「土木工事業で独立したいけど、建設業許可を受けたほうがいいの?」

「土木工事業で建設業許可を取得する際の要件は?」

「申請方法や費用も知りたい」

こんな疑問に答える記事です。

土木工事業(土木一式工事)で独立を考えている方にとって、建設業許可を取得したほうがいいのかというのは、非常に悩みますよね。

そこで今回は、土木工事業で建設業許可を取得するメリット・デメリットや取得要件、申請方法と費用まで解説します。

最後まで読めば土木工事業で建設業許可を取得する方法が分かりますのでぜひご覧ください。

高杉 有希子
監修者 エクステリアプランナー 高杉 有希子

静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。

目次

土木工事(土木一式工事)の建設業許可って?

建設業許可は、国土交通大臣または各都道府県の知事から許可を受けることによって工事を行うことができる資格のことです。土木一式工事の建設業許可を取得することで、土木工事を行うために必要な技術や経験を持っている証明になります。

すべての建設工事ではなく、請負代金が500万円以上の建設工事の場合に取得が必要になります。

営業所が2以上の都道府県に所在する場合は国土交通大臣の許可、営業所が1つの都道府県のみに所在する場合は各都道府県の知事の許可が必要です。

そもそも土木工事(土木一式工事)ってなに?

土木一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事のことです。下請けとしてではなく、元請発注者から直接請け負う工事が土木一式工事に該当します。

しかし、元請けが監督や材料支給等のみを行い、1つの下請け業者が施工を行う場合は土木一式工事に該当します。

具体的な土木一式工事には道路、橋梁、河川、港湾、ダム、トンネル、橋梁、空港、農業用水道、かんがい用排水施設等の建設工事などがあります。

土木一式工事に含まれない工事は、家の配管工事、上水道などの取水や下水処理場内処理施設にかかわる工事などです。また、単独の盛土や切土、掘削も土木一式工事には含まれません。

土木一式工事の建設業許可を取得するメリットは?デメリットはある?

土木一式工事の建設業許可を取得するメリットは以下のとおりです。

  • 500万円以上の工事を受注することが出来るようになる
  • 安心して発注できる事業者の証明になる
  • 一定の財産的基礎がある証明になる
  • 下請け工事を受注しやすい
  • 公共工事に参入しやすい

デメリットは下記のとおりです。

  • 申請手数料や書類取得の費用と手間がかかる
  • 5年に1度、許可の更新が必要になる

簡単にまとめると、「大規模な工事を受注できるようになるけど、申請の手間と許可の更新が必要になる」ということですね。

土木工事業(土木一式工事)の建設業許可を取得するための要件

土木工事業の建設業許可を取得するには、次の要件を満たす必要があります。

  • 経営業務の管理責任者の設置
  • 誠実制がある
  • 欠落要件に該当しない
  • 専任技術者が営業所にいる
  • 財産的基礎・金銭的信用がある

1つずつ解説します。

経営業務の管理責任者の設置

経営業務の管理責任者の要件は、以下のどれかに該当する人になります。

  • 土木工事業の会社で役員経験5年以上
  • 土木工事業以外の工事業の会社で役員経験6年以上
  • 土木工事業の個人事業主としての経験5年以上
  • 土木工事業以外の工事業の個人事業主として経験6年以上
  • 土木工事業の会社または個人事業主の元で経営補佐経験6年以上

法人の場合は営業所に常勤する役員のだれかが、上記に該当していればOKです。個人の場合は事業主本人が上記の要件を満たしていなければなりません。

誠実性がある

誠実性が無いと判断された場合、建設業許可の取得を受けられません。誠実性とは、請負契約に関して不正な行為や不誠実な行為をする恐れがないことです。

建築士法・宅地建物取引業法等で、不正な行為や不誠実な行為を行ない、免許等の取消処分を受け、その処分の日から5年を経過していない場合や、暴力団の構成員で暴力団により実質的な経営上の支配が行われている場合は建設業許可を受けられません。

誠実性を証明するには、役員の履歴書、役員の誓約書、役員の身元保証書、役員の暴力団等関係者でないことの証明書が必要です。

欠落要件に該当しないこと

欠落要件に該当する場合も建設業許可を受けられません。

欠落要件は細かく決められていますが、主に下記があります。

  • 建設業許可の申請書類に事実ではないことを書いた
  • 請負契約の締結に必要な資格を有していない
  • 建設工事に関し、不正な行為を行ったことがある
  • 建設工事に関し、不誠実な行為を行ったことがある
  • 一般建設業許可または特定建設業許可が取り消され、取り消し日から5年経過していない者
  • 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない

常勤役員、非常勤役員の中に欠落要件に該当する人がいると、建設業許可を得られないので注意しましょう。

専任技術者が営業所にいる(一般と特定で変わる)

専任技術者が営業所に常勤していることも要件の1つです。

 一般建設業の要件

  • 指定学科の卒業しており、土木工事の実務経験がある(高卒5年以上、大卒3年以上、専門学校卒5年以上)
  • 対応する国家資格がある(1級または2級建設機械施工管理技士、1級または2級土木施工管理技士(種別:土木)、対応する技術士)
  • 土木一式工事業の実務経験10年以上 

特定建設業の要件

特定建設業の場合は、実務経験だけでは要件を満たせません。一般建設業の要件を満たし、なおかつ対応する国家資格の所持でのみ要件を満たせます。

対応する資格は、1級建設機械施工管理技士、1級土木施工管理技士、対応する技術士になるので注意してください。

建設業許可を取得するには、上記のどれかの要件を満たす人が営業所に常勤している必要があります。

財産的基礎・金銭的信用がある

財産的基礎・献饌的基礎の信用とは、建設工事を適切に遂行するために必要な資金や資産を有していることです。

一般建設業の場合は下記に該当する必要があります。

  • 目安として自己資産の額が500万円以上の残高証明書がある
  • 500万円以上の資金調達力がある
  • 過去5年間で継続した建設業の営業経験がある

特定建設業の場合は下記のすべてに該当しなければなりません。

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  • 流動比率が70%以上であること
  • 資本金の額が2000万円以上、なおかつ自己資本の額が4000万円以上

一般建設業の場合は資本金の額は要件にならないので、そこまで難しい要件ではないことがわかります。

一方で、特定建設業は資本金2000万円以上ですから、かなり難しいと言えますね。また、特定建設業の場合、5年後の更新時にも同じ条件を満たしていないといけません。

土木工事の建設業許可の申請方法は?費用はどれくらい?

それでは、土木一式工事の建設業許可申請方法、費用はどれくらいなのでしょうか。

申請方法と費用、注意点に分けて解説します。

申請方法

建設業許可を取得するまでの流れは以下のとおり。

  • 申請書を入手する
  • 建設業許可申請書を作成する
  • 必要書類を添付する
  • 建設業許可申請書と必要書類を都道府県知事または国土交通大臣に提出
  • 審査がとおるまで待機

審査に合格すると、建設業許可が交付されます。

営業所が2以上の都道府県にある場合は国土交通大臣の許可、営業所が1つの都道府県のみにある場合は各都道府県の知事の許可を取得してください。

建設業許可の申請書類は、申請する都道府県のホームページから入手できます。大臣許可の場合は、管轄の地方整備局から書類を入手してください。また、国土交通省のホームページからもダウンロードできます。

申請後、審査が通るまでの時間は、地方整備局に申請する場合は約3ヶ月〜4ヶ月、国土交通大臣許可の場合は、最短3ヶ月程度のようです。

申請書類に間違いや不備があると長引いてしまうので注意しましょう。

費用

申請手数料は大臣許可と知事許可で変わります。

  • 大臣許可の場合、登録免許税15万円
  • 知事許可の場合、手数料9万円

その他にかかる手数料は以下のとおり。

  • 登記事項証明書
  • 残高証明書
  • 住民税、
  • 印鑑証明書
  • 身分証明書納税証明書
  • その他

だいたい全部で3,000円くらいと考えておくと良いでしょう。

更新時の注意点

建設業許可を取得した後は以下の点に気を付けてください。

  • 建設業許可の有効期間は5年
  • 建設業許可を更新するためには、建設業許可更新申請を行う必要がある
  • 建設業許可を取得したとしても、建設工事を適正に行うことが義務付けられている

つまり、必ず5年ごとに建設業許可の更新をしなければならないということです。更新費用は一般と特定関係なく、一律5万円なので注意してくださいね。

まとめ:土木工事の建設業許可の取得

木一式工事の建設業許可を取得するメリットは、500万円以上の工事を受注できるようになること、安心して発注できる事業者の証明になること、一定の財産的基礎があること、下請け工事を受注しやすくなること、公共工事に参入しやすくなることです。

デメリットは、申請手数料や書類取得の費用と手間がかかることです。また、5年に1度、許可の更新が必要です。

土木工事業で建設業許可を取得する際は、ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。

下記の記事では一人親方と個人事業主の違いについて解説しています。土木工事業として独立をお考えの方はぜひご覧ください。

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