アベリアは、初夏から晩秋まで、白い小花を楽しめる半常緑の低木。生垣や庭木として用いられ、近年では斑入り葉の品種も数多く流通している。病害虫や大気汚染に強いことも人気の理由だ。生育が旺盛で、美しい樹形を維持するにはこまめな剪定が欠かせない。
基本5データ
- 分類
- 庭木-低木・下草
- 学名
- Abelia×grandiflora
- 科・属名
- スイカズラ科ツクバネウツギ属
- 別名
- ツクバネウツギ、ハナゾノウクバネウツギ
- 草丈・樹高
- 1m~2m
- 栽培可能地域
- 北海道以南
- 花色
- 白・ピンク・赤
- 開花期
- 5月~10月
- 結実期
- ー
- 耐暑性 / 耐寒性
- 耐暑性・耐寒性ともに優れ、本州・四国・九州・沖縄が、地植えでの栽培可能地域です。ただし、東北地方など寒い地域では冬に落葉する場合があります。
白い小花・赤いがく片・緑色の葉のコントラストが美しい半常緑低木
アベリアとは
アベリアは、生垣や庭木として人気の高い半常緑の低木です。スイカズラ科ツクバネウツギ属に分類される植物を総称してアベリアと呼びますが、日本において単にアベリアというときは、園芸品種として代表的なアベリア・グランディフローラを指すことが多くなっています。
アベリア・グランディフローラは、19世紀のイタリアで、中国原産のシナツクバネウツギ(タイワンツクバネウツギ)とアベリア・ユニフローラをかけ合わせて作られた品種です。
なお、アベリアの野生種は、東アジアやメキシコに分布しています。日本にはツクバネウツギなど数種類のスイカズラ科の樹木が自生しています。
和名の由来は羽根突きの羽根に花が似ていること
アベリアの和名は、ハナゾノツクバネウツギ(花園衝羽根空木)です。同じスイカズラ科で、日本に自生している落葉低木のツクバネウツギが和名のもとになったと言われています。
ツクバネウツギという名は、花とがく片を羽根突きで使う羽根にたとえて名づけられました。園芸品種として利用されるハナゾノツクバネウツギ(アベリア)は、ツクバネウツギよりもがく片の赤味が強く、より華やかな印象があります。
花は初夏から晩秋まで長く楽しめる
アベリアの特徴は、5月から10月ごろまでの長期にわたって花が咲くこと。半年近く花を楽しめ、花木として見ごたえのある樹木です。花が少なくなる真夏の庭や公園を彩る樹木として重宝されています。
アベリアの花言葉は、強運・謙虚・謙譲など。強運は、長い期間花を咲かせ続ける力強さに由来するとも。謙虚・謙譲は、慎ましやかな印象の小さな花の姿にちなんで付けられたと考えられています。
花が終わったあとにはプロペラ型のがく片が残るものの、種子は滅多にできません。
斑入り葉の品種も人気
花だけではなく、葉も鑑賞できる斑入り葉の品種の人気が高まりつつあります。代表的な品種は、緑色の葉に白い斑が入る「コンフェッティ」や「ホープレイズ」や、黄色~オレンジの明るい斑が印象的な「カレイドスコープ」です。
花色も多彩で、ピンク色の花を咲かせる「エドワードゴーチャ」などの品種も注目されています。
長期間花を楽しめる生垣として活躍
大気汚染に強く、公園や道路沿いの植え込みとして人気
樹高1m~2mのアベリアは、庭木やマンションの植栽のほか、公園や道路沿いの植え込みによく用いられます。潮風や排気ガスにも強く、植え場所を選ばない強健な性質を持っているからです。住宅周りに植栽する場合も、車通りの多い大通り沿いや、海の近くの庭でも元気に育てられるでしょう。
常緑で冬でも葉が茂っているため、隣家との垣根や道路からの目隠しとしても利用できます。ただし、寒い地域では冬になると部分的に落葉することもあるため、目隠しには向きません。
生育旺盛でこまめな剪定が必要
アベリアは生長が早く、細い枝は空に向かって勢いよく伸びます。垣根や目隠しとして早く大きくしたいときに便利な樹木です。ただし、葉が密に茂った美しい樹形を保つためには、こまめに剪定や芽摘みなどの手入れをする必要があります。
剪定の適期は4月~7月の成長期ですが、軽い剪定なら真冬と真夏を除き1年中可能です。徒長枝が出て樹形が乱れたり、樹高が高くなりすぎたりしたときは、季節を問わず剪定してください。アベリアの枝は、多少強めに刈り込んでも元気に再生します。
トピアリーなど刈り込みとして楽しむ場合は、形を維持するために最低でも年に1・2回は刈り込むようにしましょう。
アベリアの花は昆虫に人気がある
アベリアは、比較的病害虫に侵されにくい植物です。ただし、アベリアの花にはチョウやハチなどの訪花昆虫が多く寄ってきます。開花期が長く、花が少ない夏期にも開花しているためです。
虫が苦手な人や、小さい子どもやペットがいる家庭の庭に植えるときは注意しましょう。反対に、昆虫が好きで、観察や写真撮影を楽しみたい人には最適な樹木です。
アベリアの育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
アベリアの植え付け・植え替えは、暑さ・寒さの厳しい7月~9月と12月~2月以外の時期に行います。土質は選ばず、やせた土地でも元気に生育します。生育旺盛で横にも大きく広がるため、他の植物との間は広めに開けて植えるのがおすすめです。
地植えする場合、腐葉土を混ぜた深めの植え穴に植え付けてください。鉢植えにする場合は、市販の園芸用土が便利です。
肥料
地植えの場合、肥料は与えなくても大丈夫です。施肥する場合は、2月~4月上旬に寒肥を、開花中の8月下旬~9月上旬に緩効性の化成肥料を施します。
剪定
4月~7月ならいつでも剪定できます。徒長した枝や枝葉が混みあっている箇所があれば、こまめに剪定して形を整えてください。
病害虫
病気や害虫の発生しにくい植物です。植物の生育に害を与える害虫ではありませんが、開花中はチョウやハチなどの訪花昆虫を多く引き寄せます。ハチに刺されるなど、人間やペットへの被害に気を付けてください。
日当たり
地植えのアベリアには、水やりは特に必要ありません。鉢植えの場合、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水をやります。
水やり
地植えのアベリアには、水やりは特に必要ありません。鉢植えの場合、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水をやります。
出典(引用元)
小幡和夫ほか『樹木博士入門』全国農村教育協会
植物が大好きなライターです。小学校の自由研究は「雑草の研究」でした。忙しい毎日でも無理なく楽しめるガーデニングを日々研究しています。雑草&野草・カラーリーフ・球根植物・100円ショップの園芸グッズ。