パボニアの育て方・特徴

パボニアの育て方と特徴

夏にフヨウやハイビスカスに似た花を咲かせるパボニアは、鉢植えで観葉植物として育てられ、初心者でも管理がしやすい植物です。今回は、パボニアの花・葉の特徴や花言葉、室内・屋外での育て方のコツ、苗木の適切な植え付け方、適切な剪定時期と方法などを紹介!



基本データ

分類
観葉植物
学名
Pavonia/Pavonia、Swampmallows、Brazilian Candles、Many Flowers、Red Pavonia
科・属名
アオイ科・パボニア(ヤノネボンテンカ)属
別名
パボニア・インターメディア、ヤノネボンテンカ
草丈・樹高
50〜150m
栽培可能地域
沖縄(鉢植えであれば全国)
花色
赤(苞)紫(花)
開花期
7〜10月
結実期
耐暑性 / 耐寒性
普通/弱い

パボニアの花・葉の特徴と花言葉

地面から真っ直ぐと伸びた細い幹の先に、赤いロウソクのような花が咲くパボニア。真っ赤な花と、アボカドに似た黄緑の葉が相まった姿が美しく、トロピカルな雰囲気があります。開花期間が長い熱帯の植物なので、鉢植えで観葉植物として育てるが一般的です。一度花が咲けば毎年咲き、暗い場所でもよく育つので初心者でも育てやすい低木の植物です。

アオイ科のパボニアは、オクラやハイビスカスに似た花を咲かせるものもあります。花や樹形の違いなど、たくさんの種類がある植物ですが、その中でもインターメディアのパボニア・ケルメシアナが代表的です。この記事では、パボニア・ケルメシアナを元に紹介します。

パボニアとは

パボニア
パボニアは、冬でも葉を一斉に落とさない常緑性低木・多年草。アオイ科・パボニア(ヤノネボンテンカ)属に分類する樹木で、中央アメリカから南アメリカにかけて約150種類が分布します。品種によっては、茎が木質化せず多年草とし生長するものもあり、花の種類が豊富です。特に原産地のブラジルでは、パボニア・インターメディアという種類があり、観葉植物として栽培されることが多いです。

高温多湿な環境好みますが、ある程度の寒さには耐える性質があります。氷点下1℃(USDA zone 10a)くらいまでなら株が枯れることが少ないですが、冬の間は生長の流れがにぶくならないように暖かい場所で育てましょう。

パボニアの花と花言葉

パボニア
7〜10月ごろにかけて、赤いチューリップに似た花が幹の先端に3〜6輪ほどで咲くパボニア・ケルメシアナ。花に見える部分は苞(ほう)と呼ばれる葉の一部で、蕾(つぼみ)ができたころは淡いビンク色ですが、大きくなるにつれ濃い赤い色に変色します。花は中心からハイビスカスように長く伸びた紫の部分で、完全に開かず長さ3cmほどの筒状です。

パボニアの花言葉

パボニア
パボニアの花言葉は、「慎重」「安堵」です。

パボニアの葉の特徴

パボニアの葉

パボニアの葉

空へ真っ直ぐと立ち上がった幹から、葉が互い違いに展開するパボニア・ケルメシアナ。先端がしゅっと尖った細長い葉は、葉脈がはっきりと浮かび上がり、アボカドの葉とよく似た特徴があります。常緑性なので、1年を通して観賞できます。

パボニアの生長スピード・樹高・寿命・苗木の価格

パボニア
鉢植えで育てるパボニア・ケルメシアナは、生長スピードがゆっくりで、大きくなっても1.5mほどです。きちんと手入れされた健全な株であれば、パボニア・ケルメシアナの寿命は何十年もあるといわれています。定期的な剪定をすれば、1m程度で仕立てることもでき、花付きも良くなります。価格は苗の大きさによって違いますが、5号鉢ほどのサイズで1,800円程度から販売されていることが多いようです。

室内・屋内でのバボニア・ケルメシアナの最適な置き場と育て方のコツ

バボニア・ケルメシアナの鉢植えを玄関やリビングなどの室内、またはベランダなどの屋外で育てるポイントや最適な置き場所をまとめました!

リビング|バボニア・ケルメシアナの鉢植えは、南側の日当たりの良い窓際で育てる

リビング
花を毎年咲かせるバボニア・ケルメシアナは、南側に面した日当たりの良い窓際で育てるのがベスト。ただし、強い西日に当たってしまうと乾燥し過ぎて、水切れを起こしてしまう場合もあるので、午後はレースカーテンやブランドなどで遮光しましょう。

Point1. 風通しを良くする

部屋のドアや窓を閉め切った状態の場所に、バボニア・ケルメシアナの鉢植えを置いたままにすると、土の湿気でウイルスやカビなどによる病気やハダニなどの害虫が発生しやすくなります。空気が流れるように、定期的にドアや窓をあけましょう。

Point2. 冷暖房の風が直接当たる場所は避ける

エアコンの風がバボニア・ケルメシアナの鉢植えに直接当たると、葉から水分がどんどん抜けてしまい、水切れによって枯れる場合もあります。できるだけ、冷暖房の風の影響がない場所や、間接的に風が当たるような場所に置くようにしましょう。

玄関|バボニア・ケルメシアナの鉢植えは、できるだけ明るい窓際に置く

緑が飾られた室内
日陰に強いバボニア・ケルメシアナですが、美しい葉の色味を保つために、鉢植えはできるだけ明るい窓際か少しでも光が当たる場所で管理しましょう。光が差し込みにくいような場所では枝葉が間延びしやすく、ひょろひょろした樹形になる場合もあります。

Point1. 水やりは、土が乾燥してから

太陽の光が窓から差し込みにくい暗い玄関に、バボニア・ケルメシアナの鉢植えを置く場合は、鉢の中が乾燥して土がサラサラな状態になったら水をたっぷりと与えましょう。土がいつまでも湿っていると、土の表面にカビが生えたり、根腐れしたりする場合もあります。

Point2. 週に1〜2回は日当たりの良い場所に鉢植えを移動

日当たりの悪い玄関にバボニア・ケルメシアナの鉢植えを置く場合、週に1〜2回程度は太陽の光が差し込むような日当たりの良い場所に鉢を移動させましょう。ただし、日陰から直射日光が当たる場所に急に移動させると葉焼けしやすいので、すだれや寒冷沙などで遮光するのがコツです。

ベランダ|バボニア・ケルメシアナの鉢植えは、半日陰になる場所で管理する

植物が置かれたベランダ
バボニア・ケルメシアナの鉢植えをベランダで育てる場合は、日当たりの良い半日陰になる場所に置きましょう。ただし猛暑日は、葉焼けや鉢の中の土が熱くなってしまうことも。ベランダの柵の陰になる場所に置いたり、すだれなどで遮光するといいですよ。

Point1. 西日や室外機の風による乾燥で枯れることも

バボニア・ケルメシアナに限らず植物は、午後に光合成の活動が鈍くなり、光を吸収する量を調節します。西日になるころまで光に当たってしまうと、葉焼けを起こしたり、鉢の中の根がやけどを起こしたりして枯れてしまう場合もあります。また、室外機の風が直接当たるような場所も乾燥しやすく、株が弱って害虫が付きやすくなるので避けましょう。

Point2. 冬場は暖かい室内に鉢植えを移動させて冬越し

熱帯の地域に自生するバボニア・ケルメシアナは、氷点下1℃を下回ってしまうと株が枯れてしまうこともあります。10〜11月を過ぎて気温が下がってきたら、バボニア・ケルメシアナの鉢植えを暖かい室内に入れて冬越しさせましょう。

パボニアの育て方・管理方法

植え付け・植え替え

植物の植え替えをする人
基本的には難しい管理がないパボニア・ケルメシアナですが、過湿になると根が腐りやすいので、水はけの良い土で育てるようにしましょう。

パボニア・ケルメシアナの植え付け方


●パボニア・ケルメシアナの苗木は、40〜60cm程度のものを選ぼう
鉢植えで育てるパボニア・ケルメシアナの苗木は、初心者の方は40〜60cmほどのものが丈夫で初心者でも育てやすいですよ!苗木の高さが小さ過ぎると植え替えの頻度が多くなり、逆に大き過ぎると大きい植木鉢を準備したり、管理に手間がかかったりすることもあります。

●深さ15〜20cm程度の植木鉢に用土を入れて、パボニア・ケルメシアナを植え付ける
底に穴があいた深さ15〜20cm程度の植木鉢に用土を入れて、パボニア・ケルメシアナを植え付けます。用土の混合率は、腐葉土:赤玉土:ココナヤシファイバーが6:2:2になるようにして、ダマにならないよう、しっかりと混ぜ合わせましょう。鉢底石は、土の水はけが良ければなくても大丈夫です。できるだけ根が鉢底まで回る広いスペースを、植木鉢内につくってあげることがポイントです!

●元肥を鉢底に入れておく
鉢植えで育てるパボニア・ケルメシアナへの肥料は、土を薄く敷いた鉢やポットの底に、あらかじめ元肥用の緩効性化成肥料を入れておきます。植え替え後も、数ヶ月経てば生長の勢いがある元気な株になります!

パボニア・ケルメシアナの植え替え方


パボニア
●パボニア・ケルメシアナの鉢植えに最適な植木鉢のサイズ
パボニア・ケルメシアナは土の中に根を浅く張る樹木です。鉢植えにする場合は、パボニア・ケルメシアナの樹高が70〜100cm程度なら、高さ20〜25cm程度の深めの鉢を選びましょう。鉢が浅かったり小さかったりすると、根詰まりを起こして生長不良や枯れる原因にもなります。

●パボニア・ケルメシアナの鉢植えに適した用土
パボニア・ケルメシアナは、有機質がたっぷり入った、排水性・通気性・保水性が良い土で元気に育ちます。鉢植えで育てる場合は、完熟腐葉土・バーク堆肥、小粒タイプの赤玉土、ココヤシファイバーをあわせるのがおすすめです。初心者で用土を作るのが難しい場合などは、市販で売っている草花用の培養土でも問題ありません。

●鉢植えにしたシマトネリコの植え替えの適期|1〜2年に1回のペースで、11〜4月上旬ごろ
パボニア・ケルメシアナは1〜2年に1回のペースか、鉢底や土の表面から根が出ているときや、根がパンパンに伸びて土の表面が硬くなったときに一回り大きい植木鉢に植え替えします。また、鉢植えの植え替え時期は、生長の勢いがある4〜7月上旬ごろがベスト!ただし、35℃を超えるような猛暑日に植え替えをしてしまうと、株が弱ってしまうので避けるようにしてくださいね。

●パボニア・ケルメシアナの鉢植えを植え替える方法と手順
Step1. パボニア・ケルメシアナを鉢植えから出す
鉢の中に根がたくさん詰まったパボニア・ケルメシアナは、手で簡単に鉢から抜けます。もし根鉢が抜けない場合は無理に引っ張らず、鉢と根鉢の間をほぐしてから慎重に抜くようにして、できるだけ根鉢を崩さず、やさしく扱いましょう。根鉢を無理に引っ張ってしまうと、パボニア・ケルメシアナの樹皮がはがれてしまい、水やりのときの水分によって幹が壊死(えし)して、株が枯れ込む場合もあります。

Step2. 根を切り戻す
ハンドシャベルやはさみを使って、パボニア・ケルメシアナの伸び過ぎた根を前年と同じくらいのサイズまで小さく切り戻します。根から吸い上げた水分量と、蒸散によって葉から出る水分量が同じぐらいの量になるように、枝葉の数も減るように切り戻し剪定をするといいです。

Step3. パボニア・ケルメシアナを新しい鉢に植え替える
一回り大きい鉢の底にパボニア・ケルメシアナの根鉢を置き、高さを調節しながら用土を薄く敷いて元肥を入れます。再度、根鉢の高さを調整しながら用土を足し入れましょう。用土が全て入れられたら水をたっぷりと与え、指先や手のひらを使って土の表面を軽く押します。株が倒れないように、周りの土を寄せるようにしてパボニア・ケルメシアナを固定させましょう。

肥料

パボニア
夏に真っ赤な花が咲くパボニア・ケルメシアナには、生長期の春〜秋にリン酸(P)・カリウム(K)の量が多い肥料を与えましょう。2ヶ月に1回程度のペースで与えるといいです。

剪定

植物の剪定をする人
地面から細い幹が次々と生えて、株が大きくなるパボニア・ケルメシアナ。枝葉を剪定せずに放置すると株の内側が混み合い、光や風通しが悪くなって、葉が黄色く変色したり枯れたりする場合もあります。鉢植えで育てるパボニア・ケルメシアナは2年に1回のペースで剪定をし、室内や屋外に置きやすいコンパクトでスタイリッシュな樹形に整えましょう!

パボニア・ケルメシアナの適切な剪定時期|4月か10月


鉢植えのパボニア・ケルメシアナの剪定に向いている時期は、生長に勢いが付き始める4月か、生長が緩やかになる10月です。真夏は切り口から水分が抜けやすく、枝葉が枯れてしまうことも。また、6月以降の梅雨の時期は、湿気によって病気が発生しやすいので、できるだけ避けてくださいね!

パボニア・ケルメシアナの剪定方法


・花が咲き終わった幹を剪定する
花が一度咲き終わった幹は根元から切り落とすか、葉が付いた節目の途中で切り詰めましょう。切り詰めるときは、節目の数ミリ上で着ることがポイントです。中途半端な箇所で切ってしまうと、枝葉が無数に伸びてしまい、株の内側が混み合いやすくなります。

病害虫

病害虫の被害を受けた葉
観葉植物として室内で育てるパボニア・ケルメシアナは、病害虫の被害が少ないです。ただし、日当たりや風通しが悪い場所で育てていると、ハダニ・カイガラムシといった害虫の被害にあう場合も。窓や扉を開けて風の流れができるように管理することが大事です!

病気


特になし

害虫


・ハダニ:1年を通して、葉の表裏に発生しやすいです。風通しがなく、乾燥した枝葉に現れ、放置をするとコロニーを形成し大量に繁殖する場合も。葉の養分を吸汁するため、落葉の原因になります。定期的な剪定をしますが、大量に発生した場合は薬剤で対処するといいです。

・カイガラムシ:1年を通して、枝や幹に発生しやすく、養分を吸汁します。成虫になると甲羅が硬質化し、薬が効きにくくなります。できるだけ薬の効く幼虫のうちから、薬剤散布を行うといいです。成虫は歯ブラシや軍手を使って擦るようにして補殺します。

日当たり

パボニア
パボニア・ケルメシアは、日当たりと風通しが良い場所で育てると元気に生長します。日当たりが悪い場所だと、葉の色味が落ちたり、枝葉が徒長したりする場合も。1年を通して、日光がよく当たるような暖かい場所に植え付けましょう。

水やり

観葉植物の水やりをする人
観葉植物を初めて育てる初心者の方は、土の状態を必ず確認してから水やりをすることがコツです!

パボニアケルメシアナの水やり|確認の仕方


①湿り気具合を確認
パボニア・ケルメシアナに水やりをするときは、まずは土の色が薄い茶色か濃い茶色かどうかチェックしましょう。土の表面の水分が乾いていると薄い茶色で、湿っていると濃い茶色です。水やりに少し不安がある方は、土の中の湿り気具合を指で確認し、湿り気具合を確認するといいです。土に指を第二関節ほどまで挿して湿っているか、または、土が指に付かないかを確認しみましょう。

②鉢の重さを確認
土の見た目だけで水やりの判断がしにくい場合は、パボニア・ケルメシアナの鉢の重さで確認します。あらかじめ、水やりをしたパボニア・ケルメシアナの鉢を持って重さを体で覚えておき、乾いた鉢の重さとの差で判断します。水分を多く含んだ土が入った鉢と乾いた土がは入った鉢では重さがかなり違い、ずっしりと重くなっているのがわかります。パボニア・ケルメシアナの鉢が軽くなったら土が乾いているサインなので水やりをしましょう。少し難しく感じますが、何回か繰り返していくうちに慣れ、簡単にわかるようになりますよ!

パボニア・ケルメシアナの水やり|与える時間帯


パボニア・ケルメシアナの水やりは、基本的に気温が高くなる前の午前中のうちに済まし、午後はできるだけ与えないようにするのがベスト。一般的に植物は葉・根・茎・幹などに水を蓄えて、日中の暑さでも水切れを起こさないようにしています。気温が比較的緩やかな春と秋は、12時ごろまでに、気温が高い夏は午前9時を過ぎるまでに、気温が低い冬は、午前11時を過ぎたころに水やりを1回行うだけで十分です。ただし、西日によって暑くなってしまった鉢を冷ますときや、土が乾燥したときに、午後にもう一度水やりをします。

パボニア・ケルメシアナの水やり|与え方


パボニア・ケルメシアナの水やりは、乾かした土にたっぷりと与えることがポイント!ちょろちょろと少量の水を与えるだけでは、土の奥まで水が浸透しにくく、十分に水分を吸収できず、環境によっては枯れてしまうこともあります。また、鉢底穴から水がこぼれ出るぐらいたっぷり与えることで、土の中にたまっていた二酸化炭素を押し出し、新鮮な酸素を入れ換えることができます。パボニア・ケルメシアナの根もゆっくりと呼吸をしているので、新しい空気が循環するように水やりをすると、根腐れ防止にもなりますよ。



氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 柴﨑光一

リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。

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