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河津桜
2022.05.31

河津桜の育て方や特徴

2月ごろの早い時期に咲く、ピンク色の花が特徴の桜。
発祥の地である伊豆にはたくさん植えられていて、名物のようになっている。
カンヒザクラとオオシマザクラの交雑によってできたと考えられている。

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基本データ

  • 分類庭木-落葉
  • 学名Cerasus×kanzakura ‘Kawazu-zakura’ Thunoda & Funatsu
  • 科・属名バラ科サクラ属
  • 別名なし

冬の終わりに見頃を迎える、ピンク色の桜

河津桜とは

 
河津桜とは、桜の仲間の園芸品種で、カンヒザクラとオオシマザクラの雑種からできたと言われています。
 
静岡県の河津町で見つかったことが名前の由来とされており、原木は野生状態で見つかったものを個人宅で植え替えて育てたものです。
今でも発見者の自宅の庭に原木が残っており、樹齢は2022年現在、70年近くなっています。
 
そこから増やされた苗木が、今では伊豆半島を中心に全国的に植えられています。
元々よく育てられていた種類同士の交配なのもあってか、育て方も他の桜類とあまり変わらず、盆栽などの利用もされています。
花言葉は「純潔」など。

 

多くの桜より見頃が早い

 
河津桜は他の多くの桜に比べて早咲きで、早いと1月下旬から咲き始めます。
他の花がほとんど咲いていない時期に一斉に桜の花が咲くのは圧巻で非常に美しく、河津桜の生まれた河津町では、「河津桜まつり」なるものが開催されているほど。
 
四季咲きの桜では他にも真冬に咲くものがありますが、河津桜ほど一斉にたくさんの花が咲くものではありません。
冬の時期に美しい桜がたくさん見られるのは河津桜ならではといって良いでしょう。

 

他にはない特徴的な姿

 
河津桜は、よく植えられるソメイヨシノなどと比べて、花のピンク色が濃いのが特徴です。
これは河津桜の片親といわれるカンヒザクラの性質を受け継いでいるものと思われますが、他のよく植えられる桜類にはなかなか見られない色で、とても美しいです。
 
また、自家受粉ができるといわれているのも他にはあまり見られない特徴で、よく植えられるソメイヨシノは同じ木の花粉で受粉しても実がならないので、ソメイヨシノ以外の桜が近くにないと実ができませんが、河津桜は他の桜が近くになくても実ができることが多いので、自家受粉で実をつけられるのではないかと考えられています。

他の桜とは違った美しさ

いち早く桜を楽しむ

 
河津桜を植えておけば、よく植えられるソメイヨシノに先駆けて花見を楽しむことができます。
 
真冬に桜の花がたくさん咲く様子はまるで春が来たようで、とても暖かい気持ちになれます。
花色が濃いピンクなのも暖かさを感じられて嬉しいです。
冬にちょっと暖かい気分を味わうことができて、お得な感じがします。

 

いろいろ植えて長く楽しむ

 
河津桜と一緒に別の品種の桜も植えておけば、長い期間桜を楽しむことができます。
 
よく植えてあるソメイヨシノの他に、3月くらいから咲き始めるものや5月くらいまで咲いているもの、秋や冬に咲くものなど、桜は種類も品種もたくさんあるのでバリエーションは豊富です。
咲く時期がずれるものをいくつか植えておくと、いろいろな桜を長い間庭で楽しめます。

 

オリジナル個体をつくる

 
河津桜と別の桜を交配させることで、違った形質・性質を持つ桜を生み出せる可能性があります。
 
また、桜の仲間は自家受粉によって実をつけることができないものが多いですが、河津桜は自家受粉でも実をつけられると考えられています。
その場合は、河津桜に似ているけど少し違うものができるようです。
 
花のあとに自然にできた種をまいてみたり、他の桜の花粉をつけてみたり、色々試してみたら、新品種とはいかないまでも他とは違った個体を創り出すことはできるかもしれません。

育て方・管理方法

≪ 詳細情報 ≫

 
草丈・樹高
 
10~20m
 
栽培可能地域
 
東北南部以南
 
花色
 
ピンク
 
開花期
 
1~3月
 
結実期
 
4~5月
 
耐暑性/耐寒性
 
耐暑性はやや強いが、耐寒性はやや弱い
 

≪ 育て方 ≫

 
植え付け・植え替え
 
作業は厳冬期を除く11~3月の落葉期に行うのが望ましいです。
水はけの良い肥沃な土に植えるようにしましょう。
また、日当たりが悪いと成長や花付きが悪くなることがあるので、日陰にならない場所を選んで植えるのがおすすめです。

 
肥料
 
木が大きくなったら基本的には必要ありませんが、やせ地に若木を植え付けるときなどは、冬に鶏糞など有機質の肥料を与えると良いです。

 
剪定
 
剪定作業は11月~3月の葉っぱが落ちている時期に行います。
基本的には樹形を崩す枝を切るようにします。
サクラの仲間は幹がキノコによって腐ることが多いのですが、太くなった枝を切るとそこからキノコの胞子が付いてしまう場合があるため、邪魔な枝はなるべく細いうちに切ってしまうようにしましょう。
 
また、病害が発生している場合、穿孔褐斑病のような影響の少ない病気なら放っておいても大丈夫ですが、てんぐ巣病などの病気の場合は優先的に切って処分するのが防除に繋がります。

 
病害虫
 
どちらも非常に多いです。

 病害としては、葉に小さな穴を空ける穿孔褐斑病から、根っこに菌が侵入し、木を枯らしてしまう危険のあるならたけ病まで、発病生態や病原性の強さは様々です。
ただ、それぞれ木を直接枯らすようなものは少ないので、警戒する病気をならたけ病、べっこうたけ病などに絞ると良いでしょう。
 
ならたけ病は、根っこに菌糸が侵入して木を弱らせてしまう病害で、極度の過湿や乾燥のストレスがある場所で発病しやすいです。
感染してからの治療は難しいですが、感染を防ぐために土壌環境を改善したり、地面の中に枯れ枝や木材片などナラタケの生存できるものを残さないようにするのが大切です。
また、やや病原性の弱いならたけもどき病にはかかりやすいので、付近の発生状況に気をつけましょう。
 
べっこうたけ病は、木の根元部分がキノコにより腐る病気で、木が弱るだけでなく倒れて別の被害が出る可能性があります。
こちらもかかると治療は難しいので、胞子が侵入できる傷をなるべくつくらないようにすることや、専門家と相談して適宜支柱などで支えることが重要です。

 
害虫はモンクロシャチホコやアメリカシロヒトリなど、葉っぱを食べるものが多いです。
よっぽど大発生しない限り、それ単体で木を枯らすようなことはありません。
ただ、見た目が悪かったり、イラガなど人に被害が出る場合もあるので、その場合は薬剤などを使って防除しましょう。
それ以外では、樹皮の内側を食べるコスカシバという虫が、大発生すると木を弱らせる可能性があります。
 
フンの混じった琥珀のような樹脂が幹から出るのが特徴なので、気になる場合は専用の薬剤もあるので防除しましょう。
そして、単体で木を枯らす可能性があるものとして、近年侵入してきた外来種のクビアカツヤカミキリがあります。
 
幹を幼虫が食べ、たくさん食べられると水を通せなくなって枯れる場合があるというものです。
まだ全国的に広がっているわけではなく、侵入している地域では自治体が注意喚起をしていることが多いので、近隣地域に侵入が無いかをチェックしておきましょう。

 
日当たり
 
日当たりの良い場所を好みます。
日当たりが悪いと成長が遅くなったり花付きが悪くなったりします。

 
水やり
 
地植えの場合、植え付けしてから根付くまでは定期的に水をあげます。
新しい枝葉が伸びてきてからは特にあげる必要はありません。

出典(引用元)

日本樹木医会
「樹木医必携」
村越匡芳監修
「庭に植えたい樹木図鑑」
山と渓谷社
「樹に咲く花 離弁花1」
末松信彦 水戸喜平
「’カワヅザクラ’の実生と思われるサクラの特性. 」2003.
勝木俊雄
「サクラの分類と形態による同定.」 樹木医学研究, 2017, 21.2: 93-104.

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