「造園業で建設業許可を取得するには?」

「造園業の種類を教えてほしい」

 

こんな疑問に答える記事です。

 

造園業で500万円以上の工事を請け負うには、建設業許可を取得しなければなりません。

そして、造園業の建設業許可を取得するには、要件を満たす必要があります。

 

そこで今回は、造園業で建設業許可を取得するための要件を解説していきます。

 

建設業許可の取得で疑問に思う点を解決できる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。

目次

そもそも造園工事とは?

造園工事とは、屋外空間を美しく整えるために行われる作業のことです。

具体的には、庭園や公園、緑地などの築造、道路や建築物の法面や壁面、屋上等の緑化、植生を復元する工事などです。

造園工事は、景観を美しくするだけでなく、環境を改善し、人々の生活を豊かにする役割を担っています。

造園工事には、様々な種類があり、その種類によって必要な資格や経験も異なります。
造園工事の建設業許可を取得するなら必ず覚えておきたいところです。

造園工事の種類をまとめましたので、1つずつ見ていきましょう。

造園業工事の種類

【植栽工事】

植栽工事は、敷地内の外構に草や木を植える工事です。

この工事では、景観や環境を向上させるために、適切な場所に植物を配置します。

種蒔きや苗木の植え付け、植物の管理や手入れなども含まれます。

【広場工事】

広場工事は、公共の場や施設などにおける広場の整備や建設を指します。

具体的には、広場のレイアウトやデザイン、舗装や照明の設置、ベンチやテーブルなどの設備の設置などです。

【地ごしらえ工事】

地ごしらえ工事とは、伐採や剪定などの作業後に残った木の枝や雑草を集め整理する作業です。

庭を美しく整え、害虫や雑草を防ぐ、土壌を改善する、新しい苗木を植える場所を確保する目的があります。

【園路工事】

園路工事は、公園や庭園などの敷地内における通路や歩道の建設や整備を指します。

具体的には、道路の設計や舗装、歩道の敷設、照明の設置などの工事です。

【公園設備工事】

公園設備工事は、公園内における遊具やベンチ、トイレなどの設備の設置や改修を指します。

公園の利用者のニーズに応じた適切な設備の配置や、安全基準を満たす設計や建設が行われます。

【屋上緑化工事】

屋上緑化工事は、建物の屋上における緑化活動の一環として行われる工事です。

植物の選定と配置、構造物や排水システムの設置、維持管理計画の策定なども含まれます。

屋上緑化は建物の持続可能性を高める一方で、都市の緑地不足を解消する役割も果たします。

【緑地育成工事】

緑地育成工事は、自然環境の保全や緑地の創出を目的とした工事です。

具体的には、草地や樹木の植栽、湿地や水辺の整備、環境にやさしい施設や構造物の設置などの工事です。

造園工事業の建設業許可を取得するための要件は5つ

造園工事業の建設業許可を取得するための要件は下記の5つ

  • 経営業務の管理責任者等を置いている
  • 専任技術者がいる
  • 誠実性がある
  • 財産的基礎、金銭的基礎がある
  • 欠落要件

順番に解説します。

経営業務の管理責任者等を置いている

経営業務の管理責任者とは、会社の経営業務を総合的に管理し、対外的な責任を負う役職です。

経営業務の管理責任者になるためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 造園工事業を営む会社に常勤の役員として5年以上在籍した経験がある方
  • 個人事業主として造園工事業を5年以上営んでいる方
  • 造園工事業以外の建設業を営む会社に常勤の役員として6年以上在籍した経験がある方
  • 個人事業主として造園工事業以外の建設業を6年以上営んでいる方

法人の場合は「常勤の役員のうち1人」、個人の場合は「本人か支配人のうち1人」が要件を満たしていれば経営業務の管理責任者になれます。

なお、役員経験の期間は「複数の企業、複数の業種での経験を合算」することができます。

専任技術者がいる

造園工事業の建設業許可を取得するには、専任技術者を営業所に常勤で配置する必要があります。

専任技術者の要件は、一般建設業と特定建設業で異なります。

【一般建設業の要件】

  • 造園工事の実務経験が10年以上ある
  • 指定学科(建築学、土木工学、都市工学、林学)を卒業しており、造園工事の実務経験がある
  • 一級、二級造園施工管理技士や技術士法の建設・総合技術監理(建設)など特定の国家資格などを有している

【特定建設業の要件】

  • 一級造園施工管理技士や技術士法の建設・総合技術監理(建設)などの国家資格などを有している
  • 国土交通大臣が「造園工事の実務経験が10年以上ある」と同等以上の能力を有していると認めた人

上記のどれかに該当している人を、営業所に常勤で配置しなければなりません。

【専任技術者になれる資格】

  • 1級造園施工管理技士2級造園施工管理技士
  • 技術士(建設・総合技術監理)
  • 造園技能士(2級+実務経験1〜3年)

主に上記の資格があります。

下記の記事では、造園施工管理技士と造園技能士の違いや資格試験について解説しています。

資格取得を目指している方はぜひご覧ください。

誠実性がある

建設業許可の取得には、誠実性があることも要件の一つです。

誠実性とは、違法行為などの不正、または契約違反などの不誠実な行為を行わないことを意味します。

具体的には、以下のようなものが含まれます。

  • 建設工事に関する法令違反をしたことがある
  • 契約違反をしたことがある
  • 詐欺や脅迫などの不正行為をしたことがある
  • 暴力団関係者である

上記は、誠実性が認められません。

また、処分から5年以上経ってない場合も、誠実性が認められません。

財産的基礎、金銭的基礎がある

建設業許可の取得には、財産的基礎を有していることも要件の一つです。
財産的基礎とは、建設工事を請け負い、完了するだけの資金力があることを意味します。

財産的基礎の要件を満たしていない場合、建設業許可の申請は却下されます。
財産的基礎の要件は、一般建設業と特定建設業で異なるので注意してください。

一般建設業の場合、下記のいずれかに該当している必要があります。

  • 自己資本(純資産合計)が500万円以上
  • 500万円以上の資金調達能力がある(500万円以上の金融機関の残高証明書)

特定建設業の場合、下記のすべてに該当しなければなりません。

  • 欠損の額が資本金の20%を超えない
  • 流動比率が75%以上である
  • 資本金が2,000万円以上ある
  • 自己資本(純資産合計)が4,000万円以上

欠落要件に該当しない

欠格要件に該当する者は、建設業許可を取得できません。

建設業許可の欠格要件とは、建設業法や刑法などの法令違反によって罰金刑などを受けた場合や、暴力団関係者であることなどです。

また、一度許可を得た後で欠格要件に該当していることが分かった場合も、許可取り消しになります。

まとめ:造園業の建設業許可の要件

この記事をまとめます。

【造園工事業の建設業許可を取得するための要件】

  • 経営業務の管理責任者を置くこと
  • 専任技術者を置くこと
  • 誠実性があること
  • 財産的基礎があること
  • 欠格要件に該当しないこと

上記の要件を満たしている場合、国土交通省に建設業許可の申請が可能です。
申請書類に不備がなければ、建設業許可が交付されます。

建設業許可を取得している業者は、優先的に公共工事を請け負うことができるのがメリットです。

下記の記事では、造園業での独立について解説しています。
独立の仕方や年収、節税や節約まで分かります。
「造園業で独立を考えているけど不安…年収が気になる」という方はぜひご覧ください。

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