「今度転職をするため会社を辞めることになったのだけれど、はじめての転職なので手続き方法や必要な書類がよくわからない。退職や入社に関する手続きってどんなことをするのかな?」とお悩みではありませんか。
転職などにより退職が決まったら、会社から借りている書類を返却したり、年金手帳など提出していたものを受け取ったりする必要があります。
受け取った書類は基本的に転職先の会社に提出することになりますが、退職後の手続きは「すぐに新しい会社で働くか、そうではないか」で大きく変化します。
退職後にすぐに転職をしない場合は、年金や保険などの公的手続きを自身で行う必要があり、手続きを行わないと損をすることもあります。
この記事では退職前に知っておきたい書類手続きや、会社に返却するもの・公的手続きまで詳しく紹介します。転職や退職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。
目次
退職時の公的手続きの基本と退職の流れ
退職時には、保険や年金などさまざまな公的手続きを行うことになります。
まずは簡単な退職の流れと、必要な公的手続きについて紹介します。
退職の流れ
退職を決めた後は、以下のような流れで退職と転職先への入社準備を行います。
1.直属の上司に退職の意思表示をする
2.退職日を決め、退職届を提出する
3.業務の引き続きや取引先へのあいさつ回りを行う
4.書類の返却・受け取り・社内あいさつを行う
5.提出書類の確認など転職先への入社準備をする
退職の際はただ退職届を提出するだけでなく、業務の引き続きやあいさつ回り・書類の返却など意外とやることが多く存在します。
事前に流れを頭に入れ、漏れのないように1つずつ確実に退職手続きを行うことがポイントです。
退職時の公的手続き
次に、退職時の公的手続きについて紹介します。
健康保険や厚生年金保険などの被保険者資格は、現在働いている会社を退職すると自動的に喪失するため、退職後すぐに転職する場合は、ここで紹介する手続きは必要ないことが多いです。
しかし退職してから転職活動を行うなど、退職から次の会社で働くまでに期間が開く場合は自身で手続きを行うことになります。
ここでは、「失業給付金・健康保険・年金・税金」の4つの公的手続きについて解説します。
失業給付金
失業給付金とは、以下のような条件を満たした場合にもらえるお金のことです。
・失業状態である
・退職日からさかのぼって2年の間に12ヶ月以上働いた期間がある
・ハローワークにて求職の申込を行い、再就職の意思がある
失業給付金は上記の条件を満たし、ハローワークにて申請を行えば誰でももらうことができますが、自身で申請を行わなかった場合は自動的に付与されることはありません。
基本的には申請をすれば必ずもらえるお金なので、条件に当てはまる場合は忘れずに手続きを行いましょう。
なお支給される金額は退職の理由や離職前の賃金によって異なっており、求職者全員が同額を支給される訳ではありませんので注意してください。
健康保険
次に、健康保険についても手続きを行う必要があります。
退職後の健康保険については、以下の2つから選択することができます。
・任意継続被保険者制度を利用する
・国民健康保険に加入する
任意継続被保険者制度とは、在職中に加入していた健康保険制度に退職後も引き続き加入できる制度のことです。
要件は「健康保険に継続して2ヶ月以上加入していた・退職後20日以内に申請を行う」の2つで、加入できる期間は退職後2年間までと定められています。
また任意継続被保険者制度の利用以外に、国民健康保険に加入することも可能です。
国民健康保険は市町村が運営する健康保険制度で、加入手続きは退職日の翌日から14日以内に行います。
国民健康保険には加入期限などはないため、退職後2年以上就職しない状態が続く場合や、自営業として開業する場合にも向いています。
年金
次に、年金の種別変更手続きも必要です。
国民年金の被保険者は、主に以下の3つに分けられています。
・第1号被保険者:自営業者や学生・無職など
・第2号被保険者:会社員や公務員
・第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者
基本的には第1号被保険者に切り替えることになりますが、もし家族の扶養に入る場合は第3号被保険者になることも可能です。
第1号被保険者への切り替えは退職してから2週間以内に行えば問題ありませんが、第3号被保険者に切り替える場合はできるだけ早く手続きを行う必要があります。
うっかり忘れないように、事前に家族の扶養に入るのかどうかを考えておきましょう。
税金
また住民税についても注意が必要です。
今まで住民税は給料から天引されていましたが、退職月以降は自分で納める(普通徴収)ことになります。
退職した時期によっても異なるため、下記の2つのケースを参考にしてください。
・6月1日〜12月31日に退職した場合
退職月以降に支払う予定の住民税は、自分で納付することになります。なお、支払い方法は一括か分割かを選択できます。
・1月1日〜5月31日に退職した場合
5月までの住民税を一括で天引きされることになります。よって給与額が少なくなる可能性が高いですので、事前に住民税の額を確認しておくことをおすすめします。
会社に返却するもの/受け取るもの
次に、会社に返却するものと受け取るものについて紹介します。
退職時に受け取った書類のほとんどは転職先の企業に提出することになるため、紛失しないように分かりやすい場所に保管しておきましょう。
返却するもの
会社に返却するものは、主に以下の6つです。
・健康保険被保険者証(保険証)
・社員証やIDカードなどの身分証明書
・名刺や制服など
・書類やデータ
・通勤定期券
・社費で購入した文具や備品など
返却するものは意外と多く存在します。1つ1つ確認していきましょう。
・健康保険被保険者証
1つ目は、健康保険証です。
退職後は転勤先の健康保険に新しく加入するか、国民健康保険に加入することになりますので、現在所持している保険証は退職と同時に返却することになります。
・社員証やIDカードなどの身分証明書
また退職時には、その会社の社員であることを証明する社員証やIDカードなどの身分証明書を全て返却することになります。
社員証だけでなく、入館するためのセキュリティカードや社章なども忘れずに返しましょう。
・名刺や制服・作業着
自分の名刺だけでなく、取引先から受け取った名刺も返却の対象となることが多いです。退職が決まったら、名刺の整理も行っておきましょう。
また制服などを支給されている場合は、基本的にクリーニングや洗濯を行ってから返却を行います。
・書類
当然ですが、業務で使用した書類やデータなども返却の対象になります。
もし会社のPC内に個人のデータが入っている場合は、USBメモリなどにデータを移行し削除しておきましょう。
・通勤定期券
電車やバスなどの定期券を現物支給されている場合は、こちらも同じく退職時に返却します。
・社費で購入したものや支給された備品
社費で購入したボールペンなどの文房具も返却の対象です。
また会社の備品についても、必ず退職までに返却しましょう。
受け取るもの
退職時には、会社から受け取るものも複数存在します。
会社から受け取ったものは転職先で提出することになるので、事前に何を受け取るのかをリスト形式にしておき、受け取った順にチェックをつけていくと安心です。
受け取るものは以下の4つです。
・雇用保険被保険者証
・離職票
・源泉徴収票
・年金手帳
それぞれについて詳しく解説します。
・雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入した際に発行される証書です。
雇用保険の加入手続きは初めて就職した会社で行われるため、雇用保険被保険者証を目にしたことがない方も多いかもしれません。
転勤先の会社で必ず提出することになるので、忘れずに受け取りましょう。
・離職票
離職票は、最初の見出しで少し紹介した失業給付金を受け取るために必要な書類の1つです。
基本的に次の転職先が決まってから退職をする場合には必要ありませんが、前に働いていた会社を退職した証明として離職票の提出を求める企業も中には存在します。
再就職まで期間が開く場合や、入社時に提出する書類一覧に離職票が含まれている場合は受け取っておくと安心です。
・源泉徴収票
源泉徴収票は、年末調整を行う際に必要な書類です。
退職したタイミングや退職年の12月に発行されることがほとんどですので、手元に届き次第転職先に提出しましょう。
なお転職のタイミングが年末に近かった場合や、退職した年に再就職しなかった場合は、自分で確定申告を行うことになります。
・年金手帳
厚生年金の加入手続きを行うためには、年金手帳が必要です。
返却してもらった年金手帳はまた転職先に提出することになりますので、忘れずに受け取りましょう。
退職後すぐに転職する場合に必要な書類・手続き
既に転職活動を済ませており、退職後すぐに転職する場合は、自分で保険や年金などの手続きを行う必要はありません。
ほとんどの場合、転職時には以下の3つの書類の提出を求められることが多いです。
・雇用保険被保険者証
・年金手帳
・源泉徴収票
上記の書類は全て退職する会社から渡されるものなので、受け取った後は分かりやすい場所に保管しておきましょう。
またその他にも、以下のような書類の提出を求められます。
・健康保険扶養者届
・給与振込先届
・扶養控除等申告書
・健康診断書
・入社承諾書
・免許や資格などの証明書
これらの書類は記入式になっていることが多いので、入社日までに余裕を持って用意しておくことが重要です。
退職後すぐに転職しない場合に必要な書類・手続き
退職後すぐに転職しない場合は、年金や保険や年金などの公的手続きを自身で行う必要があります。
主な手続きと、手続きを行う場所は以下の通りです。
・失業給付金の申請:ハローワークにて行う
・健康保険の加入手続き:国民健康保険に加入する場合は住所地の市区町村役場へ
・国民年金の加入手続き:住所地の市区町村役場へ
・地方税の納付:退職のタイミングにもよる
・所得税の確定申告
手続きの内容はそれ程難しいものではありませんが、市役所やハローワークなどに行くことになり、ある程度の時間がかかります。
申請期間が決められているものも多いので、退職後はすぐに行動するとよいでしょう。
まとめ
この記事では、退職・転職時に必要な書類や手続きについて解説しました。
転職や退職時には、意外と多くの書類のやり取りをすることになります。
特に退職する企業から受け取る書類については、転職先にそのまま提出するものばかりなので、必ず必要書類を全て受け取ったかの確認を行いましょう。
また退職後すぐに転職しない場合は、年金や保険などの公的手続きを自身で行うことになります。
退職してから焦らないように、事前に国民健康保険に加入するのか・失業給付金を受け取れるのかなどをチェックしておくと安心です。
退職・転職時に書類の手続きは欠かせないものです。
しっかりと準備を行い、事前に流れを頭に入れてから各種手続きを行うことが重要です。