「現場代理人って何?どんな役割なの?現場には絶対必要なのかな?」

「必要資格やスキル・現場代理人になる方法も知りたい」

 

こんな疑問に答える記事です。

 

現場代理人とは、請負業者の代わりに工事現場の運営、取締りをする者を指します。

所長とも呼ばれ、建設現場では無くてはならない存在です。

 

そんな現場代理人ですが、仕事内容や必要性、必要資格、現場代理人になる方法をよく知らないという方もいるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、現場代理人の仕事内容や、技術者との違い、現場代理人になる方法について解説していきます。

 

この記事の内容

    • 現場代理人の仕事内容と必要性

    • 技術者との違い

    • 配置義務や常駐について

    • 現場の兼任、技術者との兼務について

    • 現場代理人になる方法

    • 現場代理人に関するよくある疑問

 

 

この記事を読むと分かること

    • 現場代理人の仕事内容・必要性が分かる

    • 現場代理人・主任技術者・監理技術者の違いが分かる

    • 現場代理人の配置義務や、常駐しなければならないのかが分かる

    • 現場の兼務、技術者との兼任は可能なのかが分かる

    • 現場代理人になるための資格やスキルが分かる

 

 

記事後半では、よくある現場代理人に関する疑問に答えるQ&Aコーナーを設けました。

現場代理人に関する情報を網羅できる記事になっておりますので、ぜひご覧ください。

高杉 有希子
監修者 エクステリアプランナー 高杉 有希子

静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。

目次

現場代理人とは?仕事内容

現場代理人とは、請負業者の代わりに現場をまとめる元請業者の代表です。現場では所長と呼ばれています。

ではどんな仕事内容なのか、見ていきましょう。

現場代理人の仕事内容と必要性

現場代理人の仕事は、建設現場の安全を確保し、スムーズに工事ができるようにまとめること。

職人や施工管理職の上に立ち、みんなをまとめる心強い存在です。

現場代理人を配置することは、適切な安全管理、品質管理、工程管理のためにとても重要になります。

現場代理人を配置しないと、工事の安全や品質に問題が起きる可能性が高くなると言えるでしょう。

具体的な作業としては、以下のようになります。

  • 安全管理
  • 原価管理
  • 品質管理
  • 工程管理
  • 工事の円滑な進行
  • 請負代金額の管理
  • 各業者、施主、メーカーなどとの打ち合わせ
  • 労災等の対応
  • 周辺住民や企業などからの苦情への対応

などなど、たくさんあります。

ですので、主任技術者、監理技術者などと協力する必要があります。

現場代理人・主任技術者・監理技術者の違いは?

「仕事内容が安全管理や品質管理、工程管理なら、主任技術者や監理技術者と同じじゃない?違いはあるの?」

確かに、現場代理人、主任技術者・監理技術者(現場監督)の仕事は似ています。

以下は現場代理人、主任技術者・監理技術者の仕事内容の違いです。

役割業務内容工事請負金額
主任技術者品質管理、安全管理、工程管理、施工計画作成4,000万円未満(建築一式工事の場合6,000万円未満)
監理技術者主任技術者の業務 + 下請け指導監督4,000万円以上(建築一式工事の場合6,000万円以上)
現場代理人安全管理、労務管理、工程管理、請負代金処理、現場の取締

主任技術者は、工事の品質、安全、工程を管理する責任者。

監理技術者は、監理技術者は主任技術者の仕事+指導や監督も行い、大規模工事にも関わります。

一方、現場代理人は管理業務に加えて、請負代金処理、現場の取締も行います。

また、設置義務は無いため請負金額は関係ありません。

現場代理人の配置義務や常駐

「現場代理人は、現場に絶対配置、常駐しなければならないの?現場の兼任や、主任技術者・監理技術者と兼務はできるのかな?」

順番にお答えします。

現場代理人の配置義務について

建設現場に必ず現場代理人を配置する決まりはありません。

発注者との契約内容によって変わります。

基本的には以下のようになっています。

  • 公共工事:配置が必要
  • 民間工事:必ずしも配置が必要では無い

ただし、民間工事でも、発注者との契約書に現場代理人を配置することが書かれている場合は配置しなければなりません。

現場代理人の常駐について

「常駐」とは、当該工事のみの担当だけでなく、工事期間中、特別の理由がある場合を除き常に工事現場に滞在していることを指します。

現場代理人は原則、常駐義務があります。

しかし、令和2年4月の「現場代理人の常駐義務の緩和」により、条件を満たせば常駐しなくてもOKになりました。

  • 条件1:現場代理人の工事現場における運営、取締り及び権限の講師に支障がないこと
  • 条件2:発注者との連絡体制が確保されること

上記の緩和は、スマートフォンやタブレットなどの通信手段の発達で、離れていても連絡をとりやすくなったためです。

つまり、「現場代理人の仕事に支障が無く、連絡が取れるなら別に大丈夫」ということ。

とはいえ、常駐を決めるのは発注者です。

契約内容しだいでは常駐しなければいけないこともあります。

現場代理人と技術者の兼務・現場の兼任

「現場代理人と技術者の兼務や、現場の兼任はできるの?」

順に説明しますね。

現場代理人・主任技術者・監理技術者の兼務

法律上、現場代理人と技術者の兼務は禁止されていません。

5 現場代理人、監理技術者等(監理技術者、監理技術者補佐又は主任技術者をいう。以下同じ。) 及び専門技術者は、これを兼ねることができる。

公共工事標準請負契約約款では上記のように表記されています。

(出典 公共工事標準請負契約約款

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000092.html

工事現場の兼任

現場代理人と技術者を兼務しない場合は、2つ以上の現場を兼任できます。

主任技術者・監理技術者と兼務する場合は兼任できません。

ただし、工事に密接な関係あり、現場が10km程度である場合の主任技術者の場合兼任可能です。

現場代理人が2以上の工事現場を兼任する場合の配置の例 (技術者を兼務するような場合)

ケース1ケース2ケース3ケース4
現場代理人と技術者を兼務しない現場現場代理人と技術者を兼務する場合
技術者の配置要件技術者を兼務しないので関係なし非兼任専任
監理技術者 主任技術者(右記以外)
専任
工事に密接な関係あり、現場が10km程度である場合の主任技術者
他工事現場との兼任両現場の現場代理人を兼任可能両現場の現場代理人を兼任可能(技術者も兼務可)現場の兼任不可両現場の現場代理人を兼任可能(主任技術者も兼務可)

(出典 国土交通省 工事現場に配置される技術者等の効率的活用 http://www.skr.mlit.go.jp/kensei/sangyou/01_kensetu/07-gijutusya/160601kanwa4.pdf)

現場代理人になる方法【必要な資格・能力は?】

現場代理人になるのに必要な資格、能力を見ていきましょう。

現場代理人になるのに資格・要件は無い

現場代理人になるのに、資格や要件は必要ありません。

元請け会社と直接的な雇用関係が3ヶ月以上あれば誰でも専任が可能です。

とはいえ、実際は主任技術者や監理技術者が配置されることになります。現場代理人の仕事は、技術者の知識や経験が必要になるからです。

職人から信頼されなければ役割をこなすのは難しいので、建設に関する高い知識を持っている人が適任ということですね。

現場代理人に必要な能力

現場代理人として活躍するためには、以下の能力が求められます。

【建設工事に関する知識】

当然のスキルとして、建設現場の基礎知識や技術、法規制に関する知識が必要です。

現場の責任者なので、建設業に関する高い知識をもっていることが前提になります。

【コミュニケーション能力】

施工管理者や職人、工事関係者とのコミュニケーションが頻繁に発生するため、円滑なコミュニケーション能力が重要です。

【管理能力】

現場代理人は、多くの管理業務をこなします。

安全管理、工程管理、品質管理、予算管理、人員管理など。そのため、的確な管理能力が求められます。

【リーダーシップ】

現場代理人は、現場作業員や下請業者と協力することが必須となるため、リーダーシップ能力が重要です。

的確に作業員を指示・指導し、方向性を示してモチベーションを高めることが重要となります。

【問題解決能力】

建設現場では予期せぬ問題や困難が発生することがあります。

現場代理人は、迅速かつ適切に問題を解決し、円滑な工事の進行を確保する能力が求められます。

現場代理人になる際にメリットとなる資格

【施工管理技士】

現場代理人は、主任技術者・監理技術者の仕事内容もこなす必要があります。

施工管理技士は、建設工事の知識や法規制、施工管理に関する高い知識を持つものです。

そのため、施工管理の資格を持っていることで業務に活かすことができます。

施工管理技士の種類は以下があります。

  • 建築施工管理技士
  • 土木施工管理技士
  • 電気工事施工管理技士
  • 管工事施工管理技士
  • 造園工事施工管理技士
  • 建設機械施工管理技士

1級、2級がありますが、現場代理人は主任技術者・監理技術者の業務も兼ねているため1級が必要となります。

現場代理人Q&Aコーナー

そのほか、現場代理人に関する疑問を集めてみました。

よければ参考にしてみてください。

現場代理人・主任技術者を兼任するメリットは?

人件費の削減や、コミュニケーションの円滑化が期待できます。

兼任することで1人分の人件費で済むことや、現場代理人・主任技術者が工事関係者と直接コミュニケーションを取りやすくなるでしょう。

ただし、責任が重くなったり、労働時間が増える可能性があります。

現場代理人は途中で変更できるの?

やむを得ない場合のみできます。退職、病気、死亡、現場代理人が運営、取り締まり、管理業務に支障をきたす場合ですね。

ただし、事前に発注者と話し合い、後任が現場代理人に相応しい人材を配置することが必要です。

現場監督と現場代理人はどっちが上の立場なの?

現場代理人のほうが立場が上になることが多いようです。

元請業者の代表者で現場には1人しかいないためでしょう。

現場代理人は施工作業しないの?

作業してはいけないという決まりはありません。

ですが、基本的には現場代理人は施工作業には加わりません。

現場代理人はやることが多いので、とても施工を手伝うなんてことはできません。

まとめ:現場代理人とは?

この記事をまとめます。

  • 現場代理人とは、建設現場全体をまとめる責任者
  • 管理業務だけでなく、現場の取締、請負代金の請求や変更も兼ねる
  • 現場代理人と技術者は場合により兼務可能
  • 現場代理人は、場合により常駐しなくても良い
  • 現場代理人の複数現場の兼任は法律では禁止されていない
  • 現場代理人になるための必要資格、要件は無い
  • とはいえ実質、各種施工管理技士が必要

現場代理人になるには、現場経験を積み、各種施工管理技士1級を取得することが必要です。

施工管理者の方は、現場監督、現場代理人という感じでキャリアアップできます。

良い現場代理人とは、建設現場の知識を広く持ち合わせ、経験値が高く、工事関係者とのコミュニケーションが円滑に取れる人と言えます。

現場代理人に関する知識が深まったでしょうか?

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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