ドライフラワーとしてもフラワーアレンジメントにも使われるムラサキシキブは、育て方や剪定方法がシンプルで、下草や寄せ植えにも向いた庭木です。
ムラサキシキブの花・実・葉の特徴や花言葉・誕生花、植え替え・剪定の時期、種類やコムラサキとの違いなど魅力をたっぷりと紹介します。
基本データ
- 分類
- 庭木-落葉
- 学名
- Callicarpa japonica/East Asian beautyberry、Japanese beautyberry
- 科・属名
- シソ科・ムラサキシキブ属
- 別名
- タマムラサキ、ミムラサキ、ムラサキシキミ、コメゴメ
- 草丈・樹高
- 2〜4m
- 栽培可能地域
- 全国
- 花色
- 淡いピンク、濃いピンク、白
- 開花期
- 6月〜7月上旬
- 結実期
- 9〜10月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 強い/強い
ムラサキシキブの花・実・葉の特徴と花言葉
緩やかに上に反り返って伸びた細い枝の節々に、鮮やかで光沢のある紫色の実を鈴なりに付けるムラサキシキブ。
花だけでなく、梅雨の時期に咲く淡いピンク色の花や秋の紅葉も美しく風情があります。
季節ごとにさまざまな姿を観賞でき、色の変化を楽しめる上品な庭を演出します。
花芽や実の付きが良く、寒さに強くて育て方や剪定(せんてい)も簡単なので庭木におすすめです!
ムラサキシキブとは
ムラサキシキブは、冬に葉が一斉に落ちる落葉性の、シソ科ムラサキシキブ属の低木。
北海道から沖縄まで、さらに台湾・朝鮮半島・中国の雑木林に自生し、暑さや寒さに強い樹木です。
江戸時代より前は「ムラサキシキミ」の名前で親しまれていましたが、人をひきつけるような秋の美しい姿から、源氏物語の作者である「紫式部」の名前に変更されたようです。
近年では、花・実・紅葉を楽しめることと、「雑木の庭」が人気ということもあり、高木の下草や根締め(ねじめ)とし植えられることが増えてきました。
見た目がよく似た「コムラサキ」よりも枝葉が良く伸び、強い剪定を嫌います。
そのため、できるだけ切る量を減らし、自然樹形で楽しむのが最適です。放置しなければ、剪定はシンプルで、初心者でも育てやすいです。
雑木の庭とは
日本の里山や山奥の自然の趣を生かした庭のこと。
木漏れ日が差し込む木々に囲まれた庭は、まるで雑木林を思わせ、自分が自然の中にいるようなデザインで、癒しのある空間を演出します。
ムラサキシキブの花・花言葉・誕生花
6月〜7月上旬ごろにかけて、ムラサキシキブは枝の節ごとに、葉の根本から直径3〜5cmほどの花を咲かせます。
4枚の淡いピンク色の花びらが外側にそり返るように咲き、中心から大きな花やく(花粉をつくる部分)をもった雄しべと、長く伸びた雌しべが突き出るように顔を出します。
一つ一つの花は小さくてかわいらしいですが、無数に集まって咲き、満開に咲いた姿は上品で美しいです。
また、花からは微かに爽やかな甘い香りがただよいます。
ムラサキシキブの花言葉
ムラサキシキブの花言葉は、「上品」「聡明」「聡明な女性」「知性」「賢さ」「愛された上手」です。
ムラサキシキブの誕生花
ムラサキシキブの誕生花は、10月8日・10月6日・10月17日・10月18日・10月20日・10月21日・11月4日・11月5日・11月6日・11月9日・11月12日です。
ムラサキシキブの実と葉の特徴
初夏にはかわいらしい花を付けるムラサキシキブは、秋にはアメジストのような美しい実を付け、葉は黄色く紅葉します。
紫の実と黄色い葉のコントラストが美しく、1年で最も観賞を楽しめる時期といえるでしょう。
ここでは、ムラサキシキブの実と葉の特徴について紹介します。
ムラサキシキブの実
初夏に花を咲かせたあと、ムラサキシキブは9〜10月ごろにかけて、宝石のような光沢のある丸い紫色の実を付けます。
直径3cm程度の小さい実がドーム状に集まってまばらに付き、葉が落ちた11〜12月ごろまで枝に残っていることも。
日当たりなど環境が良いと、実はより鮮やかで濃く色付き、輝くような美しい姿を観賞できます。
枝いっぱいに実が付いた姿が美しく、切花や生花はもちろん、ドライフラワーにしても実の色味が残り、枝のしなやかさも相まってとてもきれいです!
実は毒性がありませんが、果肉が少なく食用にはなりません。
しかし、味はほのかに甘酸っぱいため、メジロやヒヨドリといった野鳥が食べます。
ムラサキシキブの葉
白みがかった灰色の枝から、ノコギリ状の縁(ふち)が付いた葉が対になって展開するムラサキシキブ。
先端がしゅっととがった葉は、直径6〜13cmほどの楕円形(だえんけい)で、春に芽吹き、夏に青く色づき、秋に黄色く紅葉したあと、冬に落葉します。
1本の細い枝に無数の鮮やかな緑の葉が連なって展開する姿は、繊細でかつ伸びやかで上品さを感じます。
ムラサキシキブの生長スピード・樹高・苗木の価格
ポットから地面に移植したムラサキシキブは、地面に根付くと生長スピードが早くなり、大きくなると樹高が3mほどになることもあります。
定期的な剪定をすれば、狭いスペースでも安心して育てられ、なおかつ狭い庭で楽しむこともできます。
毎年欠かさず軽く剪定するだけでも、樹高を2m以下におさえることも可能ですよ!
ムラサキシキブの苗木の価格は大きさや品種によって違いますが、直径10.5cmサイズほどで660円程度から販売されていることが多いようです。
ムラサキシキブの種まき|発芽後は実生苗として育てられる
秋にできたムラサキシキブの実には、小さな種が2〜3粒入っていて、3月か10月下旬〜11月上旬に種まきをすると発芽します。
実生苗として育てられ、鉢植えや庭木で楽しめます。
収穫した実は、秋にそのまま種まきをするか、冷蔵庫で保存しておいて春に種まきをするのでも大丈夫です。
種まきの手順
- ムラサキシキブの種は、指ではつまめないほどの極小サイズなので、ピンセットを使って果肉から取り出します。
- 種は乾燥に弱く、乾き切ってしまうと発芽しにくくなります。
また、果肉には発芽を抑制する成分が含まれているので、種の表面に残った果肉をしっかりと洗い取り、水に漬けておきましょう。 - 種まき用の土に種をまきます。
土を乾かずに定期的に水やりをすると、約3〜6ヶ月後に発芽し、シソ科特有のギザギザとした新葉が展開します。
種を複数まいた場合は、間引き作業を行なってくださいね!
ムラサキシキブとコムラサキの違い|見分け方は花や実の付く位置!
▲写真はコムラサキ
遠目に見ると花の形や色が似ていて、見た目では判断するのが少し難しく、しばしば混同されることが多い「ムラサキシキブ」と「コムラサキ」。
どちらも同じシソ科ムラサキシキブ属の樹木なので同じ仲間ですが、実際には下の表にまとめたように、樹形・樹高や開花期間、花の色、花・実の付く位置、実の付き方、葉の縁の特徴がわずかに違います。
ムラサキシキブ | コムラサキ | |
樹形 | 枝が直立して伸びる | 枝が枝垂れる |
開花期間 | 6〜7月上旬 | 6〜8月 |
花の色 | 淡いピンク | 濃いピンク |
花と実の付く位置 | 葉とほぼ同じ位置から出る | 葉から離れた位置から出る |
実の付き方 | まばらに付く | 細かく密集するように付く |
葉の縁 | ノコギリ状の縁が葉全体に付く | ノコギリ状の縁が先端半分のみに付く |
ムラサキシキブの種類|コムラサキやヤブムラサキなどの品種や似た花
日本全国に生息しているムラサキシキブですが、近縁種であるコムラサキやヤブムラサキなどの近縁種は、比較的温帯気候の地域に生息し、中には絶滅危惧種に指定されているものもあります。
ここでは、ムラサキシキブの種類について、「近縁種」と「園芸品種」の2つに分けて紹介します。
ムラサキシキブの近縁種
- コムラサキ(Callicarpa dichotoma)
- ヤブムラサキ(Callicarpa mollis)
- オオムラサキシキブ(Callicarpa japonica var. luxurians)
- シマムラサキ(Callicarpa glabra)
- オオバシマムラサキ(Callicarpa subpubescens)
- ウラジロコムラサキ(Callicarpa parvifolia)
- シロシキブ(Callicarpa japonica f. albibacca)
ムラサキシキブの園芸品種
- フイリムラサキシキブ(Callicarpa japonica ‘Variegata’)
- シジムラサキ(Callicarpa japonica ‘Shijimurasaki’)
園芸品種には、このほかにもピンクや黒紫色の実が付く品種もあるので、より個性豊かな庭づくりができるかもしれませんね!
ムラサキシキブの近縁種
ムラサキシキブの近縁種は、それぞれ花や実がよく似ていています。
しかし、生息している環境の違いから、全体的な大きさや特性が違うようです。
コムラサキ(Callicarpa dichotoma)
ムラサキシキブと非常によく似たコムラサキは、かつては岩手県から沖縄県にまで自生していましたが、現在では数を減らし絶滅危惧種に指定されています。
また、流通するものは、自生種であるムラサキシキブから誕生した園芸品種ともいわれることも。
ムラサキシキブとは違い、枝が枝垂れるように伸びて下草に向き、花や実の付きも良いため、庭木としても定番の樹木です。
ヤブムラサキ(Callicarpa mollis)
四国・九州、および朝鮮半島に自生するヤブムラサキは、ムラサキシキブと同様に大きくなると3mほどになる樹木です。
花や実の付きが少なく、枝の先端部に付くことが多いです。
葉がムラサキシキブよりも大きく、実の付け根に産毛が生えています。
オオムラサキシキブ(Callicarpa japonica var. luxurians)
ムラサキシキブよりも大型に変化したものをオオムラサキシキブと呼び、変種として扱われます。
花・実・葉が大きく、観賞価値が高いです。秋になる紫の実はボール状に集まり、ブドウのような姿にも見えます。
西日本を中心に自生していますが、岩手県では準絶滅危惧種に指定されています。
シマムラサキ(Callicarpa glabra)
小笠原諸島に自生するシマムラサキは、雄花と雌花が同じ木に付く雌雄同種(しゆうどうしゅ)のムラサキシキブとは違い、雄花と雌花が別々の木に付く雌雄異株(しゆういしゅ)の樹木。
また、冬でも葉を一斉に落とさない常緑性という大きな特徴があります。
葉の付け根付近から花芽を立ち上がるように長く伸ばし、先端に密集するように花や実が付きます。
ムラサキシキブよりもしゅっとした細身の葉は、ノコギリ状の縁がなく厚みがあります。
オオバシマムラサキ(Callicarpa subpubescens)
シマムラサキよりも大きな葉を展開するオオバシマムラサキ。
ムラサキシキブよりも大型で、大きくなると樹高は4mを超えることもあります。
ウラジロコムラサキ(Callicarpa parvifolia)
小笠原諸島の父島と兄島の乾燥した岩池に自生するウラジロコムラサキ。
シマムラサキに特に近い品種ですが、丸みのある楕円形の葉に厚みがあり、両面に産毛が生えています。
シロシキブ(Callicarpa japonica f. albibacca)
ムラサキシキブとは異なり、白い花や実が付くシロシキブ。
日本・朝鮮半島・中国に自生し、コムラサキのようにたくさんの実が付きます。
ムラサキシキブの園芸品種
ムラサキシキブから誕生した園芸品種は、葉や実の色が違い、自然では見られないようなモダンな庭づくりができます。
フイリムラサキシキブ(Callicarpa japonica ‘Variegata’)
葉の縁に白い斑が大きく入るフイリムラサキシキブ。
花や実が付かな時期でもカラーリーフとして楽しめ、ポップで明るい庭を演出できます。
秋には、シロシキブと同じように白い実が付きます。
シジムラサキ(Callicarpa japonica ‘Shijimurasaki’)
シジムラサキは、緑の葉に白い斑がまだらに入り、粉雪が散ったような模様になる上品なムラサキシキブです。
葉の茎(葉柄)が赤くて、美しいコントラストが楽しめます。
秋には、たくさんの紫の実を観賞できるので、色味が欲しいときに植えるのもいいかもしれませんね。
ムラサキシキブの3つの魅力
ここでは、ムラサキシキブの魅力について以下の3つを紹介します。
- 花・実・紅葉など季節に色や姿の変化を観賞できる
- 高木の下草や低木・草花の寄せ植えとして使える
- 寒さに強くて冬でも枯れにくい
ムラサキシキブの実は、冬芽や新芽を出すときにも枝に長く付いていることがあり、冬の間でも紫色の株を楽しめる魅力もあります。
ムラサキシキブの魅力1|花・実・紅葉など季節に色や姿の変化を観賞できる
春に芽吹き、夏にピンクの花と青々しい新緑、秋に紫の実と黄色い紅葉など、季節によって色や姿の変化を楽しめるムラサキシキブ。
品種を選べば、白・ピンク・黒紫の実が付くものや、葉に白い斑が入るものもあり、カラーリーフとして庭を鮮やかで美しく彩ることができます。
違う品種を複数植えて、印象的で風情ある庭づくりができるかもしれませんね。
ムラサキシキブの魅力2|高木の下草や低木・草花の寄せ植えとして使える
低木であるムラサキシキブは、毎年伸び過ぎた枝葉を欠かさずに剪定することで樹高を低くでき、コンパクトに仕立てられます。高木になるシンボルツリーや庭木の下草に。
さらには、背丈が異なる低木や草花と寄せ植えすると、上品で華やかなを演出できます。
和風・和モダンや洋風の庭など、さまざまなテイストにあわせて庭づくりをしてみてください。
ただし、ムラサキシキブは紅葉をしたあとに葉を落としてしまうので、1年中葉が付いた常緑樹や多年草、秋・冬に花や実をつける庭木や草花を株周りに植えておくのもおすすめです。
ムラサキシキブとの寄せ植えにおすすめの高木・低木・草花
ムラサキシキブと相性の良い高木
ツバキ、常緑ヤマボウシ、シマトネリコ、など
ムラサキシキブと相性の良い低木
ハツユキカズラ、アベリア、ナンテン、オタフクナンテンなど
ムラサキシキブと相性の良い草花
ヤブラン、ヒメツルソバ、マツバギク、など
ムラサキシキブの魅力3|寒さに強くて冬でも枯れにくい
庭木の中でも比較的寒さに耐性があるムラサキシキブ。
北海道まで広く分布していることから、氷点下26.1〜23.3℃程度(USDA zone 5b)までなら耐えることができます。
日本なら防寒対策をしないで管理することができ、手間があまりかかりません。
ただし、冬の冷たい北風や乾燥は苦手なので、風が強く当たらない建物や高木のそばに植えておくといいです。
USDA zone とは
United States Department of Agriculture Plant Hardiness Zone(米国農務省 植物の耐寒性地帯)の略で、米国農務省が開発した植物の耐寒性レベルを、地域ごとにわかりやすく数字で示した指標です。
寒さの段階を13のレベルに分け、植物がどこまで寒さに耐えられるのかを、数値とマップで明瞭化しています。
アメリカやカナダをはじめ、イギリスなどのヨーロッパも含め、世界で統一された数値です。
庭づくりやガーデニングなどをするうえで、植物がどの地域で、どれくらいの寒さまで耐えられるのかを確認するために使います。
日本では気象庁の観測データを元に、都道府県市町村ごとに細かくレベル分けされています。
USDA zoneを調べるときは、「植物の学名+USDA zone」で調べるといいです。
※指標は、植物を屋外で育てたときの目安。
参考:Japan Plant Hardiness Zone
ムラサキシキブの育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
ムラサキシキブは水持ちの良い土で育てる
里山の水辺付近に自生するムラサキシキブは、乾燥した場所が苦手です。
土中の湿度が保て、根元が乾燥しないように有機質がたっぷりと入った腐葉土を使って育てましょう。
ただし、粘土質のように固まって、水はけが悪くなってしまう土では根腐れが起こりやすく、枯れてしまうこともあります。
ムラサキシキブを植え付ける前に、腐葉土・赤玉土を掘り起こした土に混ぜて、排水性・保水性を良くしておきましょう。
土が乾きやすい場合は、黒土やピートモスを混ぜておくのもおすすめです。
ムラサキシキブの適切な植え付け・植え替え時期
冬に休眠期を迎えるムラサキシキブは、2〜4月下旬ごろに植え付けや植え替えをします。
暖かくなるころに植え付けることで、作業後も生長が良好でしっかりと地面に根付きやすいです。
ムラサキシキブは直径1.5〜3mほどのスペースを確保してから
ムラサキシキブは、生長するにつれ枝葉も長く伸び、四方八方へと広がりやすいです。
枝葉がほかの植物や周辺の建造物に傷つかないように、直径1.5〜3m程度の広めのスペースを確保して植え付けましょう。
ムラサキシキブの苗木が小さくても、植え付ける場所はある程度の広さを確保しておくことがポイントです。
また、定期的に剪定をすれば、よりコンパクトな樹形に仕立てられるので、3m以下のスペースでも大丈夫ですよ。
ムラサキシキブの苗木の植え方
細かい根が横へ広がるように伸びるムラサキシキブは、あらかじめ雑草やゴミを取り除いてから植え穴を掘り、用土を浅く入れて植え付けます。
根鉢の表面が3cm程度出る深さを、根鉢の周りに片足が入るぐらいの植え穴を掘り、足で踏み固めながら用土を入れましょう。
ムラサキシキブの鉢植えの植替え
ムラサキシキブを鉢植えで育てている場合は、地面に植え付けられたものよりも生長スピードがゆっくりですが、2年に1回ほどのペースで植え替えをしましょう。
ただし、長く放置していると土の栄養バランスが崩れたり、根詰まりを起こしたりして枯れてしまうことも。
細かい根が絡みやすいので、2回りほど大きめの鉢を用意して、根が広く回りやすくするといいです。
また、水が土に浸透しにくくなったときや、鉢底から根が出ているときにも植え替えをします。
肥料
ムラサキシキブは、肥料を与えることで花や実の付きが良くなり、色鮮やかな姿を楽しめます。
落葉した12〜2月上旬に寒肥として、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスの取れた緩行性化成肥料を与えましょう。
また、花が咲いたあとの6〜7月の間は、追肥としてリン酸の多い花木・庭木用の油かす・有機肥料を与えると、大きな実を観賞できます。
剪定
生長スピードが早く、樹形が乱れやすいムラサキシキブは、1年に1回のペースで剪定します。
基本的に伸び過ぎた枝葉や、地面から伸びる幹(ひこばえ)などを間引く程度で剪定をします。
背丈が高くなり過ぎたときや、枝葉が混み合ったりしたときにも剪定するといいですが、切り過ぎると枝がたくさん出て樹形が暴れることもあるので、切り過ぎや強剪定は避けましょう!
ムラサキシキブの適切な剪定時期|2〜3月上旬・5月・7月
ムラサキシキブの剪定は、暖かくなる2〜3月上旬、花芽ができはじめる5月、花が咲き終わった7月に行います。
休眠期に入っている2〜3月上旬は、比較的多めに枝葉を切ることができ、樹形をコンパクトにしたいときなどに行うといいです。
5月と7月は生長期間中で枝葉が良く伸び、花芽や未熟な実を確認しながら剪定ができます。
ムラサキシキブの剪定の手順
ムラサキシキブは地面から「ひこばえ」といわれる幹が伸びやすいです。
放置していると、株がどんどん横に広がりやすいので、株を新しく更新しない場合は切り落としましょう。
Step1. ムラサキシキブのひこばえや胴ふき枝を剪定する
まずは、ムラサキシキブの幹(主幹)となる株周りから生えるひこばえを、根元から切り落とします。
また、幹の数がすでに多い場合は、地面に近いところから生える胴吹き枝も付け根から切り落としましょう。
Step2. 紫の実ができたあと枝を剪定する
ムラサキシキブは、一度実が付いた古い枝には花は咲きません。
古くなった枝は、枝分かれしたところまで切り戻し、短く整えます。
ただし、枝葉を多めに切ってしまうとムラサキシキブの美しい自然なたたずまいが楽しめなくなることもあるので、株の内側の混み合った箇所や外側の伸び過ぎた箇所だけを切りましょう。
また、切るときは枝葉の外側に出た外芽を残しながら、内側に伸びる内芽を残すように剪定するのがポイントです!
Step3. 混み合った不要な枝を剪定する
最後に、混み合った不要な枝を中心に剪定します。
太い枝から強く伸びる枝葉は花芽が付きにくいので、枝分かれした箇所まで切り詰めましょう。
また、下記の不要な枝は生えている付け根から全て取り除き、株の内側の日当たりと風通しを良くします。
- 徒長枝:株から強く飛び出すように、太く長く伸びる枝
- 立ち枝:横に伸びている太い枝に対して、直立したように上に強く伸びる枝
- 内向枝:株の内側に向かって伸びる枝
- 交差枝:枝同士が十字に交差する枝
- 絡み枝:太い枝に絡みつくように伸びる枝
- 平行枝:近い位置で平行に同じ方向へ伸びる枝
- 逆さ枝:地面に向かって伸びる枝
病害虫
生命力の強いムラサキシキブは病害虫の被害にあいにくく、薬の散布があまり必要としません。
ただし、枝葉が良く伸びて混み合いやすく、株の内側の日当たりと風通しが悪くなりやすいです。
菌によるうどんこ病や、ハダニやカイガラムシといった害虫の被害にあう場合もあるので、定期的な剪定ができないときは、梅雨の時期に入る前や夏前の薬剤の散布しておくのもおすすめです。
ムラサキシキブにみられる病気
・うどんこ病
4月上旬~7月上旬か9月中旬~10月上旬に、ムラサキシキブの葉の表裏に白い粉が吹いたような菌糸がびっしりと広がり、光合成を阻害します。
比較的若葉や花などのやわらかい箇所にも発生しやすく、症状が悪化すると葉や花が奇形になる場合も。
昼夜の温度差が大きい時期は、空気感染によって被害が拡大する場合もあるので、日頃から風通しを良くし、予防として薬剤を散布しておきましょう。
ムラサキシキブに現れる害虫
・ハダニ
1年を通して、ムラサキシキブの葉の表裏に発生しやすいです。
風通しがなく、乾燥した枝葉に現れ、放置をするとコロニーを形成し大量に繁殖する場合も。
葉の養分を吸汁するため、落葉の原因になります。
定期的な剪定をして予防をしますが、大量に発生した場合は薬剤で対処するといいです。
・カイガラムシ
1年を通して、ムラサキシキブの枝や幹に発生しやすく、養分を吸汁します。
成虫になると甲羅が硬質化し、薬が効きにくくなります。
できるだけ薬の効く幼虫のうちから、薬剤散布を行うといいです。
成虫は歯ブラシや軍手を使って擦るようにして補殺します。
日当たり
湿った場所が大好きなムラサキシキブは、土を乾かし過ぎない程度に水やりをしましょう。
基本的には自然に降る雨だけの水分でも育ちますが、夏場は土が乾燥することも多いので、定期的に水やりをするといいです。
また、ムラサキシキブの苗木を植え付けた直後や、地面しっかりと根付くまでの1年間は、水をたっぷりと与えて水切れに注意します。
ただし、高温多湿な環境には弱いので、夏場の水やりは朝の涼しい時間帯に行うか、日が沈んで気温が緩やかになる夕方に行いましょう。
水やり
湿った場所が大好きなムラサキシキブは、土を乾かし過ぎない程度に水やりをしましょう。
基本的には自然に降る雨だけの水分でも育ちますが、夏場は土が乾燥することも多いので、定期的に水やりをするといいです。
また、ムラサキシキブの苗木を植え付けた直後や、地面しっかりと根付くまでの1年間は、水をたっぷりと与えて水切れに注意します。
ただし、高温多湿な環境には弱いので、夏場の水やりは朝の涼しい時間帯に行うか、日が沈んで気温が緩やかになる夕方に行いましょう。
リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。