皆さんは職長という役職を知っていますか?

職長とは現場作業などで必ず設置される現場の監督者で、工事現場の指揮や監督、安全管理を行うために必ず設置されていなければなりません。職長になるためには教育を受けなければなりませんが、安全衛生責任者と何が違うのか気になる人もいるかもしれません。

それでは、職長の役割や職務内容、職長になるための教育や資格、安全衛生責任者との違いについてご説明しましょう。

執筆者 中里 涼子

ライター歴8年以上の中里 涼子です。 引っ越しや不動産投資、美容、医療、クレジットカード、ビジネス、ペット、株式投資、食品、健康、占い、住宅、宝くじ、防犯、リフォーム・リノベーション、ダイエットなどの多種多様なジャンルの記事を執筆しております。

目次

職長についての概要

職長とはどんな役職なのか気になる人も多いのではないでしょうか?

職長がどんな役職でどんな役割を持っているのか、どんな職務内容なのかが分かれば、職長を目指すきっかけになり得るかもしれません。

それでは、職長とは何か、どんな役割でどんな職務内容なのかご説明しましょう。

職長とは何か

職長とは各種建設現場において、事業所や作業所において必ず設置しなければならない役職です。

建設現場はもちろん製造や電気、ガス、機械修理、自動車整備などを初めとするさまざまな現場において、作業する人材の指揮監督を行います。

現場ではさまざまな危険要因があるため、職長は作業員の健康や安全を確保しなければならない重要な立場にあります。

職長の役割、職務内容

作業現場では作業員一人一人の連携や技術、経験などさまざまな能力を活かしてゴールを目指しています。人や物、資材や機材などがひっきりなしに動いている状態なので、危険を伴う現場でもあります。

そんな中で作業員が健康で安全に作業できるのは、職長が安全確保や危険要因の排除などを徹底しているに他なりません。もちろん職長も人なので安全確保がほんの少し行き届いていなかったり、すべての危険要因を排除しきれなかったりと、現場の作業員の判断に委ねられている部分もあるでしょう。

しかし、作業員が作業に集中している場合、周囲に対する認識が薄くなることで事故が発生する可能性があります。職長は作業員の健康や事故回避のため、作業員に指示を出したり、一人一人の能力や健康状態を把握した上で適切な人員配置を行うのが主な役割です。

職長の職務内容は、以下の通りです。

工事作業の指揮と監督

職長は作業現場の責任者として現場プロジェクトの進行状況を把握してスケジュールを管理します。

どこまでの日程でどこまで現場作業を進行させるのか、実際の進行状況を把握した上で円滑に作業できるようにスケジュールを管理しなければなりません。

また、各作業員に対して効率的に作業できるように指示を行います。

各作業員が自分が何をすればいいのかが分かれば、円滑に作業を進めることができるでしょう。職長が現場の状況を把握した上で分かりやすく支持を行うことによって、スケジュール通りにプロジェクトが進められます。

さらに、作業工程を調整することで計画通りに進行させることも大切です。最初に計画したスケジュール通りにプロジェクトが進行されるのが理想的ですが、何らかの理由によって作業工程に遅れが生じる可能性はいくらでもあります。

問題なのは、遅れが生じたときにどうやって作業工程を調整するのかどうかです。無事に計画通りに進行させることが重要なので、職長としての計画性が問われるでしょう。

作業員の安全管理

スケジュール通りに作業を進めることも大切ですが、作業員の絶対的な安全管理を行うのも職長の役割です。

作業員の安全管理を行う上で重要なのは、現場で事故を防止するための安全防止策を指導すること、作業員に対する徹底した安全教育の実施、安全規定や法令を遵守しているか現場を調査し、必要に応じて指導することです。

現場監督が安全防止策や安全教育を徹底することで、作業員もどんなことに気を付ければいいのか分かります。特に職長は現場が安全規定や法令を遵守しているか定期的に調査しなければならないため、必要に応じて徹底した指導を行うことで最大限の安全に配慮した作業ができるでしょう。

品質管理

作業のプロジェクトにおいて重要なのは、一定基準以上の品質が保たれているかチェックすることです。

一定基準以上の品質が保たれていない場合、利益や評判などに大きく影響してしまうため、品質管理は必須と言えます。また、施工図面や設計に基づいて作業を指導し、一定基準の品質を確保することも重要です。

そのためには品質検査やテストの実施を監督し、一定基準に満たなかった原因を調査して改善を指示する必要性があるでしょう。品質管理を徹底することで利益向上や評判の良さなどにつながっていくため、決して妥協できないところです。

経費管理

さまざまなプロジェクトを経て利益拡大を狙う場合、いかに予算内でプロジェクトを完遂できるかどうかが重要です。

もしも予算オーバーになるようなことがあれば利益拡大につながらないため、予算内でプロジェクトを完遂できるようにするための経費管理が必須です。

計画の段階で予算内で済むように、材料や人件費などの経費を徹底して管理していきます。もしも予算をオーバーしてしまった場合、経費に無駄がないか今一度確認して適切な配分を検討しつつ、コスト削減できそうなところを可能な限り削減することが大切です。

コミュニケーション

作業をスムーズに進めつつ一定基準以上の品質を保つには、現場の人間関係を良好に保つことが何よりも大切です。現場で働く作業員の人間関係が上手くいっていないと、作業にも影響が出て思うように進められなかったり、品質低下につながったりします。

それらを防ぐには、職長は作業員や上司とコミュニケーションを取り、現場の人間関係を把握して整備する必要性があります。もしもコミュニケーションを取ったときに作業員の間で人間関係に問題や課題が見つかったときは速やかに上司に報告して、問題や課題を解決できる策を練っていきます。

そのためには作業員からも話を聞いて、どんな意見や提案があるのか聴取する必要性があります。作業員からの聴取内容を下に、問題や課題解決のための方法を模索することが大切です。

現場の良好な人間関係を築くためにも、コミュニケーションは非常に重要な役割です。

資材調達と管理

職長はプロジェクト進行に必要な資材や道具の発注と管理を行います。

必要に応じて追加発注を行うこともあるため、現場で使用されている資材がどのくらいあるのか把握する必要性があるでしょう。

技術指導と育成

職長は作業員の技術向上のための育成指導を行う役割もあります。

作業員全体の技術力を向上させることによって、作業をいかに効率良く進められるか、使用する資材や道具に関する知識を学び、必要に応じて資格取得のための指導やトレーニングも行う必要性があります。

トラブルシューティング

もしも現場でトラブルが発生してしまった場合、作業員ではなく職長が迅速に対応しなければなりません。

下手をすれば作業員のケガにつながる可能性がある上、これ以上作業が進められなくなる可能性があります。早急にトラブルシューティングを行い、現場の状況に合わせて作業員に指示を出したり、上司の判断を仰いだりしましょう。

職長になるための教育や資格について

職長を目指しているのであれば、職長教育を受けて資格を取得しなければなりません。

職長教育では必要な知識を学び、現場で必要になる迅速な判断と対応力を身に付ける必要性があります。

それでは、職長になるための教育や資格についてご説明しましょう。

職長教育の受講

職長になるためには、必ず職長教育を受けた上で職長教育修了証を交付してもらう必要性があります。

職長教育修了証がない場合、労働安全衛生法60条により、職長資格を有していない人は作業員の指揮監督を行う資格がありません。職長資格がないのに職長の業務を行った場合は法律違反になるので、必ず職長教育を受けることが重要です。

職長教育の必要受講日数や費用、受講方法は、以下の通りです。

職長教育の必要受講日数2日・合計12時間
職長教育にかかる費用15,000円~20.000円
(開催期間)

職長教育で学ぶ内容

職長教育で学ぶ内容は、以下の通りです。

  • 作業方法の決定
  • 労働者への指導・監督方法
  • 危険性や有害性の調査と措置
  • 異常時・災害発生時の措置
  • 労働災害防止活動

職長として作業員の指揮監督にあるにあたり、労働災害の原因や対応方法に関する知識、作業員の安全を最優先で確保する方法、作業員への指導や監督の方法などを学んでいきます。

職長教育の実施機関

職長教育の実施機関は、以下の通りです。

  • 日本全国の労働基準協会連合会
  • 各協会の受講
  • 企業や団体のWeb受講

以上のいずれかの機関で職長教育が受講できますが、場合によっては出張教育やe-ラーニングといった柔軟な方法で職長教育を受講することもできます。

安全衛生責任者と職長の比較

職長と似たような役職として、安全衛生責任者があります。

職長と似たような役割を持っていますが、さまざまな違いがあるので知っておいて損はありません。

それでは、安全衛生責任者と職長との違いについてご説明しましょう。

安全衛生責任者との違い

安全衛生責任者との違いは、対応業種です。

職長の対応業種は、以下の通りです。

  • 建設業
  • 製造業
  • 電気業
  • ガス業
  • 自動車整備業
  • 機械修理業
  • 食料品製造業(うまみ調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く)
  • 新聞業
  • 出版業
  • 製本業及び印刷物加工業

一方の安全衛生責任者の対応業種は、建設業と造船業の2種類しかありません。

この違いは、建設業と造船業における現場に複数の請負会社が入るからです。複数の請負会社が入ると全体をまとめる人が必要になるので、安全衛生責任者は統括安全衛生責任者との連絡や調整を行うのが主な業務になります。

ただし、場合によっては職長と安全衛生責任者を兼任することがあるため、現場によっては職長兼安全衛生責任者として働くこともあるでしょう。

他にも、以下のような業務を行います。

  • 統括安全衛生責任者からの連絡に関する管理
  • 計画書の確認や他業者との調整
  • 混在作業における危険要因の有無の確認
  • 2次3次と下請けがいる場合には下請けとの連絡や調整

安全衛生責任者に必要な資格

安全衛生責任者に必要な資格は、職長と同様に安全衛生責任者教育を修了させることで誰でも安全衛生責任者になることができます。

特別な資格が必要になるわけでも、年齢や学歴、実績等を問われることもありません。

また、職長と同様に安全衛生責任者ではないにもかかわらず安全衛生責任者の業務を行ったり職務業務に違反したりした場合、労働安全衛生法120条により、50万円以下の罰金が課せられるので注意しましょう。

まとめ

職長は描く現場に必ず一人設置しなければならない重要な役割を持つ役職です。

作業員と上司の間に立り、作業員の指揮監督を行う立場になるので責任重大な役職だと言えるでしょう。もちろん指揮監督によって作業員たちの作業をスムーズに進められるようにしたり、すぐに作業ができるように資材や道具を発注したりと、職長ならではの忙しさと相まってやりがいが感じられる役職です。

安全衛生責任者も職長と似たような役職なので、職長教育だけでなく安全衛生責任者教育を受けて兼任できるようにすると採用されやすくなる可能性があります。

興味がある人は、是非とも職長教育と安全衛生責任者教育を受けてみてはいかがでしょうか。

お庭業界での
転職なら

造園、園芸、外構、土木業界での転職を今すぐ探すなら業界専門の求職サイトがオススメ!