皆さんは外国人の一人親方が増加しているのをご存知でしょうか?

本来であれば日本人の一人親方が対応するイメージがありますが、日本人一人親方の高齢化や引退などのさまざまな原因で人手不足が深刻になっています。

そこで外国人を一人親方にするという動きが増加している傾向にありますが、外国人一人親方が増加するにあたってさまざまな懸念点も生まれるので注意が必要です。

労災保険に加入する義務がありますし、他の作業員との相性などの問題も生まれやすいでしょう。下手をすれば不法就労になってしまう可能性があります。

そのようなことにならないためにも、外国人一人親方を雇用する際の注意点などを知ることが大切です。

それでは、外国人一人親方が増加している背景や、労災保険、在留資格、不法就労の防止策や雇用戦略についてご説明しましょう。

執筆者 中里 涼子

ライター歴8年以上の中里 涼子です。 引っ越しや不動産投資、美容、医療、クレジットカード、ビジネス、ペット、株式投資、食品、健康、占い、住宅、宝くじ、防犯、リフォーム・リノベーション、ダイエットなどの多種多様なジャンルの記事を執筆しております。

目次

外国人一人親方とは

現在、日本人の一人親方と比べて外国人の一人親方が増加しているのをご存知でしょうか?

日本人の一人親方よりも外国人の一人親方が増加しているのはさまざまな背景があります。

それでは、一人親方の定義と外国人労働者の特徴、日本で外国人一人親方が増加している背景についてご説明しましょう。

一人親方の定義と外国人労働者の特徴

一人親方とは、主に建設業で他の労働者を雇用せず、自身も誰かに雇用されることなく施主、請負会社、施工会社などからの依頼を受けて仕事をする人を指します。

そもそも一人親方は元々別の親方の元で一定の修行を積んだ職人で、その職人は親方の元で見習いとして働いています。一定の修行を積んでさまざまな技術を習得した職人が親方の元から独立して一人親方になる仕組みです。

つまり、一人親方は一定の修行でさまざまな技術を習得した職人が独立した形態であり、職人よりもランクが高い職業だと言えます。

一方の外国人労働者は、基本的に自国ではなく他国で就労する労働者を指します。

外国人労働者は就労ビザや在留カード、在留資格などを持って、自国よりも稼げる日本に来て働くのが一般的です。基本的に技能実習生と特定技能者に分かれており、技能実習生は必要な技術を習得すると自国に帰国しますが、特定技能者の一部は滞在期間が設定されていないため、ずっと働いていられるのがポイントです。

日本での外国人一人親方の増加背景

日本で外国人一人親方が増加している背景として挙げられるのは、以下の通りです。

  • 建設業界などで深刻な人手不足が起きている
  • 少子高齢化で外国人労働者の需要が増している
  • 特定技能者が増えている
  • 外国人への就職サポートがある

建設業界などは現在、深刻な人手不足に陥っています。

というのも、建設業界で働いている熟練の職人たちは高齢者が非常に多く、いずれ現役を引退してしまうからです。熟練の職人たちがいつまでも働いていられるわけではありませんし、徐々に力も体力も失われ始めていくので以前のような実力を発揮できない可能性があります。

そんな中で現役を引退されてしまうと、まだ技術や経験が伴っていない職人だけになってしまいますし、まともに仕事をすることすらできないかもしれません。

しかし、建設業を初めとする業界は需要が増しているため、外国人労働者を積極的に受け入れて人手を増やすことで安定した仕事ができると同時に人手不足が解消できます。さらに、建設業などの需要が増すほど外国人労働者の受け入れ件数が増えてくることから、特定技能の取得や技能実習生を目指す外国人が増えています。

建設業界などの深刻な人手不足も同じく少子高齢化の影響を受けているため、積極的に人材を登用しているのがポイントです。これは外国人も例外ではないので、特定技能を取得している、もしくは技能実習生の外国人労働者の積極的な受け入れによって需要が増していると言えます。

特定技能者は技能実習生よりも需要が高いため、建設業界などで働く特定技能者の外国人労働者が増えています。

技能実習生は技能を習得した後に国に帰ってしまいますが、特定技能者は特定技能1号なら通算5年間の滞在期間、特定技能2号なら滞在期間が制限されていません。したがって、技能を習得した外国人労働者にずっと働いてもらえるのが最大のポイントです。

日本人の職人が減少する傾向がある中、企業としての存続や社会保険料などを初めとする社会福利費などのコストカットを目的に、社員である特定技能者が一人親方になるケースも増えています。

これは偽装請負や偽装一人親方と呼ばれて問題視されていますが、国や民間の団体が労働者不足を補うために外国人の受け入れ体制の強化・安定化させるために就職支援をしているのも外国人一人親方の増加に拍車をかけています。

法的要件と労災保険

外国人が一人親方として働く場合は、法的要件を満たすと同時に労災保険に加入しなければなりません。

労災保険に加入する義務がありますが、どんな書類を用意すればいいのか、どんなメリットがあるのかなど、気になる点も多いのではないでしょうか。

それでは、外国人一人親方における法的要件と労災保険についてご説明しましょう。

外国人一人親方の労災保険加入義務

外国人一人親方として働く場合、労災保険に加入する義務があります。

もちろん外国人が労災保険に加入できるのか不安に思う人もいるかもしれませんが、外国人だからといって労災保険に加入できないということは絶対にありません。労災保険は加入者の国籍による制限がないので、国籍に関係なく誰でも労災保険に加入できます。

ですがが、外国人一人親方が労災保険に加入するときは、以下の条件を満たしていなければなりません。

  • 日本に居住している、または生活している外国人であること
  • 一人親方として事業を営んでいること
  • 労働保険事務組合に加入していること
  • 在留資格が「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」のいずれかであること

また、就労が認められている在留資格が必要になるので注意しましょう。

労災保険加入時の必要書類と手続きの流れ

労災保険に加入するときに必要な書類は、以下の通りです。

  • 本人確認書類
  • 在留カード

本人確認書類にはさまざまな種類がありますが、外国人労働者の場合は在留カードを提示するのが手軽で簡単です。

しかし、提示する在留カードは、就労制限がない在留資格のものでなければなりません。

在留資格には就労制限がないもの、決められた範囲でしか就労できないもの、就労できないものの3種類があります。外国人の一人親方ともなると、就労できない在留資格は論外ですし、決められた範囲でしか就労できない在留資格だと、いずれ就労できなくなるのでさまざまな業務を行う上で足枷にしかなりません。

就労制限がない在留資格であれば、安心して外国人一人親方として働くことができます。

労災保険に加入するときの手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 会社の所在地を管轄する労働基準監督署に行く
  2. 窓口で必要書類を提出する
  3. 加入手続きを完了させる

なお、必要書類は就労制限がない在留カード、または特別永住者証明書、人によっては運転免許証等の公的証明書も必要です。

労災保険のメリットと事業主への影響

外国人一人親方が労災保険に加入することによって、以下の給付が受けられるようになります。

  • 療養補償給付
  • 休業補償給付
  • 障害補償年金
  • 障害補償一時金
  • 傷病補償給付
  • 遺族補償年金
  • 介護補償給付
  • 葬祭料・葬祭給付

労災保険に加入することで仕事中や通勤途中にケガや病気などの災害に遭った場合、さまざまな条件を満たすことで給付が受けられます。

事業主は外国人一人親方が労災保険の給付に該当する状況になった場合、会社側から必ず治療やそのほかの補償をしなければなりません。

在留資格の確認と管理

外国人一人親方が不法就労をしないようにするためにも、在留資格があるのか必ず確認しなければなりません。

就労が認められている在留資格でないと不法就労に該当する可能性があるため、必ず事前に確認しましょう。

それでは、在留資格の確認と有無についてご説明しましょう。

必要な在留資格とその確認方法

外国人一人親方が働くために必要な在留資格は、以下の通りです。

  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

基本的に以上の在留資格は就労制限がないため、永住者以外の在留資格を所有している外国人は最長5年、永住者は無制限で一人親方として働けるのがポイントです。

就労が認められている在留資格かどうか確認するには、在留カードを見せてもらうのが最も手軽で確実です。また、身分証明書を見せてもらうのもおすすめです。

就労可能な在留資格の種類

就労可能な在留資格は、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者以外にも以下のような種類があります。

  • 外交
  • 公用
  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道
  • 高度専門職
  • 経営・管理
  • 法律・会計業務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技術
  • 人文知識
  • 国際業務
  • 企業内転勤
  • 介護
  • 興行
  • 技能
  • 特定技能
  • 技能実習

以上の在留資格は就労が認められているものの、該当する在留資格でのみ働くことができません。

もしも上記の在留資格に該当する業務の範囲外で就労した場合、資格外行動を行ったものとして処罰の対象になるので注意しましょう。

在留資格変更や更新の手続き

在留資格の変更手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 出入国在留管理局で事前相談を行う
  2. 在留資格変更許可申請書を初めとする必要書類の書類の作成・収集をする
  3. 申請書に署名する
  4. 出入国在留管理局で変更許可申請を行う
  5. 出入国管理局から在留資格変更許可申請の結果の通知が来る
  6. 出入国管理局に行って新しい在留カードの発行を受ける
  7. 短期滞在者の場合は在留カードを持って住所地役場で住民登録をする

在留資格の更新手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 出入国在留管理局で事前相談を行う
  2. 在留資格更新許可申請書を初めとする必要書類の書類の作成・収集をする
  3. 申請書に署名する
  4. 出入国在留管理局で更新許可申請を行う
  5. 出入国管理局から在留資格更新許可申請の結果の通知が来る
  6. 出入国管理局に行って新しい在留カードの発行を受ける

不法就労の防止策

外国人一人親方が合法的に働けるように対処していれば問題ありませんが、知識がなくて対策していなかったことが原因で不法就労を助長させてしまう恐れがあります。

万が一不法就労をさせてしまった場合、不法就労助長罪の罪に問われてしまう可能性が高いため、不法就労をさせない対策が必要です。

それでは、不法就労の防止策についてご説明しましょう。

不法就労助長罪とそのリスク

外国人を不法就労させてしまった場合、不法就労助長罪に問われてしまうリスクがあります。

もしも不法就労助長罪に問われた場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に科せられてしまいます。

もちろん外国人労働者を雇用したからといって不法就労助長罪に問われるのではなく、外国人労働者が不法就労をしていた時点で、外国人労働者を管理する責任がある雇用主に対して不法就労助長罪に問われる可能性があるでしょう。

雇用主が取るべき合法就労確保の措置

外国人労働者を管理する責任がある雇用主が取るべき合法就労確保の措置を行う際に最も重要なのは、外国人労働者の在留カードや就労ビザを確認することです。

もちろん在留カードを確認するだけでなく、働くための在留資格を持っているのか、就労ビザを持っているか確認することで、合法的に就労できる外国人労働者を確保することができます。

不法就労助長罪が科せられてしまうのは、在留カードや在留資格、就労ビザを取得していない、もしくは在留カードの有効期限が切れていたり、就労ビザではなく観光用ビザを持っている外国人労働者を雇用した場合に限ります。

したがって、外国人労働者を雇用する前に身分証明書を確認しましょう。

身分証明書を確認することで外国人労働者が日本の永住権を持っているのか、就労ビザを持っているのかが分かります。しっかりとした身分証明書を持っているのであれば、雇用契約書を締結する際に不法就労を未然に防ぐことができるのがポイントです。

また、必ず業務内容が在留資格の範囲内になっているか、在留期間内かどうか確認しなければなりません。この確認を怠っただけでも処罰の対象になるため、必ず確認しましょう。

不法就労防止のためのチェックリスト

不法就労を防止するために、以下のリストをチェックしましょう。

  • 外国人と結ぶ雇用契約が適切であること
  • 受入れ機関自体が適切であること
  • 外国人を支援する体制があること
  • 外国人を支援する計画が適切であること
  • 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること
  • 外国人への支援を適切に実施すること
  • 出入国在留管理庁への各種届出を行うこと

以上のリストをチェックする上で重要なのは、受入れ機関自体も適切な対応をしているかどうかです。

たとえば外国人と雇用契約を締結する際に日本人と同等以上の報酬を支払うことが約束されているか、受入れ機関が5年以内に出入国や労働法令違反をしていないか、外国人と難なくコミュニケーションが取れる言語教育が行き届いているかなどが挙げられます。

受入れ機関も外国人労働者が働きやすい環境を作り上げることが重要です。

外国人一人親方の雇用戦略

外国人一人親方の雇用戦略は、以下の通りです。

  • コミュニケーションと文化的違いへの対応
  • 労働条件の透明性と公平性の確保
  • 長期的な関係構築と支援体制

それでは、外国人一人親方の雇用戦略についてご説明しましょう。

コミュニケーションと文化的違いへの対応

外国人一人親方の雇用戦略において重要なのは、他の労働者とのコミュニケーションがスムーズに取れるか、外国人一人親方との文化的な違いにいかに対応できるかどうかです。

外国人一人親方を雇用する場合、スムーズに業務がこなせるようにするためにも、コミュニケーションが必要不可欠です。

外国人に日本語を教える教育体制が求められるため、決して無理強いすることなく優しく日本語について勉強できる機会を設ける必要性があります。

また、文化的違いについて理解する体制も非常に重要です。出身国が違うので文化的な違いがあるのも当然です。

重要なのは文化的な違いがあることを理解し、その文化がどんなものなのか、日本の文化について優しく丁寧に説明し、外国人の文化に理解を示すことです。

労働条件の透明性と公平性の確保

外国人一人親方を雇用する上で、同様に雇用している他の労働者との労働条件に違いがあってはいけません。

日本人と外国人の労働条件に違いがあると公平性が失われてしまい、いずれ不平不満が出て労働者間で軋轢を生むことになります。したがって、公平性を確保するために日本人と外国人の労働条件を同じにし、公平な労働条件であることを公表して高い透明性を確保しましょう。

長期的な関係構築と支援体制

外国人一人親方に長く活躍してほしいなら、長期的な関係の構築と支援体制を惜しまないことが大切です。

長期的な関係を構築できるように、外国人にとって働きやすい支援体制を用意することが重要です。外国人が資格を取得しやすいようにしたり、有給を取得しやすいようにしたりと、積極的に支援する必要性があります。

まとめ

深刻な人手不足や日本人一人親方の高齢化など、さまざまな理由で外国人一人親方が増加している傾向にあります。

外国人一人親方が日本で働けるようにするには、不法就労にならないように必ず契約前に在留カードを確認し、就労制限がない在留資格かどうか確認しましょう。

今後、外国人は人手不足を解消し、優秀な人材になってくれるので非常に需要が高いと言えます。不法就労にならないように注意して、積極的に登用していきましょう。

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