土木会社の仕事内容は数多いのですが、大きく分けると公共工事と民間工事になります。

公共と民間では、仕事内容や仕事のやり方に違いがあるため、仕事と向き合う社内態勢にも違いがでてきます。

また、土木会社には必ずといっていいほど、得意とする工事があるものです。

ですから、志望する土木会社の社内態勢が自分と合うか、得意としている工事で活躍できる資格や免許が自分にあるかを検討する必要があります。

この2つのポイントを押さえることが、失敗しない転職へとつながるのです。

特に、民間工事だけを経験してきて、いきなり公共工事を担当することになったケースで戸惑うことが多いと聞きます。

この記事では、公共と民間の仕事内容の違いを切り口に、土木会社の仕事内容について紹介します。

高杉 有希子
監修者 エクステリアプランナー 高杉 有希子

静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。

執筆者 お庭の窓口(転職情報)編集部

お庭の窓口転職情報の編集部です。 社内の造園・外構のプロたちから助言をいただきつつ、皆様に有益な情報を提供できるように頑張ります。

目次

公共と民間で仕事内容にどんな違いがあるのか

まず、公共工事と民間工事の規模の違いと、それぞれの仕事内容について見てみましょう。

出典|国土交通省Webサイトより抜粋|「建設総合統計」(平成27年度)

上記グラフから分かるように、土木工事においては圧倒的に公共工事の出来高(請負代金)が多いのです。約77%が公共で、約23%が民間となっています。

公共工事に多い仕事内容

公共工事とは、国や地方自治体などが発注する工事です。

道路、下水道、治山・治水、上・工業用水道、農林水産、災害復旧、土地造成などが、公共工事に多い仕事内容となっています。

民間工事にも道路や土地造成・埋立など、公共工事と同じ仕事内容の工事がありますが、あくまで私道や私有地での工事です。公共工事で道路といえば、国道や市道などのことです。

また、鉄道や電気・通信等の電線路などは公共的な意味合いが大きい仕事ですが、運営しているのは民間のJRや電力会社なので民間工事になります。

民間工事の出来高は景気に左右されやすく、価格も時勢の相場で変動することが多いのですが、公共工事は安定的に発注され価格の変動も緩やかです。

民間工事に多い仕事内容

民間工事とは、個人や一般の企業が発注する工事です。公益法人や財団法人と呼ばれる団体も民間に含まれます。

鉄道、発電用土木、電気・通信等の電線路、土地造成・埋立、構内環境整備、管工事などが、民間工事に多い仕事内容となっています。

公共工事を請負うには、法で定められた手順がありますが、民間工事は発注する側の意向が大きく反映されるのが特徴です。取引上の利害関係やコネクション、コストパフォーマンスが優先される場合が多々あります。

公共と民間の工事の違い

公共と民間の工事の違いを、工事の発注から施工までの流れでまとめました。

公共工事

  1. 発注|入札の公告(予定価格・工期・仕様などを明示する)
  2. 入札|落札者の決定(予定価格内で最低の入札者又は総合評価点が最も高い入札者)
  3. 施工|設定された工期・仕様書に基づいた施工

民間工事

  1. 発注|あらかじめ入札参加会社を限定する場合が多い
  2. 入札|最低金額での入札者(施工条件・要求性能を満たす会社)
  3. 施工|発注・受注双方の協議により工期短縮や仕様の変更が可能

最近の公共工事では、価格・施工実績・技術提案などを数値化して、最も高い数値の会社を落札者とする入札が増えています。

民間工事では、品質を落とさずにコストを抑える、VE案を提案できる会社が強いです。

土木会社では、公共か民間かで工事の発注から施工までの流れが違うため、どちらに強いかで会社全体の仕事に対する態勢が異なります。まず、ここを覚えておいてください。

志望する土木会社は公共・民間どちらに強いか

まず、自分がやりたい土木工事を明確にしましょう。それから、やりたい土木工事に強みを持つ土木会社を探します。

土木会社で強みが違うことが多い

土木会社には、それぞれ特定の仕事内容に強みのある会社が多いです。トンネルやダム、発電や電線路など規模が大きく専門性の高い工事ほど、その傾向が強くなります。

志望する土木会社の強みを確認して、自分の経験や技術を生かせるか、必要な資格は何かを検討しなければなりません。

新しい分野に挑戦する場合は、資格や免許を取り直す必要もでてくるでしょう。

いずれにしろ、自分のやりたい仕事内容を明確にすることが、転職活動のスタートラインに立つことになるのです。

土木部と建築部がある会社もある

○○建設、○○組という社名で、一つの会社に土木部と建築部がある会社も少なくありません。こういう場合、土木専門の会社とどう違うのだろうと考えるでしょう。

上層部は別として、土木部と建築部に横のつながりはないので、土木部単体で捉えてください。

土木部から建築部への移動というのも聞いたことがありません。土木と建築では、仕事内容が全く違いますから。

2つの部署は、自分の仕事にプライドを持つあまりに、相手の部署に関心がないのです。また、会社を支えるのは自分の部署であるべきだとの競争意識を持っている場合もあります。

自分の性格は公共向きか民間向きか

自分に合う会社を選ぶときのコツの一つは、その土木会社が公共・民間のどちらに強いかを調べてみることです。

公共工事では、工事価格や工期はもちろん、使用材料や施工方法まで厳格に基準が定められています。設計変更というのは、滅多にあるものではありません。

民間工事では、企画・設計の段階からプレゼンすることがあるうえに、発注者と請負者の協議で設計や仕様書が変更されることは普通にあります。

各土木会社は、公共・民間それぞれの仕事内容に合わせた態勢を整えなければならないので、公共・民間のどちらに強いかで社内態勢に違いがでることになります。

自分の性格が公共工事向きか民間工事向きかを考えるのも、失敗しない会社選びのコツの一つなのです。

まとめ

この記事では、以下のことについて紹介しました。

  • 土木工事の仕事内容は公共と民間の2つに分けられる
  • 各土木会社は公共と民間それぞれに合わせて会社の態勢を整えている
  • 志望する土木会社の態勢が自分の性格に合うか検討することが必要

ベースアップや福利厚生などの条件面の向上のために転職を目指すのは素晴らしいことです。

しかし、せっかく転職したのに、長続きしなかったでは意味がありません。

公共・民間のどちらに強みを持つ土木会社を選ぶにしろ、会社の態勢が自分の性格に合っているか検討することも会社選びには重要なことなのです。

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