日本にも自生する樹高0.5m〜1mの常緑低木で、冬に実る赤い実が特徴的。
センリョウという名前は実を大量に付けた姿に由来しており、縁起の良い庭木として正月飾り等にも利用される。
冬の庭を彩る貴重な存在。
基本データ
- 分類
- 庭木-低木・下草
- 学名
- Sarcandra glabra(Chloranthus glaber)
- 科・属名
- センリョウ科 センリョウ属
- 別名
- クササンゴ
美しい実をつける常緑低木
日本にも自生する常緑低木
センリョウは、日本を含む東アジアの一部に自生する常緑低木です。
樹高は最大でも100cmほどと低めで、株立ち状に成長します。
ギザギザとした光沢のある濃い緑色の葉と、可愛らしい赤い実が特徴で、2色のコントラストが非常に印象的です。
その姿から和風庭園では定番の1つとなっており、庭木の根本をカバーする下草として重宝されています。
名前の由来、花言葉は?
センリョウという名前は、漢字で書くと「千両」。
つまりお金を意味しています。
これは赤い実を大量につけた姿に由来するもので、非常に縁起の良い植物です。
センリョウ以外にも、マンリョウ(万両)やジュウリョウ(十両)といった、お金が名前の由来となった植物がいくつか存在します。
花言葉も名前の通りお金に関するものが多く、「利益」、「富」、「恵まれた才能」などがあります。
冬でも楽しめる縁起の良い庭木
冬を彩る貴重な庭木
センリョウは常緑の庭木であり、冬になっても葉を落とすことがありません。
実もしばらくはそのまま木に残ります。
冬場はどうしてもお庭の雰囲気が寂しくなってしまいますが、センリョウはそんな冬を彩る貴重な存在です。
ただしセンリョウは本来、高温多湿を好む庭木です。
耐寒性はそれほど高くないため、寒冷地での栽培にはあまり適しません。
適地は関東南部以西となっています。
庭植えにしたい場合は気をつけましょう。
切り花や正月飾りとして
センリョウは、縁起の良い名前や実の美しさから、正月飾りとして利用されることの多い庭木です。
フラワーリースのアクセントに使ったり、切り花にして花瓶に活けるなど、様々な楽しみ方があります。
センリョウは和の雰囲気が強いため、黒の花瓶を選ぶと非常に相性が良くおすすめです。
黒に鮮やかな赤色の実が映えます。
センリョウに似た植物
先程も少し紹介しましたが、マンリョウやジュウリョウといったセンリョウによく似た植物が存在します。
この項目にいくつかまとめているので、気になる方はぜひ読んでください。
・マンリョウ
マンリョウ(万両)は、センリョウよりも実が大きいのが特徴です。
より高額な名前がついているのも、実の大きさが由来しています。
名前だけ聞くと同じ仲間にも思えますが、マンリョウはサクラソウ科に属する別の植物です。
よくセンリョウと混同されることがありますが、こちらは葉の下に実をつけます。
(センリョウは葉の上)
マンリョウについての詳しい記事はこちらから
・ヒャクリョウ
ヒャクリョウ(百両)は、別名カラタチバナと呼ばれる植物です。
センリョウよりも樹高が一回り小さく、実のつき方もそれほど多くありません。
こちらはマンリョウ同様サクラソウ科に属しています。
・ジュウリョウ
ジュウリョウ(十両)は、一見すると草のようにも見える小型の花木です。
万葉集にも登場し、古くから日本人に愛されています。
江戸時代には多くの品種が作られました。
耐陰性や耐寒性が高く、簡単に育てることができるため、寄植えや盆栽など幅広い楽しみ方ができます。
ヤブコウジという名が、本来の呼び名です。
・イチリョウ(一両)
通称イチリョウは、アリドオシ(蟻通し)という植物です。
赤い実を付けるのはセンリョウなどと変わりませんが、こちらは美しい白い花も魅力となっています。
枝に鋭い刺を持ち、アリを刺し通すほど細いことから「アリドオシ」と名付けられたと言われています。
センリョウの品種
センリョウにはいくつかの品種があり、実の色が違うものや斑入りのものなど、どれも大きく印象が異なります。
何種類かまとめているので、お気に入りのセンリョウを見つけてください。
・キミノセンリョウ
キミノセンリョウは、その名の通り黄色の実をつけるセンリョウです。
通常の品種よりも明るい雰囲気が魅力ですが、実つきが少し悪い点には注意しましょう。
黄色はお金を連想させる色であり、名前もお金が由来となっているため、非常に縁起の良い植物として人気です。
・ダークショコラ
ダークショコラは、紫がかった葉が特徴の品種です。
特に新芽の紫色は美しく、落ち着いた雰囲気があります。
キミノセンリョウと同様実はつきにくいものの、庭の彩りとして重宝されています。
センリョウの育て方と特徴の詳細情報
- 草丈・樹高
- 0.5m〜1m
- 栽培可能地域
- 関東以南
- 花色
- 白・黄緑
- 開花期
- 5〜6月
- 結実期
- 11月〜1月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 耐暑性:強い 耐寒性:普通
センリョウの育て方と特徴の育て方・管理方法
- 植え付け・植え替え
- 千両(センリョウ)の木の植え付け・植え替えの適期は4月から5月にかけてです。
庭植えの場合は半日陰で風の影響を受けにくい場所を選び、穴を掘って腐葉土をすき込みます。
穴の大きさは株よりも一回り大きくしましょう。
鉢植えの場合は株よりも一回り大きな鉢を用意し、赤玉土と腐葉土が8:2になった土を入れます。
センリョウの株は地下茎から芽を出してどんどん大きくなるため、鉢を小さくしたい場合は株を2〜3つに分けましょう。
植え替えは2年に1度、それまでよりも一回り大きい鉢を使用して行います。 - 肥料
- 千両(センリョウ)の木は、庭植えでも鉢植えでも、ほとんど肥料を必要としません。
株を成長させたい場合は、5月から6月に緩効化成肥料を施肥します。
しかし量が多いと花が咲きづらくなる可能性があるため、少量に留めましょう。 - 剪定
- 千両(センリョウ)の木は基本的に剪定は必要ありませんが、古い枝には花がつかないため、根本から切り除きます。
3年以上経っている枝が目安です。
また、細い枝も同様の理由で剪定します。 - 病害虫
- 千両(センリョウ)の木は丈夫で、病害虫の影響をほとんど受けません。
しかし、まれに立枯病になる可能性があります。
1つの株が発症すると土を通じて感染が広がるため、発症した株は抜いて廃棄しましょう。 - 日当たり
- 植え付けてから根付くまでは、土が乾いたタイミングで水を与えます。
鉢植えの場合は土の表面が乾いた段階で水やりしましょう。
ただし夏場の高気温や冬の乾燥には注意が必要です。 - 水やり
- 植え付けてから根付くまでは、土が乾いたタイミングで水を与えます。
鉢植えの場合は土の表面が乾いた段階で水やりしましょう。
ただし夏場の高気温や冬の乾燥には注意が必要です。
熊本県の海と山に囲まれた田舎で育ち、幼少期からガーデニング好きの祖母を手伝う。高校時代には、音楽を中心に様々な芸術分野に興味を持つようになり、同時に自然の持つ面白さや奥深さに気づく。現在はライターとして活動し、多趣味を活かして幅広いジャンルで執筆。他にもカメラやデザインについて勉強中。自然に囲まれて暮らすのが1つの目標。