ラベンダーは、美しい紫色の花と芳醇な香りが楽しめるシソ科のハーブです。
種類が多いのが特徴で、香りや花の咲き方はもちろん、暑さ・寒さへの耐性もそれぞれ異なります。
代表的なラベンダーの種類と見分け方を知り、理想の1株に出会いましょう!
目次
ラベンダーの種類・系統一覧
非常に多くの種類があるラベンダー。
代表的な6つの系統は次の通りです。
【代表的なラベンダーの系統】
・アングスティフォリア系(イングリッシュラベンダー)
・スパイカ系(スパイクラベンダー)
・ラバンディン系
・ストエカス系(フレンチラベンダー)
・デンタータ系(フリンジドラベンダー)
・プテロストエカス系(レースラベンダー)
ラベンダーを植える場所や用途によって上手に使い分けられれば、美しいお庭やベランダが完成すること間違いなし。
それぞれの種類の特徴やおすすめの使い方を紹介していきます。
初心者でも育てやすく地植えもできるラバンディン系
ラバンディン系は、香りの良いイングリッシュラベンダーと耐暑性のあるスパイクラベンダーの交配種です。
生育が旺盛で、ラベンダーの中では大型の株に育ちます。
暑さや湿度にも強く、植え場所を選ばずに育てやすいのが特徴です。
比較的管理が楽なので、ガーデニング初心者が選ぶのにもぴったりな品種と言えるでしょう。
花壇に植えても存在感を発揮するラバンディン系のラベンダーは、地植えにもおすすめです。
ラバンディン系の代表品種:「グロッソ」「アラビアンナイト」「スーパーセビリアンブルー」
暑さに強いフレンチラベンダー
関東より西の暖かい地域で育てるには、耐暑性のあるフレンチラベンダーがおすすめです。
フレンチラベンダーは、ストエカス系に分類されるラベンダーです。
花の先端にウサギの耳のような苞葉があるのが特徴で、遠くから見ても花の部分が目立ちます。
鑑賞用のラベンダーを植えたい方にぴったりでしょう。
紫色だけでなく、ピンクや白など花色も豊富です。
また、フレンチラベンダーの一種として流通することも多い、フリンジドラベンダー(デンタータ系)も暑さに強く、暖地向きの品種です。
フレンチラベンダーの代表品種:「アボンビュー」「わたぼうし」「シフォン」
葉も美しいレースラベンダー
プテロストエカス系のラベンダーは、レースのような繊細な葉を持つことから、レースラベンダーと呼ばれています。
花だけでなく、葉の美しさも楽しみたいときにはレースラベンダーを選んでみてください。
全体的に線が細く、他の草花と組み合わせやすいため、寄せ植え鉢にも良く利用されます。
レースラベンダーは、高温多湿に弱いというラベンダーの特徴を持ちつつ、寒さにも弱いデリケートな品種です。
また、香りが弱くハーブとしての利用には不向き。
主に鑑賞用として楽しみます。
レースラベンダーの代表品種:「オリガノ」
ドライフラワーにしやすい香りの良いイングリッシュラベンダー
アングスティフォリア系のラベンダーは、イングリッシュラベンダーやコモンラベンダーと呼ばれています。
イングリッシュラベンダーは、香りを楽しむのにおすすめの品種です。
フレンチラベンダーやレースラベンダーよりも香りが強く、「これぞラベンダー」というフローラルな芳香を楽しめます。
ドライフラワーやポプリに加工するのにもぴったりです。
香りの良さと花の美しさを兼ね備えた人気の高い系統ですが、暑さに弱いため北海道など気温の低い場所で育てるのに向いています。
イングリッシュラベンダーの代表品種:「オカムラサキ(富良野ラベンダー)」「センティヴィア」「アロマティコ」
ピンク色のラベンダーの品種
紫色の花のイメージが強いラベンダーですが、イングリッシュラベンダーやフレンチラベンダーの中にはキュートなピンク色の花を付ける品種も存在します。
鮮やかな濃いピンク色の花を咲かせるものから、柔らかな薄桃色の花を楽しめる品種までさまざまです。
お好みで選んでみてください。
ピンク色のイングリッシュラベンダー:「エレガンス・ピンク」「ナナロゼア」「ふらのの想いで」
ピンク色のフレンチラベンダー:「キューレッド」「ザ・プリンセス」「ラヴェアンナ・ピンクロリポップ」
白色のラベンダーの品種
清楚な真っ白の花を咲かせるラベンダーも必見です。
紫色のラベンダーと組み合わせると美しいコントラストを楽しめます。
白色のラベンダー:「エーデルワイス」(ラバンディン系)「ピュアハーモニー」(フリンジドラベンダー)「アルバ」(フレンチラベンダー)
ラベンダーの種類を葉で見分ける方法
ラベンダーの種類や系統は、葉の形から見分けることができます。
一般的なラベンダーの葉は細長い
ラベンダーの原種をはじめ、イングリッシュラベンダーやフレンチラベンダー、ラバンディン系など多くのラベンダーは、ローズマリーの葉に似た細長い葉を持ちます。
葉の色は、鮮やかな緑色だったり、シルバーがかっていたりと品種によってさまざまです。
レースのような美しい葉のプテロストエカス系
レースラベンダーとも呼ばれるプテロストエカス系のラベンダーは、その名の通りレース模様のような美しい葉を茂らせます。
レースラベンダーかどうかは、葉をチェックすればすぐに見分けられるでしょう。
黒みがかった銅葉の品種や、斑入り葉の品種もあります。
のこぎりの歯のような形をしたフリンジドラベンダーの葉
デンタータ系に分類されるフリンジドラベンダーは、のこぎりの歯のようなギザギザした葉が特徴的な種類です。
デンタータは、ラテン語で「歯の生えた」を意味しています
。
歯の表面にはうっすらと細かい毛が生えています。
個性的な葉を持つラベンダーをお探しの方におすすめです。
ラベンダーの種類による香りの違い
ラベンダーは、系統や種類によって香りの強さが異なります。
代表的なラベンダーの香りの特徴は次の通りです。
・アングスティフォリア系(イングリッシュラベンダー)
香りは強め。
アロマテラピーの精油にも利用される優れた香りを持つ。
ラベンダー本来の芳香を楽しみたいならイングリッシュラベンダーがおすすめ。
・スパイカ系(スパイクラベンダー)
香りは強め。
野性味溢れるくっきりとした香りで「男のラベンダー」と称されることも。
樟脳のシャープな香りが好きな方におすすめ。
・ラバンディン系
香りは強め。
スパイクラベンダーに似た樟脳のツンとした香りがある。
アングスティフォリア系よりも甘さ控えめな、すっきり系の爽やかな香り。
リフレッシュしたいときに最適。
・ストエカス系(フレンチラベンダー)
香りは弱め。
鑑賞に適した品種だが、より強く香るよう品種改良された「ラヴェアンナ」などの品種もある。
・デンタータ系(フリンジドラベンダー)
香りは強め。
フローラルな甘さがあり、樟脳のような鼻に抜けるにおいは無い。
・プテロストエカス系(レースラベンダー)
香りは弱め。
鑑賞用途が主で、ハーブやアロマとしての利用には向かない。
香りを楽しみたいときにはイングリッシュラベンダーやフリンジドラベンダーがおすすめです。
すっきり系の香りが好みなら、スパイクラベンダーやラバンディン系のラベンダーも良いでしょう。
一方、比較的香りの弱いレースラベンダーやフレンチラベンダーは、強いにおいが苦手な人でも安心して育てられます。
住宅が密集している地域やベランダで栽培する場合など、近隣へのにおいの配慮が必要なときにもぴったりです。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。
植物が大好きなライターです。小学校の自由研究は「雑草の研究」でした。忙しい毎日でも無理なく楽しめるガーデニングを日々研究しています。雑草&野草・カラーリーフ・球根植物・100円ショップの園芸グッズ。