「左官屋で独立を考えてるけど不安…」
「独立したらどれくらいの年収になるのかな?」
「独立に必要な準備を教えてほしい」

こんな疑問に答える記事です。

左官で独立を目指している方にとって、準備方法や年収は気になるポイントですよね。

この記事では

・左官屋の仕事内容
・独立に必要な準備
・独立後のリスク対策
・独立するメリット・デメリット
をお伝えしていきます。

この記事を読めば左官で独立する方法が分かるので、ぜひ最後までご覧ください。

高杉 有希子
監修者 エクステリアプランナー 高杉 有希子

静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。

目次

左官屋さんと呼ばれる左官とは?どんな仕事?

2人組の左官職人

左官とは、壁、床、天井などをコテを使って塗りあげる仕事です。塗り上げる材料には、モルタル、漆喰、聚楽などがあります。

日本家屋から、住宅、ビル、橋などの現代的な構造物まで幅広く活躍できます。

左官で独立した場合、壁塗りや土間だけではあまり仕事が無いので、レンガ積みやタイル敷きなどの仕事も請け負うことが多くなります。

左官で独立するために必要な準備

色んな色の作業服を着た人

左官で独立するには、下記の準備をしておく必要があります。

  • 知識や経験を積む
  • 資格取得や信頼を得る
  • 開業資金と事務所の準備をする
  • 開業届や各種申請、許可を得る
  • 集客、元請けなどから受注するルートを確保する

1つずつ解説していきます。

知識や経験

独立するなら、左官に関する知識や経験を積むことが重要。

左官のプロにならないとやっていけないからです。

最低でも以下の知識・経験があると良いでしょう。
10年以上の左官経験 完全に技術を習得するのに10年くらいかかるから
現場監督の知識 独立すると現場を任されるから

特に1人親方になると、自分で仕事をやらなければなりません。失敗してもすべて自分の責任です。

会社を立ち上げるにしても、知識と経験が無ければ従業員がついてきません。

独立するなら就職して十分に現場経験を積んでからにしましょう。

資格や信頼

必ず左官に関する資格を取得しておく必要があります。

資格があると元請けやお客さんが信頼してくれるからです。

下記の2つを持っておくと有利です。
1級左官技能士 実力の証明になるから
1級土木施工管理技士 現場責任者になれる、規模の大きい仕事ができるから

上記の資格を取得するには、現場経験も必要です。就職して稼ぎながら勉強しましょう。

開業資金と事務所の準備

開業資金をきちんと準備することも大切です。

開業資金は規模によって変わるので、どれくらい必要かは一概には言えません。

しかし、最低でも200〜300万ほどは必要です。目安としては3ヶ月くらい運営できる資金と考えましょう。

また、左官で独立する際に必要な主な道具は以下です。

  • 各種コテ
  • 手板
  • 墨つぼ
  • モルタルミキサー
  • ハンドミキサー
  • トンボ
  • トロウェル
  • サンダー
  • ブロアー
  • トラック
  • ウインチ

など。

細かい道具は他にもありますが、最低上記をそろえておきましょう。

1人親方なら自宅を事務所にすることもできますが、会社を立ち上げるなら事務所を借りる資金も必要です。

道具の数や雇う人数によって広さを決めましょう。

開業届けや各種申請、許可を得る

管轄の税務署に開業届を提出しましょう。

所得税の青色申告承認申請書も一緒に提出すると、手続きが1回で済むので楽になります。

法人の場合は登記申請が必要です。

  • 登記申請書
  • 印鑑届出書
  • 定款
  • 登記事項を収めたデータディスク

上記を法務局に提出しましょう。書類は法務局から入手できます。詳しくは法務局のホームページをご覧ください。

また、会社名、所在地、500万円以上の資本金も必要になるので忘れないでおきましょう。

建設業許可を取得するかも考えておいてください。

建設業許可を取得すると、500万円以上の工事を請け負うことが可能になります。つまり、大きい規模の工事を請け負うなら建設業許可を取得したほうが良いということですね。

ただし、建設業許可には取得条件があります。

  • 専任の技術者がいる
  • 管理体制が満たせている
  • 請負契約に関して誠実性があること
  • 財産的基礎、金銭的信用があること
  • 許可を受けようとするものが、一定の欠格要件に該当しないこと

上記のようになっています。詳しくは建設業許可サポートセンターをご覧ください。

集客、元請などから受注するルート確保

集客する為のルート、受注するためのルートを確保しましょう。

独立後、すぐに仕事をもらえるようにするためです。

ルートを確保するために、会社員時代から人間関係を築いておくことが大切です。

ホームページを作成して、周りに開業したことをアピールするのも必要です。ホームページには、自分のポートフォリオを掲載すると信頼してもらいやすくなります。

左官職人で独立後のリスク対策

日本家屋

独立後のリスク対策も考えておく必要があります。

大事なことなので、独立前に必ずチェックしましょう。

左官職人の独立でよくある失敗
労災、各種保険

それぞれ見ていきましょう。

左官職人の独立でよくある失敗とは?

【経理が分からない】
まずよくある失敗の1つに「経理が分からない」というのがあります。

経理ができないと会社は上手く運営できません。

1人親方の場合は必須で覚える必要があります。会社の場合は人を雇うか自分でやるのか決めておきましょう。

どちらにしても、経理の基本だけでも勉強しておくのがおすすめです。

【従業員との人間関係の悪化】
社長が適当だったりだらしないと、従業員は不満を持ちます。やる気も下がってくるので、辞める人も多くなるでしょう。

社長になるならマネジメントを勉強して、人心掌握術を身に着けておきましょう。

【仕事が受注できない】
「仕事が受注できない」というのもよくある失敗です。

1人親方でも社長でも、営業力は必要です。仕事を受注できないと、自分も従業員も困ります。

せっかく腕はあるのに仕事が無かったらもったいないので、必ず営業も勉強しておきましょう。

【仕事を受注しすぎる】
仕事が無いのも問題ですが、仕事を受注しすぎることも問題です。

仕事を受注しすぎると、手が回らなくなるからです。

仕事が追いつかなくなると、取引先にも迷惑が掛かります。

体は1つしかないので、よく考えて受注することが大切。知り合いの職人に仕事を回すのも1つの解決策です。

労災や各種保険について

労災保険と社会保険には必ず加入しましょう。

独立するなら労災保険への加入は必須です。怪我や死亡した場合にお金が降りるのと降りないのとでは全然違います。社会保険は会社を作るときの義務です。

毎月お金が出ていくのは痛いと思うかもですが、自分と家族、従業員の生活を守るためには必須です。必ず保険に加入しましょう。

独立した場合の年収

札束を数える人

左官で独立した場合の年収は「450万〜650万円ほど」です。

ただし、経験や腕の良さなど人によるということを覚えておいてください。腕の良い職人であれば700万〜1000万円稼ぐことも可能です。

年収を上げるには?

年収を上げたいなら以下の方法が鍵になります。

  • たくさん仕事を受注して作業量を増やす
  • 腕を磨いて評判を高める
  • 資格を取得して仕事の幅を広げる
  • 建設業許可を取って規模の大きい仕事をする
  • 節税、経費削減をする
  • デザイン(アート)よりの仕事に移行する

基本的な年収の上げ方は、受注量と作業量を増やすことです。独立すると請負契約か日当になりますが、どちらにしても単純に作業量を増やせば年収は上がります。

とはいえ、体は1つしか無いので限界はあります。

効率よく稼ぐなら腕を磨いて、認めてもらい単価を上げることです。

他の職人と差別化したければ、ただ綺麗に塗るだけでなくデザイン性を求めると良いでしょう。

アートのような壁を塗れる職人は少ないので、希少価値の高い左官屋になることができます。

最初は仕事量を増やし働きまくって、徐々にデザインよりの仕事に移行しましょう。

独立するメリット、デメリット

BAD or GOOD

「左官で独立した場合のメリット、デメリットを知りたい」

左官で独立すると以下のようなメリット、デメリットがあります。

【メリット】

  • 自由度が高い
  • 年収が上がる可能性がある
  • 腕を磨けば貴重な存在になれる

【デメリット】

  • 年収が下がる可能性がある
  • 資金が必要

それぞれ見ていきましょう。

メリット

【自由度が高い】
独立すると仕事の自由度が高くなります。あまり得意じゃない分野や人の依頼は断ることも可能です。

働く時期や仕事量なども自分で調節できます。

会社員だとこういった働き方はできないので、「会社や人に囚われたくない」といった方にはメリットです。

【年収が上がる可能性がある】
会社員は1ヶ月の給料は決まってますが、独立すれば上限はありません。なので働けば働くほど年収は上がります。

会社を立ち上げれば従業員が働いてくれるので、さらに何倍も稼げる可能性があります。

【腕を磨けば貴重な存在になれる】
左官でデザインができる職人は貴重です。特に日本壁の職人は減ってきています。

頑張って腕を磨けば、唯一無二の左官職人になることだってできます。

有名な左官職人になれば、テレビなどの取材が来ることもあるかもしれませんね。

デメリット

【年収が下がる可能性がある】
年収が青天井になるのと同時に、年収が下がる可能性もあります。会社員のように固定給ではありません。

仕事が受注できなければ働くことすらできません。夢も広がりますが、リスクも大きいのが独立です。

営業が苦手な方や人脈が無い方は、独立するのをいったん考えてみましょう。

【開業資金が必要】
開業するには大量の資金が必要です。

会社を立ち上げるなら人件費や事務所の家賃、1人親方でも車両費、道具代、材料費など様々な面でお金が掛かります。

会社員時代に資金を蓄えていない場合、独立はあまりおすすめしません。

まとめ:左官で独立は可能【慎重に判断しよう】

色んな色の作業服を着た人

今回は左官で独立した場合の年収と独立の注意点を中心にお伝えしました。

左官で独立して売上が上がれば高年収が目指せます。一方で資金不足、仕事が受注できない可能性があるなどリスクも大きいです。

リスク回避のために「事前に資金を貯めておく」「営業や経営の勉強もする」ことが大事です。

よく考え「独立して本当にやっていける」と判断した場合のみ独立を考えてみてください。

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