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サツキの育て方・特徴

サツキの育て方と特徴

初夏にラッパのような朱色の花をたくさん咲かせるサツキ。
紫や赤、ピンクなど花の色のバリエーションが豊富で、さまざまなテイストの庭にあいます。
サツキの花・実・葉の特徴や花言葉、育て方、適切な剪定時期と方法、植え方、ツツジとの違いなどたっぷりと紹介!

基本データ

分類
庭木-常緑
学名
Rhododendron indicum/Rhododendron
科・属名
ツツジ科・ツツジ属
別名
サツキツツジ、エイサンコウ
草丈・樹高
0.5〜1.5m
赤いサツキの花
栽培可能地域
全国
花色
朱色、赤、ピンク、紫、白、複色
開花期
5月下旬〜6月上旬
結実期
7〜8月
耐暑性 / 耐寒性
強い/強い

サツキの花・実・葉の特徴と花言葉

日本の本州から九州までと広い範囲に分布するサツキは、冬に葉が一斉に落ちない常緑性の木。
石や岩がゴツゴツとした場所や、水が被るような川沿いなどに自生しているため、生命力が強く、剪定や刈り込み、移植をしても枯れる心配があまりありません。
気候風土もあうため初心者でも育てやすく、初夏の庭を美しく彩る庭木として人気です。

サツキの花と花言葉

サツキの花
サツキは、5月下旬〜6月下旬ごろにかけて、枝先に直径4〜6cmほどのサイズのラッパのような形をした朱色の花が咲きます。
花の中央からは、雌しべが長く伸び、その周りに雄しべ5〜10本程度上に反るように伸びます。
園芸品種の中でも人気な紫色のサツキは、庭の生垣や高木の足元の下草として植えられることが多いです。

・サツキの花言葉
日に当たる満開のサツキ
サツキの花言葉は「幸福」「強力」「貞淑」です。

サツキの葉と実の特徴

開花したサツキと蕾
・サツキの実
サツキの葉と実
開花時期を過ぎた7〜8月ごろになると、サツキは産毛の生えた円錐型(えんすい)の緑色の果実を付けます。
果実は次第に茶色くなり、時期を迎えると口を開くかのように割れ、中のタネがむき出しになります。

・サツキの葉
サツキの葉
一本の細い枝から、無数の楕円形(だえんけい)の小さな葉が折り重なるように展開するサツキの木。
厚みのある濃緑の葉は常緑性のため、冬でも落とさずに展開していますが、強い寒さに当たると落葉することもあります。
また、陽の光がよく当たるような暖かい場所で育てていると、秋に真っ赤に染まったサツキの紅葉を楽しむこともできますよ。

サツキの生長スピード・樹高・苗木の価格

一斉に咲くサツキ
ほかの庭木と比べると生長スピードがゆっくりなサツキは、大きくなっても樹高が1〜1.5mほどにしかならない低木です。
苗木の価格は、大きさや品種によって違いますが、樹高40cmほどで、650円程度から販売しているところが多いようです。

サツキの種類|ツツジやシャクナゲとの違い

日本では「サツキ」と「ツツジ」、さらには「シャクナゲ」などで呼び分けていますが、筆者がいるカナダなどの英語圏の国では、全て「Rhododendron(ロドデンドゥロン)」と呼ばれています。正式には「サツキツツジ」と呼ばれ、学術的にはサツキはツツジの一種とされているようです。

サツキ・ツツジ・シャクナゲの違い

サツキの花と葉
・サツキ
ピンク色のサツキの花
初夏に直径4cmほどの花が咲くサツキは、開花時期を迎えるとパラパラとまばらに咲くのが特徴。
楕円形の葉はツツジよりも堅くて小さいです。

・ツツジ
ツツジ
ツツジは4月中旬〜5月中旬になると、一斉に花が咲きます。
光沢のある葉の先端は、サツキよりもとがり、直径5cmほどと大きいのが特徴です。

・シャクナゲ
シャクナゲ
サツキやツツジとは違い、樹高が1.5〜5mほどの小高木になるシャクナゲ。
花は1つの蕾(つぼみ)から5〜10輪の葉が咲き、豪華な姿になるのが特徴です。
光沢のある葉は、革質で分厚く直径15〜20cmほどと大きいです。
サツキやツツジとは見た目が全く違い、学術的な分類も異なります。

サツキの育て方・管理方法

植え付け・植え替え

満開のサツキ

有機質がたっぷりと入った水はけの良い土に


土を持つ人の手
初夏に花をたくさん咲かせるサツキは、有機質がたっぷりと入ったふかふかの土が大好き。
また、川沿いの斜面などに自生しているため、水はけの良い土で枯れずによく育ちます。
水はけが悪くて硬い土では、根腐れが起こりやすく、枯れてしまうことも。
植え付ける前には、掘り起こした土に腐葉土、赤玉土、ピートモスを混ぜて、排水性・通気性・保水性を良くしておきましょう。

サツキの適切な植え付け・植え替え時期


苗を持つ人の手
暑さや寒さに強いサツキは、開花前の肌寒い3月下旬〜5月上旬ごろか、生長が緩やかになる9月下旬〜10月下旬ごろに植え付けや植え替えをします。
ただし、氷点下を下回るような極寒日に植え付けをしてしまうと、株が枯れてしまうことも。
できるだけ、気温が緩やかな日を選びましょう。

鉢植えの場合は、2〜3年に1回程度のペースで植え替えをします。
根詰まりを起こしやすく、根鉢がパンパンになってしまうと枯れてしまうこともあります。

直径2〜4mほどのスペースを確保してから


サツキがある庭の風景
低木のサツキは、高木の木を植えられないような狭い庭でも植えやすい樹木です。
しかし枝葉が横に広がるように伸びるので、直径2〜4m程度と広めのスペースを確保してから植え付けるといいです。
スペースが十分でないと、サツキの枝葉が周辺の草花に覆いかぶさってしまったり、周りの建造物を傷つけたりする可能性も出るので、苗木が小さくても、植え付ける場所はある程度の広さを確保してくださいね!

サツキの苗木の植え方


苗木が置かれた庭
サツキを植え付けるときは、植え穴の深さは根鉢の高さよりも3cm低くし、根鉢の周りに片足が入るぐらいの広さをつくります。
根鉢の表面が少し地面から出るように植え付け、足で踏み固めながら用土を入れてきましょう。
根鉢に麻布が巻かれている場合は、根詰まりが起きなように、植え付ける前に取り除くといいです。
苗木のうちは幹がやわらかく、強風によって折れやすいので、苗木の横には支柱を立て、木が折れたり倒れたりしないようにしましょう。

肥料

サツキのつぼみ
花をたくさん咲かせるサツキは、定期的に肥料を与えた方がよく育つので、植え付け時にと、年に3回の肥料を与えましょう。
植え付けるときに元肥を、花が咲き終わった6〜7月にお礼肥を、冬を越す準備期間となる9月下旬〜10月に追肥を、春の新芽を芽吹く前の2月ごろに寒肥を与えます。
花付きが良くなるように、リン酸(P)が多めに入った緩行性化成肥料か、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のバランスが取れた緩効性化成肥料、または油かすを与えましょう。

剪定

キレイに剪定されたサツキ
生長スピードがゆっくりで低木のサツキは、背が高くなり過ぎることが少なく、庭の景色が崩れることがあまりありません。
しかし、生長すると株が横に広がるようになり、見た目がこんもりとしたドーム型になりやすく、直径2mを超える場合も。
2年に1回程度のペースで剪定や刈り込みをし、横に広がり過ぎないようにコンパクトに仕立てましょう。

サツキの適切な剪定時期|6月上旬〜7月上旬


剪定する人の手元
サツキは初夏に花が咲いたあと、7月中旬ごろには翌年の花芽を付け始めます。
花芽を切り落とさないように、6月上旬〜7月上旬ごろまでに剪定や刈り込みをしましょう。
8月を過ぎてしまうと、花芽を切り落とすだけでなく、枝の切り口から水分が抜けてしまい、枝枯れしてしまう場合もあります。

サツキの剪定の手順


庭に咲くサツキ
庭木に使われる木は、大きく分けると地面から伸びる幹が1本の「単幹樹形」と、幹が複数伸びる「株立ち樹形」の2つの種類があります。
サツキは株立ち樹形で、細い幹が増えて大きくなるので、地面から伸びるひこばえや、幹から伸びる太い枝の数を間引いて樹形をコンパクトに仕立てましょう。

Step1. 幹から伸びる太い枝を切り戻り剪定する
根元の剪定

初めは、地面に近い太い枝を剪定して、株を小さく仕立てます。
幹から株の外側へ伸びる太い枝葉を、細い枝葉が伸びている箇所まで切り戻します。
細い枝葉は、新芽が良く伸びているものを残すように剪定するといいです。
このとき、地面から伸びるひこばえが出過ぎている場合は、根本から切り落として、横に広がらないようにしましょう。

Step2. 株の上部の枝葉の数を間引く
枝を剪定する人
株の表面から長く飛び出すように直立した立ち枝は、放置すると樹形を乱すので、枝分けした箇所で全て切り落としましょう。
細い枝葉を残すように切り落とすと、剪定後の樹形が不自然に見えにくいです。

Step3. 表面の枝葉の高さを整える
伸びた枝を剪定する人
複数の枝葉が伸びて、凸凹になった株の表面をきれいに仕上げます。
長く伸び過ぎてしまった枝葉は、頂部から2〜4節目の箇所で切り戻します。
新芽が伸びている箇所を摘み取るように剪定するといいです。

病害虫

赤いサツキと緑の葉

病気


・褐斑病(かっぱんびょう)
・疫病
・もち病

比較的春と秋になると、サツキをはじめとするツツジ科の植物は、「もち病」と呼ばれる病気を発症させることがあります。
葉・葉柄(ようへい)・蕾(つぼみ)・花に菌が付着すると、焼いたもちのように赤く膨れ上がり、そのまま枯れてしまうことも。
日当たりが悪くて湿気が溜まるような場所で発生しやすいので、被害にあわないようにジメジメとした場所を避けて植え付けたり、剪定をしたら切り口を治癒する癒合剤を塗りましょう。
剪定ばさみ、ノコギリなどはしっかりと殺菌消毒をしてから使ってくださいね!

害虫


・ハダニ
・ツツジグンバイムシ
・ベニモンアオリンガ

4〜10月にかけて、サツキの葉や蕾(つぼみ)に、ツツジグンバイムシやベニモンアオリンガの幼虫が付くこともあります。
ツツジンバイムシは葉の養分を吸汁するため、放置すると美観が損なわれたり、落葉して生育が悪くなったりする場合も。
ベニモンアオリンガに蕾を食害されてしまうと、初夏に開花が見られなくなってしまうので、春から夏にかけては、薬を散布するといいです。

日当たり

青空と満開のサツキ
サツキは、午前中に陽の光が当たり、午後には半日陰になるような場所ですくすくと育ちます。
日当たりが悪い場所だと、初夏に花が咲かなかったり、秋に紅葉しなかったりする場合も。
できるだけ、春から秋の間にしっかりと陽が当たるような、暖かい場所に植え付けましょう。
また、冬の北風は乾燥と寒さによって、株が弱ることもあるので、建物の影になるような場所を選ぶといいです。

水やり

水滴がついたサツキの花
生命力の強いサツキは、基本的には自然に降る雨だけの水分で大丈夫です。
ただし、植え付け直後と、苗木が地面にしっかりと根付くまでの1年間は、土が乾燥しないように定期的に水やりをしましょう。

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期から植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。公園の整備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 柴﨑光一

リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。

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