慣れるまでに時間がかかるため、開花まで1〜2年ほど見ておくと安心です。
鉢植えや若木の場合は、枝葉の生長が優先されて花がつきにくいこともあります。
日当たりや水やり、剪定など、基本の管理をしっかりと行うことで、毎年安定して花を楽しむことができるようになりますよ。
若木から花が咲くまでにかかる年数
植え付けたばかりのサルスベリの苗木は、根がしっかりと張って安定するまでに時間がかかるため、すぐに花が咲かないこともあります。
環境に慣れて枝葉が充実してくると、2〜3年ほどで花が咲くようになります。
特に鉢植えは根の広がりが限られるため、生長のペースもゆっくりになりがちです。
水やりや肥料の管理、剪定などを丁寧に続けていくことが、花を咲かせるための近道。
気長に育てる気持ちが大切です。
サルスベリの花が咲かないことに関するよくある質問
最後に、サルスベリの花が咲かないことに関するよくある質問をまとめました。
剪定をしないとどうなる?
剪定をしないままサルスベリを育て続けると、枝が混み合って風通しが悪くなり、花芽がつきにくくなってしまいます。
また、古い枝に栄養が偏ってしまい、新しい枝の生長が鈍る原因にもなります。
花が咲いたとしても数が少なくなり、全体的にボリュームのない印象になることも。
見た目が乱れやすくなるため、毎年の剪定で形を整えておくのがおすすめです。
健康な枝に日が当たることで、花つきもよくなり、美しい姿を保つことができます。
花が咲かない原因を早期に気づくことはできる?
枝先に花芽がつかない、葉ばかり茂っている、枝がひょろ長く伸びているといった変化に気づいたときは、花が咲かないサインかもしれません。
早めに原因を見極めることで、剪定や肥料、水やりなどの管理を見直すきっかけになります。
特に春から初夏にかけての枝の伸び具合や葉の色つやをチェックしておくと、夏の開花状況が予想しやすくなります。
日ごろから木の様子をよく観察することが、早期発見と対処につながります。
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愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。
リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。