もともとは山地の渓流などに咲くバラ科の野生植物。扱いやすいため庭や公園などでもよく栽培され、春先に咲く山吹色の花が目を楽しませてくれる。八重咲のものはバラのような見た目でとても美しい。
基本5データ
- 分類
- 庭木-低木・下草
- 学名
- Kerria japonica (L.) DC.
- 科・属名
- バラ科ヤマブキ属
- 別名
- -
- 草丈・樹高
- 1~2m
- 栽培可能地域
- 全国
- 花色
- 黄色
- 開花期
- 4~5月
- 結実期
- 9月
- 耐暑性 / 耐寒性
- どちらもやや強い
日本で古くから愛されてきた山吹色の花
ヤマブキとは
ヤマブキは北海道から九州まで分布するバラ科の落葉低木です。
日本以外だと中国にも分布が見られます。
庭や公園に植えられるものでシロヤマブキというものもありますが、そちらは同じバラ科でも別の種類で、花や葉をよく見ると特徴に違いがあります。
文字通り山吹色の花を咲かせるのが特徴で、木全体が黄色く染まる姿は春の季節ならではのもの。
葉っぱや枝も淡い黄緑色で、さわやかな印象を与えます。
花言葉は「気品」「崇高」など。
八重咲きの品種も流通しており、バラを思わせる花がたくさん咲いて美しいです。
扱いやすさが人気
ヤマブキは見た目の美しさもさることながら、その扱いやすさも人気の一つです。
土を選ばず、肥料もさほどあげなくても毎年たくさんの花を咲かせてくれます。
明るい場所から暗い場所まで、さまざまな環境で育てることができる便利な木です。
挿し木や株分けなどで簡単に増やすことができるのも長所の一つとして挙げられます。
野生でもよく見られる
ヤマブキは北海道から九州まで分布しており、山の渓流沿いなどでよく見ることができます。
がけのような場所で育っていることも多く、シカの食害がひどい山でもあちこちに生えており、春になると山吹色のきれいな花がよく見られます。
栄養なんてほとんどなさそうな岩の隙間から生えている場合もあり、あまり環境を選ばないヤマブキのたくましさが顕現しているようで面白いです。
樹形や花を最大限活かした庭づくり
一年中さわやかで華やかな庭に
ヤマブキはそのさわやかな色合いが魅力です。
春の山吹色の花はもちろん、夏の黄緑色の葉っぱもさわやかで美しく、冬に葉っぱが落ちても枝は一年中青々としているので、寂しくなってしまう時期というのがありません。
春から冬までさまざまな姿を楽しむことができます。
また、9月ごろによく狂い咲きをするので、思わぬところで美しい山吹色をおがむこともできます。
立体的な空間を演出
ヤマブキはあまり丈が高くならず、剪定によって大きさをかなり制限することもできます。
そのため、庭木の下に低木として植えることが可能です。
半日陰が好きなヤマブキは、庭木の根元のデッドスペースを埋めるのに最適。
春に白やピンクの花を咲かせる庭木の根元に植えれば、より華やかな春の景色を楽しむことができます。
少し地味な庭木の根元に、華やかさをプラスするイメージでアクセント的にヤマブキを植えてみるのも良いです。
トンネルができる
ヤマブキは根元からアーチのように枝を伸ばすのが特徴ですが、根元部分をよく見ると案外スカスカになっていることがあります。
このアーチ状のつくりを利用して、子ども用のトンネルをつくることができます。
2mくらいに大きくなったヤマブキの、根元の萌芽や余計な枝を取り去って、木の板を置けば完成です。
大人が入るには少し狭いですが、内側からヤマブキの花を眺めるというのもなかなかオツなもの。
子どもも喜ぶし、大人も新感覚の体験をすることができます。
野外で探してみる
山にハイキングに行ったときなどに、ヤマブキを探してみるのも楽しいです。
見慣れた山吹色の花があれば遠目にもすぐわかるし、よく見ると、ユキヤナギやトチノキ、場所によってはサツキなど、庭木や公園樹で見慣れた木々が一緒に生えていることも。
山の中によく知る花があるというのはなかなか不思議な気分になります。
山の川沿いの斜面などを探してみてください。
ヤマブキの育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
葉っぱが落ちている11月~3月の間に行います。
湿った半日陰の場所が好きですが、多少明るかったり暗かったりしても問題ありません。
土の好き嫌いもあまりないので、あまり場所を選ばず植えることができます。
肥料
2月ごろに寒肥として、堆肥や腐葉土などの肥料を薄く土に混ぜるように与えます。
剪定
花が終わった後の5月~6月ごろに行います。
伸びすぎた枝を切り戻すような形で行いましょう。
枝の途中にも花が咲くので、夏頃伸びすぎた枝を整えても問題ありません。
また、枝が数年で枯れてしまうので、2~3月ごろに枯れた枝を取り除くなどすると見栄えが良くなります。
病害虫
特に目立った病気や害虫が発生することはありません。
害虫としては、モモスズメなどのガの仲間の幼虫がまれに葉っぱについていたり、小さなゾウムシが葉っぱを食べることがありますが、気にするほどの被害になることは少ないです。
日当たり
植え付け後しばらくは水をあげるようにしましょう。
また、乾燥しすぎている場合などは水を上げた方が良い場合もあります。
水やり
植え付け後しばらくは水をあげるようにしましょう。
また、乾燥しすぎている場合などは水を上げた方が良い場合もあります。
出典(引用元)
「樹木医必携」
村越匡芳監修
「庭に植えたい樹木図鑑」
山と渓谷社
「山渓ハンディ図鑑 木に咲く花 離弁花1」
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。