別名「ヒペリカム」。
6月〜7月の時期に黄色い花が咲く半落葉性の低木で、約30〜40本もの長い雄しべが印象的。
育てやすく丈夫なことから、公園の植栽や一般家庭の庭木にも用いられています。
花後にできる実も可愛らしく、花材としても人気です。
基本データ
- 分類
- 庭木-低木・下草
- 学名
- Hypericum chinense
- 科・属名
- オトギリソウ科・オトギリソウ属
- 別名
- ヒペリカム
黄色の花弁に長い雄しべが特徴のビヨウヤナギ
ビヨウヤナギとは
ビヨウヤナギは中国原産の半常緑低木であり、日本には江戸時代以前に渡来したと言われている樹木です。
6月には色鮮やかな黄色の花が鑑賞でき、育て方も簡単なことから、公園の植栽や生垣などに活用されてきました。
赤やピンク色の実をつける「エルステッド」という種類は「ヒペリカム」の名前で親しまれ、フラワーアレンジメントや花束を可愛く彩る“実もの”の花材として大人気。
ほかに、グランドカバーにおすすめの「カリキナム」や、小さな花と赤い実が印象的な「アンドロサエマム」などの種類もポピュラーで、多くのフラワーショップ、園芸ショップで花材と苗が販売されています。
名前の由来は華やかで美しい黄色の花と、枝がしなる様子や葉がヤナギに似ていることにちなんで「ビヨウヤナギ(美容柳)」と名付けられました。
ビヨウヤナギの主な特徴や性質
ビヨウヤナギは、6月〜7月に開花期を迎えて、黄色い花弁を5枚枝の先端に咲かせます。
花の中心にはいくつもの雄しべが立ち上がり、ビヨウヤナギの花をより一層美しく飾るのが特徴です。
花が咲き終わると、ビヨウヤナギは丸みのある小さな実をつけます。
実は艶やかで光沢があり、赤やピンク、黒、白、緑、黄色など、品種によって色味もさまざまです。
葉は十字対生し、ヤナギに似て細長い楕円形が特徴。秋になると紅葉も見られ、冬は半落葉します。
また株立ちの性質を持ち、よく枝分かれしますが、樹高は1mほどにしか成長しないことから、樹形は比較的コンパクトです。
暑さ寒さに強い性質を持つビヨウヤナギは、日本の気候にもよく適応する育てやすい樹木と言えるでしょう。
花言葉は「気高さ」「多感」「薬用」「有用」
花言葉の「気高さ」は、ビヨウヤナギの花姿に品格を感じることから名付けられたと言われています。
「薬用」「有用」由来は、ビヨウヤナギに薬効があり、薬草としても利用されることにちなんで、この花言葉がつけられたのかもしれませんね。
キンシバイとの見分け方
ビヨウヤナギと似た花に「キンシバイ(錦糸梅)」という樹木があります。
実は、キンシバイもビヨウヤナギと同じオトギリソウ科オトギリソウ属に分類されており、遠目から見ると葉の形や黄色の花がとてもよく似ているのです。
見分け方は、ビヨウヤナギの葉が十字対生であるのに対し、キンシバイは対生です。
ほかにも、キンシバイは雄しべが短く、花がカップ状に咲く特徴があるので、機会があればぜひ両者の違いをチェックしてみてくださいね。
美しく魅力的なビヨウヤナギの花を楽しもう
和風・洋風問わず植えられる庭木
ビヨウヤナギはこんもりと茂り、樹高もそれほど高くならないことから、花壇のスペースを埋めたり、高木の株元に植えたりするのに重宝する庭木です。
ヤナギのように枝が垂れるので和風の庭によく合いますが、ナチュラルな雰囲気も持ち合わせているため洋風の庭にもマッチします。
枝を横に広げて成長するので、庭木に迎え場合はスペースに余裕を持って植え付けるといいでしょう。
花が咲いたら切り花に
ビヨウヤナギの1番の魅力といえば、花を挙げる人が多いはず。
黄色の花弁はハッとするほど鮮やかで、長く伸びた雄しべからは繊細な雰囲気も感じられます。
開花期を迎えたら切り花にし、庭先だけでなく家の中でもビヨウヤナギの花を楽しんでみてくださいね。
実が美しい品種はほかの花と組み合わせて飾ろう
ピンクや赤色の実が楽しめるビヨウヤナギは、実ものの花材に大人気。
バラやガーベラなどの花と相性がよく、全体を可愛らしい雰囲気にしてくれます。
さまざまな花と組み合わせて、素敵な花束や富ラワーアレンジメントを作ってみてはいかがでしょうか。
挿し木で増やしてみよう
ビヨウヤナギは挿し木で増やすことも可能です。
挿し木の仕方は、5月〜6月の時期に若く新しい枝を10cmほどにカットし、先端に2〜3枚の葉を残して下葉を取り除きます。
挿し木用の清潔な土にさし込んだら、発根するまでの間、乾燥に気を配りながら管理しましょう。
約1ヶ月後、発根が確認できたら鉢上げをします。
ビヨウヤナギ(美容柳)の詳細情報
- 草丈・樹高
- 1m
- 栽培可能地域
- 北海道以南
- 花色
- 黄色
- 開花期
- 6月〜7月
- 結実期
- 8月〜9月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 強い/強い
ビヨウヤナギ(美容柳)の育て方・管理方法
- 植え付け・植え替え
- 植え付け・植え替えに適した時期は、気温が穏やかな3月〜4月と9月〜10月です。
土壌は腐植質で水はけがよく保水力もある土を好むので、堆肥や腐葉土などをすき込んでから植え付けてください。
鉢植えで育てる場合は植え替えが必要になります。
少なくとも2年に1度は一回り大きな鉢に植え替えて、根詰まりなどを防ぎましょう。 - 肥料
- 肥料はなくても育ちますが、生育をサポートしたい、花付きをよくしたいと考えている人は追肥をしてください。
肥料を与える時期は、春の3月と秋の9月〜10月です。
緩効性化成肥料や油粕などを施すといいでしょう。 - 剪定
- ビヨウヤナギは春に伸びた枝へ花芽を作るので、剪定時期は冬の3月が適期です。
株をコンパクトに仕立てたい人は、この時期に強剪定をします。強剪定の仕方は、地上から約30cmのところで剪定し、徒長枝や不要枝、古い枝なども付け根からカットしてください。
大きく育てたい場合は、不要な枝や古い枝などを剪定したり、樹形を整えたりするだけでOKです。
- 病害虫
- ビヨウヤナギは病害虫の被害がほとんど見られない樹木ですが、まれにうどんこ病やさび病が発生することもあります。
感染してしまった箇所はすぐに取り除き、殺菌剤を散布しておきましょう。 - 日当たり
- 庭植えの場合は降雨のみで問題なく育つので、根付いたあとの水やりは不要です。しかし、雨が降らない日が続く場合や、夏の暑さが厳しい時期は、朝か夕方の涼しい時間帯に水やりを行います。
鉢植えで育てている場合、土の表面が乾いたタイミングで水やりをしてください。夏は水分が乾きやすく、水切れを起こしやすいいので、朝か夕方の涼しい時間帯に1日1〜2回水やりをするといいでしょう。 - 水やり
- 庭植えの場合は降雨のみで問題なく育つので、根付いたあとの水やりは不要です。しかし、雨が降らない日が続く場合や、夏の暑さが厳しい時期は、朝か夕方の涼しい時間帯に水やりを行います。
鉢植えで育てている場合、土の表面が乾いたタイミングで水やりをしてください。夏は水分が乾きやすく、水切れを起こしやすいいので、朝か夕方の涼しい時間帯に1日1〜2回水やりをするといいでしょう。
出典(引用元)
・ヒペリカムの育て方|住友化学園芸
・椎葉林弘 著
「よくわかる庭木大図鑑」
・平野隆久 著
「よくわかる樹木大図鑑」