ハナズオウの育て方と特徴

春になると枝の側面から、チョウの姿をした濃いピンクの花が密集するよう咲いたあと、ハート型の緑の葉が展開し、秋ごろにはキヌサヤに似た実（豆果）が付くハナズオウ。白い花、斑入りや紫の葉の品種など種類も豊富で、さまざまなテイストの庭にあいます。暑さや寒さに耐性があり、病害虫に強く、育て方も簡単なので庭木やシンボルツリーにおすすめです！

ハナズオウとは

ハナズオウは、冬に葉を一斉に落とす落葉性小高木。マメ科・ジャケツイバラ亜科のハナズオウ属に分類する樹木で、中国を原産とし、日本には江戸時代に渡来したようです。地面から幹が複数で伸びる「株立ち樹形」で、茶色味がかった灰色の幹も美しく、昔から観賞木として親しまれています。

生命力がとても強く、栄養があまりない土地や乾燥するような場所でも育つので、植える場所は特に選ばなくても問題がありません。落葉樹ということもあり寒さにもとても強く、氷点下20℃程度（USDA zone 6b）までなら枯れることがなく、北海道でも防寒対策をしなくても地植えができます。

また、前年に伸びた枝に花芽をたくさん付けるので、冬に強剪定（きょうせんてい）をしてしまうと開花が観賞できない場合も。枝数も少ないので、不要な枝や枯れた枝を間引く程度で剪定するといいです。

ハナズオウの花と花言葉

4〜5月ごろにかけて、新しく伸びた細い枝からマメ科特有の「蝶形花」といわれる小さな濃いピンクの花が咲くハナズオウ。花が集まって咲く姿は、キンモクセイやライラックに似ていて、かわいらしさがあります。

ハナズオウの花言葉

ハナズオウの花言葉は、「高貴」「質素」「喜び」「豊かな生涯」「目覚め」「不信仰」「疑惑」「裏切り」「エゴイズム」「人のおだてに乗りやすい」「裏切りのもたらす死」です。

ハナズオウの葉と実の特徴

ハナズオウの葉

ハナズオウは、春に花が咲いて終わると、丸みのあるハート型の葉を枝から互い違いに展開します。直径5〜8 cm程度で光沢があり、葉脈がはっきり出ます。夏は鮮やかな緑の葉、秋は黄色い葉、冬は落葉と、季節ごとに色や姿の変化を楽しめる樹木です。

ハナズオウの実

開花終えて受粉をしたハナズオウは、9〜10月を過ぎたころからキヌサヤのような緑の豆果をたくさん付けます。実は緑から次第に赤く熟し、中のタネができると、枯れたように赤茶色く変色。春先まで枝に付いたままで、風に吹かれると自然に落下します。また、ハナズオウは、雄花と雌花が同じ木（個体）に咲く雌雄同株（しゆうどうしゅ）なので、1本の木で実を観賞できます。

-ハナズオウの種まき
ハナズオウは、10月に赤黒く熟した実から採れた種で増やすことができます。秋に種を採取し、翌年の春の3月ごろに種まきをすると新芽が出ます。

ハナズオウの生長スピード・樹高・苗木の価格

マメ科の植物であるハナズオウは、自然界では10mを超える高木に生長します。日本では高木になりにくいですが、生長スピードが早く、地面に根付くいたものは大きくなると、樹高が5mを超えることも。また狭い場所へ植えてしまうと、ハナズオウの根や幹が太くなりやすいので、広めの庭に植え付けるのが安心です。不可能であれば、コンパクトで手軽に育てられる鉢植えで楽しむのがおすすめです。

苗木の価格は、大きさや品種によって違いますが、樹高20cmほどで、1,700円程度から販売しているところが多いようです。

ハナズオウの毒性

ハナズオウの花・実・葉には、人体に影響のある毒が含まれているようです。現在までは、毒による症状は報告されていないようですが、危険なのでむやみに口に入れないようにしましょう！

ハナズオウの種類｜白い花・カラーリーフの品種や似た花が咲く品種

ピンクの花がかわいらしいハナズオウですが、最近では白い花が咲く品種や、葉が赤や紫色のアメリカハナズオウも人気です。

ハナズオウの園芸品種

・シロバナハナズオウ（Cercis chinensis ‘Alba’）

3〜4月ごろに白い花が咲くシロバナハナズオウ。ピンクの花が咲くハナズオウ（Cercis chinensis）とよく似ていていますが、幹が白みがかった灰色なることもあるようです。白い花びらと、黄緑のガクが相まった姿が清楚で美しい樹木です。

ハナズオウの仲間

・アメリカハナズオウ（Cercis canadensis）

カナダのアルバータ州からアメリカのテキサス州にかけて自生するアメリカハナズオウ。中国のハナズオウよりも大ぶりな樹形で、大きくなると樹高が12mを超えることもある高木です。小枝の内側の樹皮は、黄色い染料となるようです。また、花は食用ができ、サラダや酢漬けとして食べることもあります。

-アメリカハナズオウ・シルバークラウド（Cercis canadensis “Silver cloud”）

丸みあるハート型の葉に、真っ白な斑が入るアメリカハナズオウ・シルバークラウド。純白の葉ともいえる姿が美しく、春に咲くピンクの花と相まったたたずまいは圧巻です。

-アメリカハナズオウ・フォレストパンジー（Cercis canadensis “Forest pansy”）

アメリカハナズオウ・フォレストパンジーは、ハート型の葉が季節ごとに色変わりする珍しい品種。春は赤紫色に、夏は緑色に、秋は赤色に変色したあと、冬に落葉します。秋に真っ赤に紅葉した姿は、マルバノキに似た雰囲気があります。

・セイヨウハナズオウ（Cercis siliquastrum）

南ヨーロッパと西アジアに自生するセイヨウハナズオウは、薄いピンクの花が咲きます。キリスト教の伝説では、「ユダの木」とも呼ばれ、聖木として扱われることも。花は1年未満の幼木から咲くこともあり、とても花付きが良いです。

たくさんの小さな花が、枝を隠すように密集して咲くハナズオウ。可憐な花は、切花や生花など、フラワーアレンジメントでも使うことができるのも魅力の1つ！

ハナズオウの魅力1｜和風・和モダン・洋風など、どんな庭のシンボルツリーにも◎

ハナズオウは、ピンクの花が咲く品種だけでなく、花や葉の色のバリエーションが豊富！石や岩を使って上品で静けさがある和風やそこに色味が加わった和モダンの庭、多種類の植物が植えられてナチュラルで明るい雰囲気がある洋風の庭など、さまざまなテイストの庭のシンボルツリーとしてなじみます。

ハナズオウの魅力2｜花・葉・実など季節ごとに色の変化を楽しめる

春には満開の花、夏には新緑、秋には紅葉や実など、1本の木で季節によってさまざまな変化を観賞できるハナズオウ。選ぶ品種によっては、濃いピンクだけでなく薄いピンクや白色の花が咲くものや、葉に斑が入るものもあります。違う品種をいくつか植えて、印象的な庭づくりもできますね！

ハナズオウの魅力3｜ほかの植物と寄せ植えして庭を華やかに

枝が立ち上がるように伸び、ホウキを逆さにしたような樹形になるハナズオウ。ほかの樹木と比べると独特な樹形でなじみにくいため、単独で植えられることも多いです。しかし、足元に空間が生まれなやすく、低木や背の高い草花と寄せ植えすると、とても華やかな風景に。ハナズオウは冬に葉を落としてしまうので、葉に色味があるものや、冬に花や実をつける常緑の木や草花を近くに植えておくのもおすすめです。

ハナズオウとの寄せ植えにおすすめの低木や草花

ハナズオウと相性の良い低木：オタフクナンテン、ツツジ、サツキ、ドウダンツツジ、カルーナなど
ハナズオウと相性の良い草花：クリスマスローズ、シュウメイギク、ヒューケラなど

ハナズオウの魅力4｜病害虫に強くて管理が楽！

病害虫の被害も少なく、暑さや寒さにも強いハナズオウは、夏の日除け対策や冬の防寒対策などをする必要がありません。1年に1度でいいですが、定期的な剪定は必要です。