皆さんはプロポーザル方式というのを知っていますか?

プロポーザル方式とは業務委託を行う際に最も適した提案者が選べる方法です。プロポーザル方式にはさまざまなメリットがありますが、デメリットや注意点もあるので、成功するためのポイントを押さえる必要性があるでしょう。

それでは、プロポーザル方式とは何か、どんなメリットやデメリット、注意点があるのか、成功させるためのポイントなどをご説明しましょう。

執筆者 中里 涼子

ライター歴8年以上の中里 涼子です。 引っ越しや不動産投資、美容、医療、クレジットカード、ビジネス、ペット、株式投資、食品、健康、占い、住宅、宝くじ、防犯、リフォーム・リノベーション、ダイエットなどの多種多様なジャンルの記事を執筆しております。

目次

プロポーザル方式とは何か?

プロポーザル方式とは業務委託をする際に最も適した提案者を選ぶ方式です。

提案書という意味があるプロポーザルは複数の業者から提案書を提出してもらい、その中から自社が求める提案をしてくれた提案者を選んでいきます。いわゆる企画の競争のようなものなので、提案者は他社よりも相手が望む提案ができるかどうかが重要です。

主に高度な技術要求される事業や専門的な知識が求められる事業を発注する際にプロポーザル方式が活用される傾向にあります。

プロポーザル方式の一般的な流れは、以下の通りです。

  1. 開示された資料の情報を基に応募するか決める
  2. プロジェクトに関する説明会に参加する
  3. さまざまな情報を基にエントリーするか決める
  4. 分からないとところは質問する
  5. 企画書や提案書の作成
  6. 作成した企画書や提案書を提出する
  7. プロジェクトによって必要になった場合はプレゼンテーションを行う
  8. 書面で通知される結果を確認する
  9. 結果を基に分析する

質問する場合、仕様書の内容を確認するだけでは判断が難しい場所に関して質問することができます。しかし、不公平がないように説明会に参加しているすべての企業に質問と回答が開示されてしまいます。

自治体からは熱意があると評価されますが、競合他社に有利になる情報を開示してしまう可能性があるので注意が必要です。もしも自社よりも豊富な実績や実力を持っている企業が参加しているなら、諦めるのも一つの選択肢でしょう。

企画書や提案書を作成する場合、プロポーザル実施要項などに記載されているルールに従って作成しなければなりません。もしも一つでもルールが守られていなかった場合は無効になってしまうので注意が必要です。

書面で通知された結果を確認した後、内容に関わらず分析することが大切です。質が良い提案ができるように自社の対応や競合他社の分析、自治体のニーズなどを分析することで今後につなげられるでしょう。

プロポーザル方式の種類

プロポーザル方式には大きく分けて公募型プロポーザル方式と環境配慮型プロポーザル方式、その他のプロポーザル方式といった種類があります。

それぞれの種類の特徴などを確認することで、自社に合ったプロポーザル方式が選べます。

それでは、プロポーザル方式の種類についてご説明しましょう。

公募型プロポーザル方式

公募型プロポーザル方式とは、自治体や官公庁の公式サイトで入札情報を公表することにより、多くの参加者を募集する方式です。

入札参加資格があれば誰でも参加できるので、初めてプロポーザル方式を活用する人にもおすすめできます。公募型プロポーザル方式であれば公平性が保てるため、多くの自治体で採用されているのが特徴です。

民間業者に対して期日を設定することで企画案や提案書の提出が求められるので、参加者は事前に定められた評価基準を満たせるような企画案や提案書を作成しなければなりません。提出した企画案や提案書の審査が行われ、参加した企業の中で最も優れた事業者が落札される仕組みになっています。

入札情報が公表されると同時に提案書の評価基準も提示されるため、評価基準に基づいた企画案や提案書を作成するのに役立つでしょう。

なお、評価基準は複数設定されていることがあるので、自社に有利となる評価基準があるなら得意分野で高い評価を目指すことができるのもポイントです。

環境配慮型プロポーザル方式

環境配慮型プロポーザル方式とは、国や独立行政法人などが建築工事や改修工事を発注する際に利用される契約方式です。

国や独立行政法人が必要とする契約方式なので、その内容は大規模な建築工事や改修工事における設計業務を発注する際に採用されやすいでしょう。環境に配慮する内容であることから、温室効果ガスの排出量の削減に配慮する内容が盛り込まれているのが特徴です。

したがって、入札に参加した事業者に対して温室効果ガスなどの排出削減に配慮する内容を含んだ技術提案が求められるでしょう。

その他のプロポーザル方式

その他のプロポーザル方式として挙げられるのが、指名型プロポーザル方式です。

指名型プロポーザル方式とは自治体や官公庁などの発注者が事前に事後抽選を選定することで、指名された事業者のみ入札に参加してプロポーザルを行う方式です。

専門性が求められる内容の事業を発注する際に採用されることがありますが、今現在では公募型プロポーザル方式の方が主流となっているので、指名型プロポーザル方式が採用されるケースは少ない傾向にあります。

プロポーザルと他の入札方式との違い

プロポーザル方式と似たような入札方式として、競争入札やコンペが挙げられます。

競争入札とコンペの違いが分かれば、自社に合った入札方式が分かります。

それでは、プロポーザルと他の入札方式の違いや、総合評価落札方式との比較についてご説明しましょう。

プロポーザルと競争入札の違い

競争入札とは、競合他社が提案した価格で争う入札方式の一つです。

プロポーザル方式と競争入札の違いは、選定する対象です。

プロポーザル方式の場合は提示されたプロジェクトに対し、そのプロジェクトを完遂させられるだけの優れた創造力や技術力、経験や実績を持つ企業を含む設計者を選びます。

一方の競争入札は何よりも価格を重要視しているため、入札に参加した事業者の中で最も安い金額を提案した事業者が選ばれます。

価格だけで選ぶと品質や信頼性などを度外視しているように感じられるかもしれませんが、実際は品質や信頼性などを考慮した上で最も安い金額を提案した事業者が選ばれているので問題ありません。

なお、参加資格を有していればどんな企業でも参加できるのがポイントです。

プロポーザルとコンペの違い

コンペとの違いは、競争入札と同じく選定する対象です。

プロポーザル方式の場合、競争入札の項目でご説明したように、提示されたプロジェクトに対し、そのプロジェクトを完遂させられるだけの優れた創造力や技術力、経験や実績を持つ企業を含む設計者を選びます。

一方のコンペは提示されたプロジェクトに対して最も優れた提案内容を選びます。誰が提案したかどうかではなく、どんな提案がされたのかどうかを重要視するため、最も優れた提案内容が選ばれた後は事業を実施するまでのスムーズに進められるのがポイントです。

プロポーザルと違ってコンペは過去の経験や実績があまり重要視されないので、競合他社に引けを取らない提案によって選ばられる可能性が十分にあります。もちろん自社の提案が選ばれないことも起こりやすいため、報酬が発生しないのはもちろん提案内容を考えた時間や手間、費用もすべて水の泡となります。

総合評価落札方式との比較

総合評価落札方式とは、競争入札の落札者を「入札金額」と「提案内容」で総合的に評価していく方式のことです。

つまり、入札金額と提案内容が重要視されるため、費用対効果がいかに優れているかどうかが最大の焦点になります。価格を含めたすべての要素を数値化して定量的に評価するため、費用が少なく、提案内容が優れているかどうかが求められます。

プロポーザル方式は提案内容を重要視するため、いかに優れた提案内容をするかどうかが最大の焦点です。

以上のように総合評価落札方式とプロポーザル方式で大きな違いがあるので、自社に合った方式を選びましょう。

プロポーザルの選定基準

プロポーザル方式にはしっかりとした選定基準があるため、どんな基準で選定されているのか知ることが大切です。

選定基準が分かれば、相手に選ばれる企業として評価されやすくなるかもしれません。

それでは、プロポーザル方式の選定基準についてご説明しましょう。

「価格」対「提案」の評価軸

プロポーザル方式の選定基準は、「価格」対「提案」で評価する仕組みになっています。

基本的に提案内容がいかに優れているかどうかが重要視されているものの、価格を疎かにしていては提案が選ばれにくくなってしまいます。

この場合、価格が1、提案が2、価格と提案の2対1の割合で評価されるため、必要最低限の価格を提示し、残りはすべて提案内容に注視するのがおすすめです。

自治体における選定基準

自治体における選定基準は、一般的に「書類審査」と「ヒアリング審査」となっています。

書類審査では提案した事業者の実績や業務拠点、技術者の実績、経験、見積金額を評価します。

ヒアリング審査では、プレゼンテーションやヒアリングを通して評価するのがポイントです。

書類審査とヒアリング審査の評価得点を合計した得点で最終的な決定が下されます。

自治体によっては書類審査のみだったり、書類審査とヒアリング審査の両方を行う場合があります。

プロポーザル方式のメリットとデメリット

プロポーザル方式にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあります。

どんなメリットやデメリットがあるのか確認することで、プロポーザル方式を選択する決め手になり得るかもしれません。

それでは、プロポーザル方式のメリットとデメリットについてご説明しましょう。

プロポーザル方式を採用するメリット

プロポーザル方式を採用するメリットは、以下の通りです。

  • 公正性や透明性、客観性を持った選定ができる
  • 質が高い建築設計ができる
  • 選定までの労力や費用の負担が削減できる
  • 発注者と協議して業務が進められる
  • 協議や交渉次第で契約内容が変更できる

すべての入札者を公平かつ高い透明性で客観的な視点から選定できる他、選定までの労力や費用の負担が削減できるのも大きなポイントです。

プロポーザル方式の潜在的なデメリット

プロポーザル方式の潜在的なデメリットは、以下の通りです。

  • ある程度の実績や経験が求められる
  • 透明性や公平性の獲得が難しい

プロポーザル方式はある程度の実績や経験がないと選出されるのは難しいでしょう。

また、クライアントがプロポーザル方式に慣れていない場合、本当に透明性や公平性を持って選出してくれるのか分かりにくいです。

プロポーザルの成功要因

プロポーザル方式を成功させるためには、どんな提案をすれば選ばれるのか、どんな評価基準なのかを理解することが大切です。

選ばれなかった場合は競合他社にあって自社になかった点があるということなので、どんなポイントを押さえれば成功しやすいのかチェックしましょう。

それでは、プロポーザル方式で成功する要因についてご説明しましょう。

効果的なプロポーザル提出のためのポイント

効果的なプロポーザルを提出するポイントは、以下の通りです。

  • 競合他社との差別化が図れている内容
  • 提案内容を明確に伝える
  • 提案のスケジュールや予算、担当者などの詳細を明確に記載する
  • クライアントが出せる予算を把握する
  • 提案書の見栄えや構成を重視する

選ばれるプロポーザルを提出するには、競合他社と差別化されている内容でなければ意味がありません。同じ内容の提案をされてもクライアントはその他の部分で比較するしかなくなるため、創意工夫がなされてないと思われかねません。

また、クライアントにとって分かりやすい提案内容かどうかも重要です。そのためには提案内容にこだわりすぎないようにしつつ、スケジュールや予算、担当者などの詳細を明確に記載した上でクライアントが出せる予算内に収まるものなのかどうかを客観的に見て分析する必要性があります。

また、見た目がごちゃごちゃしていると読む気が失せる可能性があるため、スッキリとした見栄えと構成を意識することも大切です。

プロポーザルの評価基準の理解

プロポーザルを成功させるためには、クライアントの評価基準を把握することです。

評価基準を理解していないと、評価基準に達していない内容を提案してしまう可能性があります。必ず評価基準を確認して、評価基準を満たす内容を提案しましょう。

プロポーザルにおける実践的な注意点

プロポーザルを提出するにあたって、実践的な注意点を知ることが大切です。

プロポーザルを成功させるためにも、事前にできることはすべてやっておく必要性があります。

それでは、プロポーザルにおける実践的な注意点についてご説明しましょう。

プロポーザル提出時の重要な注意事項

プロポーザルを提出するにあたって気を付けておきたいのは、企画案や提案書がプロポーザル実施要項などに記載されているルールに従って作成されているかどうかです。

もしも一つでもルールが守られていなかった場合は無効になってしまうため、提出する前に必ずルールがすべて守られているかどうか確認する必要性があります。

また、提出する企画案や提案書の内容が分かりにくくないか、競合他社との差別化が図れているかどうかなども忘れずにチェックしましょう。

競合他社の分析と戦略的アプローチ

プロポーザル方式で入札する場合、競合他社の分析は必要不可欠です。

自社が提案する内容と競合他社の提案内容が被るようなことは避けたいですし、自社よりも圧倒的に実績や経験等が豊富にある場合は勝ち目がほぼありません。自信がある分野であれば挑戦しても良いですが、競合他社との差別化を図るためにも徹底した分析と戦略的なアプローチが必須です。

プロポーザルに関するよくある質問

プロポーザルに関するよくある質問は、以下の通りです。

Q1:参加表明書や技術提案書の提案日付はいつにすればいい?

A1:提出する日付は実際に提出する日付となります。

Q2:会社が合併したので社名が変わった場合はどうすればいい?

A2:社名が変更されていると実績等が確認できないので、商号や名称が確認できる資料を添付してください。

Q3:具体的な内容の技術提案をしてもいい?

A3:技術提案は具体的な取り組み方法における提案を求めるものなので、業務内で検討して決定する具体的な内容の提案を求めるものではありません。

まとめ

ある程度の実績や経験を持っているのであれば、プロポーザル方式がおすすめできます。

ただ、企画案や提案書を提出する際に、しっかりと競合他社を分析した上でクライアントにとって非常に分かりやすい内容になるように心がけることが大切です。

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