バラの育て方・特徴

バラの育て方と特徴

「愛」や「美」の花言葉をもつバラは、香りのある上品な大輪の花が咲き、種類も豊富でガーデニングでは人気の花木です。花・実・葉の特徴や育て方、適切な植え方、さらには4つの種類の特徴など、バラの魅力をたっぷりと紹介します!



基本データ

分類
庭木-落葉
学名
Rosa/Garden roses
科・属名
バラ科・バラ属
別名
草丈・樹高
品種によって異なる
栽培可能地域
全国
花色
白、赤、ピンク、オレンジ、黄、緑、紫、茶、黒、複色
開花期
5月中旬〜6月上旬、品種よっては6月中旬〜11月ごろ
結実期
10〜11月(品種によって違う)
耐暑性 / 耐寒性
強い〜やや弱い/強い〜やや弱い

バラの花・実・葉の特徴と花言葉

地面から軽やかな曲線を描くようにトゲの付いた幹が伸び、枝先に大輪の花を咲かせるバラ。上品で豪華なたたずまいは、花の女王とも呼ばれ、古くから世界で親しまれている花木です。

バラとは

バラ
バラは、冬に葉を一斉に落とす落葉性低木、またはつる性の草花です。バラ科・バラ属に分類する樹木で、南半球には自生せず、北半球の温帯〜亜熱帯に分布し、世界中に約1万種もあるといわれています。現在でも毎年数百種の園芸品種がつくられていて、多くの園芸家に愛されている花木です。

日本でも、ノイバラ・テリハノイバラ・ハナマスの3つの原種が自生し、そこから品種改良して誕生したバラもあります。江戸時代では、中国からモッコウバラ・コウシンバラが渡来し、さらに多くの園芸品種が栽培されたといわれています。それ以前より前では、古代ギリシャ・ローマの時代からバラについて書かれている書物が見つかっており、そこからヨーロッパ大陸全土へ広がったとされています。

バラの花と花言葉

バラ
たくさんの種類があるバラですが、原種に近い一般的な品種は、5月中旬〜6月上旬ごろにかけて花が咲きます。花びらは5枚で、中心に雌しべがあり、その周りを囲むようし雄しべが長く伸びます。ツバキやサザンカに似た花のつき方が特徴です。ただし、多くの品種は八重咲きのものが多く、花びらは5枚以上です。

バラの花言葉

バラの花言葉は、「情熱」「愛情」「愛」「あなたを愛します」「恋」「美」「愛嬌(あいきょう)」「幸福」「爽やか」「新鮮」「輝かしい」「無邪気」です。

バラの葉と実の特徴

バラの実

バラの実
一部のバラは、10月ごろに「ローズヒップ」といわれる実を付けます。実を付ける品種は、「ワイルドローズ」といわれ、原種に近い姿をしているのが特徴です。ハマナスの花のように花びらが丸く、外へ広がるような咲き方をするような品種が多い気がします。ローズヒップは、ハナミズキに似ていて赤い楕円形(だえんけい)のものが多いです。

バラの葉

バラの葉
3月ごろになるとバラの新緑が枝先から出て、複葉で展開します。濃緑の葉の縁は、バラ科特有のノコギリ状で薄く、秋になると黄色や赤色に紅葉し、冬になると葉は一斉に落ちます。

バラの生長スピード・苗木の価格

バラ
鉢植えやポットから地面に移植したバラは、根付くと生長速度が早まり、大きくなると人間の背丈を超える高木になることも。ただし、品種によってさまざまで、つるのように長く伸びれば、樹木のように高く伸びるもの、さらにはあまり大きくならないものもあります。品種に関係なく、できるだけ広めの庭に植え付けると安心です。価格は品種・苗木の大きさ・樹形によって違いますが、3号ポットのサイズで600円程度から販売されていることが多いようです。

バラの4つのタイプ

たくさんの種類があるバラですが、樹形によって大きく4つのタイプに分かれます。タイプが違うと、生長の流れや樹高、剪定などの管理なども変わります。ここでは、バラの4つのタイプを紹介します。

ブッシュ・ローズ(木立ち性バラ)

ブッシュ・ローズ(木立ち性バラ)
幹が樹木のように太く大きく立ち上がり、ボリューム感のあるたたずまいになるブッシュ・ローズ(木立ち性バラ)。低木と同じく木は自立し、環境の良い場所で育てれば春から秋まで花を観賞することもできます。花は中輪から巨大輪までと大きさあり、花の色や形状、さらには香りの強さなど、バリエーションが豊富で、人気の品種もあります。株は品種によって大きいものと小さいものがあり、樹形も直立性から横張り性までさまざまにあります。

特によく栽培されている四季咲き性の「モダンローズ」(ハイブリッド・ティー系やフロリバンダ系など)や、チャイナ系やティー系などはあり、一部にはオールドローズもあります。

シュラブ・ローズ(半つる性バラ)

シュラブ・ローズ(半つる性バラ)
シュラブ・ローズは半つる性のバラを指します。細い枝を長く伸ばし小型のつるバラとして利用したり、短く切り詰めてブッシュ・ローズのように仕立てたりるすることができるので、利便性の高いバラといわれています。四季咲き性や返り咲き性の品種は、シュラブ・ローズがほとんどで、市場に出回ることが多いようです。

花は小輪から大輪までとあり、花の色や香りの強さが品種によって異なります。株の大きさもさまざまで、枝の太さや堅さが違います。そのため、幹の質によって樹形を変えることも。しなやかに枝が伸びる品種は、株の外側にふんわりと膨らむように仕立てた開張型に、堅い枝が伸びる品種は、真っ直ぐと伸ばす直立型や真横に広げた横張り型に仕立てます。

クライミング・ローズ(つる性バラ)

クライミング・ローズ(つる性バラ)
伸ばした枝をフェンスやパーゴラ、アーチやトレリス、などに誘引して観賞することが多いクライミング・ローズ(つる性バラ)「つる」という言葉が付けられていますが、アサガオやクレマチスなどのつる性植物のように、自ら枝をものに絡みつくことはなく、枝をただ長く伸ばす性質があります。

花は小輪から大輪までとあり、花の色が豊富。品種によっては香りの強いものもあります。品種によって大きさが違いますが、つるの太さや堅さが違い、仕立て方に次第でたたずまいの印象が変わります。

ミニバラ

ミニバラ
ミニバラは、バラの中でも樹高があまり高くならず、コンパクトな株になる木立ち性のバラです。小さく鉢植えで花を観賞することが多く、極小輪から中小輪の花を咲かせます。育てる環境が良ければ春〜秋まで咲き続ける場合も。花の色は豊富ですが、香りはほかの系統に比べると弱く、品種によって強弱も違います。

自立した株は、直立型や横張り型と樹形があり、好みのものが選べます。最近ではフロリバンダ系などと交配された、大型のミニバラが人気で、「パティオ・ローズ」または「ミニ・フローラ」などと呼ばれて出回ることが多いです。

バラの育て方・管理方法

植え付け・植え替え

バラ
日本で販売されているバラは、ノイバラの台木を使って接ぎ木された苗木が多いです。まずは、枯らさないためにどんな苗木を選ぶかがポイントです。

大苗のバラを選ぶ


バラの苗木には、大きく分けて新苗と大苗の2つがあります。苗が1年未満のものを新苗と呼び、それ以上経ったものを大苗といいます。初心者は強く育った大苗を選ぶのがおすすめ。枯れにくく、栽培で失敗するリスクも低いです。

バラの植え付け時期|4〜6月


大苗のバラなら、比較的、植え付けは周年できますが、4〜6月ごろがベストです。気温が暖かくなるころに植え付ければ、植え付け後も生長に勢いがあり、すぐに根付きやすいです。ただし、冬に購入した大苗は、すでに剪定され、花芽や葉が付いていない状態なので、休眠期の12〜2月に行うのがいいです。

初心者の方はバラ専用の培養土を使う


バラの土は、排水性・通気性・保水性のあるものが最適です。自分で腐葉土などを混ぜてつくるのもいいですが、バラ専用の培養土で販売しているところも多いです。初心者の方は、バラ専用の培養土を使って植え付けをするのがおすすめです。すでに土が適切なものと量でブレンドされていて、肥料などを混ぜ合わせる必要がなく、手間があまりかかりません。ただし、安価なものは土が固まりやすかったり、乾きやすかったりするので、できるだけ避けましょう。

種類によって、植え付けるスペースを確保する


バラは種類にあわせて、植え付けるスペースを確保します。木立ち性バラは株間を60〜100cmほど、つるバラは株間を200cmほど、半つる性バラは株間150cmほど、ミニバラは株間30〜50cmのスペースを設けましょう。スペースが小さ過ぎると、バラの枝葉が建物や周辺の庭木にぶつかって樹形が乱れたり、周りの建造物を傷つけたりする可能性も出るので、苗木は小さくても植え付ける場所はある程度の広さが必要です。

バラの苗木の植え方


バラを植え付けるときは、植え穴の深さは根鉢の高さよりも3cm低くし、根鉢の周りに片足が入るぐらいの広さをつくりましょう。植える前に一度、ポットから抜いた苗木を穴に入れてみて、穴のサイズを確認するといいです。手を離しても苗木が直立するように、穴の底に培養土を加えてから植え付けましょう。足で踏み固めながら培養土を継ぎ足し、幹の接ぎ口が土よりも上に出るようにします。

肥料

バラ
春に花がたくさん咲くバラは、定期的に肥料を与えた方がよく育つので、年に3回程度肥料を与えます。花が咲く前の4月ごろに追肥を、花が咲いた後の6月下旬〜7月下旬にお礼肥を、新緑や花の準備期間となる12〜2月中旬に寒肥を与えましょう。肥料は、市販で売っているバラ専用の肥料か、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスの取れたもの、または、リン酸の多い花木・庭木用の肥料がおすすめです。

剪定

枝の剪定
大輪の花をたくさん咲かせるバラは、定期的な剪定がかかせません。良い芽を出させながら大きな株に生長させていくことで、毎年美しい花を鑑賞できます。バラの剪定は、年2回のペースで行いましょう。

バラの適切な剪定時期|9月上旬〜9月中旬と12月下旬〜2月


バラの剪定は、花が咲き終わった9月上旬〜9月中旬と、休眠期に入った12月下旬〜2月ごろにしましょう。夏を過ぎたころの剪定は、枯れ枝や伸びる勢いが弱い枝葉を取り除く程度。冬はの剪定は、強剪定で花を咲かせたい箇所を残しながら、ほかをバッサリと切り落として、見た目をすっきりとさせます。また、8月では暑さによって切り口から水分が過剰に抜けて枯れてしまうこともあるので注意しましょう。

病害虫

水やり
品種改良されて誕生したバラ科のバラは、細菌による病気や害虫が出やすいです。株を枯らしてしまうこともあるので、日頃の予防やケアがとても大切です。

病気


・うどんこ病:4月上旬〜7月上旬と9月中旬〜10月上旬に、白い粉が吹いたような菌糸が若葉や花などやわらかい箇所に発生します。症状が悪化すると、葉や花が奇形になる場合も。昼夜の温度差が大きい時期は、空気感染によって被害が拡大する場合もあります。日頃から風通しを良くし、予防として薬剤を散布しておくといいです。

・サビ病:5〜11月ごろに、葉や枝に橙色みがかった黄色のイボ状の斑点が現れ、サビができたような見た目になります。症状が悪化すると落葉し、生長を阻害させることも。発見次第、すぐに発生した箇所を切り捨てて処分しましょう。

・すす病:春から秋にかけて、葉の表面が黒い汚れ(すす)に覆われ、カビが生えます。放置すると株全体に広がり、落葉の原因となります。カイガラムシの排泄物によって発病するので、害虫対策が大切です。

・黒点病(黒星病):4〜11月ごろに、葉に黒褐色の斑点ができ、次第に黄変し落葉します。株周りの地面に病原菌が潜んでいて、雨の水や水やりの跳ね返りによって下部の葉から感染し、茎にも伝わることがあります。株周りには、ウッドチップなどマルチングをして、水の跳ね返りを防ぐといいです。

・灰色カビ病:4〜6月と10〜11月ごろに、新芽や花に褐色のカビの斑点ができ、酷くなと感染した部分が腐ります。低温多湿な環境を好み、雨が多くて日照が不足しがちな時期に発生が多くなります。過剰な水やりを控え、風通しを良くしましょう。また、窒素過多によっても被害がでることも。症状が見られた箇所は、早めに取り除きます。

害虫


・カイガラムシ:初夏から夏ごろに株元の幹に穴をあけて産卵し、ふ化した幼虫(テッポウムシ)が茎の中を食害するため、株を弱らしたり、枯らしたります。成虫は産卵期に飛んでやってくるので、見つけ次第捕殺しましょう。幼虫は穴から木くずのようなふんを出すので、見つけた場合は、穴に針金をさして、またはスポイトで薬剤をいれて駆除します。

・カイガラムシ:1年を通して、枝や幹に発生しやすく、養分を吸汁します。成虫になると甲羅が硬質化し、薬が効きにくくなります。できるだけ薬の効く幼虫のうちから、薬剤散布を行うといいです。成虫は歯ブラシや軍手を使って擦るようにして補殺します。

日当たり

バラ
バラは日当たりが良いことが第1条件!日当たりや風通しが悪い場所では、花が咲きにくいだけでなく、病気や害虫の発生の原因になる場合もあります。日陰で湿気がたまるような場所では、枯れてしまうこともあるので、東・南側の方向に植えましょう。

水やり

生命力の強いバラですが、土をカラカラに乾燥させてしまうと水切れを起こしたり、花が咲きにくくなったりします。地面を完全に乾かさないように、メリハリ(乾燥と湿潤)のある水やりをしましょう。



氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 柴﨑光一

リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。

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