住宅の家周りの外構部分や庭部分の設計はどういった職種の人が行うのでしょうか?

住宅の家部分の設計は建築士が行いますが、外構部分は外構専門の設計士が存在します。
もちろん、建築士が外構部分まで一気通貫で設計する場合も多々ありますが、最近は多くのハウスメーカーや工務店で外構や庭部分の設計を外注したり、専門の人材を雇用してエクステリアプランナーと言われる外構専門の設計士が設計しています。

それは、外構や庭の設計は家の設計とはまた違った工事知識や星の数ほどある(言い過ぎではない!!)エクステリア材料の知識やデザインセンスが問われるためです。

そこで今回は、外構や造園設計のCADオペレーターについて詳しく解説していきます。
庭部分専門の設計CADオペレーターに転職したいけど、未経験だから不安。
という方のための記事です。

この記事を読むと以下のことが分かります。

・外構や造園設計のCADオペレーターについて
・CADとはなにか
・CADで図面を作る目的
・外構や造園設計のCADオペレーターの仕事内容
・外構や造園設計のCADオペレーターに向いている人
・外構や造園設計のCADオペレーターに役立つスキルや経験、知識
・外構や造園設計のCADオペレーターに役立つ資格

外構や造園設計のCADオペレーターの仕事は、住宅の庭づくりには欠かせません。
技術職のため、経験を積めばスキルアップも目指せる人気の職業です。

未経験からでも始められますが、向き不向きがあるので転職には慎重になるべきでしょう。

外構や造園設計のCADオペレーターの仕事内容から向いている人、役立つ資格までをまとめました。
CADオペレーターの転職に失敗したくない人は、最後まで読んでみてください。

高杉 有希子
監修者 エクステリアプランナー 高杉 有希子

静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。

目次


外構や造園設計のCADオペレーターとは?どんな仕事内容?

外構や造園設計のCADオペレーターとは

一般的な建築系のCADオペレーターとは、家の設計からマンション、公共工事、土木など、比較的大規模な設計図面をCADを使用して作成を行う方を言いますが、その場合は、建築士や設計士がデザインした図案を、CADを使って正確に設計、作図、修正を行います。
建築業界ではさまざまな業種の分野で活躍できるので需要があります。
将来は建築士、技術士、設計士などにもキャリアアップできるやりがいのある職業です。

一方、外構や造園設計のCADオペレーターは、規模がそこまで大きくなく、1件の住宅の外構や庭部分のみの設計及びCAD起こしとなるため、ある程度デザインからCAD作図まで行うのが一般的です。
外構や造園会社によっては、専門のデザイナーがデザインを起こす場合もありますが、稀です。

そのため、外構や造園設計のCADオペレーターの場合は、外構知識や造園知識も徐々に身につけていきたい職種です。
ある意味、CADのスキルだけではなく幅広く働きながら学べるため、CADだけではなくデザイナーやプランナー、積算や施工管理まで経験したい方には向いています。

そもそもCADってなに?

CADとはComputer Aided Design(コンピューター支援設計)の略で、パソコンを使って作図、製図ができるシステムのことを指します。
また、CADには2D CADと3D CADがあり、図面や用途によって使い分けられます。
2DCADは平面上で作図をしますが、3DCADは立体的に物を描けるシステムになっています。

製造業、建築業、アパレルなどさまざまな業界で使われるCADですが、建築業界で使うCADソフトは、建築CADと呼ばれています。
代表的な2DCADとして、Auto CADやJWCADが、3DCADとしてベクターワークスがあります。

一方で、外構や造園設計のCADは3D CADが一般的で、現在はRIKCAD(リックキャド)やO7CAD(オーセブンキャド)が多く使われています。

CADで図面を作る目的

建築業界での図面を作る目的は、多くは家や施設などを作る業者の為にあります。
注文住宅では顧客が完成形をイメージできるようにするためにある部分もありますが、それでも多くは建築する業者のために存在します。
その図面が無ければ、建築することはできないからです。
そのため、図面を見て完成形を読み取ることができる業者向けの図面でOKですので、基本的には2DCADの平面図で構いません。

一方で、外構や造園設計の図面作成の目的は、多くは顧客のためにあります。
なぜなら、外構や造園の設計は家と違ってオーダー性が非常に高い業種です。
家であればある程度間取りが決まっていて、ここがキッチンだとしたら、そこにどんなメーカーのどの様なキッチンを配置するのかを図面上に当てはめていけば良いのですが、外構や庭の場合、そこにアプローチを作るのか作らないのか、作らないならそこは土の状態のままになるので、何か別の構造物を作るのか木を植えるのか。

他にも門柱をどこに設置するのか、屋外電器はどこに配置するのか、カーポートを設置するのかしないのか、などなど。

庭づくりとは完全にどのご依頼とも全く同じものはないようなオーダー性の高い業種です。
そのため、素人である顧客は作る前に完成形をイメージすることができないのです。
だから、施工前、契約前の提案として図面作成、それも3Dで作られたイメージパースが必要となります。
2Dで作られた平面図では、図面を読み取る能力がない顧客はどのような外構や庭になるのか全くイメージできないのです。

つまり、外構や造園設計の図面作成の目的は、多くは顧客のためにあるのです。
※もちろん、業者の為にもあります。

外構や造園設計のCADソフトを使った作図、製図、修正

多くの建築業界でCADオペレーターのメインの仕事は、CADソフトを使った作図、製図、修正です。
作業の流れは以下のとおりです。

  • 設計士の指示どおりに作図、製図を行う。
  • 図面が出来上がったら提出。
  • 設計士が図面をチェックし修正箇所をCADオペレーターに指示。
  • CADオペレーターが修正、再度提出。

基本的に日々これを繰り返します。

しかし、外構や造園設計のCADオペレーターは前述したように、CADへの図面起こしだけではなく顧客のヒアリングに基づいてデザイン起こし・設計から行います。
見積りの為の積算まで一人の担当者が行う場合もあります。

ぜひ転職するまえに、外構や造園設計の仕事の流れをイメージしておきましょう。
自分が考えるCADオペレーターの仕事内容と違いがないか、自分にできそうか考えておくのが大切です。
幅広く業務に携わりたい方は外構や造園設計のデザイナーやCADオペレーターは非常におススメです。

恐らく、外構や造園設計の設計士やCADオペレーター、積算ができるようになれば、他のどの建設業の設計士にもなることができると思います。

外構や造園設計のCADオペレーターに向いている人3選!

言われたことを確実にこなせる人

一般的なCADオペレーターでは、相手のやってほしいことを理解し実行できる人はCADオペレーターに向いていると言えます。

CADオペレーターは、依頼内容を理解し正確に図面を作成するのが仕事です。
間違った図面を作成した場合、建築物の不良につながってしまいかねません。
修正依頼が来ても嫌な気持ちにならず、確実に修正ができるほうが設計者に好まれます。

自分がやりたいことではなく、言われたことを正確に実行できるタイプの人はCADオペレーター向きです。
未経験でも、何度も繰り返し確認するクセがついてる人なら適任でしょう。

提案できる人

外構や造園設計のCADオペレーターは、言われたことを確実にこなせるだけではダメで、顧客からのヒアリングの元、外構や庭のデザインや設計の提案もできる必要があります。
そのため、外構や造園の知識がなくとも、積極的に学ぶ姿勢をもち、クリエイティブな事が好きな人が向いていると言えるでしょう。

集中力があり、コツコツと作業するのが好きな人

飽きずに作業を続ける集中力がある人は、外構や造園設計のCADオペレーターに向いています。
CADオペレーターは、タスクを1つずつ確実にこなす必要があります。
繰り返しの修正にも対応しなければなりません。
そのため地味な作業をコツコツと続けるのが好きで、集中力の高い人が向いているでしょう。

素早く対処できる人

言われたことに素早く対処できる人もCADオペレーター向きです。
一般的なCADオペレーターは設計者のアシスタント的なポジションなので、設計者の依頼に素早く対処する力が必要です。
依頼を素早くこなし仕事がスムーズに進めば、信頼感が得られます。
より重要な仕事を任せられるようにもなるので、依頼に素早く対処できることは重要と言えます。

一方で、外構や造園設計のCADオペレーターはアシスタントではなくプランナーです。
そのため、顧客の要望に素早く対応出来るかたが向いているでしょう。

外構や造園設計のCADオペレーターに役立つスキル・経験・資格

設計に関する専門的な知識

一般的なCADオペレーターの場合、必須ではないですが、設計に関する業種の専門知識を学んでいればCADオペレーターの仕事に役立つでしょう。
CADオペレーターは、図面を読み取る力と設計者の話を理解する必要があるからです。
設計に関する専門的な知識があれば、図面を読み取るスピードも早くなります。

一方で、外構や造園設計のCADオペレーターの場合は、庭づくりの専門知識は欠かせません。
未経験での就職の場合は、多くの案件をこなして、早く一人前になれる様に勉強しましょう。
およそ、2年くらいである程度一人前になることができます。

PC、CADの操作経験

CADオペレーターの仕事は学ぶ姿勢があれば未経験でもできる仕事です。
とはいえ、PCやCADの操作経験があれば有利になります。
設計の専門的な知識も必要ではありますが、CADの基本的な使い方を理解していれば、どんなCADでもある程度スムーズに仕事がこなせるからです。

またCADオペレーターは、WordやExcelといったソフトを使うこともあります。
PCの基礎知識や操作スキルも、ある程度あれば有利になるでしょう。
PCやCADを使ったことがなければ、転職するまえに職業訓練校などで学ぶこともできます。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルは打ち合わせや顧客のヒアリングで必要になります。
たとえば、進捗状況を伝える、図面の不明点を質問する、修正点をすり合わせるといったコミュニケーションスキルです。
外構や造園設計のCADオペレーターは顧客や施工管理者、時には外部の工事会社と連携して作業を進めることが多くあります。
そのため人の話を聞く、質問する、といったコミュニケーションを取りながら仕事ができる力が必要です。

CAD利用技術者試験

CAD利用技術者試験は、CAD操作に必要な知識、図面を正しく作図するスキルを証明するための試験です。
それぞれ3次元と2次元の試験に分類されます。
CADの資格の中では有名な資格なため、取得していれば企業からの評価も高くなります。
転職、就職でも有利になるでしょう。

建築CAD検定試験

建築図面をCADを使って作成する、正しくトレースする技術を証明するための試験です。
建築関係のCADオペレーターを目指すなら取得しておくべき資格でしょう。
また設計者や建築士を目指す人にもおすすめの資格です。

オートデスク認定資格プログラム試験

オートデスク認定資格プログラム試験は、オートデスク製品の知識や操作スキルを証明するための試験です。
全世界共通の認定資格なので、幅広い企業で評価を得られます。
AutoCADのCADオペレーターを目指すなら、取得しておくべき資格です。

Vectorworks操作技能認定試験

建築設計にも使われるCAD、Vectorworksの操作技術や知識を証明する試験です。
比較的難易度が優しいので、未経験者や初心者にもおすすめの資格です。
Vectorworksも多くの企業が使っているCADなので、取得すると転職に有利になるでしょう。

エクステリアプランナー

CADの資格とは直接関係ありませんが、外構や造園設計の場合はその職種の知識が必要不可欠です。
そのため、それを学んで理解するためには非常に有益な資格と言えます。

初心者、未経験

まとめ:CADオペレーターは未経験でも転職OK!

CADオペレーターはさまざまな分野で活躍できる職種です。
技術職なので、手に仕事をつけられるのもCADオペレーターの魅力の1つでしょう。
CADオペレーターはCADの基本的な基礎知識が合ったほうが有利ですが、未経験からでも始められます。

手に職をつけることは安定にもつながるので、興味のある方はチャレンジしてみてください。

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