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カイヅカイブキ
2021.06.03

カイヅカイブキ

カイヅカイブキ(貝塚息吹)は、1年を通じて鮮やかな緑を楽しめる常緑の針葉樹。
刈り込んで生垣やトピアリーとしても利用できる。
排気ガスや潮風にも強く、公園樹や庭木として人気が高い樹木のひとつ。
沿岸部に自生するイブキの栽培品種である。

基本データ

  • 分類庭木-常緑
  • 学名Juniperus chinensis 'Kaizuka'
  • 科・属名ヒノキ科ビャクシン属
  • 別名カイズカ・カイヅカ・カイヅカビャクシン

らせん状に枝が巻き上がって生長するカイヅカイブキ

カイヅカイブキとは

 
カイヅカイブキ(貝塚息吹)は、ヒノキ科ビャクシン属の常緑高木です。カイズカイブキと表記されることもあります。原産地は中国・日本で、中国では「龍柏」と呼ばれています。
排気ガスにも耐える丈夫な性質で、庭木として人気のコニファー類の中でも良く用いられている品種です。樹高6~7mと、通常はそれほど大きくならないため、庭木や公園樹などとして扱いやすく人気があります。
剪定方法によって、和風にも洋風にも仕立てられるのもポイントでしょう。土質や環境もあまり選びません。
 

貝塚で作られたことが名前の由来

 
カイヅカイブキは、暖地の太平洋沿岸の崖地や砂地に自生している常緑樹イブキ(ビャクシン)の栽培品種です。大阪の貝塚で作出されたことから、その名が付きました。
枝が横に広がる性質のあるイブキとは異なり、カイヅカイブキの枝は、らせん状に巻き上がっていくのが特徴です。剪定せずにおくと、枝がぐるぐると旋回した野性的な樹形となります。花や実は、イブキと良く似ています。
海辺で育つイブキと同じく潮風などの塩害に強いため、海が近い場所の植栽として重宝される品種です。
 

うろこ状の葉が特徴。「先祖返り」で針状の葉が混じることも

 
カイヅカイブキ
 
カイズカイブキの葉は通常、うろこのような葉が重なり合った、柔らかな鱗状葉(りんじょうよう)です。時折、針のようにするどい針状葉(しんじょうよう)が混じることもあります。針状葉は、スギの葉に似た硬い葉です。
針状葉が出る現象は「先祖返り」と呼ばれます。先祖返りする原因は、主幹や太い枝の根元近くまで刈り込む強剪定だと考えられています。ほか、水不足や老木になったからなど、原因についてはいくつかの説があります。
針状葉は、勢力が強くあっという間に生長するため、放っておくと本来の鱗状葉より目立ってしまうことも。硬い葉はぎゅっと密集して見苦しくなるため、針状葉を見つけ次第、枝の根元から切り取っておきます。一度発生した針状葉は、元の鱗状葉には戻りません。
 

花や実はあまり目立たない

 
カイヅカイブキ
春になると、薄い黄色みを帯びた白く小さな花を咲かせます。カイヅカイブキの花や実は、葉の印象に埋もれてしまい、ほとんど目立ちません。青々と茂った葉や樹形を楽しむ樹木と言えるでしょう。

美しい樹形を保つにはこまめな手入れが肝心

生垣やトピアリーとしても活用できる

 
葉が密集しているカイヅカイブキは、しっかりと刈り込んで造形することで、生垣・目隠し・トピアリーなどに利用できます。ただし、新芽が勢い良く生長するため、芽摘みや剪定を怠るとすぐに樹形が乱れてしまいます。大きく育ってから形を整えることは難しいため、こまめに手入れできる自信がない人には不向きです。
コニファーというと洋風のイメージが強いですが、玉散らしや玉作りに仕立てたカイヅカイブキは、和風の庭にも良く合います。
 

大気汚染や潮風に強い

 
カイヅカイブキ
 
カイヅカイブキは、排気ガスなどの大気汚染や潮風、乾燥など、植物にとっては悪条件ともいえる環境にも適応する数少ない針葉樹です。その証拠に、高速道路沿いや工場の周りなどにも多く植栽されています。海の近くや、車通りの多い道路が近くにある庭にもおすすめです。
 

ナシ栽培地の近くには植えないよう注意

 
ナシの樹に発生する赤星病(あかほしびょう)の中間宿主となり、病気を媒介します。
そのため、千葉県や埼玉県などナシの産地では、赤星病防止条例でナシ栽培地の近くにカイヅカイブキを植えることを禁止しています。知らずに植えて撤去することにならないよう、あらかじめ地域の条例や周辺環境をチェックしておくと安心です。

育て方・管理方法

詳細情報

 

草丈・樹高

6~7m

 

栽培可能地域

北海道以南

 

花色

黄褐色~白

 

開花期

4月~5月

 

結実期

10月
 

耐暑性/耐寒性

耐暑性・耐寒性ともに優れています。
ただし、強い寒風にあたると葉が傷むことがあるので注意しましょう。

 

育て方

 

植え付け・植え替え

カイヅカイブキの植え付けや植え替えは、3月~5月および9月~12月が適期です。寒い地方では春植えが安心でしょう。
植穴には堆肥か腐葉土を多く混ぜ込んで高植えにします。根の張りが悪い場合、枝先を切り詰めて枝数を減らしておくと、根が張りやすくなります。必要な場合は、支柱で苗木を支えてください。水はけの良い石灰岩質の土壌が向いています。

 

肥料

肥料を好みます。年に2~3回は、窒素がやや多めの化成肥料や堆肥を株元に施してください。「
葉肥え」とも呼ばれる窒素は、カイヅカイブキの葉をより美しく茂らせます。枝先の真下からやや外側にかけて肥料を埋め込みましょう。
肥料が不足すると小枝が枯れることがあります。
 

剪定
樹形を維持するためには、こまめな剪定が必須です。樹形からはみ出した新芽を見つけたら、手で芽摘み(弱剪定)をしてください。
手で摘み取れないほど硬い枝は、ハサミやノコギリを利用します。芽摘みは1年中行えます。
大がかりな剪定や刈り込みは、生長期の4月~10月ごろに実施してください。強剪定は、針状葉が出る原因にもなるので、芽摘みや摘芯をこまめに行うのがおすすめです。

 

病害虫

病害虫の被害に合いにくい品種ですが、イブキチビキバガ・ビャクシンカミキリ・ハダニ・カイガラムシなどが付くことがあります。
葉が枯れたり、樹皮の下に糞があったりしたら虫の被害を疑いましょう。
イブキに付くイブキチビキバガの成虫は、5月・7月・9月に発生します。害虫の発生時期になったら、スミチオンやディプテレックスなどを散布し予防するのが効果的です。
 

日当たり

直射日光が良く当たる場所を好みます。日照不足だと葉が弱弱しくなり、葉の隙間が目立ってしまうことも。
カイヅカイブキを目隠しとして利用したい場合は特に、日当たりの良い場所に植え付けてください。
 

水やり

水やりは、極端に乾燥した場合を除き、基本的には必要ありません。

出典(引用元)

平野隆久『よくわかる樹木大図鑑』永岡書店
小幡和夫ほか『樹木博士入門』全国農村教育協会

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