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ヤツデの育て方と特徴

「庭の日当たりが悪くて植物が育ちにくい」と悩んでいる方は少なくないでしょう。どんな草花や木が育ちやすいの難しいですよね。そんなときに、検討して欲しいのが「ヤツデ」。日陰にとても強くて育てやすいです。ヤツデの特徴や育て方について解説します。

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基本データ

分類
庭木-低木・下草
学名
Fatsia japonica
科・属名
ウコギ科・ヤツデ属
別名
テングノウチワ、オニノユビ
草丈・樹高
2m〜3m
栽培可能地域
関東以南
花色
開花期
11月〜12月
結実期
5月
耐暑性 / 耐寒性
普通/やや弱い

ヤツデの魅力ある特徴

ヤツデとは|昔から親しまれてきた日本の庭木

ヤツデは関東以南から沖縄までに広く自生する常緑低木樹です。大きな特徴は、名前の由来にもなっている数カ所に切り込みが入った葉。ヤツデは漢字で書くと「八つ手」となりますが、実際には8つではなく、5つまたは7つと奇数に分かれた葉です。「8」の方が大きく、縁起がよいということで八つ手と名付けられました。
縁起が良いことから古くから、庶民に親しまれてきた庭木です。

ヤツデの葉|縁起が良く光沢のある美しさ

葉の形が由来で縁起の良い名前を持つヤツデですが、実はそれ以外にも縁起が良いとされている理由があります。ヤツデの葉は、天狗が持つうちわ「隠蓑(かくれみの)」であり、魔除けがあると信じられていました。邪気を追い払う効果があると言い伝えられ、玄関に飾る庶民が多かったようです。

現在は迷信のような古くからの言い伝えですが、それでもヤツデの葉は、光沢のある美しい緑です。葉にとても鑑賞価値があり、楽しめる庭木ですよ。

ヤツデの花|冬の暗さを払拭する明るさ

ヤツデの写真

ヤツデの花は、庭の彩りが寂しくなるころの11月から12月にかけて開花時期を迎えます。球体状の複合花序で白い花を展開。日陰を好むので、冬の暗い場所でも、明るく咲き、冬でも華やかさを感じられますよ。

ヤツデの実|小さく素朴な美しさがある

ヤツデの写真

開花が終わると、その翌年の5月に小さな実をたくさんつけます。最初は緑色で徐々に熟し始めると、赤紫色へと変化し、最終的に黒紫色へと変色。5月は緑の美しさを楽しみつつ、実の変化も楽しめ、見飽きない良さがヤツデにはあります。

ヤツデの花言葉|親しみが込められた庭木

ヤツデの花言葉は「分別」「健康」「親しみ」。古くから庶民に縁起のある木として愛され、親しまれていたことが、この言葉がついたようです。

教えて!ヤツデの良さとは?庭木としておすすめしたい5つ

おすすめ1. 暗い日陰を好み北向きでも育つ庭木

ヤツデは暗い日陰でよく育つ庭木です。そのため、北側の暗いスペースにも植えられ、利便性がとても高いです。太陽の光が差し込まない暗い庭で悩まれている方にはおすすめしたい庭木。

おすすめ2. 冬の季節に咲く珍しい白い花

ヤツデの写真

ヤツデは庭木の中でも、冬の寒い時期に花を咲かせる珍しい木です。冬の時期の庭は、多くの植物たちが休眠期に入り、花も咲かなければ、葉を落としたりもします。少し彩りがなくて寂しく感じることもありますよね。そんなときでもヤツデは、白い美しい花を咲かせ、冬でも温かみを感じつつ楽しめる庭木にもなります。

おすすめ3. 風水もよく玄関近くに植えたい庭木

先に述べたように、ヤツデの葉は魔除け効果や縁起が良いと信じられている木です。そういった点からも、風水もよく、鬼門とされる北東すなわち玄関などに植えると千客万来、お金を招き入れるという縁起があります。ほかにも、魔除けがあるので、邪気払いなどの効果も。また、西側に植えると、お金が貯まるなどとありますよ。

おすすめ4. 大気汚染にも強くて、力強い生長

ヤツデの写真

ヤツデは大気汚染に強く、煙害があるような地域でもたくましく生長します。交通量が多い道路沿いに面した住居で、植物が生長しにくいと感じた場合はヤツデなどの強い庭木を植えて、少しでも明るい庭づくりを心がけでみましょう。

おすすめ5. 害虫被害が少なく、虫除けになる

ヤツデの葉や茎、花、樹皮には「サポニン」といわれる毒があります。この毒は、人体に影響があり、服用すると腹痛や嘔吐などが起こりますが、昔からうがい薬や入浴剤として使われていたそうです。
花を乾燥させ、煎じることでうがい薬や入浴剤が簡単にでき、リウマチや腹痛に効果があるようです。
また、毒があることでヤツデは害虫被害も少なく、むしろ虫除けの効果があるので、いいことばかりの庭木ですよ。

ヤツデの育て方と特徴の育て方・管理方法

植え付け・植え替え

○植え付け・植え替えの時期と場所
ヤツデは5月から6月に植え付けをしますが、植え替えであれば、比較的暖かくて、生長期である4月から7月までならできます。
乾燥が大嫌いなヤツデなので、湿気のある、暗い場所で植え付けましょう。

○植え付け・植え替えの注意とポイント
肥沃な土壌で元気よく生長するので、植え付けするときは、肥料を混ぜて植え付けると良いですよ。また掘り起こした土と同じ量の腐葉土を混ぜ、水はけ、水持ちのよい土壌を作りましょう。

暗い場所でも、西日が強く当たるような場所では、株が弱ってしまうので、避けるか、遮光をしてあげてください。

肥料

肥沃な土壌で、育てているのであれば、肥料を与える必要は特にありません。心配な方は、生長期の6月に追肥を行いましょう。また、葉が黄色く変色する場合も、油かすを与えて、様子をみると良いですよ。

剪定

○剪定の時期|生長期の春から夏が最適期
冬が終わって暖かくなり始めるころから、ヤツデは生長期を迎えます。4月から7月に剪定をして、株を仕立て直してあげましょう。放任せず、風通しの良さや樹形の乱れを直すことも大事です。

○剪定の注意|放任は注意!
ヤツデの剪定を放任するのは禁物!樹形のバランスが徐々に崩れていくほか、何より風通しが悪くなって、病気にかかりやすくなる可能性が出ます。樹冠内の通気性が悪くなると、空気が動かなくなり、湿気もたまりやすくカビが生えたりなど起こりやすいので、重なり合った葉は切り落としてあげましょう。

○剪定の仕方|思い切りが大事!
ヤツデは芽吹く力強いので、古くなった枝はどんどん切ってしまいましょう。また古くなった枝は新芽が出にくいので、葉がある根元まで切り詰めて間引きます。そうすることで、切り口から新しくの芽が出ますよ。

ヤツデは上へ樹高を伸ばしていくので、ちょうど良いところで切り落とし、高さを調整します。また根元とからひこばえが生えたりもするので、生長を悪くさせないために、切ってしまいましょう。

病害虫

薄暗い場所でも育ち、湿気のある環境を好むヤツデですが、その好む環境が原因で病気になりやすい傾向があります。ヤツデを育てる環境は、風通しよく涼しい環境を作ってあげることが大事ですよ。

○病気
・黄色紋羽病:菌が株に付着することによって発生し、葉や茎を始め、幹をしおれ、最終的には枯れる恐れもあります。
・黄斑病:葉が黄色く変色し、落葉します。
・炭そ病:葉に白い点が出たのちに、黒い斑点が付き、放置すると、葉に穴ができます。生育不良の原因となるので注意です。

○害虫
・カイガラムシ:葉や枝、幹などあらゆる箇所で見つかり、花付きの悪さ、落葉の原因になります。成虫はロウでできた硬い殻で覆われているので、薬剤が効きにくいです。早めのうちに薬で対処し、ピンセットなどで摘除もしましょう。

日当たり

水やりは土を乾燥させず、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。湿気が多い場所で管理していれば、水やりの頻度は少なくなるでしょう。特に庭に直植えしている場合は、必要ないです。

乾燥が非常に苦手なヤツデなので、カラカラにせず、雨水がよく溜まるような場所で育てると良いですよ。

水やり

水やりは土を乾燥させず、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。湿気が多い場所で管理していれば、水やりの頻度は少なくなるでしょう。特に庭に直植えしている場合は、必要ないです。

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3万件

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瀬尾 一樹
監修者 樹木医 瀬尾 一樹

樹木医です。木も草も大好きで、将来は自分だけの森を持ちたいと思っています。木の美しさや育てる楽しさだけでなく、生きものとしての生態的な面白さも伝えていきたいです!好きな木はケヤキです。

執筆者 柴﨑光一

リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。

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