ススキに似て、3mにも及ぶ高い花穂を伸ばすのが特徴の多年草。
庭に広い場所が必要だが、株分けした苗や種から育てることができ、大きめの穂はおしゃれなインテリアとしても使える。
白以外にピンクの穂をつける品種もある。
基本データ
- 分類
- 芝・グラス
- 学名
- Cortaderia selloana (Schult. et Schult.f.) Asch. et Graebn.
- 科・属名
- イネ科シロガネヨシ属
- 別名
- シロガネヨシ、シラカネヨシ
- 草丈・樹高
- 2~3m
- 栽培可能地域
- 関東以南
- 花色
- 白・ピンク
- 開花期
- 9~10月
- 結実期
- 10月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 耐暑性は強く、耐寒性はやや弱い
インテリアにも使われる大きな穂が特徴の多年草
パンパスグラスとは
パンパスグラスは、アルゼンチン原産のイネ科シロガネヨシ属(Cortaderia)の多年生草本です。
雄株と雌株が分かれる雌雄異株で、ススキによく似ていますが、ススキとは違った属に含まれる種類です。
秋ごろに高さ3mを越えるような大きな花穂がつくのが特徴で、雌花の場合はふわふわの美しい姿になります。
長い毛を風に乗せ、タンポポのように種を遠くへ飛ばします。
また、葉のフチにガラス質の小さなトゲがあってざらつくのも特徴です。
これは他のイネ科植物とも共通する特徴で、土から吸い上げたガラス質の元の珪酸を細胞に溜め込むことによって出来上がります。
花言葉は「雄大な愛」「人気」など。
育て方が簡単で、野生化もする
パンパスグラスは育て方で気を遣うところが比較的少なく、丈夫に育つ植物です。
寒さに弱いことと、庭のスペースと日当たりが必要なくらいで、一度根付けばどんどん大きくなっていくので手をかける必要がありません。
そのためか栽培環境からの逃げ出しもみられ、一部の地域では野生化しているところもあります。
苗がどこで買えるかわからないという場合は、河川敷などに野生化があればそこから苗を採取しても良いかもしれません。
また、最近では「プミラ」とよばれる背丈が1mくらいの小さな品種もあり、庭のスペースに余裕が無くても育てることが可能です。
穂はインテリアにも使われる
パンパスグラスは栽培される以外にも、穂をドライフラワーにして使うことがあるのが大きな特徴です。
白くてふわふわな大きな穂はとても美しく、好みのフラワーベースや他のドライフラワーと組み合わせれば、とてもおしゃれなインテリアになります。
穂は白いものだけでなく、ピンクがかる品種もあります。
鑑賞用にも、おしゃれにも、遊びにも使える
庭の真ん中に植えてシンボル的存在に
パンパスグラスは高さが3m、株の直径も2mを越えることもあり、とても存在感があります。
シンボルツリーならぬシンボルグラスのような感じで、庭のど真ん中に植えてみても良いのではないでしょうか。
秋から冬の始まりにかけて、天高く伸びる美しい花穂が庭を彩ってくれます。
種まきから育て始める場合、穂が出るまでに通常1~数年かかるため、穂が出ないという場合はまた来年に期待してみましょう。
また、種から育てる場合雄株か雌株かは穂が出るまでわかりません。
穂が出たのにふわふわにならないという場合、雄株の可能性があります。
花穂を収穫しておしゃれなインテリアに
庭でその姿を楽しむだけではなく、収穫してインテリアとして家の中で楽しむこともできます。
庭のスペースに余裕があれば、ピンク色のものなど複数品種育ててみても良いでしょう。
大きな株だと数十本も出る花穂のうち、2~3本もあればインテリアとして成り立つので、庭の彩りは残しつつ家の中もおしゃれにすることができます。
自然遊びを楽しむ
パンパスグラスの種にはタンポポの綿毛のような長い毛がついていて、風を受けると遠くへ飛べるようになっています。
この毛があることで滞空時間が長くなるのですが、ほぼ無風くらいの弱風のときにうまく種を投げると、空中にとどまったまま平行移動するような面白い姿を観察できます。
また、葉のフチにできたガラス質のトゲをルーペや顕微鏡で拡大してみるなど、生き物が好きなお子さんがいれば話題には事欠きません。
たくさん遊べること間違いなしです。
パンパスグラスの育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
苗の植え付けや植え替えは、真夏と冬を除いた3~7月、9~10月ごろの時期に行います。
日当たりと風通しの良い場所に植え、土は水はけの良いものがおすすめです。
株分けもだいたい同じ時期で、3~4月、9~10月ごろに芽のついた根茎を切って行います。
寒さに弱いので、頻繁に氷点下になるような場所で地植えするのはなるべく避けましょう。
植えるにしても、株元を枯草などで保温するような工夫が必要です。
肥料
植え付け時に元肥を施す以外は、基本的に肥料を与える必要はありません。
剪定
庭木と違って、剪定によって株を小さくするのが難しく、年々株の直径が大きくなるように広がっていきます。
大きくしたくない場合は、元から「プミラ」という矮性品種を植えるか、力技ですが株分けの要領で根茎を切って縮めるか、大きめのコンテナで毎年植替えながら育てるなどの方法があります。
また、基本的に常緑性ですが寒い地方では葉が枯れることがあり、そうした場合は古い葉の刈り込みを行うことで見栄えを良くすることが可能です。
病害虫
特に問題になるような病害虫はありません。
一応、害虫ではバッタ、アブラムシ、ハダニなど、病気では斑点病や立ち枯れ病など、いくつかの病害虫に適用のある薬剤が市販されているので、発生した場合それらで対処することもできます。
ただ、害虫などが多少つくことはあっても、株が元気のある状態であれば問題になることはほとんどないので、少しであればあまり神経質にならないのがおすすめです。
日当たり
地植えの場合、植え付けてから根付くまでは水やりをしますが、活着したら水やりの必要はありません。
水やり
地植えの場合、植え付けてから根付くまでは水やりをしますが、活着したら水やりの必要はありません。
出典(引用元)
「新装版 園芸大図鑑」
室谷優二著
「草花の「困った!」解決ナビ」
金田初代著
「花の辞典」
清水矩宏・森田弘彦・広田伸七 著
「日本帰化植物写真図鑑 Plant invader 600種」
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。