退職後に転職活動をする際は、失業保険の基本手当を受け取れる場合があります。

失業手当は、失業した人が少しでも早く再就職するための支えとなる制度です。ただ、すべての退職者が手当の対象となる訳ではありません。

この記事では失業手当を受給するための条件や、受給までの流れ、必要書類について詳しく解説します。

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 お庭の窓口(転職情報)編集部

お庭の窓口転職情報の編集部です。 社内の造園・外構のプロたちから助言をいただきつつ、皆様に有益な情報を提供できるように頑張ります。

目次

失業手当(失業保険の基本手当)を受けるための条件

失業手当を受け取るには、以下のような条件に当てはまっている必要があります。

  • 失業状態である
  • ハローワークで求職の申し込みを行っている
  • 過去2年間に雇用保険の加入期間が通算12ヶ月以上ある

まずは、3つの条件について詳しく解説します。

1.失業状態である

1つ目の条件は、失業状態であることです。失業状態とは、既に会社を退職している状態を指すので、休職などの場合は受給対象となりません。

ただし失業している人でも、以下のようなケースに当てはまる場合は失業保険を受給できません。

  • けがや病気の治療のため、すぐに就職できない
  • 妊娠や出産・育児のため、すぐに就職できない
  • 定年などで退職し、しばらく働く意思がない
  • 結婚などで退職し、すぐに就職しない

失業状態であれば誰でも受給対象となる訳ではないため、注意してください。

2.ハローワークで求職の申し込みを行っている

失業手当を受けられる人は、「就職に対する積極的な意思があり、いつでも就職できる能力のある人」と定められています。

よって、

  • ハローワークで求職の申し込みをする
  • 求人に応募する
  • 面接を受ける

など、積極的に転職活動を行っている必要があります。上記でも紹介した様に、「就職する意思と能力があると認められない人」は受給対象となりません。

3.過去2年間に雇用保険の加入期間が通算12ヶ月以上ある

また失業手当を受給するためには、雇用保険に関する以下のような条件も満たす必要があります。

  • 雇用保険に加入している
  • 雇用保険の加入期間が、退職前の過去2年間に通算12ヶ月以上あること

ただし会社を辞めた理由によっては、1年間で通算6ヶ月以上雇用保険に加入していれば、受給の対象となります。

対象となる人は、会社の都合で仕事を辞めることになった人や、正当な理由があって退職することになった人です。具体的には、以下のような人が当てはまります。

  • 倒産により離職した人
  • 事業所の廃止に伴い離職した人
  • 事業所の移転により、通勤が困難となったため離職した人
  • 解雇により離職した人
  • 上司や同僚からの嫌がらせなどによって離職した人
  • 体力の不足や心身の障害など、正当な理由のある自己都合により離職した人

なお自身が受給対象者になるかどうかについては、ハローワークで判断されます。詳しい受給要件については、近くのハローワークで相談してみてください。

失業手当を受給するまでの流れ

次に、失業手当を受給するまでの流れについて解説します。受給までの流れは、以下の通りです。

  1. 退職する
  2. 離職票を受け取る
  3. ハローワークで求職の申し込みをする
  4. 雇用保険受給説明会に出席する
  5. 7日間の待機期間満了まで待機する
  6. 指定された失業認定日にハローワークへ行く
  7. 失業認定日から1週間程度で初給付(※自己都合による退職の場合は1週間+3ヶ月)

失業手当を受給するまでには、1ヶ月〜2ヶ月程度かかります。申請後すぐに受給できる訳ではありませんので、注意してください。

また退職した理由によって、受給までの期間が変わる点にも注意が必要です。会社都合で辞めた人や、自己都合でも正当な理由がある人は、初回の失業認定日から1週間後に振り込まれます。

しかし自己都合で辞めた人や、懲戒解雇された人は、1週間の待機期間の後さらに3ヶ月の給付制限期間が存在します。よって退職理由によっては、受給までに3ヶ月以上かかることになります。

失業手当の申請に必要な書類

ここまで、失業手当を受給するための条件や流れについて紹介しました。

ハローワークでの申し込みの際には、いくつかの書類が必要になります。手元に届くまでに時間がかかる書類もありますので、事前に準備しておきましょう。

【手続きに必要な書類一覧】

  • 雇用保険被保険者離職票
  • 個人番号が確認できる書類(マイナンバーカード・通知カード・個人番号が記載されている住民票など)
  • 身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、写真付き資格証明書など)
  • 写真(最近撮影したもの・正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)
  • 印鑑
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

(参考:ハローワーク 雇用保険の具体的な手続き)

離職票は退職してから手元に届くまでに、10日〜2週間程度かかります。手続きの際に必ず必要になりますので、なくさないように保管しておきましょう。

また手続きの際には、ある程度の時間がかかります。時間に余裕を持ち、遅くとも16時までにはハローワークを訪れるとよいでしょう。

失業手当の受け取り金額を計算する方法

失業手当の受け取り金額は離職前の給与のおよそ50〜80%とされており、自分で簡単に計算することができます。受け取り金額は、以下の方法で求められます。

  1. 賃金日額を求める
  2. 基本手当日額を求める
  3. 支給総額を計算する

以下、受け取り金額の計算方法について順番に紹介します。

1.賃金日額を求める

まずは、「賃金日額」と呼ばれる1日あたりの平均賃金を算出します。

賃金日額の計算方法は以下の通りです。

「賃金日額=退職前6ヶ月の給与総額÷180日(30日×6ヶ月)」

ここでの給与総額には、賞与は含まれませんので注意してください。

なお、賃金日額には上限額と下限額が存在します。そのため計算した賃金日額が以下の表の金額を上回る、または下回る場合は、表の金額を賃金日額として使用してください。

離職年齢 上限額 下限額
29歳以下 13,690円 2,574円
30〜44歳 15,210円 同上
45〜59歳 16,740円 同上
60〜64歳 15,970円 同上

(参考:厚生労働省 2021年5月時点)

2.基本手当日額を求める

次に、基本手当日額を求めます。基本手当日額とは、失業手当の1日あたりの受給額のことです。

基本手当日額の計算式は以下の通りです。

「基本手当日額=賃金日額×給付率(50〜80%)」

なお給付率は、離職時の年齢や賃金日額によって以下のように変化します。

また基本手当日額にも上限額・下限額がありますので、以下の表を参考にしてください。

退職時の年齢賃金日額(円)給付率基本手当日額(円)
29歳以下2,500円以上~5,010円未満80%2,000円~4,007円
5,010円以上~12,330円以下80-50%4,008円~6,165円
12,330円超~13,630円以下50%6,165円~6,815円
13,630円(上限額)超6,815円(上限額)
30~44歳 2,500円以上~5,010円未満 80% 2,000円~4,007円
5,010円以上~12,330円以下 80-50% 4,008円~6,165円
12,330円超~15,140円以下 50% 6,165円~7,570円
15,140円(上限額)超 7,570 円(上限額)
45~59歳 2,500円以上~5,010円未満 80% 2,000円~4,007円
5,010円以上~12,330円以下 80-50% 4,008円~6,165円
12,330円超~16,660円以下 50% 6,165円~8,330円
16,660 円(上限額)超 8,330 円(上限額)
60~64歳 2,500円以上~5,010円未満 80% 2,000円~4,007円
5,010円以上~11,090円以下 80-45% 4,008円~4,990円
11,090 円超~15,890円以下 45% 4,990円~7,150円
15,890 円(上限額)超 7,150 円(上限額)

(出典:厚生労働省 「雇用保険の基本手当日額が変更になります」)

3.支給総額を計算する

賃金日額と基本手当日額を求めたら、最後に支給総額を計算します。

支給総額は、基本手当日額に給付日数をかけることで求められます。

「支給総額=基本手当日額×給付日数」

なおこの計算式で使用する給付日数は、会社を辞めた理由によって異なります。

以下、理由別の給付日数の求め方について解説します。

自己都合で離職した場合

自己都合で離職した場合の給付日数は、90日〜150日です。大体3ヶ月〜4ヶ月程度と考えておくとよいでしょう。

雇用保険の加入期間 1年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
給付日数 90日 120日150日

(出典:ハローワーク)

特定理由離職者(会社の都合での離職など)に当てはまる場合

特定理由離職者の場合、給付日数は90日〜330日です。

自己都合での離職とは異なり、年齢によって大きく差が生じることが特徴です。

30代未満であれば3ヶ月〜6ヶ月、30歳以上であれば3ヶ月〜9ヶ月程度と考えられます。

離職年齢 雇用保険の加入期間
1年未満
1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上
35歳未満
90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上
45歳未満
90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上
60歳未満
90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上
65歳未満
90日 150日 180日 210日 240日

(出典:ハローワーク)

失業保険の基本手当を受給するには条件を満たす必要がある

面接 逆質問

この記事では、失業保険を受給するための条件や、受給までの流れについて解説しました。

失業保険の受給には3つの条件を満たす必要があるほか、受給までには1ヶ月〜2ヶ月程度かかります。

また自己都合で退職した場合は、受給までに3ヶ月以上かかりますので注意してください。

手続きには様々な書類が必要になるほか、時間もかかるため、事前に書類を用意してからハローワークを訪れることをおすすめします。

お庭業界での
転職なら

造園、園芸、外構、土木業界での転職を今すぐ探すなら業界専門の求職サイトがオススメ!