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ツワブキ
2021.09.17

ツワブキ

ツワブキは、日本庭園には欠かせない下草のひとつで、石組や樹木の根元で存在感を発揮する。
秋の庭を彩る黄色い花や、1年中楽しめるツヤツヤの葉が魅力。日本を含む東アジア原産で、日本の気候に適していて育てやすい。葉柄は煮て食べることもできる。

基本データ

  • 分類庭木-低木・下草
  • 学名Farfugium japonicum
  • 科・属名キク科ツワブキ属
  • 別名ツワ、ツヤブキ、イシブキ、イソブキ

ツヤのある常緑の葉と花が特徴。鑑賞用にも食用にもなる

ツワブキとは

 

ツワブキの写真

ツワブキ(石蕗、艶蕗)は、キク科ツワブキ属に属する常緑多年草です。
日本原産で、本州(福島県・石川県以西)・四国・九州の海岸の岩場や砂礫地に自生しています。
 

直径20cm程の大きな丸い葉と、秋~初冬に咲く黄色い花が特徴です。
花が少なくなる時期に開花することや、1年を通して美しい葉を鑑賞できることから、古くから和風庭園の植栽として利用されてきました。
 

斑入り葉や獅子葉の品種など、葉の表情を楽しむ園芸品種が多くあります。
ほか、屋久島や種子島に自生する「カンツワブキ」、琉球列島に分布する「リュウキュウツワブキ」など、各地域に在来種が存在します。
 

「フキ(蕗)」と見た目が似ていますが、ツワブキは常緑性なのに対し、フキは冬になると葉が枯れて地上部がなくなるという違いがあります。
ツワブキの葉のほうがツヤ感がある点でも見分けられます。
また、フキの茎は内部が空洞ですが、ツワブキの茎には穴があいていません。
 

肉厚でツヤツヤした葉が名前の由来

 

ツワブキの写真

ツワブキの名は、ツヤのある葉のフキ=「艶葉蕗(つやはぶき)」や、厚い葉のフキ=「厚葉蕗(あつはぶき)」が転じたものとされます。
 

沖縄の方言では「ちぃぱっぱ」、奄美の方言では「つばしゃ」です。
ほか、地方各地に、ツワ・イシブキ・ツワンポ・オカバス・オバコ・などさまざまな呼び名があります。
 

黄色い花が秋~初冬に咲く

 

ツワブキの写真

10月~12月になると、株の中心部から30cm~80cmほどの花茎を伸ばして鮮やかな黄色い花を咲かせます。
花径は3cmほどです。
 

ツワブキというと黄色い花のイメージが根強いですが、白花やオレンジ花の品種もあります。
 

花言葉は「謙譲」「謙遜」「愛よ甦れ」「困難に負けない」などです。
 

ツワブキの写真

花のあとには綿毛を鑑賞できます。
 

葉柄は食用に、葉や根は生薬にもなる

 
ツワブキの葉柄は食べることができ、沖縄県や鹿児島県など西日本を中心に郷土料理などに使用されます。
食べ方としては佃煮が一般的です。
ツワブキの茎を煮たものは、フキの煮物や佃煮と同様に「キャラブキ」と呼ばれることも。
 

なお、ツワブキには、ピロリジンアルカロイドという毒性のある成分が含まれますが、アク抜きすることで安全に食べられます。
 

また、ツワブキの葉や根には薬効があり、生薬として用いられることもあります。
葉には抗菌作用があるとされ、打撲や切り傷の消炎に使われてきました。
根は、健胃作用のほか、魚毒の食中毒や下痢に対する効果があるとされます。
 

生薬名は、「蓮蓬草(れんほうそう)」「橐吾(たくご)」などです。

半日陰で活躍する下草・グランドカバー

日本庭園の石組や和風の樹木と相性が良い

 

ツワブキの写真

ツワブキは強健で、日当たりの良い場所から半日陰まで対応します。
日本庭園の石組や常緑樹の足元にも良く植栽されます。
 

ツワブキの葉は、地を這うように広がる性質があり、雑草対策のグランドカバーや下草にもぴったりです。
 

また、ツワブキの葉のツヤには潮風から身を守る作用があり、海のそばでも元気に育ちます。
 

バリエーション豊富な斑入り・変わり葉の品種を楽しむ

 
古くから日本で親しまれてきたツワブキ。
斑入りや変わり葉など、葉の鑑賞価値が高い園芸品種が多いことが特徴です。
常緑性のため、1年中カラフルな葉を楽しめるのも利点と言えるでしょう。
 

ツワブキの写真

ひときわ目立つ蛍斑入りのツワブキは、人気品種のひとつ。
植栽や花壇のアクセントになります。
 

ツワブキの写真

和風の庭に似合う植物というイメージのあるツワブキですが、クリーム色の斑が入った「浮雲錦(うきぐもにしき)」は、洋風のガーデンや雑木の庭でも活躍します。
カラーリーフ好きにもおすすめです。
 

ほか、葉が縮れるように変形した獅子葉の品種や、モミジ葉の品種も見ごたえがあります。

育て方・管理方法

詳細情報

 
草丈・樹高
20cm~50cm

 
栽培可能地域
東北南部以南

 
花色
黄・白・オレンジ

 
開花期
10月~12月

 
結実期
1月

 
耐暑性/耐寒性
耐暑性に優れていて、耐寒性もそれなりにあります。
冬期でも葉を茂らせているので、凍らない程度に保護してください。

 

育て方

 
植え付け・植え替え
植え付けや植え替えは、芽出し前の3月~4月に行います。
地植えでは頻繁に移植する必要はありませんが、鉢植えで根詰まりを起こしているようであれば一回り大きな鉢に植え替えてください。
市販の園芸用土が利用できます。

 
肥料
地植えの場合、極端に生育が悪くないようであれば、元肥のみで追肥は特に必要ありません。
鉢植えでは、3要素等量の緩効性肥料を元肥として施し、春~夏にかけてチッ素多めの液体肥料を月に2~3回与えてください。

 
剪定
剪定は特に必要ありません。
枯れた葉や弱った葉を根元から取り除くと、病害虫の住処を減らせるうえ、株全体の見た目もきれいになります。

開花後の綿毛を鑑賞したり種を採ったりするつもりがなければ、咲き終わった花は茎ごと切り取っておきましょう。

 
病害虫
5月~10月に発生するキクスイカミキリ(シンクイムシ)に注意します。
キクスイカミキリの幼虫は、葉柄~根茎の中に住み着きます。
しおれた葉や、株の周辺に木くずのようなものを見つけたら、幼虫を探して速やかに捕殺しましょう。
ツワブキの周辺に、キク科植物を植えないことがキクスイカミキリの対策になります。
 
病気は、うどんこ病・斑葉病・褐斑病など、主に葉に発生する病気に気を付けます。
病変のある葉を取り除くか、薬剤で防除してください。
風通しを良くすることで病気を予防できます。

 
日当たり
半日陰や明るい日陰がベストな植え場所です。
日光を好みますが、直射日光が当たりすぎると葉焼けを起こす恐れがあります。

反対に、日陰だと徒長したり花が減ったりするため、ある程度は日照を確保できる場所に植え付けると良いです。
葉緑素が少ない斑入り品種は、より日当たりの良い場所を好む傾向にあります。

 
水やり
鉢植えでは、表土が乾いたらたっぷり水をやってください。
地植えは、一度根付いてしまえば、極端な日照りが続いたときを除き、日常の水やりは必要ありません。

出典(引用元)

辻幸治ほか『増補版 育てる調べる山野草2525種 野の花・山の花・海外種・園芸種 まるごと大百科』栃の葉書房

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