晩春に梅のような花を咲かせる花木「シャリンバイ」は、植物が育ちにくい環境でも育ちます。圧巻の花の美しさと生命力の強さを持ち合わせているので、庭木の中ではとても重宝される花木。シャリンバイの特徴や魅力、育て方や剪定の仕方について紹介します!
基本データ
- 分類
- 庭木-低木・下草
- 学名
- Rhaphiolepis indica var. umbellata
- 科・属名
- バラ科・シャリンバイ属
- 別名
- タチシャリンバイ、テーチ木
- 草丈・樹高
- 1m〜4m
- 栽培可能地域
- 東北以南
- 花色
- 白・ピンク
- 開花期
- 5月〜6月
- 結実期
- 10月〜11月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 強い/普通
シャリンバイの魅力ある特徴
シャリンバイとは|生命力の力強さを感じる日本の木
シャリンバイは本州から沖縄まで広く生息する日本の木です。樹高が高くならず、約2m前後の常緑低木樹で、一般家庭の生垣や公共の道路や公園に植えられています。また、公害などの環境の悪い場所でも育つ、生命力の強い木です。
私たちの身近に植栽されていることが多いシャリンバイですが、沖縄や奄美諸島では、樹皮で染料を作り、染め物などの工芸品にも使用されます。
シャリンバイの葉|肉厚で光沢のある美しい見応え
シャリンバイの葉は、非常に肉厚で光沢があり、美しい濃緑です。そのため生垣では、透け感もなくしっかりと隠すべきものを隠し、存在感のある庭木になります。
また、春に息吹く新緑は赤みがかった葉で、春の訪れを知らせてくれるほか、その色いにも風情がありますよ。
シャリンバイの花|梅のように美しく咲き乱れる
シャリンバイは漢字で書くと「車輪梅」となり、車輪のように展開する葉の中心に梅に似た花を咲かせることから名付けられました。
しかし梅とは違い、シャクナゲのように花が1つに集合して咲くので、晩春に見応えのある花が楽しめられます。
開花したばかりの花は、中心にある雄しべが黄色ですが、徐々に紅くなり、その変化も楽しめられますよ。
シャリンバイの実|秋も楽しめる毒のない果実
秋になるとシャリンバイは、黒紫色の果実を実らせます。果実の表面は白い粉を吹いたような色あいで、花の美しさとは反対に素朴な美しさがあります。
実は毒がなく、薄らと甘味があり食べられます。けれども、果肉が非常に薄いので、正直食べ応えはありません。
シャリンバイの花言葉|純白の花が優しく語りかける
シャリンバイの花言葉は「愛の告白」「純真」「そよ風の心地よさ」と、美しい花の姿から当てられたようです。
花は雪が積もったような純白の白さで、愛らしい姿。美しさとかわいさの両方を持つ庭木ですよ。
教えて!シャリンバイの良さとは?庭木としておすすめしたい5つのこと
おすすめ1. 美しくて見応えのある生垣
シャリンバイは樹高が高くならない低木樹なので、定番の生垣として庭に植栽するのがおすすめ。生垣と聞くと、青々しく、少し地味な印象もあるかもしれません。でも、春になるとシャリンバイは大輪の花がたくさん咲くので、迫力のある生垣になりますよ。
おすすめ2. 仕立て方次第でシンボルツリーやサブツリーにもなる
低木樹でコンパクトに収められるシャリンバイなので、庭木の小さなシンボルツリー、もしくは別の庭木を引き立たたせるようなサブツリーにもできます。主役と脇役、どちらにも仕立てることができるので、とても扱いやすい木です。
おすすめ3. 環境が悪くても元気に生長する
シャリンバイの最大の特徴は、大気汚染や潮風などにとても強いこと。住居の立地が悪く、庭木で悩まれている方は、特におすすめしたい木です。煙害や過度の乾燥などにも強く、過酷な環境でもたくましく育つので、庭木の中でも重宝されます。
おすすめ4. 園芸初心者でも育てられる庭木
シャリンバイは園芸や栽培の初心者の方でも育てられるやさしい木です。日当たりと水はけを良くすることだけを考慮すれば、花も楽しめる庭木ですよ。また、剪定をした方が、病害虫の心配が減りますが、放置しても自然に樹形が整います。
おすすめ5. 種類を選んで違いも楽しめる
シャリンバイには白い花を咲かせる品種と、ピンクの花を咲かせる品種の2つがよく出回ります。また、変種が多いこともあり、葉の大小、形、厚みなどの違いがたくさんあります。別の品種と組み合わせて庭作りすることも可能なので、楽しみ方の幅が広がります。
シャリンバイの育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
○植え付け・植え替えの時期と仕方
シャリンバイの植え付け、植え替え適期は春の3月中旬〜4月下旬。地植え、鉢植えのどちらも、生長も損なわずできます。また、排水性と通気性があれば、土壌の質は選びません。
植え付けをするときは、元肥としてあらかじめ緩効性肥料を土に混ぜてから植えましょう。肥料が後からゆっくりと効き、生長や花付きが良くなりますよ。
○植え付け・植え替えの注意とポイント
シャリンバイの根は、比較的少ないので、傷つけないよう注意。太くなった主根や周りの根が折れないように優しく植えます。植え付け後は、たっぷりと水を与えて、定着させましょう。
また、庭に直植えしてから8〜10年以上たったものは、根を強く張っているので植え替えは難しいです。
肥料
シャリンバイは生育力がとても強い木で、肥料がなくても元気に生長してくれます。生長に不安を感じる方は、2〜3月に追肥を行うと良いですよ。
地植えの場合は、2月に有機質肥料を株元に埋めますが、垣根のように密集して埋めにくい場合は、株の上からパラパラとまくと良いでしょう。葉についた肥料は必ずはたき落としてくださいね。
鉢植えの場合は、3月に化成肥料をまきます。
剪定
○剪定の時期|開花終わりの6月から始めよう!
シャリンバイの開花した後は、すぐに剪定が始められるよう準備をしましょう。遅くても7月上旬までには終えられるような計画を立てとくことも必要ですよ。
○剪定の注意|翌年の花芽を切り落とさないように!
開花時期を終えたシャリンバイは、7月の中旬ころから、翌年の花芽をつけ始めます。花芽をよくするためにも整えて、栄養がしっかりと行き渡るように剪定するとよいですが、刈り込み過ぎには注意。強剪定にならず、次の花芽を切り落とさないよう仕立てることが大事です。
○剪定の仕方|強剪定にならずに整える!
樹冠内の開花を終えた枝や、古くなった枝を切るほか、間延びした枝を切りましょう。高さを調整しながら、余分な箇所を切るのもよいです。また、切る箇所は、枝分かれした分岐点で切り落とします。風通しよく、涼しい環境を作ってあげてくださいね。
病害虫
害虫の被害が少ないシャリンバイですが、一度アブラムシやカイガラムシに寄生されると、病気を引き起こしやすいので、防虫対策は必要です。
○病気
・すす病:アブラムシ、カイガラムシなどの排泄物によって、葉に黒いカビが発生。光合成や生長の阻害をします。
・ごま斑点病:寄生するカビによって、点状に葉焼けを起こしたような跡ができます。症状が悪化すると、葉を全て落とすこともあるので、薬剤を使って対策しましょう。
○害虫
・アブラムシ:葉の裏に潜んでいることが多く、葉の養分を吸って生育の阻害をします。繁殖力も強いので、見つけ次第早めに殺虫剤を散布。
・カイガラムシ:葉や枝、幹などあらゆる箇所で見つかり、花付きの悪さ、落葉の原因になります。成虫はロウでできた硬い殻で覆われているので、薬剤が効きにくいです。早めのうちに薬で対処し、ピンセットなどで摘除もしましょう。
日当たり
地植え、鉢植えともに、株が幼木のうちは、土壌を乾かさないように水やりをします。少なくとも2年未満の株は、生長のために多く必要とするので、確認しながら頻度よく与えましょう。
地植えで2年以上たった株は、土壌がカラカラにならない限り、水を与える必要はありません。
水やり
地植え、鉢植えともに、株が幼木のうちは、土壌を乾かさないように水やりをします。少なくとも2年未満の株は、生長のために多く必要とするので、確認しながら頻度よく与えましょう。
地植えで2年以上たった株は、土壌がカラカラにならない限り、水を与える必要はありません。
リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。