ソシンロウバイ(素心蝋梅)は、冬の花木として高名なロウバイの園芸品種。
花の中心部が赤紫色となるロウバイとは異なり、中心部まで黄色いのが特徴。
花からは甘い香りがする。日本の気候に適していて暑さにも寒さにも強く、比較的育てやすい庭木と言える。
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基本データ
- 分類
- 庭木-落葉
- 学名
- Chimonanthus praecox ‘Concolor’
- 科・属名
- ロウバイ科ロウバイ属
- 別名
- カラウメ、シロバナロウバイ
- 草丈・樹高
- 2m~5m
- 栽培可能地域
- 全国
- 花色
- 黄色
- 開花期
- 12月~2月
- 結実期
- 6月~8月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 日本の気候に合っている樹木で、耐暑性にも耐寒性にも優れています。
寒さや暑さへの特別な対策を行う必要はありません。
冬景色の中でひときわ目立つ黄色い花
ソシンロウバイとは
ソシンロウバイは、中国原産の花木であるロウバイの園芸品種で、樹高2m~5m程度になる落葉低木です。
ロウバイは、17世紀初頭に朝鮮半島を経由して日本に渡来したと考えられています。
ソシンロウバイを含むロウバイ類は、冬から早春にかけて、ロウのような質感の黄色い花を咲かせる木です。
まだ花や新緑の少ない12月~2月ごろにいち早く開花することから、春を予感させる花というイメージを持たれています。
花言葉は「慈愛」で、花からは甘い香りが漂います。
カワヅザクラなど早咲きのサクラやウメがソシンロウバイにやや遅れて咲きはじめ、同時期に花を鑑賞することができます。
ウメ、サクラ、コブシなどと同様に、ソシンロウバイも葉が出るより先に花が咲くタイプです。
ロウバイ(蝋梅)という名は、ロウ細工のウメの花のように見えるために付けられたと言われています。
ただし、ウメはバラ科の植物であり、ロウバイ科の本種とはまったく別の種類の植物です。
また、蝋月(ろうげつ:陰暦の12月)に開花することが名の由来とする説もあります。
ソシンロウバイとロウバイの違い
ロウバイとソシンロウバイの大きな違いは、花の中心部の色です。
ロウバイは花の中心が赤紫色になりますが、ソシンロウバイは花の芯まで花弁と同じ黄色です。
素心(素芯)とは、園芸の用語で花芯が花弁と同じ色をしていることをいい、ほかにはソシンラン(素心蘭)などがあります。また、ソシンロウバイの花は、ロウバイよりも全体的に大ぶりで、香りが強いことも特徴です。
ほか、ソシンロウバイから選別された「満月ロウバイ」という種類も人気です。
満月ロウバイは、ソシンロウバイよりも花が大きく、花びらが丸みを帯びています。
花の色もやや濃い目で、はっきりとした印象があります。
夏には実を付ける
6月~8月ごろになると楕円形の果実が鑑賞できます。
まるでミノムシの巣のように枝に直接実を付けるのが特徴で、振るとカラカラという音がします。
ロウバイの果実として認識されているものは「偽果」です。
植物の果実は子房が発達したものですが、偽果は子房以外の部分が発達して果実のように見えるもののことです。
ソシンロウバイの偽果の先端のとがった部分は、雄しべが萎れたものです。
種子や葉に毒がある
公園や遊歩道などでもよく見かけるロウバイですが、種子や葉が有毒です。
種子にはアルカロイドの一種であるカリカンチン、葉にはキモナンチンが含まれています。
種子に含まれるカリカンチンは神経毒で、口にすると激しいけいれんや血圧上昇などを引き起こします。
人にとっても動物にとっても有毒なので、子どもやペットが誤って食べないように細心の注意を払いましょう。
一方、ロウバイのつぼみは、漢方の「蝋梅花」として、頭痛、発熱、口の渇きなどに用いられています。
庭木はもちろん、お正月の花飾りにもなる
和風から洋風まで庭のテイストを選ばない
蝋梅は、アジア原産であり、日本でも古くから親しまれてきたことから、どちらかというと和木のイメージが強い樹木です。しかし、細く軽やかな枝と明るい黄色の花は、イングリッシュガーデンや自然風の庭にもよく似合います。
和洋問わず、冬場の景色がさみしくなる庭にはもってこいの花木といえるでしょう。
冬~早春のテーブルを彩る花飾りにも
ソシンロウバイは、枝ものの切り花としてもポピュラーです。
年末年始に飾る花として定番で、ウメやサクラと共に活けると春らしい雰囲気を出せますよ。
ロウバイの花には甘い香りがあるため、食卓に飾るときには気を付けましょう。
ソシンロウバイの育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
ソシンロウバイの苗木は、通販や園芸店で購入できます。
植え付けや植え替えは、真冬を避けた落葉期に行います。11月~12月、2月~3月が適期です。
水はけの悪い場所も、乾燥しすぎる場所も嫌いますので、湿り気のある場所に植えるなら、腐葉土などの有機質を多めにすきこんで水はけを良くしてください。
乾燥しやすい場所では、根元付近にグラウンドカバーの植物を植えるのも効果的です。
肥料
花が咲き終わるころの2月~3月と、8月下旬~9月の年2回肥料を与えます。
油かすなどの有機質肥料か、緩効性肥料を株元にまいてください。
剪定
剪定は、葉が落ちる11月ごろか、開花後の3月ごろに実施できます。
伸びすぎた枝、ひこばえなどの不要枝、混み合っている部分を中心に剪定してください。
その年に伸びた枝に花芽を付ける性質があるため、新しい枝は残します。
長く伸びた枝には花が付きにくく、短い枝に花が付きやすい傾向があります。
病害虫
病害虫の被害は受けにくい樹木ですが、夏にイラガの毛虫が付くことがあります。
虫を見つけ次第、捕殺するか薬剤で対処してください。
イラガの毛虫には毒があり、刺されると皮膚に炎症が起きますので素手で触らないようにします。
日当たり
地植えでは、苗を植え付けてから根付くまでのしばらくの間は、乾燥させないように注意します。
一度根付いてしまえば特に水やりは必要ありません。
鉢植えは、土の表面が乾いたら水を与えてください。
水やり
地植えでは、苗を植え付けてから根付くまでのしばらくの間は、乾燥させないように注意します。
一度根付いてしまえば特に水やりは必要ありません。
鉢植えは、土の表面が乾いたら水を与えてください。
出典(引用元)
椎葉林弘『よくわかる庭木大図鑑』永岡書店
小幡和夫ほか『樹木博士入門』全国農村教育協会
草間祐輔『症状と原因が写真でわかる 庭木・花木・果樹の病害虫ハンドブック』家の光協会
土橋豊『人もペットも気をつけたい園芸有毒植物図鑑』淡交社
植物が大好きなライターです。小学校の自由研究は「雑草の研究」でした。忙しい毎日でも無理なく楽しめるガーデニングを日々研究しています。雑草&野草・カラーリーフ・球根植物・100円ショップの園芸グッズ。