エクステリア業界の中で、アルミでできた部材を扱う業種を「アルミ屋」「金物屋」などと呼びます。
アルミは錆びたり腐食したりしにくいため、屋外に設置するエクステリア部材のほとんどに使われています。
そのためアルミ屋・金物屋はエクステリア業界にとって重要な存在で、今後もその需要は高まるといえるでしょう。
現在アルミ屋・金物屋の仕事に就いている方の中には、習得した技術を元に独立起業したいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回はそんな方のためにアルミ屋・金物屋として独立起業するための準備や方法などを解説します。
独立を考えて不安になっている方、いつか独立したいなと考えている方の背中を押せる記事になれば幸いです。
静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。
目次
アルミ屋・金物屋として独立するための道のりとは?
どのぐらいの期間アルミ屋・金物屋として従事していれば独立にふさわしいタイミングといえるのでしょうか?また業界未経験でもアルミ屋・金物屋として独立することは可能なのでしょうか?ここで解説します。
アルミ屋・金物屋として独立するまでの期間はどれぐらい必要?
結論からいうとアルミ屋・金物屋として独立するのに必要な期間はありません。
独立するには法人(会社)を設立するケースと個人事業主として開業するケースがあります。
アルミ屋・金物屋を含む建設業の個人事業主を「一人親方」といいます。
一人親方の定義には「労働者を使用せずに自分自身のみ、あるいは自分を含めた家族とだけで業務をおこなっている」というものがあります。
一人親方になるなら税務署に開業届を提出すれば独立開業できます。
ただし一人親方は社会的信用を得にくい、社会保険に加入できない、事業所得が増えると法人よりも税負担が重くなるというデメリットがあります。
業界未経験で独立起業することはできる?
法のシステム的に未経験で独立開業することは可能です。
しかし「未経験ですがアルミ屋・金物屋を開業しました!」という人には仕事を依頼したくないと考える人が大半だと思います。
少なくともエクステリアの会社に数年間は従事して技術の習得、仕事の取り方や回し方を学ぶ、エクステリアの資格を取得するという下準備をされることをおすすめします。
アルミ屋・金物屋で独立するために必要な準備はある?
ここではアルミ屋・金物屋で一人親方になる場合に必要な準備をお伝えします。
一番の準備は経験と知識を蓄えること
独立前にはエクステリア業界で従事し、とにかく経験を積みましょう。
施工の技術だけでなく契約関係や請求関係の書類の作成方法、お金の支払い方法なども自分の目で見て学びましょう。
どんな起業塾に行くよりも現場で実際に見て得た知識は後で必ず役立ちますよ。
資格は信頼の証!開業前にできる限り取得しておきましょう!
どんなに高い技術があっても、それを証明できなければ仕事を取ることは難しいものです。
とくにエクステリアは一軒として同じものがなく、いわば「一点もの」を作る仕事です。
あらかじめ職人のスキルやセンスなどがわかると仕事の依頼もしやすくなります。
ここではアルミ屋・金物屋の独立であればメリットになる資格をご紹介します。
- 一級・二級建築士
- エクステリアプランナー
- 左官技能士
- タイル貼り技能士
などです。
資格があれば仕事がとれるというわけではありませんが、あれば顧客からの信頼度は間違いなく高くなります。
開業資金や事務所の準備
一人親方として独立する場合は開業届を税務署に提出するだけなので開業自体に費用はかかりません。
しかし仕事を請け負うためには書類や図面を作成するためのパソコンやCADソフト、現場で必要な工具、建材を運搬する車両が必要になります。
事務所は自宅を兼用するケースもありますが、工具などの保管場所は確保しなければいけません。
ほかにも開業したばかりの頃は収入も安定しないため、3カ月ほど事業を運営できるぐらいの資金は用意しておきましょう。
その他の申請・許可
一件の請負代金が500万円(税込)を超える工事には「建設業の許可」が必要です。
アルミ屋・金物屋の場合には大工工事・左官工事・防水工事などの建設業許可がないと大きな案件を受けられません。
エクステリア工事はまとまった金額になることが多いため500万円を超えることは珍しくありません。
建設業許可書類の提出先は国土交通大臣または都道府県知事です。
大臣の新規許可は登録免許税が15万円、知事の新規許可は許可手数料が9万円必要になります。
またいずれも工種追加または更新の際には許可手数料が5万円必要です。
集客・受注のルートを確保しておく
独立開業したあとにスムーズに仕事を受注できるようにしておくことも大切です。
仕事を依頼してくれる元請の数が少ないと収入が少なくなるし、多いと手が回らなくなるし、最適なバランスは実際にやってみないとわからないものでしょう。
一人親方の場合、4社前後の元請けと仕事をしているケースが多いようです。
アルミ屋・金物屋、独立するうえでのリスク対策
起業後に大切なのは横の「つながり」といわれています。
特にアルミ屋・金物屋のように現場作業が伴う仕事では人間関係が重要です。
仕事を回してもらえる可能性が上がるのはもちろん、仕事が回らなくなったときに手伝ってくれるようなつながりがあると万が一の際のリスク対策にもなります。
しかし誰とでもつながればいいというわけではありません。
「一緒に仕事をしたい」と思える元請けに直接営業をして自身を売り込んでいく姿勢も大切です。
アルミ屋・金物屋で独立してよくある失敗とは?
アルミ屋・金物屋の独立に限らず、起業してよくある失敗には「実績や収入を上げたくて仕事を選ばずに受けてしまう」というものが多くあります。
仕事を受ける数や金額の最低ラインをあらかじめ決めておくと、冷静な判断ができますよ。
労災や各種保険について
一人親方として独立した場合は労災保険に加入できます。
一般的に個人事業主は労災保険に加入できませんが、一人親方は業務の内容が一般の労働者とあまり変わらないことや、ケガのリスクが大きかったりするため特別な措置といえます。
独立後の年収を上げるためにできること
エクステリア業界(アルミ・金物屋)で独立し、一人親方になった後の平均年収は約720万円、月収60万円が相場のようです。
高額に感じますが、独立すれば会社員のようには収入が安定しないし保証もありません。
人生の中では想定外の出費に見舞われることもあります。
そんな時に備えて収入を上げる努力は常に必要です。
ここでは独立後の年収を上げるためにできることをまとめました。
参考にしてください。
仕事の量を増やす
仕事をした分だけ自分の収入につながる独立起業はやりがいがあるものです。
収入を上げるためには仕事をたくさん取ってこなす必要があります。
注意したいのはご自身のキャパシティを超える量を無理に引き受けてしまうことです。
雑な仕事をして信頼を失うことにもつながりますので気を付けましょう。
今より多くの仕事を受けるために、下請けを依頼できる先を探しておくと安心です。
会社の認知度を上げる
会社の認知度を上げ、実績をアピールして「こういう仕事ができますよ」と宣伝をします。
つまり営業です。
人づてで仕事を紹介してもらう方法もありますが、エクステリアの施工事例は立派な「実績」です。
画像など記録に残して次の仕事につなげましょう。
画像がメインのSNS「インスタグラム」では外構やリフォームのビフォーアフターを紹介しているアカウントも多く見かけます。
SNSの投稿には時間をかかりますが慣れれば簡単です。
また最近はスキルマーケットなどでSNSの運用を代行してくれるサービスも出品されていますので投稿が苦手という方は上手に利用しましょう。
SNSを利用すれば新たなクライアントの開拓にもつながりますよ。
巻き取れる仕事はないか考える
今のクライアントとの間で新たに巻き取れそうな仕事を提案して収入につなげるという方法もあります。
既存のクライアントは気心が知れているケースも多いので、信頼関係さえあれば新しい仕事を巻き取れる可能性は大きいです。
提案できる仕事はないか、常に考えておくことも大切です。
独立起業のメリット・デメリットとは?
新たに行動を起こす時には不安になることが多いものです。
独立起業は今後の生活がかかっているだけになおさらでしょう。
あらかじめ独立起業のメリット・デメリットを知っておけば、おおかたの想像ができるのではないでしょうか?ここにまとめてみましたので参考にしてください。
独立起業のメリット
- 定年がなく働き続けられる
- 仕事した分だけ収入になる
- 業務量や仕事をする時間を自分で調整できる
- 業務の幅を自由に広げられる
- 今より高い収入が得られる可能性がある
- 税金の優遇が受けられる可能性がある
独立起業のデメリット
- 失敗するリスクがある
- 開業時に費用がかかる
- 収入が保証されない
- 開業にかかる費用を調達する必要がある
- 健康保険の手続きや税務上の手続きを自分でやる必要がある
- 体調を崩した、ケガをしたなど不慮のトラブルに対応しづらい
まとめ
今や年功序列の時代は終わり「大手」と呼ばれる会社でも終身雇用制度を廃止したり、月額ベースで10万円以上賃下げの提案がされたりと、大きな会社に務めているからといって安心できる時代ではなくなりました。
専門的な技術をお持ちならそれを活かして独立しない手はありません。
会社員、事業主、それぞれにメリット・デメリットはつきものですが、一度しかない人生なので悔いのない選択をしたいものですね。