ラベンダーは「ハーブの女王」と言わしめるほど強い香りが魅力。あでやかな紫の花も美しい。高温多湿に弱く枯れることも多いため、夏は育て方に要注意。また、系統によって耐寒性・耐暑性が異なるため、育てる地域に適した系統の種類を選ぶことが大切。
基本5データ
- 分類
- 庭木-低木・下草
- 学名
- Lavandula
- 科・属名
- シソ科・ラベンダー属
- 別名
- 薫衣草(クンイソウ)
- 草丈・樹高
- 20〜130cm
- 栽培可能地域
- 全国
- 花色
- 紫、白、ピンク
- 開花期
- 5月〜6月
- 結実期
- 6月〜7月
- 耐暑性 / 耐寒性
- ◆ラバンディン系
耐暑性:強い/耐寒性:強い
◆アングスティフォリア系
耐暑性:弱い/耐寒性:強い
◆ストエカス系
耐暑性:強い/耐寒性:やや強い
◆デンタータ系
耐暑性:強い/耐寒性:やや強い
◆プテロストエカス系
耐暑性:弱い/耐寒性:弱い
ラベンダーの特徴と種類
ラベンダーの主な特徴
ラベンダーは優美な香りが特徴のハーブです。青紫色の花からは素朴な美しさとイギリスの大自然を感じさせます。シルバーに輝く葉が美しく、柔らかい質感も特徴的です。耐暑性や耐寒性は種類によって大きく左右されますが、どの種類も高温多湿に弱い傾向があります。蒸れないように切り戻しをすることが、上手な育て方のポイントです。
初心者向けはラバンディン系
ラベンダーは環境や蒸れによって、枯れるケースが多く見られます。ラベンダーを初めて育てる方は、原種のスパイクラベンダーとイングリッシュラベンダーの交配種であるラバンディン系の種類がおすすめ。耐暑性に優れており、高温多湿や寒さにも比較的耐えられることから、簡単に育てられます。花穂が長く、ボリュームのあるラベンダーです。
イングリッシュラベンダーは寒い地域におすすめ
アングスティフォリア系はもっとも寒さに強い種類です。中でも代表的なイングリッシュラベンダーは、北海道の屋外でも越冬が可能。しかし、高温多湿を苦手とするため、夏の時期も冷涼な地域でなければ栽培は難しいです。とはいえ、イングリッシュラベンダーの芳香性はアロマの精油に用いられるほど豊かで、大変人気がある種類です。暖地でも栽培したいという方は、なるべく鉢植えで育て、夏は日陰で管理するなど、夏越し対策を行いましょう。
可愛いフレンチラベンダーは暑さに耐える
ストエカス系はラベンダーの中でも暑さに強い種類で、先端にウサギの耳に似た苞葉がつくフレンチラベンダーが特に人気です。花色は紫だけでなく、ピンク、白、青があり、見応えが抜群。霜がおりない軒下で管理すると、翌年には再び花が見られます。
上級者向けはプテロストエカス系
プテロストエカス系は、細やかで美しい葉が特徴的。葉がレースのように見えることから、レースラベンダーとも呼ばれています。また、四季咲きの性質を持つため、環境さえ合えば一年を通して花が見られるでしょう。ただ、高温多湿と寒さに弱く、育て方は困難を極めます。そのため、ラベンダーの育て方にある程度慣れている上級者向けの種類と言えるでしょう。
万能なラベンダーの楽しみ方
花壇の植え込みや庭木の下草へ
ラベンダーは花壇の植え込みにはもちろん、庭木の下草にもぴったり。庭木の乾燥対策に役立ち、株元をナチュラルに飾ります。夏の日差しを庭木が遮り、木漏れ日のような環境を作り出すため、暑さに弱いラベンダーも生育がしやすいでしょう。ラベンダーの開花時期には、花壇を紫色の花でクールに魅了してくれるはず。
鉢植え、寄せ植えで楽しむ
鉢植え栽培は適宜置き場所を変えられることから、ラベンダーの管理がしやすいおすすめの育て方です。しかし、単植は寂しいので、ぜひ寄せ植えにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。ラベンダーは花茎が長いので、寄せ植えに高さと動きをプラスし、野趣に富んだ作品が完成します。また、シルバーリーフが美しいため、花がない時期はカラーリーフとしても楽しめます。
ドライフラワーやポプリを手作り
ドライフラワーやポプリは自宅で簡単に作れるので、子供と一緒に手作りしてみるのもおすすめです。ドライフラワーの作り方は、花を切り取って束ねてから、風通しがよく日光の当たらない場所に吊るし、ドライになるのを待つだけ。ポプリの作り方は、ドライにしたラベンダーを容器に入れ、エッセンシャルオイルかアロマオイルを数的に垂らし、香りをなじませて完成です。手作りならではの特別感に、きっと愛着深まるアイテムとなるでしょう。
美味しいハーブティーで安らぎを
ラベンダーの香りには、リラックス作用、生理痛や頭痛などの鎮痛効果があると言われています。新鮮な葉を摘み取るか、ドライにしたものを使用し、ハーブティーを淹れてみましょう。ラベンダーの優雅な香りが、心を穏やかにしてくれるはず。ほっと一息つきたい時や就寝前に飲むと、より効果が期待できます。
花の収穫時期は?
花の収穫時期は、使い方によって少し異なります。ラベンダーの花は下から少しずつ開花していくため、下の方の花が開花し始めた時がもっとも見た目が美しい時期です。香りが一番強くなるのは、全体の花が咲いたころ。この時期を過ぎると、花は下の方から徐々に茶色く枯れ始めます。ドライフラワーや切り花にしたい方は、咲き始めの綺麗な時期の収穫がおすすめ。ポプリやハーブティーにする方は、香りがもっとも強い時期に収穫するといいでしょう。
ラベンダーの育て方と特徴の育て方・管理方法
植え付け・植え替え
植え付けと植え替えの時期は3月〜4月と、10月が適期です。
ラベンダーは酸性土壌と加湿を苦手とするため、地植えする場合は苦土石灰をすき込み、水はけのいい土作りをすることが大切です。赤玉土や腐葉土、パーライトを入れて、水はけを改善させましょう。
鉢植えで育てる場合は、市販の培養土やハーブ用の土を使用します。または、赤玉土6:腐葉土3:パーライト1の割合でブレンドしたものを使うといいでしょう。
寒さに弱い種類のラベンダーは冬がくるまでに鉢上げをし、寒さをしのげる場所や室内に取り込んで冬越しをさせます。暑さに弱い種類も同様です。開花時期を過ぎたら鉢上げをして、涼しい場所で管理してください。
肥料
植え付けや植え替えの時に、元肥として緩効性肥料を用土に混ぜ込んでおきます。追肥は3月〜4月の時期と、気温が落ち着いてきた9月中旬〜10月の時期に、再度緩効性肥料を与えます。
剪定
ラベンダーが枯れる一番の原因は高温多湿です。そのため、花の見頃が終わったあとは、全体を半分くらいの高さまで切り戻し、さらに風通しをよくするため、すかし剪定も行いましょう。切り戻す時のポイントは、必ず葉を残して剪定すること。葉を残さず剪定してしまった場合は新たな芽が出ず、茎がそのまま枯れてしまうため、注意してください。
病害虫
病害虫には強いので、被害にあうことは比較的少ないです。しかし、アブラムシやハダニ、ベニフキノメイガ、ヨトウムシなどがつくことがあります。無農薬で育てたい方は、早期発見・早期駆除を心がけ、毎日変わった様子がないか、チェックしておくといいでしょう。
日当たり
水やりのタイミングは、ラベンダーの花茎や葉が少し下がってきた時がベスト。少し乾燥気味に水やりをして、加湿を防いでください。夏はすぐに水分が失われるので、水切れを起こさないように気をつけながら水やりをしましょう。
水やり
水やりのタイミングは、ラベンダーの花茎や葉が少し下がってきた時がベスト。少し乾燥気味に水やりをして、加湿を防いでください。夏はすぐに水分が失われるので、水切れを起こさないように気をつけながら水やりをしましょう。