土の質が悪い場所、排気ガスや潮風による劣悪な環境でも、元気よく生長するネズミモチ。水やりや施肥など、育て方も簡単で、植物を育てたことがない初心者の方でも育てやすく庭木におすすめです!
ネズミモチの花・実・葉の特徴や剪定方法などたっぷりと紹介。
基本5データ
- 分類
- 庭木-常緑
- 学名
- Ligustrum japonicum
- 科・属名
- モクセイ科イボタノキ属
- 別名
- タマツバキ
- 草丈・樹高
- 2~3m
- 栽培可能地域
- 東北南部以南
- 花色
- 白
- 開花期
- 6月
- 結実期
- 11月
- 耐暑性 / 耐寒性
- 強い/普通
庭木として魅力あるネズミモチの特徴
●ネズミモチとは|生命力が強くて枯れにくく、初心者でも育てやすい庭木
ネズミモチは、日本や朝鮮半島、中国、台湾などに自生し、冬に葉を一斉に落とさない常緑性低木。
樹高は大きくなると3mほどまで生長します。
生長スピードが早く、新芽を息吹く力(萌芽力)も強いため、刈り込み剪定をしても枯れにくく、生垣として植えられることが多いです。
排気ガスや潮風にも強く、煙害や塩害の被害で植物が育ちにくい場所に植えるのがおすすめ。
また、暗い日陰でも育つため、比較的日陰になりがちな北側面のお庭にも植えられますよ!
●ネズミモチの花と花言葉|甘い香りのするかわいい姿
・花
ネズミモチの開花は6月ごろで、枝先に小さな白い花がたくさん集まって円錐状に咲きます。
品種によっては香りの強いものがあり、庭木としても心地の良い空間を梅雨時期でもつくってくれるでしょう。
・花言葉
ネズミモチの花言葉は「名より実」です。
●ネズミモチの実|趣のある姿
ネズミモチの実は、名前の由来であるネズミのふんに似た姿をしていますが、熟した色はブルベリーのような色味で、趣のある姿です。
花が終わったあとに、実は緑色に付き始め、11月ごろには直径7mm程度になり熟します。
●ネズミモチの葉|モチノキに似た丸みのある姿
丸みのある葉を4月ごろに展開し始めるネズミモチ。
葉がモチノキに似ていることから、「ネズミモチ」として名付けられたようです。
色は緑濃く、厚みがあり、光沢して輝く姿は、美しさがあります。
●ネズミモチの樹形・樹皮|細くすらっと伸びる株立ち樹形
庭木に使われる木には大きく分けると、地面から出る幹が1本の「単幹樹形」と、幹が複数出てくる「株立ち樹形」と呼ばれる種類があります。
ネズミモチは株立ち樹形で、細い幹が数本、地面からなめらかな曲線を描きながら伸びていくので、すっきりとした見た目の庭木に。
樹皮はさらさらとしていて、若木のころは白味がかった灰褐色で、成木になると黒みがかった灰褐色になります。
ネズミモチが持つ効能とは?
ネズミモチは、古くから漢方などとして用いられ親しまれていた樹木。
とくにネズミモチの実は、中国では「女貞子(じょていし)」と呼ばれる生薬として使われており、現在でも実の成分が含まれた薬が販売されているようです。
実を乾燥させて摂取することで、心をしずめ、強心とさせる滋養強壮の効能があるほか、利尿作用もあるようです。
実だけではなく、ネズミモチは木全体が薬の代わりとして使われていることも。
樹皮には風邪予防、根は咳止めや喉の痛みを和らげる効能があるようです。
一般的には、実を乾燥させ、煎じて飲むことがよいとされています。
ネズミモチの育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
●植え付け
ネズミモチの植え付けは、新芽が出る前の3月、または梅雨時期の6〜7月が生長も悪くならず、最適な時期です。
生命力がとても強い樹木なので、土の質はとくに選びませんが、できるだけ、水はけがよく、保水性のある土をつくりましょう。
植え付ける前は、掘り起こした土に、腐葉土を半分の量を混ぜて、有機質がたっぷりと入った肥沃な土壌で育てます。
また元肥として、緩効性化成肥料を一握りほど混ぜ込んでおくと、開花もしやすく鑑賞ができますよ!
●植え替え
ネズミモチを鉢植えで育てている場合は、植え替えを2年に1度の頻度で行いましょう。
根の回りが早いため、根詰まりを起こして枯れてしまうこともあるので、植木鉢はマチが広くて、深めのものを選んでくださね。
樹高が1.5m以上超えた場合は、鉢植えでは育てにくいため、庭に植えつけてあげるとよいです。
肥料
生育旺盛なネズミモチは、基本的には肥料を与えなくても問題なく生長します。葉の色が悪くなったときには、緩効性化成肥料や、固形の油かすなどを与えるとよいです。
また、2〜3月は寒肥として肥料を与えると、春の生長期には、元気よく育ってくれますよ!
剪定
生長スピードが早いネズミモチは、剪定を放置すると樹形がモサモサとした見た目の悪い姿になるだけではなく、病害虫の被害にもあいやすくなることも。
最低でも1年に2回は、刈り込みや剪定をしましょう。
●ネズミモチの剪定時期|6〜7月、11〜12月
ネズミモチの剪定は、生長スピードが穏やかになる6〜7月、11〜12月の夏・冬に行えます。
季節ごとに剪定をすることで、伸びすぎた枝葉を切れ、いつまでも樹形がきれいな状態が保て、病害虫の予防にもなります。
季節を間違えてしまうと、ネズミモチの木に大きなストレスを与えるので、時期には注意しましょう。
●ネズミモチの剪定の仕方
ネズミモチの剪定は、庭木用の「透かし剪定」と生垣用の「刈り込み剪定」の2つ方法で行います。
・「透かし剪定」
ネズミモチの基本的な庭木用の剪定は、枝の「透かし剪定」の方法で剪定を行います。
剪定の手順は、込み合っている枝、樹形を乱している枝などの不要な枝は、風通しや日当たりを悪くします。
そのため、最初にこれらの不要枝を見つけて枝の付け根から切り落として樹形を整えます。
次に樹木内部で込み合っている枝を見つけて剪定します。
この剪定をしながら枝同士の間隔を確認して、内部にも風通しが良くなるように剪定を行います。
この剪定によって病害虫の発生の予防もできます。
・生垣用の「刈り込み剪定」
ネズミモチの生垣は、樹木自体が生長すると枝が伸びて樹形が崩れるので不要な枝を見つけて剪定をしたら刈り込みバサミで表面を刈り込みます。
ネズミモチの生垣用の刈り込み剪定は、最初に枝の確認から始めます。
そして、通しや日当たりが悪い生垣の「面の部分」にある不要な枝を見つけて剪定を行います。
この剪定対象となる不要な枝は、内側に生えて伸び出している枝などです。そして、次に自分の好みの生垣になるように“樹形を整え程度の刈り込み剪定”の方法で剪定を行います。樹形を整える剪定であまり強い刈り込み剪定をすると、枝が間延びしやすくなるので注意しましょう。
また、生垣の刈り込み剪定では、生垣の中が透けて見える位まで刈込ます。この剪定作業をすると垣根の枝が丸見えになってしまうので心配になってしまうかもしれませんが、しばらくすると葉が生えて次第にふっくらとした垣根になるので、心配不要です。
病害虫
病害虫に強いネズミモチですが、日当たりの悪い場所で育てていたり、剪定を怠っていたりすると、季節によっては被害にあうことも。
健康的な株に育つよう、葉の色味や枝葉の混み具合などこまめにチェックをし、必要であれば株の内側にも風通しがよくなるよう剪定をして予防することが大事です。
農薬散布を懸念される方には、薬を地面にパラパラとまいて、防虫できる薬もあるのでおすすめ。
●病気
・すす病
アブラムシやガの幼虫などの排泄物によって、黒いカビが発生します。
生長が悪くなってしまうので、こまめに葉をチェックしたり、水をかけたりして、きれいにしましょう。
・うどんこ病
カビによって、葉がうどん粉をまぶしたかのような状態になります。
日当たりや風通しが悪いと発生しやすいので、剪定をこまめにしましょう。
・斑紋病
葉に黒い点が発生し、放置すると穴があくことも。
カビが原因であることが多いですが、チッ素分が多い肥料を使い続けると発生しやすいので、肥料調節をしっかりとしましょう。
●害虫
・マエアカスカシノメイガ
マエアカスカシノメイガは、ネズミモチやキンモクセイなどのモクセイ科の植物に発生しやすいです。
幼虫は5〜9月に発生し、葉を食害してしまうので、見つけ次第捕殺しましょう。
日当たり
庭に地植えの場合は、幼木のうちや、植え付けてから2年未満のうちは、土壌を乾かなさいよう、水をたっぷりと与えます。
成木や植え付けてから2年以上たった株は、毎日水を与える必要はなく、雨の水などに切り替えて管理しましょう。
夏の猛暑日が続く場合は、土の具合を確認しながら、水を与えてくださいね。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら、水をたっぷりと与えます。
水やり
庭に地植えの場合は、幼木のうちや、植え付けてから2年未満のうちは、土壌を乾かなさいよう、水をたっぷりと与えます。
成木や植え付けてから2年以上たった株は、毎日水を与える必要はなく、雨の水などに切り替えて管理しましょう。
夏の猛暑日が続く場合は、土の具合を確認しながら、水を与えてくださいね。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら、水をたっぷりと与えます。
リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。