樹木医という資格があることをご存じでしょうか?
樹木医とは文字どおり、木の健康の診断をしたり、病気になった木を治療する樹木のお医者さんのことです。
国家資格ではありませんが、「樹木医」と名乗るには財団法人日本緑化センターが主催する樹木医としての資格試験に合格しなければなりません。
樹木医の有資格者は、造園業者や地方公共団体の農林・緑化関係職に勤めているケースが多いですが、中には市民ボランティアや樹木の愛好家が趣味で資格を取得しているケースもあります。
全国には天然記念物に指定されている巨樹・古木から地域の住民に愛されているシンボルツリー、身近な街路樹などたくさんの樹木があります。
これらの樹木を的確に処置し、後世に良い形で残すためには、樹木医の専門知識が不可欠なものとなっています。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。
目次
樹木医になるためのルート
樹木医になるためには、大きく分けて2つのルートがあります。興味のある方はどちらなら該当しそうか、チェックしてみてください。
【その1 樹木医受験資格を満たして試験に合格する】
樹木の調査や研究、育成や管理業務、公園緑地の設計、設計監理等に関する業務経歴を7年以上積みます。
その後、樹木医研修受講者選抜試験に合格し、研修を受けた上で面接や筆記による資格審査に合格すれば樹木医になれます。
【その2 指定学科を卒業して樹木医補を取得する】
「樹木医補」になるルートです。
樹木医の補資格養成機関認定を受けた大学の学科を卒業した場合、7年以上の業務経歴がなくとも「樹木医補」になります。
その後業務経歴1年以上で樹木医研修受講者選抜試験等に臨めます。
樹木医試験概要
受験資格
業務経験7年以上または樹木医補の資格認定を受けた日以降の業務経歴が1年以上あること
【業務経験】
樹木の調査・研究、診断・治療、保護・育成・管理、公園緑地の計画・設計・設計監理、緑化樹木や果樹の生産等に関する実務あるいは研究に従事した期間
【樹木医補】
補資格養成機関に認定・登録された大学等を卒業した者(ただし、平成16年度以降で当該大学等が補資格養成機関として登録を受けた年度※以降)のうち、申請に必要な科目を履修した者。
試験内容
業績審査 | 応募時に提出した書類より実施 ・樹木医研修受講者選抜試験申込書 ・業務経歴書 ・業務経験事例 ・業務経歴証明書 |
筆記試験 | 【択一式試験】100分 試験問題は、樹木医が備えるべき一般教養(倫理を含む)および樹木医研修科目に関係する専門分野のほか、高等学校卒業程度の生物の知識などから幅広く出題 【論述式試験】90分(択一式の問題の正答率が5割に満たない場合、原則として当該応募者の論述式の答案は審査対象とせず、採点を行わない) 論述試験は3問出題され、樹木医として総合的にバランスのとれた知識・技術・文章能力を審査するため、3問すべてに答えることが必要 |
受験申込・問合せ
一般財団法人 日本緑化センター |
東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル |
http://www.jpgreen.or.jp/index.html |
樹木医の年収は
樹木医は、この仕事を専業として働く人はあまり多くいません。
樹木や植物に関わる造園や園芸、役所関係等の仕事に就きながら、樹木医としての専門的な知識を生かして活躍するケースが大半となるため、どのような組織で働くのかによって給料にも違いが出ます。
そのため、樹木医の年収は、例えば造園業の社員等になればそうした中小企業の正社員の平均的な年収と大差はありません。
ただし、会社によっては樹木医の資格を取得していたら、資格手当等を支給される場合もあります。
メリットとしては、民間資格ながら樹木医の取得はハードルが高いので、造園や園芸関連の企業へ転職等をする場合には有利になってくる資格とも言えます。
樹木医の現状と将来性・今後の見通し
日本には、全国各地に巨樹や古木が多くあり、その樹種もさまざまです。
こうした樹木は市町村等から指定の名木として指定されている場合があり、伐採が禁止されています。
そういった巨木の名木は管理していく必要がります。
他にも、公園や公共施設などの大木の診断や、大型スーパーなどの樹木の枯枝診断など意外と樹木診断の需要は公共を中心に存在します。
このような背景のなか、樹木医の需要は徐々にですが大きくなっています。
ただ、現状では樹木医専門としての求人はあまりないため、資格を取得すれば安泰なわけではありません。
しかし、樹木医を取ることは、造園のスペシャリストとしての付加価値として、造園家・庭師としての格を上げることに繋がるということは言えるでしょう。