「一人親方だけど、職長教育と安全衛生責任者教育を受講しようか迷っている」
「そもそも職長教育と安全衛生責任者教育ってどんなものなの?」
「絶対に受講しなきゃだめかな?」
こんな疑問に答える記事です。
建設業で一人親方として働く方は、職長教育と安全衛生責任者教育を受講するべきかどうか悩むと思います。
結論:受講するべきです。
本記事では、職長教育と安全衛生責任者教育の目的や受講するべき理由をお伝えします。
職長や安全衛生責任者を目指している一人親方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
職長教育と安全衛生責任者教育の目的
そもそも職長教育と安全衛生責任者教育とはどういった教育なのでしょうか。
受講する理由を解説する前に、それぞれの教育の目的を見ていきましょう。
職長教育とは
まず職長とは、建設現場の作業全体を監視・監督する人のことを指します。
建設現場のリーダー、まとめ役といった感じですね。
例えば下記の作業を行います。
- 施工計画の作成
- 安全衛生の確保
- 作業員の指導・監督など
そして職長教育とは、職長のポジションに就く人材を養成するための教育です。
職長として現場に配置する場合、事業者は必ず教育を受講させなければなりません。
職長教育では主に下記を学びます。
- 作業手順の定め方
- 労働者の適正な配置方法
- 指導・教育の方法
- 危険性または有害性等の調査の方法
- 異常時、災害時における処置
- 設備、作業場所の保守管理など
職長として職務に就く場合は必ず上記の知識が必要になります。
安全衛生責任者教育とは
安全衛生責任者教育とは、建設現場における「労働災害の防止を図る」ための教育です。
労働安全衛生に関する基礎知識や、危険有害な作業の安全な実施方法などを学びます。
具体的な受講内容は職長教育の項目に加え「安全衛生責任者の職務等」「統括安全衛生管理の進め方」が追加されます。
安全衛生責任者教育の受講終了後、「安全衛生責任者」となることができます。
安全衛生責任者は、作業を円滑にするため、または現場の安全を確保するために配置される重要なポジションです。
職長が現場のリーダーやまとめ役なのに対し、安全衛生責任者は作業連絡や調整といった管理を行い現場の安全を確保することがメインの仕事です。
一次下請の安全衛生責任者は、二次下請や三次下請の安全衛生責任者と作業に関する連絡や調整を行うこともあります。
一人親方が職長教育と安全衛生責任者教育を受講するべき理由
それでは、一人親方が職長教育と安全衛生責任者教育を受講するべき理由を見ていきます。
現場に入れない可能性がある
現場によっては、職長教育と安全衛生責任者教育を取得していることを入場の条件としている場合があります。
そのため、一人親方が職長教育や安全衛生責任者教育を受講していないと、働くことすらできないということになりかねません。
一人親方全員が、職長や安全衛生責任者を任されるわけではないですが、仕事を確保するために受講しておいたほうが良いでしょう。
まわりの信頼を得やすい
建設現場での職長や安全衛生責任者は、作業員の安全を守る重要な役割を担っています。
そのため、一人親方が職長教育と安全衛生責任者教育を取得していることで、現場での信頼を得やすくなります。
職長教育と安全衛生責任者教育を取得していれば、労働安全衛生に関する基礎知識や、危険有害な作業の安全な実施方法、職長として必要な知識などを理解していることを、元請業者や他の作業員に示すことができるのです。
労働災害の防止につながる
職長教育と安全衛生責任者教育を受講することは、労働災害の防止にもつながります。
職長教育、安全衛生責任者教育では、施工計画の作成、安全衛生の確保、作業員の指導・監督、労働安全衛生に関する基礎知識、危険有害な作業の安全な実施方法などを学びます。
これらの知識や技能を身につけることで、一人親方は現場の安全をより確実に確保できるようになります。
また、労働災害を未然に防げる可能性が上がり、事故による被害を抑えることにもつながります。
仕事の選択肢が広がる
職長教育と安全衛生責任者教育を取得することで、より多くの現場で働くことができるようになります。
まわりの信頼を得ることができるので、仕事の獲得につながるだけでなく、収入アップも期待できるでしょう。
また、経験を積むと職長や安全衛生責任者としての仕事の機会も増え、知識や技量が上がってくるのでさらなるキャリアアップも期待できます。
一人親方から法人になる場合や、大手建設会社に転職する際にも有利になるでしょう。
職長教育、安全衛生責任者教育を受けなければならない決まりはあるの?
一人親方が、職長教育と安全衛生責任者教育を受けなければならない決まりはありません。
ここでは、一人親方の職長教育と安全衛生責任者教育の受講について、法的な観点、実務的な観点に分けてもう少し深掘りしていきましょう。
法的な観点
労働基準法上は、職長教育、安全衛生責任者教育を受けなければならないという決まりはありません。
つまり、基本的には職長教育や安全衛生責任者教育を受けなくても現場には入れるので、必ずしも受ける必要はないということになります。
実務的な観点
建設現場においては、職長や安全衛生責任者を置くのが普通です。
そのため、一人親方が職長教育と安全衛生責任者教育を取得しておくことで現場の大きな戦力になります。
先程もお伝えしましたが、現場によっては職長教育と安全衛生責任者教育を取得していることを、現場入場の条件としているケースもあります。
法的観点から考えれば必ずしも必要ではないとはいえ、職長教育や安全衛生責任者教育を受講しておいたほうが良いということになります。
まとめ:一人親方は職長教育と安全衛生責任者教育を受講しよう
職長教育と安全衛生責任者教育を取得することには、さまざまなメリットがあります。
- 職長として現場を任せられるようになる
- 安全衛生に関する知識を身につけ、労働災害の防止に貢献できる
- 元請業者や他の作業員からの信頼を得やすくなる
- 仕事の選択肢が広がる
絶対に受講しなければならない決まりはないですが、上記のメリットを踏まえると一人親方が職長教育と安全衛生責任者教育を取得することは非常に有益であると言えるでしょう。
一人親方として建設現場で働く際には、ぜひ受講しておくことをおすすめします。