企業で働いていた時は、企業側が確定申告を行ってくれるので何も心配する必要性はありませんでした。しかし、退職した後は自分で確定申告を行わなければならないので注意が必要です。
自分で確定申告を行うということは一人で確定申告書を用意して必要事項を記入しなければなりませんし、現在の状況に応じて書き方が変わる可能性もあるでしょう。ただ、中途採用で就職した場合はどうなるのか、年末調整と何が違うのかなど気になることも多くあるのではないでしょうか?
この記事を最後まで読むことで、退職後の確定申告のやり方が分かるでしょう。それでは、退職後の確定申告についてご説明しましょう。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。
ライター歴8年以上の中里 涼子です。 引っ越しや不動産投資、美容、医療、クレジットカード、ビジネス、ペット、株式投資、食品、健康、占い、住宅、宝くじ、防犯、リフォーム・リノベーション、ダイエットなどの多種多様なジャンルの記事を執筆しております。
目次
年末調整と確定申告ってどうちがうの?
年末調整と確定申告は、似ているようで全く違うものです。
年末調整とは企業に勤める従業員が行う方法です。基本的に企業に勤める従業員は確定申告を行う必要性がなく、企業側が従業員全員の所得税を納税します。企業側が社会保険料や住民税などを計算して毎月の給与等から天引きするのが一般的ですが、この時点で納税額を確定するわけではありません。
所得税が確定した後に再び計算を行って正しい納税額を算出する必要性があります。従業員によって正しい納税額と概算で徴収した金額を比較した上で、過剰納税になっていれば差額分を還付したり、過不足分を追加徴収するのが年末調整の特徴です。
一方の確定申告は企業に雇用されていないフリーランスや個人事業主が行います。毎年2月16日~3月15日の間に昨年の1月~12月の所得を計算し、所得から納税額を算出した上で税務署に申告するのが確定申告です。
その他にも、確定申告について気になる疑問について以下で解説します。
会社で年末調整をしていれば、確定申告は不要?
会社で年末調整をしていれば確定申告は不要になります。しかし、以下の事由に該当する場合は確定申告を行う必要性があります。
- 副業や兼業で所得が20万円を超えている場合
- 年末調整で対応できない控除を受ける場合
- 年間収入金額が2000万円を超えている場合
以上のような事由に該当する場合は、年末調整を行った後に確定申告を行う必要性があるので注意しましょう。
なお、副業や兼業で所得が20万円を超えている場合は必ず確定申告を行わなければならず、もしも確定申告をしなかった場合は無申告加算税や重加算税などが課されます。必ず期限内に確定申告を済ませておきましょう。
なお、特殊なケースとして、以下の事由に当てはまる場合も確定申告が必要になります。
- 源泉徴収票がないので年末調整ができなかった
- 年内に給与の支払いがなかった
- 退職所得の受給に関する申告書を提出していなかった
- 12月31日までに転職しなかった
以上の場合は特殊なケースではありますが、確定申告を行う必要性があるので注意しましょう。
源泉徴収票って何?
源泉徴収票とは、前年の間に会社から支払われた給与と賞与等の総額と納税した所得税が記載されているものです。
源泉徴収票には課税所得も記載されているので、記載されている所得税がどのように算出されたのかが分かります。
この源泉徴収票は年末調整が行われた時と退職する時に受け取るものであり、年末調整が行われた場合は昨年1月1日~12月31日までの給与等の総額や所得税が記載され、退職する場合は昨年1月1日~退職する日までの給与等の総額や所得税が記載されます。
源泉徴収票に記載される源泉徴収とは給与所得に応じて所得税を差し引くことから、会社が源泉徴収を行うことで従業員が確定申告を行う必要性がなくなるのがポイントです。
ただ、フリーランスや個人事業主の場合は源泉徴収が発生した場合、自分で確定申告を行わなければならない上に、昨年の所得の総額から源泉徴収税額を差し引いて所得税を算出しなければなりません。
年度途中で退職した場合、退職金と失業保険給付金、確定申告は必要になる?
もしも年度途中で退職した場合、退職金や失業保険給付金、確定申告がどうなるのか気になる人も多いのではないでしょうか?基本的に昨年の1月1日~12月31日の給与所得に応じて所得税を算出して確定申告を行わなければなりませんが、年度途中で退職したということは様々な変化があります。
1年間の収入がキーポイントになるのか、年度途中で退職すると何がお得になるのか様々な違いがあるので、年度途中で退職した人は要チェックです。それでは、年度途中で退職した場合、退職金と失業保険給付金、確定申告は必要になるのかご説明しましょう。
退職金をもらった場合
退職金をもらった場合は確定申告が必要になります。
ただ、ここで気を付けたいのは勤続年数が長くなるほどもらえる金額が高くなる以上、その分納税額も高くなるのではないか、ということです。退職金が支払われる時は「退職金の金額×20.42%」の所得税と復興特別所得税が差し引かれるため、かなり高額な所得税を納税しなければなりません。
たとえば退職金が2000万円であれば所得税は約408万円の所得税がかかってしまうため、勤続年数が長い人ほど不利になってしまうでしょう。しかし、退職金は退職後の生活を当分支えるものとして支払われる意味合いもあるので、退職所得控除が受けられるのが最大のメリットです。
退職金を受け取った後に確定申告を行い、納税し過ぎた税金の還付を受けることができます。課税される退職所得金額は、退職金から退職所得控除額を差し引いた金額の2分の1となります。
退職後、無職の場合
退職後も就職せずにその年の年末まで無職のままで失業保険給付金を受給していない場合、自分で確定申告を行う必要性があります。
退職後に条件を満たすことで失業保険給付金を受給している場合、受給した失業保険給付金の分は確定申告を行う必要性がありません。いわゆる失業手当は退職後に得られる収入ではありますが、再就職するまで支給される生活保障制度なので課税対象にならないのがポイントです。
ただ、収入があるにもかかわらず申告せずに受給し続けた場合は不正受給とみなされ、今まで受給された総受給額の3倍の金額を返還しなければなりません。変換されるまでの期間に延滞金が課せられる他、最悪の場合は詐欺罪になるので注意しましょう。
退職後、フリーランスや就職したが年内に収入がなかった
退職後にフリーランスとして働く場合は本来確定申告が必要ですが、年内に収入がない場合は確定申告を行う必要性はありません。
就職した場合も給与がよく月に支払われる場合は年内に収入が得られない状態となるため、年末調整が受けられません。その時に確定申告を行う必要性があるかどうかは会社の規定によって左右されますが、自分が年末調整の対象になっていない場合は確定申告を行うのがおすすめです。
退職後、再就職した場合
退職後の年末までに再就職した場合は、再就職した企業が年末調整を行ってくれるので確定申告を行う必要性はありません。
退職後、フリーランスとして働く場合
退職後にフリーランスとして活動し、収入を得ている場合は個人事業主として自分で確定申告を行う必要性があります。
確定申告ってそもそも申告するとどうなる?締め切りあるの?
確定申告を行うのは良いですが、そもそも申告するとどうなるのか気になる人も多いのではないでしょうか。確定申告には締め切りがあるので、締め切りを過ぎると大きなデメリットも発生するので注意が必要です。
それでは、確定申告を行うとどうなるのか、締め切りを過ぎるとどうなるのかご説明しましょう。
税金が戻ってくるチャンス?
確定申告を行う時のメリットは、納税し過ぎた税金が戻ってくるチャンスがあることです。
確定申告の計算はややこしいので、場合によっては計算間違いで本来納税するべき所得税額を超えて納税してしまう可能性があります。もしも税金の納め過ぎが発覚した場合、還付申告の手続きを行うことで還付金が受け取れるので納め過ぎた金額が戻ってくるのです、
ただし、逆に納税額の過不足が起こることもあるので、後で納税額が不足していることが発覚した場合はすぐに不足分を納税しなければなりません。
いつまでに?期限を過ぎたら?
確定申告は基本的に毎年2月16日~3月15日までに行わなければならない決まりとなっています。
もしも3月15日までに確定申告ができなかった場合は期限超過とみなされ、無申告加算税や重加算税などが課されるので注意しましょう。
無申告加算税は納税額が50万円以下なら納税額の15%、50万円以上なら納税額の20%が課税されます。ただ、税務署の調査が入る前に自ら申告した場合は免除される可能性もあるでしょう。
重加算税は過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税の代わりに課税されるもので、それぞれの加算税が課される場合に仮装や事実の隠蔽、または申告を怠った時に課税されます。
過少申告加算税なら代わりに追加本税の35%、無申告加算税なら納税額の40%、不納付加算税なら納税額の35%がそれぞれ課税されるので注意しましょう。
退職後の確定申告 手続き
退職後に確定申告を行う場合、青色申告ではなく白色申告を行うことになります。青色申告は主に節税のために使用される形式なので、白色申告による手続きを行う必要性があります。
それでは、退職後の確定申告における手続きについてご説明しましょう。
必要な書類、申請用紙の入手方法
確定申告の手続きで必要な書類は、以下の通りです。
- 確定申告書
- 源泉徴収票
- 生命保険などの支払い証明書
- 社会保険料控除証明書
- 印鑑
- マイナンバー
- 運転免許証などの身元確認書類
場合によっては年金や健康保険料などの支払い証明書なども必要です。
確定申告書の入手方法は、手書きで作成するかパソコンで作成するかどうかで変わります。
手書きで作成する場合は最低でも1月中旬までに税務署や申告相談会場の窓口で入手するか、国税庁ホームページの確定申告等作成コーナーでダウンロード・印刷する方法があります。
パソコンで作成する場合は国税庁ホームページの確定申告等作成コーナーにアクセスし、トップページから申告書の作成を開始するだけです。
なお、書類には申告書Aと申告書Bがありますが、どんな場合でも使える申告書Bで作成するのがおすすめです。確定申告書を提出する時は第一表と第二表の2枚1組を提出しましょう。
書き方
確定申告書を書く時は、第一表と第二票に何を書くか把握する必要性があります。
第一表に書くことは、以下の通りです。
- 住所、氏名などの個人情報
- 収入金額等
- 所得金額等
- 所得から差し引かれる金額
- 税金の計算
- その他
- 延納の届出
- 還付される税金の受取場所
第二表に書くことは、以下の通りです。
- 住所、氏名などの個人情報
- 所得の内訳
- 総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項
- 保険料控除等に関する事項
- 本人に関する事項
- 雑損控除に関する事項
- 寄附金控除に関する事項
- 配偶者や親族に関する事項
- 事業専従者に関する事項
- 住民税・事業税に関する事項
必要に応じて以上の項目に記載することで所得税を納税することができます。
確定申告書の詳しい書き方は、以下を参考にしてみてください。
まとめ
退職後に確定申告を行う必要性があるのかどうかは、その後の状況によって大きく変わります。退職する前であれば企業側が年末調整を行うものですが、退職後は企業任せにしていたのを自分自身で確定申告を行う必要性があります。
退職金や失業保険給付金などをもらっている場合も確定申告を行う必要性があるのかどうか違うため、事前に確認が必要です。
また、確定申告の書き方はややこしいため、書き方を参考にしながらミスの内容にしましょう。